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事務官②
しおりを挟む酔って饒舌になったキャミィは、この国の裏事情や不平不満を、聞いてもいないのに次々と語りまくった。
どの領地か名前まで言わないところをみると、まだある程度理性が残っているのか。
しかし、政治家をしていると色々な物が見えてくるものなのだろう。
若いのに結構苦労してそうだ。
そもそも領主は、領地を自分の器量裁量でまとめ上げるもの。
自領地で、不祥事や事件などがあっても、他の領主を頼るというのはなかなか難しいようだ。
それが、悪魔もしくは魔人の仕業だったとしても。
キャミィの話では、近年、各地でいくつか起こっている奇妙な事件は、悪魔の所業だとすれば全て納得のいくものばかりだった。
「あ、私、喋り過ぎちゃってますよね。
皆さん今の話、ぜっーたい秘密ですよー?」
「ご安心下さいませ、キャミィ様。
ここで交わされた会話は、決して表には出ませんから」
アマンダが店の秘密厳守を説明すると、キャミィは続いて俺の顔を見る。
俺は慌てて、うんうん、と頷いた。
ふぅ、あっぶねぇ~。
うっかり【北の盾】の奴らに話しまくるとこだったぜぇ。
秘密にして欲しいなら、最初から話すんじゃねぇっての。
…………ちょっ待てよ。
もし各領地で起こっている事件が、本当に悪魔の仕業だとすると、エルメスの依頼を達成出来るんじゃあないのか?
もう少しちゃんと話が聞きたいな。
アマンダの見事な働きにより、キャミィの酔いが最終段階に入ったので、会計をして店を出た。
計二万ゴールド也。
マジか、白金貨二枚があっさり消えたぞ?
実はここって、ジョンテで一番金を生み出してるんでは?
アマンダの実力に恐ろしいものを感じながら、ホテル最上階のスイートルームへ、千鳥足のキャミィを案内する。
「この部屋はどうかな?」
「これは素晴らしいれすねぇ。
王も絶賛すると思いますよぉ」
そう言いながらソファに、ボフッと頭から突っ込んでしまった。
寝られるとまずい。
「窓からの景色もちゃんと見て欲しいな」
脇に手を差し込んで、無理矢理立たせる。
フラついたキャミィは俺に手を回し、抱き着く体勢になった。
「あら、領主様ぁ。
王都の使者に何するつもりれすかぁ?」
「いやいや、何もしないって!
それよりさ、各地で起こっている事件について、実名も付けてもうちょっと詳しく教えてくれない?
もし、教えてくれるなら、この最高級発泡酒をご馳走するよ」
「あっ!
飲みたいれーす」
限界は近い。
酔った状態だが餌をちらつかせながら、何とか情報を聞き出す事に成功した。
この情報は今後、大いに役立つ事だろう。
「ありがとう」
ポンっと景気良く栓を抜く。
五千ゴールドもする酒だ。
わあい、と喜ぶキャミィ。
普段どれだけストレスが溜まっているんだろうか。
こんなに酔っちゃって。
「じゃあ、この部屋は自由に使っていいんで。
では、ごゆっくりと」
ソファから立とうとすると、手首をパシッと掴まれ引っ張られた。
「女の子一人放っていくつもりれすかぁ?
一人酒は寂しいですよぅ」
垂れた前髪から覗く赤く火照った顔。
太もも半ばまで捲れ上がった白いスカート。
発泡酒が注がれたグラスを揺らしながら俺を見つめている。
されど王都の使者は丁重に扱わなければいけない。
ここは紳士的に!
「じゃあ一杯だけ」
——————
気が付けば俺はベッドの上で、うつ伏せ状態のキャミィに乗っかり、一心不乱に突きまくっていた。
あれ?いつの間にこうなった?
そうだ、思い出した……
三杯目を飲んだ辺りで、キャミィのその綺麗な深緑の長い髪を褒めてみたんだよね。
ふと、気になって聞いてみたんだ。
そのお尻まである長い髪の毛なら、裸になっても、大事な部分が全部隠れるんじゃないかって。
もちろん、冗談だよ?
でも、完全なセクハラだ。
それは認めよう。
だが、彼女はノリノリで服を脱ぎ出したんだ。
場末の安いストリッパーの様にね。
ほら、俺は悪くないだろ?
