上 下
3 / 38

痒み

しおりを挟む

そして、運命の日。

俺は朝からこっそりとウェルスナーの後を尾けていた。

まぁ、尾けるといってもウェルスナーは俺の護衛騎士なので、俺が自宅の屋敷内にいる時には彼も屋敷内にいるので、廊下の影からこっそり様子を窺う形だ。
自分の護衛騎士を尾行する護衛対象って、本末転倒以外のなにものでもないと思うが、気にしちゃいけない。

ウェルスナーは屋敷の中から外へ出ると、わが家の食料や武器、資材なんかが置いてある外の倉庫に向かった。三つある倉庫の内、一番奥にある倉庫の一つへ一人きりで立ち入るのを見て、俺は「チャンスだ!」と思った。

どうもメイドの一人から、倉庫から荷物を運搬する力仕事を頼まれたようだ。木の扉をそっと開けて中を窺うと、ウェルスナーは壺や木箱が並んだ倉庫の真ん中できょろきょろと何かを探している。

そんなウェルスナーを見つめながら、俺はまず「痒み」の発生を魔眼で念じた。
最初は、首筋を狙ってみる。

「……っ?」

ウェルスナーはびくんと身体を震わせると、首筋に手をあてて指先でこするように触れた。

「なんだ……? 虫か?」

軽く魔力をこめて痒みを発生させる程度であれば、虫が触れたぐらいの痒みに感じるようだ。

ふむふむ。じゃあ、これならどうだろう?

「っ!?」

ウェルスナーが驚きに目を見開く。

今度は、乳首に対して痒みを発生させた。
魔力を強めにこめたので、かなりの痒みを感じているようだ。

「っ、なんだ!? 虫でも入ったのかっ?」

ウェルスナーは簡単なシャツと革のベストに、ズボンと革のブーツという軽装だったが、革のベスト越しに指先で自分の乳首をかりかりを掻きはじめた。

が、革のベスト越しでは大した刺激は得られなかったようで、「くそっ」と悪態をつくと、もどかしげにベストの前閉じの紐をほどいてひらく。

「っくそ、かゆい、かゆいっ……! なんでだっ!?」

シャツ越しに爪をたてて、自分の両方の乳首をかりかりと掻くウェルスナー。

眉根をよせ、若草色の瞳は苦しげに細められ、頬が上気している。見たことのないウェルスナーの扇情的な顔に、ごくりと喉がなった。

「ひぅっ!?」

次に、魔力をかなり込めて、痒みの程度を強める。
ウェルスナーはびくんと身体全体を震わせ、こぼれそうなぐらいに目を見開いた。

「あ……ひ、かゆい、かゆいっ! なんで、こんな……っ」

ウェルスナーはもどかしげにベストを脱ぎ捨てると、とうとうボタンを引きちぎる勢いでシャツもはだけた。現れた胸の上の2つの乳首は、まるで熟れた果物のように真っ赤にとがり、ヒクヒクと震えている。

「こんな、あぁ……っ、かゆい、掻くほどかゆくなるっ……!」

そんな真っ赤な乳首に対し、ウェルスナーは指の爪先でガリガリと乳首をもみしだき始める。
乳首を指で掻く快感に、ウェルスナーの腰ががくがくと揺れているが、本人は気がついていないようだ。

「はぅっ、あっ……!」

乳首を指先つまんでぐにぐにと揉みしだき、かと思えばその先端をガリガリと爪の先でひっかく。ずっと見ていたくなる光景だが、爪によって傷がついた乳首に血がにじみ始めてしまったようなので、俺はウェルスナーの乳首から痒みを引かせることにした。

「あっ……!?」

いきなり消失した痒みに、呆然とするウェルスナー。その声には、痒みがなくなったことの安堵ではなく、失われてしまった快感への未練がにじんでいた。

だが、安心してほしいウェルスナー。俺もここで終わらせる気はない。

「ひいっ!?」

さて、今度「痒み」を送った場所は、ウェルスナーの後ろの穴だ。

後ろの穴の入り口に、まずは軽めに痒みを発生させる。ぞわぞわとした痒みに、ウェルスナーが戸惑うように右手をズボン越しに触れさせている。場所が場所だからか、いきなり指で掻くのには戸惑いがあるようだ。

――ふふ。なら、そんな戸惑うような余裕があるなら、もっと飛ばしてもいいよな!

「なっ……なんで、今度はこんなところに……っ! あぁっ!」

入口から段々と奥にむかって、痒みを侵食させていく。
だんだんと広がっていく、後ろの穴の痒みに、ウェルスナーがぶるりと腰を震わせた。

「お、奥にどんどん痒みが広がって……! いやだ、こんな、なんで……っあァっ!?」

さて、実験を次のフェーズに進めよう。

俺は瞳に魔力をこめると、照準を穴の奥にある前立腺をねらうイメージを思い描く。そこを水鉄砲で狙うように「痒み」をたたきつける!

「あっ……あっ、あァ! かゆい、かゆいぃっ!」

耐えきれなくなったウェルスナーは、地面にどさりと膝をついて膝立の状態になると、腰の革ベルトをもどかしげにほどき、ズボンと下着を勢いよく脱ぎ下ろした。

ウェルスナーの陰茎はすでにがちがちに勃起しており、ズボンからぶるりとひっかかって出てきた。俺の予想に反して、ウェルスナーの陰茎はあまり使い込んでない、綺麗な色をしている。だが、その陰茎の先端からは今や、だらだらと透明な先走りをしとどなくこぼしており、何とも卑猥な佇まいになっていた。

「あっ、くぅっ……んぅっ!」

ウェルスナーは躊躇いのない勢いで、片手で自分の尻タブをつかんで開き、もう一方の手を後口にうずめた。そして、容赦なくずぼずぼと自分の指を後口から出し入れさせる。

指先で前立腺をひっかくと気持ちがいいのか、その度に「ひぅっ」と悲鳴をこぼしながら、身体を痙攣させている。


ごくり、と唾をのみこむ。


ウェルスナーも顔も真っ赤で、息も絶え絶えな状態なのに、自分の後肛をいじめるのをやめようとしない。いつも不愛想で、性欲のかけらも感じさせない顔は、いまや苦し気に歪められ、若草色の瞳からは涙がにじんでいる。口はだらしなく開き、赤い舌先がのぞいている。



あのウェルスナーが。

どんなに話しかけても表情一つかえないポーカーフェイスのウェルスナーが。

うちの可愛いメイドに言い寄られてもすげなく断っているあの堅物が。



今、ここで、きっと誰にも見せたことのない顔をしている。



俺はそのウェルスナーのみだらな痴態をもっとよく見ようと、前のめりになった。
瞬間、のぞき見をしていたドアにうっかり体重をかけてしまい、木造のドアが「ギッ」ときしんだ音を立てる。

「あっ、やばい」と思ったときには、もう遅かった。


「…………ロスト、様?」
「……やあ、ウェルスナー」


静かな倉庫でその音は見事にひびきわたった結果、おれはウェルスナーに見つかってしまったのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

童貞処女が闇オークションで公開絶頂したあと石油王に買われて初ハメ☆

はに丸
BL
闇の人身売買オークションで、ノゾムくんは競りにかけられることになった。 ノゾムくん18才は家族と海外旅行中にテロにあい、そのまま誘拐されて離れ離れ。転売の末子供を性商品として売る奴隷商人に買われ、あげくにオークション出品される。 そんなノゾムくんを買ったのは、イケメン石油王だった。 エネマグラ+尿道プラグの強制絶頂 ところてん 挿入中出し ていどです。 闇BL企画さん参加作品。私の闇は、ぬるい。オークションと石油王、初めて書きました。

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

僕が玩具になった理由

Me-ya
BL
🈲R指定🈯 「俺のペットにしてやるよ」 眞司は僕を見下ろしながらそう言った。 🈲R指定🔞 ※この作品はフィクションです。 実在の人物、団体等とは一切関係ありません。 ※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨 ので、ここで新しく書き直します…。 (他の場所でも、1カ所書いていますが…)

【完結】彼女のお父さんに開発されちゃった自分について

七咲陸
BL
自分には可愛くて美しい、可憐な恋人のレイチェルが居る。そのレイチェルの父である彼は自分を好きだと言う。自分も彼に惹かれてしまい…… ■侯爵家当主で彼女の父×子爵家子息 □やまもおちもいみもありません。ただただひたすらに作者の趣味と性癖を詰め込んだだけの話です。 ■広い心でお読み下さい。終始ヤッてるだけです。 □R-18です。自己責任でお願いします。 ■ちゃんとハッピーエンドです。 □全6話

願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい

戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。 人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください! チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!! ※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。 番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」 「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824

調教済み騎士団長さまのご帰還

ミツミチ
BL
敵国に囚われている間に、肉体の隅に至るまで躾けられた騎士団長を救出したあとの話です

エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!

たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった! せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。 失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。 「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」 アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。 でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。 ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!? 完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ! ※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※ pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。 https://www.pixiv.net/artworks/105819552

処理中です...