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第14話
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セージを見送った後、アシュリーはおれに「部屋に行こう」と提案してきた。
その言葉にすこし迷う。
ここでは話しづらいのは確かだが……上の部屋にいけば、キリがいるに違いない。
まだ、おれはキリと会う心の準備が出来ていない。正確に言えば――アシュリーとキリの仲睦まじい姿を見る覚悟ができていない。
……はぁ。あれから一ヶ月も経ってるのに、おれって奴はなんて女々しいんだろうか。
自分で自分が嫌になりそうだ。
「悪いけどさ、上の部屋にはキリがいるんだろう? 三人で会うよりも、その、できれば最初はアシュリーと二人だけで話したい」
アシュリーは沈痛な表情をますます顔を曇らせる。
おれのことを狭量なやつだと思ったのかと思ったら、違った。
「キリは上にはいない。というより、ここには連れてきていない」
「え。王都に置いてきたのか?」
「キリは先週、オッドブル商会を退職した。うちの商会を出た後は、どうしたかは分からないが」
「……はぁ!? キ、キリが退職!? いや、それよりもお前、どうしたか分からないって……!?」
思ってもみなかった言葉に、おれは目を見開く。
だが、アシュリーの表情はいたって真剣そのもので、ふざけている様子も嘘をついている様子もない。
呆然とするおれに向かって、アシュリーは肩をすくめてみせた。
「……まぁ、それも含めてお前に話したいことがあるんだ。話したいことというか、謝らなければいけないことだが……来てもらえるか?」
「あ、ああ……」
おれは狐につままれたような気分で、アシュリーの後に続いて宿屋の二階に上がった。
アシュリーがとっていたのはこの宿屋で一番大きい角部屋だ。ツインルームなので、二名分のベッドが置いてある。
アシュリーは部屋に入ると、部屋の中央に置かれた椅子に座るようにおれを促した後、自分はその向かいに座った。
二人とも腰を下ろすと、アシュリーは唇を開いて「さて」と言った。
「どこまで話したんだったかな? 私とキリが別れて、彼はオッドブル商会を退職したということは話したかな」
「わ――別れた? ほ、本当か?」
キリがオッドブル商会を退職……という話でなかば予想はしていたのだが、アシュリーの口から聞くと、その衝撃たるや凄まじかった。
……正直、もしもアシュリーとキリが別れたら……と考えたことは一度や二度ではない。
けれど、そんなことはありえないだろうと思っていた。
アシュリー以外の人間の口から同じ話を聞かされたら、おれは到底信じなかっただろう。
だって、二人はあんなに仲睦まじくて、お互い以外など目に入らないと言わんばかりの態度だったのだ。
……いったい、どうして二人が別れたなんて話になるんだ?
この一ヶ月の間に、何があった?
疑問に思いつつ、アシュリーがぽつりぽつりと語る話に耳を傾ける。
アシュリーの話は長かったが、理路整然として分かりやすかった。時にはおれが質問を投げかけて、話を掘り下げるように努めた。
アシュリーがキリを問い詰めたところまで話を聞き終えたところで、おれ達は一息いれることにした。
部屋に備え付けの水差しから、二つの木のコップに水を注いで、片方をアシュリーに手渡す。
「――それにしても、驚いたな。キリはもっと受動的な性格かと思ってた」
話を聞き終えたおれは、なんだか話の内容があまりにも予想のナナメ上で、そんな感想しか出てこなかった。
「……怒らないのかい?」
「いや、まぁ怒るというよりは……今まで気づかなかった自分自身に、ちょっと呆れてしまったというか。キリがそんな画策をしてたなんて思いもしなかったよ」
時々、キリに対してモヤッとすることがあったが、おれの嫉妬心ゆえだろうと気にしないようにしていた。
それがまさか、キリにそんな思惑があったとは思いもしなかった。
それにしても――キリはどうしてそこまでおれとアシュリーの友情関係にヒビをいれようと思ったのだろうか。
アシュリーに尋ねてみたのだが、「ユージに対する嫉妬が理由だと言っていた」とあいまいな言葉を告げられたのみだった。
