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第2部 闘技場騒乱
第七話
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慌てて起き上がろうとしたものの――しかし、どういうわけかヴィクターがおれの身体をソファの上に抑えつけてきた。
「お、おい、何をするヴィクター!?」
小声で怒鳴るも、彼は素知らぬ顔をしている。そうこうするうちに扉がガチャリと開く音がした。
「……っ!」
声にならない悲鳴が零れる。
だが、扉を開けて入ってきたのは、おれのよく知る男だった。
「――あれ? なんだよ兄貴、俺を差し置いてイイことしてんじゃん」
「おかえりなさい、ゼノン。早かったですね」
部屋に入ってきたのはゼノンだった。安堵のあまり、へなへなと全身の力が抜ける。
だが、安心すると今度はふつふつと怒りが湧いてきて、おれはぎろりとヴィクターを睨みつけた。
「おい、ヴィクター! ゼノンだったら良かったけれど、他の人間だったらどうするつもりだ?」
「最初からゼノンだって分かってましたよ」
「え、そうなのか?」
「はい、ノックの音で分かりました」
……それはちょっとどうなんだろう。
普通、ノックの音で扉の向こうにいるのが兄弟かどうか分かるものなの?
前から思ってたけれど、この双子ってお互いにブラコンみたいなところあるよね……
「そもそも他の者だったら、シキ様や私の入出許可がなければ勝手に部屋には入ってこないでしょう。信用ないですねぇ、私」
「うっ」
た、確かに、言われてみればそれもそうだ。
ヴィクターが身体を起こして肩をすくめてみせる。
おれも慌てて上体を起こすも、先ほどの行為の余韻で身体に力が入らない。そうこうしているうちに、ゼノンが近づいてきておれの隣に座った。ヴィクターとは反対側だ。
見れば、ゼノンは唇をとがらせて、なんだか面白くなさそうな表情をしている。
「二人とも、俺が働いてる最中にずいぶん楽しそうなコトしてんじゃねーか」
「ふふ、すみませんゼノン」
「お、おれがこの状況を望んだわけじゃないぞ。ヴィクターが無理やり……んっ!?」
ゼノンに顎を掴まれて無理やり彼の方を向かされる。そのまま、噛みつくように口づけられた。
「ん、ふぅっ……んっ、ぅ」
唇の隙間から、肉厚の舌が強引に侵入してくる。
口内を蹂躙するように這いまわる舌の感触に、ぶるりと身震いをする。唇の端から唾液が雫となって垂れるも、ゼノンはむしろますます深く口づけてきた。
「っ、ぅ、ッ……んぅっ!? ぁ、ちょ、なにして……っ!?」
キスの最中に突然、ひやりとした冷たい感触を感じて、慌ててゼノンの顔をおしのける。
見ると、ヴィクターがいつの間にか取り出した潤滑油を手にまとわせて、おれのアナルをほぐすように弄り始めていた。
慌てて腰を引いて逃れようとするも、ゼノンに身体を抑えつけられてしまう。あっという間に、おれは再びソファへと転がされた。しかも、今度はおれの足の間に入ったヴィクターによって、無理やりに足を割り開かれてしまった。
カチャカチャという小さな音が聞こえるのは、どうやらヴィクターが自身のズボンの前をくつろげているようだ。
今の体制と、その音を聞いただけで、彼がこれから何をしようとしているのかが容易に想像できてしまった。顔が一気に熱くなる。
「っ、ヴィ、ヴィクターっ……」
アナルへと熱い剛直がぴとりと押し当てられる感触に、身体を強張らせる。すると、双子は非常にそっくりな、愉しそうな笑顔を浮かべた。
「そんなに怖がらないでくださいよ、シキ様。さっきあんなにほぐしてあげたでしょう?」
「もう何度もセックスしてるのに、相変わらず慣れねぇな。まあ、いつまで経ってもそういう初々しいところが逆にそそるけどよ」
「っ、こ、こんなの何度したって慣れるわけ……ひっ、ぁ、ヴィクターっ……!」
じゅぷ、という水音と共に、ヴィクターの陰茎が押し入ってくる。
彼の剛直がぬぷぬぷと中へ入ってくるのと入れ替わりに、結合部から潤滑油がとろとろと零れた。
ああ、くそっ……この調子じゃまたソファにも染みができる……!
