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独立篇

VS大熊男

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2人の青年はストロ村行きの荷馬車ドナドナの馭者達だった。

名も知らぬまま別れていた事に気づき、互いに名告りあう。

ヒョロリとした人がベルウ、小柄な人がタートンという。



「あの時のカリーが忘れなくてね、ほんとうに美味しかった」

「初めて食べたのがアレだろ、本格カリーとは全然違うし」



そんな大袈裟なとレオは恐縮する。

青年らと道中での思い出話をしていたら、大熊のような体躯をノシノシ揺らして再びシェフが現れた。





「なるほど、俺ァこんなチンマイ坊主にカリーで負けたわけか?」

「ええー・・・なんのことですか!?」レオはわけがわからず困惑する。



「グーズリーさん、落ち着いて。勝ち負けなんて言ってないだろう」ベルウが宥めようと間に入る。

「味の再現が出来ないか相談しただけなのに」とタートンも慌てる。



ウヌウ!!と鼻息荒く唸り、シェフがますますレオを威嚇する。

「えーと、とりあえずシェフの人は何がしたいんですか?」



レオも一方的に敵意を向けられ少々苛立ってきた。

(きょうは大包丁ないけど、解体したくなるな)



大男を見上げ、ついうっかりスキルを使ってしまった。

《どないや?》

人族。

大陸全土に生息する。

40代オス。体脂肪45%臓器類にやや難あり。

肉質は極めて粗悪。

食えなくはないがプリオンに要注意。





「ひぃ!?」シェフは急に青褪め怯えだした。

「ああ、大丈夫。カニバリズムはリスク高いから食べないよ?」

「か、かにば・・・たべる?俺を?」



ガタガタと震え、とうとう床にへたりこんだシェフは「勘弁してくれ」と呟くと泡を吹いて失神した。

「え、鑑定しただけなのになんで?」

するとティリルがレオの袖をひっぱり「レオさん、威圧だしてますよ」と言った。



「レオの顔めたくそ怖いよ?」フラが珍しく困り顔でそう言う。

「はに、はんかあっは?肉さめひゃうぞ・・・ムシャムシャ」バリラだけは我関せず食事に夢中。



店側は倒れたシェフの介抱と客達への謝罪周りでてんやわんやになっていた。

「――俺が悪いのか?」

すっかり冷めたシチューを恨めし気につついた。

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