「私もユージと同じだ。キリは本当に大人しくて、控えめで……だからずっと、私が守ってあげなければと思っていたんだ。彼がユージに対してそんなことをするとは夢にも思わなかった。あの時は、お前の言い分をきかずに本当にすまなかった……」
悲しげな表情でおれに頭をさげるアシュリー。
おれは慌ててコップを机に置くと彼の肩を掴んで、無理やりに顔を上げさせた。
「アシュリー、もういい。お前が分かってくれただけで、おれは充分だよ」
「ユージ……私は、その……」
「そういえば、お前の話はまだ途中だったよな? さっきの話じゃ、キリを問い詰めた時は、本格的な別れ話にはいたってなかったじゃないか。それに、キリだってまだ退職扱いにはなってなかった。つまり、あの話の続きがあるんだろう?」
そこで、なぜかアシュリーは「うっ……」と苦しげな声を出した。
そして吐き気をこらえるように口元に手をあてる。
「だ、大丈夫か、アシュリー? 嫌なら無理に話さなくてもいいぞ」
「……いや、ユージがよければ聞いてくれ。こんな話、他の誰にも打ち明けられないからな……」
◆
――私がキリを問い詰めた翌日、キリは秘書の仕事から通常業務へ戻らせた。
秘書の仕事はミルトが代わりに担当した。
この時点では、まだキリは退職扱いにはなっておらず、私との恋人関係もはっきりと別れを告げたわけではなかった。
だが、この日はキリは仕事に来なかった。
朝方、キリの友人と名乗る人物から「今日から一週間お休みをさせてほしい」とオッドブル商会に連絡が入った。
そこまでは問題ない。
私も「昨日のことで顔をあわせづらいのだろう」と思い、深く追及はしなかった。
だが、問題はその後だ。
その日の業務を終えた私が執務室に一人でこもっていると、部屋のドアを遠慮がちにノックする音が響いた。
そのノック音を聞いた時、扉を開ける前から、そこにいるのがキリだと気づいていた。控えめなノックは、いつもキリが行うものだったからだ。
仕事を休んだはずのキリが、業務終了後に商会に来たことを不思議に思ったものの、「昨日のことで私に何か話したいことがあるのだろう」と考えて、入室の許可を出した。
そして――扉が開き、キリが姿を見せた瞬間。
彼からむわりと立ち上る香りに、まるで、花の蜜に溺れるような錯覚に陥った。
『っ!? こ、これは……まさかヒートか!?』
慌てて口を鼻を抑え、椅子から立ち上がってキリから距離をとる。
しかし、キリは頬を真っ赤に火照らせて、はぁはぁと息を荒げながら、幽鬼のような足取りでゆっくりと近づいてきた。
『アシュリーさまぁ、ぼく、ぼく……』
『っ、離れるんだキリ! いったいどういうつもりだ? こんな時に、抑制剤も飲まずに私の元に来て、君はいったいなにを……うっ!』
キリは潤む瞳でこちらを見上げ、切なげな声を漏らした。
『アシュリーさまぁ……ぼく、身体が熱いんです……この身体の熱をおさめてくれることができるのは、アシュリーさまだけです……』
『っ、やめてくれ! 昨日のことを忘れたのか!? こんな時に私は君を抱くつもりはない!』
『でも――アシュリーさまだって、ぼくが欲しいですよね……? アシュリーさま、さっきからぼくから目を離さないじゃないですか……』
キリの言葉通り、私のそこは確かに反応を見せていた。
彼の全身から立ち上るフェロモンに、ばくばくと心臓は早鐘を打ち、身体の熱はどんどんと高まっていく。
涙を浮かべる彼の瞳を見つめた瞬間、私はごくりと喉を鳴らした。
『ほら、これで分かってくれたでしょう……? アシュリーさまの運命はぼくなんでです、あんな人じゃないんです……だから、ね、アシュリーさま……』
キリの桜色の唇から、どうしても目が離せない。
私はキリをまっすぐに見つめたまま、震える手を持ち上げる。
足を踏み出し、ふらふらとキリの方へ歩み寄る。
頭のどこか深い部分が「このオメガが今すぐに欲しい」という欲望が次々に湧き上がり、膨れあがっていく。
あと半歩でキリを抱きしめようかという距離になったところで――脳裏にある人物の顔が蘇った。
今はここにいない人物。私のかけがえのない唯一無二の親友。
初めて出会った少年の頃――私に本を差し出して笑いかけてきた顔を、今もまだはっきりと覚えている。
『っ、駄目だ……』
『……アシュリーさま?』
『駄目だ、こんなのは……! キリ、君だってこんな風に愛もなく身体を繋げたところで、何の意味もないのは分かるだろう……!?』