「ぁっ、ヴィクター、も、もっとゆっくり……ひゃぅっ!?」
喉から甲高い悲鳴が零れる。
頭の側に座っていたゼノンが、いきなり手を伸ばしてきて、おれの乳首に触れてきたのだ。
「へぇ、こっちでもかなり感じるようになってきたじゃん」
「ぁっ、やだ、ゼノン、今それやめっ……ひっ、ぁ、あッ!?」
ゼノンの指先は乳輪の上を円を描くようにくるくると動いたかと思えば、前触れもなく乳首をつまみ、ぐっと力を込めて上に引っ張った。その刺激に、おれはびくりと身体を跳ねさせ、中に埋まっているヴィクターの陰茎をきゅうきゅうと締め付けてしまう。
「ぁっ、ゼノン、それやめっ……ぁ、あ、ひァっ!」
「その内、乳首だけでイけるように開発したいところですよね」
「この調子じゃすぐに達成できそうだよな。なら、俺と兄貴で片方ずつ開発してみるか? どっちがより敏感にできるか勝負しようぜ」
「ああ、それもいいかもしれませんね。楽しそうです」
そんなのぜったいにごめんだけど!?
た、確かにおれは、双子と『国外逃亡に協力してもらう代わりに、双子のものになる』というトンデモ契約を交わしてしまった立場だけれど……!
でも二人とも、もっとおれの身体の権利とか尊厳を労わってくれてもよくない!?
「ヴィ、ヴィクター、ゼノン……っ! そ、そんなの、おれはぜったいに、嫌だからな……っ、あぁっ、ひぁ、あぁッ!?」
「おや、なぜですか? ああ、その程度の開発じゃ物足りないってことですかね?」
「なんだよ、シキ様は欲張りだなぁ」
「ち、ちがうっ、そうじゃなくて……んぁ、ぁっ、あッ!」
こうして会話をしている間にも、ヴィクターは腰を動かして陰茎を出し入れするスピードを速めている。ゴツゴツと再奥を突かれたかと思えば、陰茎のえらの張った部分でぞりぞりと前立腺を削られる。
おれは快楽に意識が流されそうになるのを必死に堪えながら、なんとか言葉を紡いだ。
「い、今は、契約があるからっ、こういうことをしているが……お、お前たちは、そのうち、おれに飽きる日がくるだろ……っ! んっ、ぁっ、ひぅっ」
ただ抽送されているだけでも、肉壁の中はヴィクターの剛直でみちみちになっている。それなのに、前立腺を容赦なく責め立てられ、おれの身体は勝手にガクガクと震えだした。
あまりの快楽に、おれの陰茎は今やすっかり臍につきそうなほど頭をもたげている。
ヴィクターもゼノンも一度もそこには触っていないというのに、先端からはトロトロと先走りが溢れて止まらない。
「んっ、ぅ、お、お前たちがおれに飽きてっ、この契約が終わった時に……っ! ふ、ふつうの身体じゃなくなってたら、こまる……ぁっ、ひ、あッ!?」
「ふーん? そんなくだらないことを考えてたんですね」
突然、ヴィクターがおれの腰を両手で鷲掴んだ。十指の痕が残るのではないかと思うくらい強く掴まれたのだ。
そして、一気に腰を最奥まで打ち付けられた。どちゅんっ、と強い水音が立つほど陰茎を一気に最奥まで叩きつけられ、目の前に真っ白な星が飛ぶ。
「ひっ、ぁっ、あぁッ!? ぁ、やだ、これ、ふかすぎ……っ、ぁっ、あッ!?」
「ふふ、結腸口まで入りましたね」
ヴィクターは口元では笑みを浮かべているものの、そのオッドアイの目はちっとも笑っていなかった。むしろ、その瞳の奥には怒りの炎が灯っているように見える。
それはゼノンも同じだった。彼もまた、おれの胸の上で尖る乳首に、先ほど以上に強い愛撫を加えてきたのだ。デコピンの要領で、爪先でピンピンと何度も赤い柔肉を弾く。
「あっ、ァっ、ひぁっ!? ゼノン、それ、やめっ……ぁっ、ああッ!?」
「やめねぇよ。ここまでやっても、あんた『自分に飽きる日が来る』とかふざけたコト言うんだろ?」
「ひぁ、ぁっ、ああッ!?」
