上 下
12 / 64

12話

しおりを挟む
起きたら登録者が30万人超えていた。


「意味が……分からない」


開口一番、どこかで聞いたような見たような漫画のセリフが出た。


最終的にライブの視聴者数は10万人になってることは分かったけど、視聴者全員が僕をチャンネル登録することなんて、ありえないことだ。


気分転換に、Twitterを開いてみると、原因が分かった。

【白夜】・リーダーシオン


僕関連のことがトレンドに乗っていた。


【白夜】の規模の大きさに、改めて驚かされた。

再生回数は見てないけど、これの影響で登録者数も増えたんだろう。

あとは、なんかインフルエンサーが拡散してるのも要因の一つみたいだ。

嬉しいけど、やっぱり【白夜】の影響力が強かったんだよなぁ。


試しに【白夜】のアカウントをタップすると、石抱きを受けているタケルの画像がでてきた。


『この度はタケルの失言により、リーダーの存在が明るみに出てしまい、シオンには本当に申し訳ないことをしてしまいました。これは、反省の意味を込めて、全世界にさらけ出してます』

とのツイート。


「えぇ……そこまでやらなくても良いんだけど……」


ボソッと呟く。


「まじすみませんでした」


「!!!!?????」


部屋の隅からタケルみたいな声が聞こえて、肩がビクッ!!!ってなった。


いるんだけど!!!???


「さっきから居ました。まじすんません」

「いや、怖すぎるんだけど」

「俺のせいで、シオンが迷惑をかけたから、せめて直接謝ろうと思って来たんだ」

「謝る気持ちは凄く良いと思うけど、流石に部屋にいるのは心臓に悪すぎるから、せめて一言連絡入れてから来てほしいな……幽霊かと思ったから」

「すまん。どうしても直接謝らないといけないと思って、レオナに頼んで転移したんだ。それに、ここはユイが結界を張ってるから、幽霊どころか、泥棒とかその辺の探索者でも来ることは出来ないぞ?」

「えっ?いまさらっと聞き捨てならないこと言わなかった?」

「レオナに頼んで転移したことか?」

「違うよ。その後だよ!」

「知らなかったのか?」

「初耳だよ…」

ユイは回復や浄化などの魔法が得意で、結界を張るのもお手の物らしい。

しかもけっこう強力みたいで、その辺の探索者ってタケルは言ってたけど、レベル5ダンジョンを潜るくらいの実力ある探索者でも、この結界を突破するのは難しいみたい。

なにやってんの?

「ちなみに3人は何してんの?」

「そこのリビングでくつろいでるぞ?」


部屋から出て、リビングに向かうと、タケルが言ってたように、3人がいた。


「おはようシオン。良く眠れたかい?」


「お邪魔してます」

「zzz」

レオナはソファで眠っていた。

自由だな。


「今日学校じゃなかったっけ?」

「寝ぼけてるねシオン。今日は祝日だよ」

あ、そうだった。


今日が休みだから、昨日配信したんだった。


朝からタケルの印象が大きすぎて、すっかり頭から抜けてた。


「起きたら登録者が30万人を超えてたんだ」

「それはおめでとう!でも、すまない。自分の力で登録者を増やすって言っていたのに…」

「良いんだ。配信でも言ったけど、これ以上先送りしていると、強い強いって言われてたシオンって存在が、更に変に脚色されることになりそうだったし。言えて良かったって思うよ」

「シオンさん…本当にありがとうございます」

「いいよ。それにタケルから聞いたけど、ここ凄い結界張ってるんだって?」

「え?大したことない結界ですけど…」

「レベル5の探索者でも突破出来ない結界は大したことじゃないと思うんだけど…でもありがとう。安心して配信も続けることができるよ」

「いえいえそんな…」

真っ赤にしてユイが答える。

「身バレの心配とかもないと思うし、これからものびのびと活動できるだろうし、本当に助かるよ」

感謝の言葉を伝える。

「ふわぁぁ。おぁょぅシオン…」

ようやくレオナが起きたみたいだ。
まだ完全には目覚めてないようで、ウトウトしてる。

こう見ると、普段のレオナと違うから、こういう姿を配信してはどうかとも思う。

赤くて長い髪が顔を隠してるのも見ていて面白い。

「おはようレオナ」

「やっと起きましたね。いつものことですが、もうちょっと早く起きれないものですか」

「うゆぅ…」

「あと少しで起きるだろうし、このまま様子見でいいね」


時間はまだ正午に近い午前中。

みんないるし、これから何しようかな。

そうだ。
もう【白夜】のリーダーとして配信してしまったし、この際だからみんなで雑談配信でもしようかな。

「午後から【白夜】のアカウントで雑談配信でもしない?」

「良いね!今日のやることが決まったね!」


僕が【白夜】の配信に出ることはないため、初めて配信に映ることになる。

「基本的に私たちはダンジョン探索の配信しかしないので、今日の配信はとても盛り上がると思いますよ!」

「そうなの?」

「そういえばシオンは僕らの配信を見ないように伝えていたもんね」

「この前切り抜きを見たのが初めてだよ。今後は僕も配信やつぶやきを見てもいいよね?」


「……」

「……」

ナツとユイが黙った。
というより、顔を赤らめている。


なんで?