『そんなことありません! だって、僕らは運命の……ぅわっ!? ア、アシュリーさま!?』
その言葉にすこし迷う。
ここでは話しづらいのは確かだが……上の部屋にいけば、キリがいるに違いない。
まだ、おれはキリと会う心の準備が出来ていない。正確に言えば――アシュリーとキリの仲睦まじい姿を見る覚悟ができていない。
……はぁ。あれから一ヶ月も経ってるのに、おれって奴はなんて女々しいんだろうか。
自分で自分が嫌になりそうだ。
「悪いけどさ、上の部屋にはキリがいるんだろう? 三人で会うよりも、その、できれば最初はアシュリーと二人だけで話したい」
アシュリーは沈痛な表情をますます顔を曇らせる。
おれのことを狭量なやつだと思ったのかと思ったら、違った。
「キリは上にはいない。というより、ここには連れてきていない」
「え。王都に置いてきたのか?」
「キリは先週、オッドブル商会を退職した。うちの商会を出た後は、どうしたかは分からないが」
「……はぁ!? キ、キリが退職!? いや、それよりもお前、どうしたか分からないって……!?」
思ってもみなかった言葉に、おれは目を見開く。
だが、アシュリーの表情はいたって真剣そのもので、ふざけている様子も嘘をついている様子もない。
呆然とするおれに向かって、アシュリーは肩をすくめてみせた。
「……まぁ、それも含めてお前に話したいことがあるんだ。話したいことというか、謝らなければいけないことだが……来てもらえるか?」
「あ、ああ……」
おれは狐につままれたような気分で、アシュリーの後に続いて宿屋の二階に上がった。
アシュリーがとっていたのはこの宿屋で一番大きい角部屋だ。ツインルームなので、二名分のベッドが置いてある。
アシュリーは部屋に入ると、部屋の中央に置かれた椅子に座るようにおれを促した後、自分はその向かいに座った。
二人とも腰を下ろすと、アシュリーは唇を開いて「さて」と言った。
「どこまで話したんだったかな? 私とキリが別れて、彼はオッドブル商会を退職したということは話したかな」
「わ――別れた? ほ、本当か?」
キリがオッドブル商会を退職……という話でなかば予想はしていたのだが、アシュリーの口から聞くと、その衝撃たるや凄まじかった。
……正直、もしもアシュリーとキリが別れたら……と考えたことは一度や二度ではない。
けれど、そんなことはありえないだろうと思っていた。
アシュリー以外の人間の口から同じ話を聞かされたら、おれは到底信じなかっただろう。
だって、二人はあんなに仲睦まじくて、お互い以外など目に入らないと言わんばかりの態度だったのだ。
……いったい、どうして二人が別れたなんて話になるんだ?
この一ヶ月の間に、何があった?
疑問に思いつつ、アシュリーがぽつりぽつりと語る話に耳を傾ける。
アシュリーの話は長かったが、理路整然として分かりやすかった。時にはおれが質問を投げかけて、話を掘り下げるように努めた。
アシュリーがキリを問い詰めたところまで話を聞き終えたところで、おれ達は一息いれることにした。
部屋に備え付けの水差しから、二つの木のコップに水を注いで、片方をアシュリーに手渡す。
「――それにしても、驚いたな。キリはもっと受動的な性格かと思ってた」
話を聞き終えたおれは、なんだか話の内容があまりにも予想のナナメ上で、そんな感想しか出てこなかった。
「……怒らないのかい?」
「いや、まぁ怒るというよりは……今まで気づかなかった自分自身に、ちょっと呆れてしまったというか。キリがそんな画策をしてたなんて思いもしなかったよ」
時々、キリに対してモヤッとすることがあったが、おれの嫉妬心ゆえだろうと気にしないようにしていた。
それがまさか、キリにそんな思惑があったとは思いもしなかった。
それにしても――キリはどうしてそこまでおれとアシュリーの友情関係にヒビをいれようと思ったのだろうか。
アシュリーに尋ねてみたのだが、「ユージに対する嫉妬が理由だと言っていた」とあいまいな言葉を告げられたのみだった。
「私もユージと同じだ。キリは本当に大人しくて、控えめで……だからずっと、私が守ってあげなければと思っていたんだ。彼がユージに対してそんなことをするとは夢にも思わなかった。あの時は、お前の言い分をきかずに本当にすまなかった……」
悲しげな表情でおれに頭をさげるアシュリー。
おれは慌ててコップを机に置くと彼の肩を掴んで、無理やりに顔を上げさせた。
「アシュリー、もういい。お前が分かってくれただけで、おれは充分だよ」
「ユージ……私は、その……」
「そういえば、お前の話はまだ途中だったよな? さっきの話じゃ、キリを問い詰めた時は、本格的な別れ話にはいたってなかったじゃないか。それに、キリだってまだ退職扱いにはなってなかった。つまり、あの話の続きがあるんだろう?」
そこで、なぜかアシュリーは「うっ……」と苦しげな声を出した。
そして吐き気をこらえるように口元に手をあてる。
「だ、大丈夫か、アシュリー? 嫌なら無理に話さなくてもいいぞ」
「……いや、ユージがよければ聞いてくれ。こんな話、他の誰にも打ち明けられないからな……」
◆
――私がキリを問い詰めた翌日、キリは秘書の仕事から通常業務へ戻らせた。
秘書の仕事はミルトが代わりに担当した。
この時点では、まだキリは退職扱いにはなっておらず、私との恋人関係もはっきりと別れを告げたわけではなかった。
だが、この日はキリは仕事に来なかった。
朝方、キリの友人と名乗る人物から「今日から一週間お休みをさせてほしい」とオッドブル商会に連絡が入った。
そこまでは問題ない。
私も「昨日のことで顔をあわせづらいのだろう」と思い、深く追及はしなかった。
だが、問題はその後だ。
その日の業務を終えた私が執務室に一人でこもっていると、部屋のドアを遠慮がちにノックする音が響いた。
そのノック音を聞いた時、扉を開ける前から、そこにいるのがキリだと気づいていた。控えめなノックは、いつもキリが行うものだったからだ。
仕事を休んだはずのキリが、業務終了後に商会に来たことを不思議に思ったものの、「昨日のことで私に何か話したいことがあるのだろう」と考えて、入室の許可を出した。
そして――扉が開き、キリが姿を見せた瞬間。
彼からむわりと立ち上る香りに、まるで、花の蜜に溺れるような錯覚に陥った。
『っ!? こ、これは……まさかヒートか!?』
慌てて口を鼻を抑え、椅子から立ち上がってキリから距離をとる。
しかし、キリは頬を真っ赤に火照らせて、はぁはぁと息を荒げながら、幽鬼のような足取りでゆっくりと近づいてきた。
『アシュリーさまぁ、ぼく、ぼく……』
『っ、離れるんだキリ! いったいどういうつもりだ? こんな時に、抑制剤も飲まずに私の元に来て、君はいったいなにを……うっ!』
キリは潤む瞳でこちらを見上げ、切なげな声を漏らした。
『アシュリーさまぁ……ぼく、身体が熱いんです……この身体の熱をおさめてくれることができるのは、アシュリーさまだけです……』
『っ、やめてくれ! 昨日のことを忘れたのか!? こんな時に私は君を抱くつもりはない!』
『でも――アシュリーさまだって、ぼくが欲しいですよね……? アシュリーさま、さっきからぼくから目を離さないじゃないですか……』
キリの言葉通り、私のそこは確かに反応を見せていた。
彼の全身から立ち上るフェロモンに、ばくばくと心臓は早鐘を打ち、身体の熱はどんどんと高まっていく。
涙を浮かべる彼の瞳を見つめた瞬間、私はごくりと喉を鳴らした。
『ほら、これで分かってくれたでしょう……? アシュリーさまの運命はぼくなんでです、あんな人じゃないんです……だから、ね、アシュリーさま……』
キリの桜色の唇から、どうしても目が離せない。
私はキリをまっすぐに見つめたまま、震える手を持ち上げる。
足を踏み出し、ふらふらとキリの方へ歩み寄る。
頭のどこか深い部分が「このオメガが今すぐに欲しい」という欲望が次々に湧き上がり、膨れあがっていく。
あと半歩でキリを抱きしめようかという距離になったところで――脳裏にある人物の顔が蘇った。
今はここにいない人物。私のかけがえのない唯一無二の親友。
初めて出会った少年の頃――私に本を差し出して笑いかけてきた顔を、今もまだはっきりと覚えている。
『っ、駄目だ……』
『……アシュリーさま?』
『駄目だ、こんなのは……! キリ、君だってこんな風に愛もなく身体を繋げたところで、何の意味もないのは分かるだろう……!?』
『そんなことありません! だって、僕らは運命の……ぅわっ!? ア、アシュリーさま!?』
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