双子の声音は穏やかだが、怒気を孕んでいるのがありありと伝わってきた。
正直、おれが過去にやらかした失敗の時でさえ、こんなに二人が怒ったことはなかったかもしれない。
強すぎる快楽に、頭が真っ白になる。ぐちゃぐちゃになった頭では、なぜ二人が怒っているのかがさっぱり分からない。
だって――本当のことじゃないか。
双子がおれにこういう行為をするのは、今は物珍しさが勝ってるだけだ。
国外脱出に成功した後も、彼らはおれを護衛してくれると約束してくれた。
その言葉に偽りはないだろうが、だからって双子がこの先もこういうコトをおれとしたいかは分からない。
だって――ローズに言われた通り、おれはつまらない人間だ。
ライオネルへのことだってそうだ。原作知識があっても、どう頑張ったところで本物のシキのような対応はできなかった。
今の双子は、シキであってシキじゃないおれに対し、物珍しさを感じているだけだ。
でも、目新しさは薄れていくものだ。
双子の興味が薄れる日は、きっと遠くない内に訪れるだろう。
「ぁっ、あっ、ふ、ぁ……っ、ああ、ぁっ!?」
「くっ……!」
ヴィクターが射精を迎えると同時に、おれも絶頂を迎えた。
喉をのけぞらせ、足の指先をぴんと伸ばして電流のように奔り抜ける快楽に必死に耐える。最奥にどくどくと注ぎ込まれる精液の感覚に、下腹部がじんと熱くなる。
「ぁっ、ふ、ぁっ……ん、ぅっ……」
快楽の余韻に必死に息を整える。見れば、ヴィクターも射精の直後のためか、いつもよりも頬が赤く、呼吸も荒い。
すると、そんなヴィクターに向かってゼノンが声をかけた。
「なあ、兄貴。終わったら今度は俺にヤらせてくれよ。シキ様に分からせてやりたくてさ」
「……いいですよ。私もゼノンと同じ気分ですし、なんならこのまま夜まで交互でやりましょうか。私たちの体力が尽きるか、シキ様が分かってくださるまで」
「は!? ちょ、ちょっと待て、お前らなにを……ぁっ、ゼ、ゼノンっ!?」
力の入らない身体を無理やり起こされて、今度はソファに腰掛けていたゼノンの太腿の上へと乗せられる。彼の太腿をまたぐようにして、正面から抱き着くような体勢だ。
「ま、待て、すこし休ませて……あっ、ヴィクター?」
「ほら、シキ様。今度は弟を労ってあげてくださいね」
いつの間にか背後に回ったヴィクターがおれの両脇に手を入れ、身体を浮かせてきたのだ。同時に、ゼノンが自身の陰茎をおれのアナルへとぴっとりと押し当てる。
先ほどのヴィクターとの交わりによって、アナルはうっすらと口を開けててらてらと光っている。ゼノンがそこに陰茎を当てただけで、すっかり緩みきったアナルが彼の先端をちゅぷりと食んだ。
「あっ……や、やだ、ゼノン、今は待っ……ぁっ、ああッ!?」
「はっ、待てるかよ……!」
ヴィクターがおれの身体を落とすのと同時に、ゼノンがおれのアナルへ一気に陰茎を突き入れた。
重力に従ったおれの身体は、そのまま最奥まで一息にゼノンの剛直を飲み込んでしまう。
「ひ、ぁっ……!? ぁ、ああァっ!?」
「おっ、イったか?」
「一突きでメスイキするとは、さすがシキ様ですねぇ」
「あっ、ゼノン、たのむ、一度抜いて……あっ、ぁっ、あッ!?」
当然のようにおれの懇願は無視され、ゼノンは腰を動かし始める。
しかもそれに合わせて、今度はヴィクターがおれの胸を指で愛撫しはじめるものだから、たまったものではなかった。
「あっ、ぁっ、ひ、ァっ!? ぁっ、ああッ!」
もはや嬌声というよりは、断末魔に近い悲鳴を上げながら――おれは、胸の中であることを考えていた。
――本物のシキって、よくこの双子を制御できてたな!?
契約のことがあるとはいえ、部下のくせにこいつら全然言うこと聞かないんだけど!?
おれの身体の中にいるシキ……!
お願いだから、今すぐこの二人に言うことを聞かせる方法を教えてほしい!
「お、おい、何をするヴィクター!?」
小声で怒鳴るも、彼は素知らぬ顔をしている。そうこうするうちに扉がガチャリと開く音がした。
「……っ!」
声にならない悲鳴が零れる。
だが、扉を開けて入ってきたのは、おれのよく知る男だった。
「――あれ? なんだよ兄貴、俺を差し置いてイイことしてんじゃん」
「おかえりなさい、ゼノン。早かったですね」
部屋に入ってきたのはゼノンだった。安堵のあまり、へなへなと全身の力が抜ける。
だが、安心すると今度はふつふつと怒りが湧いてきて、おれはぎろりとヴィクターを睨みつけた。
「おい、ヴィクター! ゼノンだったら良かったけれど、他の人間だったらどうするつもりだ?」
「最初からゼノンだって分かってましたよ」
「え、そうなのか?」
「はい、ノックの音で分かりました」
……それはちょっとどうなんだろう。
普通、ノックの音で扉の向こうにいるのが兄弟かどうか分かるものなの?
前から思ってたけれど、この双子ってお互いにブラコンみたいなところあるよね……
「そもそも他の者だったら、シキ様や私の入出許可がなければ勝手に部屋には入ってこないでしょう。信用ないですねぇ、私」
「うっ」
た、確かに、言われてみればそれもそうだ。
ヴィクターが身体を起こして肩をすくめてみせる。
おれも慌てて上体を起こすも、先ほどの行為の余韻で身体に力が入らない。そうこうしているうちに、ゼノンが近づいてきておれの隣に座った。ヴィクターとは反対側だ。
見れば、ゼノンは唇をとがらせて、なんだか面白くなさそうな表情をしている。
「二人とも、俺が働いてる最中にずいぶん楽しそうなコトしてんじゃねーか」
「ふふ、すみませんゼノン」
「お、おれがこの状況を望んだわけじゃないぞ。ヴィクターが無理やり……んっ!?」
ゼノンに顎を掴まれて無理やり彼の方を向かされる。そのまま、噛みつくように口づけられた。
「ん、ふぅっ……んっ、ぅ」
唇の隙間から、肉厚の舌が強引に侵入してくる。
口内を蹂躙するように這いまわる舌の感触に、ぶるりと身震いをする。唇の端から唾液が雫となって垂れるも、ゼノンはむしろますます深く口づけてきた。
「っ、ぅ、ッ……んぅっ!? ぁ、ちょ、なにして……っ!?」
キスの最中に突然、ひやりとした冷たい感触を感じて、慌ててゼノンの顔をおしのける。
見ると、ヴィクターがいつの間にか取り出した潤滑油を手にまとわせて、おれのアナルをほぐすように弄り始めていた。
慌てて腰を引いて逃れようとするも、ゼノンに身体を抑えつけられてしまう。あっという間に、おれは再びソファへと転がされた。しかも、今度はおれの足の間に入ったヴィクターによって、無理やりに足を割り開かれてしまった。
カチャカチャという小さな音が聞こえるのは、どうやらヴィクターが自身のズボンの前をくつろげているようだ。
今の体制と、その音を聞いただけで、彼がこれから何をしようとしているのかが容易に想像できてしまった。顔が一気に熱くなる。
「っ、ヴィ、ヴィクターっ……」
アナルへと熱い剛直がぴとりと押し当てられる感触に、身体を強張らせる。すると、双子は非常にそっくりな、愉しそうな笑顔を浮かべた。
「そんなに怖がらないでくださいよ、シキ様。さっきあんなにほぐしてあげたでしょう?」
「もう何度もセックスしてるのに、相変わらず慣れねぇな。まあ、いつまで経ってもそういう初々しいところが逆にそそるけどよ」
「っ、こ、こんなの何度したって慣れるわけ……ひっ、ぁ、ヴィクターっ……!」
じゅぷ、という水音と共に、ヴィクターの陰茎が押し入ってくる。
彼の剛直がぬぷぬぷと中へ入ってくるのと入れ替わりに、結合部から潤滑油がとろとろと零れた。
ああ、くそっ……この調子じゃまたソファにも染みができる……!
