1 / 2
言葉の通じない異民族に嫁にされる話
言葉の通じない異民族に嫁にされる話 前編
しおりを挟む「ほんっと、に!どうなってんのよこれ‼︎」
予想外の事態に思わず怒りの言葉を吐き捨てながら、光が地面に届かないほどに木々が生い茂る森の中を走り抜ける。
買ったばかりのパンプスが靴擦れを起こし、ズキズキと走る痛みを無視しながら無我夢中で背後から迫り来る何かから逃げ続ける。
本当にどうしてこんなことに____________。
私は青空光。ごくごく平凡な女子大生だった。
今日だって就職活動のために出かけようと家の扉を開いたら、何故か森に繋がっていて_____。
ちょっと様子を見るために出たら、扉が消えて帰れなくなってしまっていた。
当てもなく森を歩いていると突如として現れた醜悪な見た目をした化け物、例えるならゲームで見たゴブリンみたいな謎の生き物に追いかけられて今の状況に至る。
「ギャギャッ‼︎」
徐々に追いつかれようとしていることがわかり、焦って地面から飛び出た木の根に足を引っ掛けて思いっきり転んでしまった。
「やだ...来ないで......‼︎」
「グギャッ‼︎」
ニタニタと勝利を確信しているのか手に持った刃こぼれしたナイフを手元で回しながらゆっくりと私に近づいてくる。
これから襲いくるであろう惨状に思わず目を瞑り、覚悟を決める。
「 豁サ縺ュ!」
低い男性の掛け声のような声と共に化け物の断末魔、そして何か肉が切り裂かれる音が私の耳をつんざく。
僅かに何か生暖かい液体が足にかかる感覚がし、それが血であることに気がつくにはそう時間はかからなかった。
「 縺翫>縲∵?ェ謌代?辟。縺?°?」
自分が知る限り、どの言語ともかけ離れたその言葉は少なくとも敵意は感じず。
恐怖から顔を伏せていた私の顔の前に浅黒い肌の、豆ができていた武人のような大きい手が差し出される。
恐る恐る顔を上げると、黒い癖っ毛に浅黒い肌をした男が立っていた。ヨーロッパ旅行で見た彫刻のような彼の端正な顔は日本人とはかけ離れており、狩猟民族のような動物の皮を使った服の隙間から彼がかなりの怪我を負っている事が見て取れる。
「貴方、怪我してる...?」
「 險?闡峨′騾壹§縺ェ縺??縺」
何か困ったように呟くと、彼は化け物の死体を適当に放り投げ私の前であぐらを描くように座り込む。
同じように座り込んでいても私が見上げる状態になる程彼の身長は大きく、その彼が無言で私を見つめるこの状況は助けられたと分かっていても少し恐怖を感じた。
彼は自分自身を指で指し、ラルバと話す。
ラルバ?...........もしかして名前の事を言ってるのかな。
同じようにラルバと私が発すると、満足したように頷く。
「光」
「ヒ、カ...リ?」
同じように自分を指して名前を言う。
私の名前を覚えようとしているのか何度も繰り返し呟いている彼の様子からして、少なくとも先ほどの化け物のように敵対することはないだろうとほっと息をつく。
彼の体に目を向けると、かなりの怪我をしていてまだ血が流れ続けている事が見て取れる。素人目でもこのまま放っておくのは良く無いだろう。
「あ、そうだ。これ...」
持っていたバッグから中にあるタオルを出して体の傷を指さす。
雨の予報だからと大きめのタオルを入れておいて良かった。
見た事がないのか不思議そうにタオルを見ているラルバの体の傷を、タオルを使って抑えるようにして止血する。
その間ラルバは時々痛みからか眉間に皺を寄せるものの、無言で私の顔を見つめていた。
少したち、血が止まったのを確認して彼から離れようとすると突然手を引っ張られて抱きしめられるような形になる。
「っ!?ちょ、ちょっと!」
「 縺ゥ縺薙∈陦後¥繧薙□」
かなり鍛え上げられているのか、筋肉に覆われたその腕を振り解き事ができない。
耳元にかけられる息は興奮しているのか熱く、男性経験がない私にとっては初めてのことに思わず体の動きが止まる。
「 雜ウ繧呈?ェ謌代@縺ヲ縺?k縲ゆソコ縺ョ髮?誠縺ォ陦後%縺??」
「え、あ⁉︎ちょっと待って!」
私をお姫様抱っこしたまま起き上がり、慣れたように森の中を歩き出すラルバ。
手で止まるように伝えても、寧ろそのスピードは早まっていき森の中を一気に駆け抜ける。人間とは思えない速さに思わず冷や汗が流すと、ラルバは手で私の顔を自身の胸に押し付けるようにする。
私が怖がらないように...?だったら今すぐ止まって欲しいんだけど......。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
【R18】人気AV嬢だった私は乙ゲーのヒロインに転生したので、攻略キャラを全員美味しくいただくことにしました♪
奏音 美都
恋愛
「レイラちゃん、おつかれさまぁ。今日もよかったよ」
「おつかれさまでーす。シャワー浴びますね」
AV女優の私は、仕事を終えてシャワーを浴びてたんだけど、石鹸に滑って転んで頭を打って失神し……なぜか、乙女ゲームの世界に転生してた。
そこで、可愛くて美味しそうなDKたちに出会うんだけど、この乙ゲーって全対象年齢なのよね。
でも、誘惑に抗えるわけないでしょっ!
全員美味しくいただいちゃいまーす。
【R18】仲のいいバイト仲間だと思ってたら、いきなり襲われちゃいました!
奏音 美都
恋愛
ファミレスのバイト仲間の豪。
ノリがよくて、いい友達だと思ってたんだけど……いきなり、襲われちゃった。
ダメだって思うのに、なんで拒否れないのー!!
【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる
奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。
だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。
「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」
どう尋ねる兄の真意は……
お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!
奏音 美都
恋愛
まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。
「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」
国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?
国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。
「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」
え……私、貴方の妹になるんですけど?
どこから突っ込んでいいのか分かんない。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
【R18】愛され総受け女王は、20歳の誕生日に夫である美麗な年下国王に甘く淫らにお祝いされる
奏音 美都
恋愛
シャルール公国のプリンセス、アンジェリーナの公務の際に出会い、恋に落ちたソノワール公爵であったルノー。
両親を船の沈没事故で失い、突如女王として戴冠することになった間も、彼女を支え続けた。
それから幾つもの困難を乗り越え、ルノーはアンジェリーナと婚姻を結び、単なる女王の夫、王配ではなく、自らも執政に取り組む国王として戴冠した。
夫婦となって初めて迎えるアンジェリーナの誕生日。ルノーは彼女を喜ばせようと、画策する。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる