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反抗期篇

桃狩りは精神削られる

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あーだこーだと結局押し切れられて、人食い桃を狩る羽目になった。

別に地上で買った桃があるから欲しくないんだが、味比べはしてみたいと僅かに思ってしまう。





「後衛は頼むよ?俺はPT狩りに慣れてないんだ」

「任せてよぉ、それ何回目いうの?」フラが呆れて応える。

前衛なら剣士の仕事だろうにバリラは援護にまわっている。



「仕方ないだろ、女の気配は嫌うんだから」

「俺より男らしいぞ、自身持てよ!」

「んだとコラァ!!」





そんな阿呆な会話を終え、ジリジリと桃との距離をつめる。

「・・・なんで果物如きに命張らねばならんのだ」





標的まで数メートル――



人食い桃が頭上で蠢いている、薄ピンクの触手を伸ばし樹木に巻き付いていた。

桃が8個ほど引っ付き合っていた、一個体に触手が2本のようだ。

(うげえ、密集してるから気持ち悪っ!)





補助スキル:どないや?を発動。

【ジュレバニカ】

植物系魔物、集団で寄生して対象物の体液を吸い上げ屠る。

移動して生活する、雌雄を見分ける知能あり。

柔軟な触手で移動し、先端の吸口部刺胞より麻痺毒針を突き出す。

本体は芳醇で甘く美味。





とりあえず美味いのは分かった。

武器を構えるのが合図、後方でティルが筋力強化魔法をかけてくれた。

大包丁がいつもより軽量になった気がする。



フラが火魔法でジュレバニカの触手を炙る。

ボタボタと樹木からそれが落ちてきた、俺が攻撃してきたと思ったのかズリズリと寄ってくる。



「きめええ!!」

声に反応して桃が次々と飛びついてきた。

解体を発動し、先ず触手を斬り、本体上部の葉を落とした。

ビクビクと痙攣してそれは果てていった。



5体倒したが触手を斬り損ねた3体がバリラへ近づくも、メスとわかるや逃げ去ろうとした。

「なんで女が苦手かねぇ?」

俺は逃亡方向へ回り込み解体した、少し慌てたので果肉部を削ってしまった。







「――ふう、お疲れ」

ゴロゴロと転がるそれらは、色味が若干赤色が強いけど普通の桃だった。

「わあ!良い匂い!」フラが果肉からあふれ出た果汁にうっとりする。



「痛む前に食っちゃおうぜ」

「「「賛成!」」」



8個なので2個づつに分けた、削ってしまったのを俺が貰う。

「あぐっ・・・んーーー甘い!なんだこれ凄いぞ」

香がとにかく濃く、一口齧っただけで体中が桃に包まれたかのようだ。

果肉は瑞々しく、とろりと蕩けるかと思うほど柔らかだ。



「ほんろれす、はあぁん……地上の桃の百倍は美味れす」

「はうぁ、おぃひい~ん」

「ん……くふぅ……」

3人が恍惚とした表情で食べていた。

瞳を潤わせ頬を赤く染めて、腰をクネクネとしている。





(な、なんかエロい)



「んんっ!!ち、ちちち、地上の桃があるから、食べ比べしないか?」

「「「賛成!」」」





桃狩はしばらく遠慮したい。

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