最強パーティーのリーダーは一般人の僕

27話

｢僕をレベル7ダンジョンに連れて行きたい？｣

4人ともソロ攻略はしてたみたいだけど、パーティ攻略はまだだったらしい。

それもそれでおかしい話ではあると思うんだけど……。

ということで、本日はパーティ攻略する生配信をするようで、レオナから連絡があった。


｢僕を殺す気ですか？｣

｢違うわよ。攻略した後の話。配信終了後に迎えに行くわ｣

｢でも、ダンジョンには潜るなってみんな言ってたよね｣

｢ちょっと面白い場所を発見したのよ。安全を確認してから迎えに行くから用意しててね｣

｢えっ、ちょま……きれた｣


いつもこうだ。

レオナもユイもタケルもナツも、サプライズが好きなのか肝心な部分は伏せることが多い。


テレビ番組で、ドッキリを仕掛けられている人もきっとこんな感じなのかもしれない。

テレビ番組の方は予めテレビに映るかもしれないから、気を引き締めておくようにって指示があるけど、内容までは本人も知らないらしい（作者注:作者の想像であり、実際そうなのかは知りません）。


パーティ攻略は見ても良いってことだったから、今回は僕もミラー配信するようにしてる。


もうすぐみんなも配信を始めるみたいだし、僕が先に始めよう。


『【白夜】がレベル7ダンジョンをパーティ攻略するみたいです』


タイトルはこんな感じでいいかな。


よし、スタート！

『おっ、始まった』


『タイトルの他人事感ハンパねぇ』


『あなたもパーティの1人でしょうが！』


『というかリーダーだろお前！』


良いタイトルだと思ったんだけどなぁ。


『今日はミラー配信？』


｢そうですそうです！あと30分後くらいにパーティ攻略するみたいなので、僕も見てみようかなと｣


『というか、パーティ攻略してないことが驚きだわ』


『分かる。やってなかったんか』


｢皆さんの気持ち分かります。僕も言われた時は驚きました。えっ、やってなかったの？って聞き返しましたし｣


『てかシオンがパーティ攻略見るの初めてじゃね？』

｢はい。そうなんですよ。楽しみです｣

タケルとナツのソロ攻略配信は凄かった。

かっこよかった。

でも今回は4人の姿が見れる。


本当に楽しみだ。

『でもあと30分あるくね』


『ばっか、シオンが何の考えもなしに先に始める訳ないだろ』


｢ふっふっふ。もちろんです。なぜ30分前かと言いますと、僕と同じく【白夜】の配信を心待ちにしてる方が多いと思います。ですので景気づけ……と言ったらおこがましいかもしれませんけど、配信までの繋ぎ役ですね。もちろん、【白夜】の配信も一緒に見て楽しみましょう｣


『おまっ、良いリーダーだわ』


『優しいわな』


『安心しろ、俺は2画面で見るぞ』


『もちろん俺もだ』


『【白夜】:(●ω●)ﾐﾃﾙﾖ』


『ふぁっ！？』


『本物やんけ』


『なんでや、準備しろや』


『怖すぎるやろ』


｢コメントの流れが速いですね……なになに、【白夜】のみんなが見てる？いやいや、みんなも準備中ですし、流石にニセモ……本物やんけ！！！」

何してんの？？

今までコメントとかしてなかったよね！

なんなら、見てるとかも言ったことなかったよね！？

｢えっ、えっ……｣

『【白夜】ｽﾞｯﾄﾐﾃﾀﾖ(●ω●)』


｢なんでメンヘラの方（作者注:シオンの意見です。本当です）みたいな感じなんですかね？？？｣

『怖っ』


『【白夜】ってことは4人仲良く見てるってことだよな……』


『凄い事なんだけど文がなぁ』


と、とにかく演奏配信はやろう。


｢び、ビックな方が見てるみたいですけど、気にしないで演奏しましょう｣


『いや、お前のパーティだろ！！』


『お前のパーティだろ！』


『親友だろうが！』


『この前の配信は感動したのに！！』


『【白夜】ﾅﾝﾃﾞｿﾝﾅｺﾄｲｳﾉ?』


『表記が怖すぎる……』

とりあえず、演奏に入ろう。

｢じゃあ今回は今話題になってるあの曲を演奏しましょうか｣

最近放送されたアニメの主題歌が、国内、海外問わず人気になっているのを昨日知って、ちょっとだけ練習していたのを思い出したため、演奏を始める。


『おお！○イドル！！』


『Y○AS○BIの曲だ！』


『2期決定おめでとう(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o)))』


『ゲッ○ー！！！』


コメント欄も盛り上がってるみたいで、嬉しい。

その後も何曲かお気に入りのアニソンや、コメント欄のリクエストに応じて、あっという間に【白夜】の配信時間が近づいてきた。


｢っと、もうすぐ【白夜】の配信があるので、皆さんもそちらを見てみましょう！僕の方もミラー配信ということで、【白夜】の配信を皆さんと一緒に見ながら語っていきましょう！」

いそいそと楽器を片付ける。


｢こちら、コーラとポテトチップスです。やっぱり配信にはこれですよね！｣

『映画かよ』


『他人事すぎるwww』


『俺はポップコーン持ちました！』


『準備万端だぜ！』


『【白夜】ｿﾉﾎﾟﾃﾁ…ﾎﾞｸﾗﾆﾊﾅｲﾉ??』


｢か、帰ってきたらちゃんと渡すよ……っていうかタケルがほとんど食べたの忘れてない！？｣

配信前にちょろっと遊びに来ていたタケルが、作りかけのポテトチップスをつまみ食いしてたの僕は見てたからな。


『タケルしばかれてるwww』


『隠した罪だ！！とか言われてレオナちゃんキレてるwww』


｢はっ、内緒にするつもりだったんですけど、ついぼろっと｣


『【白夜】おまっ、ふざけんな！ヤバいって！レオナとナツをとめてくれ！！』


『ガチのヤツじゃん』


『優しくしてあげて……』


｢よ、よしじゃあ【白夜】の配信が始まったので皆さんも見ましょう！｣



タケルのコメントを僕はスルーした。