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はじめての異世界と妖精
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「起きて。起きて。ねぇ、ねぇ、起きて。」
「愛しい子。」
「もう大丈夫だよ。」
「私たちが守ってあげるから。」
「もう誰にもあなたを否定させないから。」
人にしては高い声。決してうるさいわけでない。母親に当たる人のような金切り声ではない。
わたしを大切に思ってくれるものたちの声。
あぁ、わたしはこの感情を求めていた。
目が覚めるとそこかしこにいたのは、色とりどりの小さな手のひらサイズの羽がはえている小人たち。そして、つぶらな瞳を持つ動物たちがわたしを心配そうに見つめている。
「あなた達は誰なの?」
一人の小人が前にすすみでて、わたしの右頬に触れる。暖かな、お日様のにおいがする。まるで、小さなお日様みたい。
「私たちは、精霊と呼ばれる存在。森羅万象と共に存在し続けるもの。これからはあなたを守る庇護者にして、保護者よ!」
小さなからだで、精一杯胸をそらして、えっへん、と言わんばかりのその様子がとても愛らしく、ついついその頭を撫でてしまった。
精霊は嬉しそうに目を細目、その感触を享受していた。
「ここは女神セレナーデ様が管理する世界、ジャポネアよ。あなたが今までいた世界とは違う世界。あなたの世界の言葉で言うところの、異世界ね!」
異世界。そんな場所が存在するんだ。わたしにとって、家の外全てが異世界だった。ネズミーランドに行った日も。でも、まさか本当に異世界に来てしまうなんて思わなかった。
不思議と今までいた世界に帰りたいとは思わなかった。あの世界に未練などりんごひとかけら分も存在しないのだから。
「わたしはどうすればいいの。わたしこの世界に知り合いなんていないよ。」
「大丈夫よ。あなたが心配する必要はないわ。あなたはすべてによって守られているの。そう、運命からもね!」
ウィンクをぱちりとしながら、わたしに優しく語り聞かせてくれる。
そうか、もう何も耐える必要もないんだ。
心なしか体が軽い。すべてから解放されたような気がする。
わたしは今まで何もなかった。私の心はかたくなで、すぐにはほぐれはしない。石のような心。
この世界でわたしは何か手に入れられるだろうか?
誰かがわたしを愛していると行ってくれるだろうか?
愛し合える人に出会えるだろうか?
「愛しい子。」
「もう大丈夫だよ。」
「私たちが守ってあげるから。」
「もう誰にもあなたを否定させないから。」
人にしては高い声。決してうるさいわけでない。母親に当たる人のような金切り声ではない。
わたしを大切に思ってくれるものたちの声。
あぁ、わたしはこの感情を求めていた。
目が覚めるとそこかしこにいたのは、色とりどりの小さな手のひらサイズの羽がはえている小人たち。そして、つぶらな瞳を持つ動物たちがわたしを心配そうに見つめている。
「あなた達は誰なの?」
一人の小人が前にすすみでて、わたしの右頬に触れる。暖かな、お日様のにおいがする。まるで、小さなお日様みたい。
「私たちは、精霊と呼ばれる存在。森羅万象と共に存在し続けるもの。これからはあなたを守る庇護者にして、保護者よ!」
小さなからだで、精一杯胸をそらして、えっへん、と言わんばかりのその様子がとても愛らしく、ついついその頭を撫でてしまった。
精霊は嬉しそうに目を細目、その感触を享受していた。
「ここは女神セレナーデ様が管理する世界、ジャポネアよ。あなたが今までいた世界とは違う世界。あなたの世界の言葉で言うところの、異世界ね!」
異世界。そんな場所が存在するんだ。わたしにとって、家の外全てが異世界だった。ネズミーランドに行った日も。でも、まさか本当に異世界に来てしまうなんて思わなかった。
不思議と今までいた世界に帰りたいとは思わなかった。あの世界に未練などりんごひとかけら分も存在しないのだから。
「わたしはどうすればいいの。わたしこの世界に知り合いなんていないよ。」
「大丈夫よ。あなたが心配する必要はないわ。あなたはすべてによって守られているの。そう、運命からもね!」
ウィンクをぱちりとしながら、わたしに優しく語り聞かせてくれる。
そうか、もう何も耐える必要もないんだ。
心なしか体が軽い。すべてから解放されたような気がする。
わたしは今まで何もなかった。私の心はかたくなで、すぐにはほぐれはしない。石のような心。
この世界でわたしは何か手に入れられるだろうか?
誰かがわたしを愛していると行ってくれるだろうか?
愛し合える人に出会えるだろうか?
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