結果は……、見事隠れた。
前に垂らした二本の髪束がうまい事、乳首も股も隠せたんだよ。
二人で大笑いさ。
そしたらまた始まったんだよ、彼女のハニートラップが。
こんな状態の女を放っておくのか?とか、責任とるのが領主の務めだ、とか言いながら迫ってくるから、おいら参っちゃったよ。
で、こんな展開になっちゃったワケ。
なんだか、俺もムラムラきてたんだよ。
だからエッチしちゃったワケ。
堅い仕事で息が詰まっちゃってたのかな?
ハメを外したい時だってあるし、ハメまくりたい夜もあるってか?
俺の怒涛のピストンで彼女は気持ちよく果て、そのままスゥスゥと寝息を立て始めた。
「寝ちゃったか」
言い訳しておくが【魅了】は一切使ってない。
シャワーを浴びソファに座ると、ふと発砲酒の空き瓶が目に入る。
……そうだったのか。
成分を【解析】すると、微量ながら媚薬の効果がある事が分かった。
なんて怖い酒なんだ。
そして、これを涼しい顔で渡すアマンダって一体……
クラブの控え室へ、腰にバスタオルを巻いたまま【転移】で赴く。
アミーズが俺に気付くや、すぐにアマンダを呼びに行った。
「あら?もうお話は終わったのですか?」
「早いな」
接客中にも関わらず、アマンダは直ぐに控え室へやってきた。
「テツオ様を待たせるわけにいきませんわ」
アマンダはそれがさも当たり前かの様に、俺の横に座り密着してくる。
まるでインファイターの様な距離の詰め方にドキッとする。
このドキドキほんと慣れないんだよなぁ。
これはもうアマンダのスキルだと認めざるを得ない。
それに、あの酒を飲んだせいでよりムラムラする。
「私、お役に立てたでしょうか?」
「ああ、良くやってくれたよ」
気が付けば、アマンダが俺に跨り、腰を艶かしくグラインドさせていた。
その顔は恍惚と愉悦に満ちている。
酒のせいで、どうやら意識が少し飛んでいたみたいだ。
俺に抱かれたくて、あの酒を渡したのかもしれないな。
「こうして欲しかったんだろ?」
華奢なくびれを掴み、乱暴に下から突き上げる。
「あんっ!激し過ぎますっ」
とか言いながら、俺が動きやすいように腰の位置を調節し、指で俺の乳首をくりくりと刺激している。
そんな技どこで覚えたんだ?
娼婦の影響って凄いな。
「あんな酒用意しなくたっていつでも可愛がってやるよ」
熱く激しい吐息を漏らしながら、アマンダは蠱惑的な薄目で俺を見つめ、何も言わず微笑んだ。
ああ、グッとくるな、その表情。
耳元へ吐息と共に漏らす喘ぎ声は、ご主人様に可愛がって喜ぶ子犬の様だ。
「あんっ、あんっ、あんっ、きゃんっ」
その間もノンストップで激しくピストンをした。
圧倒的フィニッシュ!
アマンダの身体がビクビクと激しく痙攣する。
人間には少々激し過ぎたか?
「ずっと一緒にいたい……」
もたれ掛かる耳元で微かな声が聞こえる。
「え、なんて?」
「ふふふ、またいつでもテツオ様の好きな時に呼んでくださいませ」
アマンダは艶っぽい顔で俺の口を塞いだ。
意識が飛んでしまいそうなキスだ。
実は聞こえていたが、まさかアマンダがそこまで言う程、俺への気持ちを膨らませていただなんて、男冥利に尽きるな。
アマンダは毎晩のローテーションに入れたいくらいの逸材じゃわいて。
「それと、私が言うのもどうかと思ったんですけど……」
ん?
「ここで働いてる女の子達は皆、いつテツオ様からお呼びがかかるのか待ちわびておりますわ。
夜の仕事は大変なので、あの子達を労っていただければ……と」
な、何だと……?
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ドレスを着直したアマンダがその答えを教えてくれる。
「彼女達を救出し保護した時点で、テツオ様はあの子らの心の拠り所となったのです。
それはテツオ様が思っている以上に大きく育っていますわ」
微弱とはいえ【魅了】魔法は確かに掛けた。
当初は心的外傷を一時的に抑える為のものであったが、その傷が深い者程、比例して俺を求めだしたということか。
その広がった心の穴を満たしてやらねばなるまい。
つまり、俺が彼女達にする事は—治療—なのだ。
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