「ぁっ、ヴィクター、も、もっとゆっくり……ひゃぅっ!?」
喉から甲高い悲鳴が零れる。
頭の側に座っていたゼノンが、いきなり手を伸ばしてきて、おれの乳首に触れてきたのだ。
「へぇ、こっちでもかなり感じるようになってきたじゃん」
「ぁっ、やだ、ゼノン、今それやめっ……ひっ、ぁ、あッ!?」
ゼノンの指先は乳輪の上を円を描くようにくるくると動いたかと思えば、前触れもなく乳首をつまみ、ぐっと力を込めて上に引っ張った。その刺激に、おれはびくりと身体を跳ねさせ、中に埋まっているヴィクターの陰茎をきゅうきゅうと締め付けてしまう。
「ぁっ、ゼノン、それやめっ……ぁ、あ、ひァっ!」
「その内、乳首だけでイけるように開発したいところですよね」
「この調子じゃすぐに達成できそうだよな。なら、俺と兄貴で片方ずつ開発してみるか? どっちがより敏感にできるか勝負しようぜ」
「ああ、それもいいかもしれませんね。楽しそうです」
そんなのぜったいにごめんだけど!?
た、確かにおれは、双子と『国外逃亡に協力してもらう代わりに、双子のものになる』というトンデモ契約を交わしてしまった立場だけれど……!
でも二人とも、もっとおれの身体の権利とか尊厳を労わってくれてもよくない!?
「ヴィ、ヴィクター、ゼノン……っ! そ、そんなの、おれはぜったいに、嫌だからな……っ、あぁっ、ひぁ、あぁッ!?」
「おや、なぜですか? ああ、その程度の開発じゃ物足りないってことですかね?」
「なんだよ、シキ様は欲張りだなぁ」
「ち、ちがうっ、そうじゃなくて……んぁ、ぁっ、あッ!」
こうして会話をしている間にも、ヴィクターは腰を動かして陰茎を出し入れするスピードを速めている。ゴツゴツと再奥を突かれたかと思えば、陰茎のえらの張った部分でぞりぞりと前立腺を削られる。
おれは快楽に意識が流されそうになるのを必死に堪えながら、なんとか言葉を紡いだ。
「い、今は、契約があるからっ、こういうことをしているが……お、お前たちは、そのうち、おれに飽きる日がくるだろ……っ! んっ、ぁっ、ひぅっ」
ただ抽送されているだけでも、肉壁の中はヴィクターの剛直でみちみちになっている。それなのに、前立腺を容赦なく責め立てられ、おれの身体は勝手にガクガクと震えだした。
あまりの快楽に、おれの陰茎は今やすっかり臍につきそうなほど頭をもたげている。
ヴィクターもゼノンも一度もそこには触っていないというのに、先端からはトロトロと先走りが溢れて止まらない。
「んっ、ぅ、お、お前たちがおれに飽きてっ、この契約が終わった時に……っ! ふ、ふつうの身体じゃなくなってたら、こまる……ぁっ、ひ、あッ!?」
「ふーん? そんなくだらないことを考えてたんですね」
突然、ヴィクターがおれの腰を両手で鷲掴んだ。十指の痕が残るのではないかと思うくらい強く掴まれたのだ。
そして、一気に腰を最奥まで打ち付けられた。どちゅんっ、と強い水音が立つほど陰茎を一気に最奥まで叩きつけられ、目の前に真っ白な星が飛ぶ。
「ひっ、ぁっ、あぁッ!? ぁ、やだ、これ、ふかすぎ……っ、ぁっ、あッ!?」
「ふふ、結腸口まで入りましたね」
ヴィクターは口元では笑みを浮かべているものの、そのオッドアイの目はちっとも笑っていなかった。むしろ、その瞳の奥には怒りの炎が灯っているように見える。
それはゼノンも同じだった。彼もまた、おれの胸の上で尖る乳首に、先ほど以上に強い愛撫を加えてきたのだ。デコピンの要領で、爪先でピンピンと何度も赤い柔肉を弾く。
「あっ、ァっ、ひぁっ!? ゼノン、それ、やめっ……ぁっ、ああッ!?」
「やめねぇよ。ここまでやっても、あんた『自分に飽きる日が来る』とかふざけたコト言うんだろ?」
「ひぁ、ぁっ、ああッ!?」
双子の声音は穏やかだが、怒気を孕んでいるのがありありと伝わってきた。
