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第一章 ヒロイン視点 悪役令嬢の断罪

14.長い夜は終わらない

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と、言うわけで、わんこ君を瞬殺して帰宅しました。

レディー、ごっ、くらいでどすんと。秒で。


もう描写も省略されるくらいの負けっぷりに、わんこ君は肩を落として帰って行った。

ちょっと待てわんこ君この後剣術あるでしょ。
いいのか。まあいいか関係ないし。


いつも下ばかり見ている帰り道、きれいな花が気になった。
小川でちょっと立ち止まって景色を見た。
なんだかいろんなものがきれいに見える。

そのまま、川辺に座って少し休んで帰った。

黒いどろどろが喜んでいたからだ。
そうに違いない。あいつ性格悪いからな。


あ、出元は私なのかそうなのか。



帰宅して、いつも通り髪を洗い、乾かし、櫛で梳いてお水で濡らした布巾で体を拭く。髪はちゃんと結い直し、エプロンをきゅっと締める。

そうしていつもの習慣、身なりを整え、部屋からきれいな夕日を見た時。私の朝がやっとやってきた。

今日の夜は長かったな。


背筋がしゃんとする。今日はやけに気持ちがいい。何だって頑張れそう。



「お母さん、お手伝いは?」

階段を降りて開口一番、いつもの習慣。


大好きなお母さんは、そっと入り口を見やった。

私も視線を向けると、そこにはカラムと、ニムルスと……ロザリー、あと知らない煌びやかなおじさんが、奥の目立たない席に座っていた。


え、なんでいるの。

どろっとしたものがまた出てくる。
うちに入ってこないで欲しいんですけど。


煌びやかなおじさんは、立ち上がった。

「君が、リーナちゃんだね。私はロザリーの父代わりをしている、ロダンという。
今回は、娘があらぬ噂を立てていたようで、本当にすまなかった」


煌びやかなおじさんは、その銀髪をざっと翻して深々とお辞儀をした。
そう、おじさんはロン毛だ。肩までのストレート。どうでもいいけど。なんでロン毛。


淡い緑の目と、目が合った。おじさんは、ロザリーには似ていなかった。お母さん似なの?
でも、おじさんは関係ない。ロザリーに謝ってもらわなきゃ意味はないし、まず誤解を解かないと。


ロザリーを見る。その顔には表情がなかった。
どろっとしたものが、また復活する。
そう、何も解決していない。

「おじさんに謝られても……。とりあえず座ってください」

煌びやかなおじさん…ロダンは、背を丸めて腰掛けた。

私も席について、本当に聞きたかったことを聞く。
ここは私の家だ。何があっても大丈夫。

嫌だけど、怖いけど、聞かなきゃ。


少し下を向いて、目が合わないロザリーに、語りかける。


「ロザリーは、本当に私がそんな…その、あの、お客さんと、そんなことしてるって、思ってるの?」
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