「見てもいいけど、怒らない?」

「なんで怒らないといけないの?」

「じ、実は……その、」

「配信も呟きも、シオンのことを言ってることが多いんだ……シオンは凄いとか、料理は美味いとか。だから怒るかなって思って」


それは確かに恥ずか死ぬね!

「えっ、毎回言ってるの?」

コクコクと2人は頷く。

「コメント欄も色々聞いてくるから、つい話し込むんだ……だからシオンに見られると僕らも恥ずかしいなって」


僕も顔を真っ赤になるのが分かる。


「……」

「……」

「……」


「今後はもうちょっと控えてもらえると助かる…かな」

顔を赤らめながら3人で頷く。


ちなみにレオナは再び寝てるし、タケルは僕の寝室で石抱きを継続していた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)

SHO
ファンタジー
15歳になり、女神からの神託の儀で魔法使い(ウィザード)のジョブを授かった少年ショーンは、幼馴染で剣闘士(ソードファイター)のジョブを授かったデライラと共に、冒険者になるべく街に出た。 しかし、着々と実績を上げていくデライラとは正反対に、ショーンはまともに魔法を発動する事すら出来ない。 相棒のデライラからは愛想を尽かされ、他の冒険者たちからも孤立していくショーンのたった一つの心の拠り所は、森で助けた黒ウサギのノワールだった。 そんなある日、ショーンに悲劇が襲い掛かる。しかしその悲劇が、彼の人生を一変させた。 無双あり、ザマァあり、復讐あり、もふもふありの大冒険、いざ開幕!

悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~

こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。 それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。 かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。 果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!? ※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。

退屈な人生を歩んでいたおっさんが異世界に飛ばされるも無自覚チートで無双しながらネットショッピングしたり奴隷を買ったりする話

菊池 快晴
ファンタジー
無難に生きて、真面目に勉強して、最悪なブラック企業に就職した男、君内志賀(45歳)。 そんな人生を歩んできたおっさんだったが、異世界に転生してチートを授かる。 超成熟、四大魔法、召喚術、剣術、魔力、どれをとっても異世界最高峰。 極めつけは異世界にいながら元の世界の『ネットショッピング』まで。 生真面目で不器用、そんなおっさんが、奴隷幼女を即購入!? これは、無自覚チートで無双する真面目なおっさんが、元の世界のネットショッピングを楽しみつつ、奴隷少女と異世界をマイペースに旅するほんわか物語です。

物理系魔法少女は今日も魔物をステッキでぶん殴る〜会社をクビになった俺、初配信をうっかりライブにしてしまい、有名になったんだが?〜

ネリムZ
ファンタジー
 この世界にはいくつものダンジョンが存在する。それは国ごとの資源物資でもあり、災害を引き起こすモノでもあった。  魔物が外に出ないように倒し、素材を持ち帰る職業を探索者と呼ぶ。  探索者にはありきたりなスキル、レベルと言った概念が存在する。  神宮寺星夜は月月火水木金金の勤務をしていた。  働けているなら問題ない、そんな思考になっていたのだが、突然のクビを受けてしまう。  貯金はあるがいずれ尽きる、生きる気力も失われていた星夜は探索者で稼ぐ事に決めた。  受付で名前を登録する時、なぜか自分で入力するはずの名前の欄に既に名前が入力されていた?!  実はその受付穣が⋯⋯。  不思議で懐かしな縁に気づかない星夜はダンジョンへと入り、すぐに異変に気づいた。  声が女の子のようになっていて、手足が細く綺麗であった。  ステータスカードを見て、スキルを確認するとなんと──  魔法少女となれる星夜は配信を初め、慣れない手つきで録画を開始した。  魔物を倒す姿が滑稽で、視聴者にウケて初配信なのにバズってしまう!  だが、本人は録画だと思っているため、それに気づくのは少し先の話である。  これは魔法少女の力を中途半端に手に入れたおっさんがゆったりと殴り、恋したり、嘆いたり、やっぱりゆぅたりする話だ。

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

処理中です...