正直、おれが過去にやらかした失敗の時でさえ、こんなに二人が怒ったことはなかったかもしれない。
強すぎる快楽に、頭が真っ白になる。ぐちゃぐちゃになった頭では、なぜ二人が怒っているのかがさっぱり分からない。
だって――本当のことじゃないか。
双子がおれにこういう行為をするのは、今は物珍しさが勝ってるだけだ。
国外脱出に成功した後も、彼らはおれを護衛してくれると約束してくれた。
その言葉に偽りはないだろうが、だからって双子がこの先もこういうコトをおれとしたいかは分からない。
だって――ローズに言われた通り、おれはつまらない人間だ。
ライオネルへのことだってそうだ。原作知識があっても、どう頑張ったところで本物のシキのような対応はできなかった。
今の双子は、シキであってシキじゃないおれに対し、物珍しさを感じているだけだ。
でも、目新しさは薄れていくものだ。
双子の興味が薄れる日は、きっと遠くない内に訪れるだろう。
「ぁっ、あっ、ふ、ぁ……っ、ああ、ぁっ!?」
「くっ……!」
ヴィクターが射精を迎えると同時に、おれも絶頂を迎えた。
喉をのけぞらせ、足の指先をぴんと伸ばして電流のように奔り抜ける快楽に必死に耐える。最奥にどくどくと注ぎ込まれる精液の感覚に、下腹部がじんと熱くなる。
「ぁっ、ふ、ぁっ……ん、ぅっ……」
快楽の余韻に必死に息を整える。見れば、ヴィクターも射精の直後のためか、いつもよりも頬が赤く、呼吸も荒い。
すると、そんなヴィクターに向かってゼノンが声をかけた。
「なあ、兄貴。終わったら今度は俺にヤらせてくれよ。シキ様に分からせてやりたくてさ」
「……いいですよ。私もゼノンと同じ気分ですし、なんならこのまま夜まで交互でやりましょうか。私たちの体力が尽きるか、シキ様が分かってくださるまで」
「は!? ちょ、ちょっと待て、お前らなにを……ぁっ、ゼ、ゼノンっ!?」
力の入らない身体を無理やり起こされて、今度はソファに腰掛けていたゼノンの太腿の上へと乗せられる。彼の太腿をまたぐようにして、正面から抱き着くような体勢だ。
「ま、待て、すこし休ませて……あっ、ヴィクター?」
「ほら、シキ様。今度は弟を労ってあげてくださいね」
いつの間にか背後に回ったヴィクターがおれの両脇に手を入れ、身体を浮かせてきたのだ。同時に、ゼノンが自身の陰茎をおれのアナルへとぴっとりと押し当てる。
先ほどのヴィクターとの交わりによって、アナルはうっすらと口を開けててらてらと光っている。ゼノンがそこに陰茎を当てただけで、すっかり緩みきったアナルが彼の先端をちゅぷりと食んだ。
「あっ……や、やだ、ゼノン、今は待っ……ぁっ、ああッ!?」
「はっ、待てるかよ……!」
ヴィクターがおれの身体を落とすのと同時に、ゼノンがおれのアナルへ一気に陰茎を突き入れた。
重力に従ったおれの身体は、そのまま最奥まで一息にゼノンの剛直を飲み込んでしまう。
「ひ、ぁっ……!? ぁ、ああァっ!?」
「おっ、イったか?」
「一突きでメスイキするとは、さすがシキ様ですねぇ」
「あっ、ゼノン、たのむ、一度抜いて……あっ、ぁっ、あッ!?」
当然のようにおれの懇願は無視され、ゼノンは腰を動かし始める。
しかもそれに合わせて、今度はヴィクターがおれの胸を指で愛撫しはじめるものだから、たまったものではなかった。
「あっ、ぁっ、ひ、ァっ!? ぁっ、ああッ!」
もはや嬌声というよりは、断末魔に近い悲鳴を上げながら――おれは、胸の中であることを考えていた。
――本物のシキって、よくこの双子を制御できてたな!?
契約のことがあるとはいえ、部下のくせにこいつら全然言うこと聞かないんだけど!?
おれの身体の中にいるシキ……!
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