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第五章
旦那様と念願の……
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「脱げ」
クラリスは耳を疑った。
別れる前に一発やっておきたくなったのだろうか?
(いいえ、待つのよ、期待して裏切られるのは嫌だわ)
そう、ただこのドレスが惜しくなったのかもしれない。これを着て出ていかれたら困るのだ、きっと。
「もっと古いドレスに着替えましょうか?」
恐る恐る言うクラリス。カイトは見当違いなことを言っている相手に苛々した。
「バカがっ! いいから黙って脱げ!」
クラリスはもはや涙目で、背中のホックを外そうとしている。
「すいません、片手じゃできません」
パニックになりながらカイトに助けを求める。
「俺も片手だバカヤロー!」
さっきからバカバカ言われてる気がする。
さすがに頭にきて、きっ、とカイトを睨んだ。
「いったいなんなんですか!?」
もう限界だった。カイトはクラリスに近づくと、襟首に手を置き、一気に引き裂いた。
肩がグインと引っ張られ、再び痛みが走る。
(どうして男の方は、布が簡単に破けると思うのかしら)
カイトも気づいたようで、あ、ごめん、と言ってから、今度は歯を使ってグイグイ脱がせようとする。
(そんなに急いで脱がせなくても)
やがて上半身を剥き出しにされてしまう。
クラリスは慌てて、露になった下着に包まれた胸を隠す。
「隠すなっ!」
「は、はいぃぃ」
クラリスは上官に怒られた二等兵みたいにしゃんとなる。
カイトは片手を伸ばすと、そっと控えめな胸の谷間をなぞりだした。
そして着替えたばかりのコルセットの紐を解きだす。
クラリスは泣きそうな声で訴えた。
「あの、それカップつきのボディスで……寄せて押し上げてあるので、それ取ったら完全に谷間は無くなります」
「少しは黙れよ」
カイトは顔をあげてクラリスの唇を吸った。
(ああっ、カイト様と接吻……まさか)
夢では無いのか? それとも食べかすがついていたとか……。
今までが今までだったので、期待するのが怖くなっていた。
夫の舌がクラリスの小さな唇の上をなぞる。
「開けて」
言われて、クラリスはガパッと口を開いた。
「……開けすぎ。歯の治療するわけじゃないぜ」
しまった、下手だと思われる。クラリスは身を放した。
「すみませんっ、よもや、ここ、こ、こんな展開になるとは!」
あたふたしながら叫ぶクラリス。カイトの目つきが尖る。
「嫌なのかよ?」
「とんでもないっ!」
嫌なわけないではないか。彼を初めて見たときから、密かに妄想していたことなのだ。
あんなことやこんなこと。
淑女にあるまじき行為の数々を。ただ――。
「物知りの友達のラファエラからも、こういうことは教わってません! 今から使用人に――そうですね、手頃なイケメンの従僕にでも教わりに行きますので。練習してきますので――」
「アホか!」
カイトはぷっくり腫れたクラリスの両頬を優しく掴む。
「おまえが処女なのは知ってるよ。俺が放置してたんだから。練習って――おまえなぁ、本命前にした初体験の男じゃあるまいし、そんなこと絶対許さないぞ」
カイトはもう一度口づけする。
「俺以外の男は知らなくていい」
クラリスの瞼がトロンと落ちる。
わあ、その言葉いい。
カイトの舌が口腔に入ってくる。柔らかさと気持ちよさで、息をするのも忘れた。
「俺が全部おしえてやる」
背骨がぐにゃぐにゃになったみたいだ。力が抜ける。
倒れそうになるのをカイトが支えてくれた。上気した頬に、恍惚とした表情。
「キスだけでそんな顔になるの?」
夫の笑いを含んだ声に、クラリスは真っ赤になる。
この人は慣れてるから、ウブな女はつまらないと思われる。
えーと、何と言ったかしら。
「わ、私にやらせてください!」
クラリスは跳ね起きた。
「イルカでは無いところをお見せします!」
「マグロね」
カイトは、ついに爆笑を堪えられなくなった。
「ほんっと、調子狂う。じゃーやってみなよ。教えるから」
カイトは思った。調教も面白そうだ。
(そういえば、何も知らない処女に手を出すのは初めてだな)
クラリスは、カイトがニヤニヤしているのが気になった。
なんだろう、いわゆるSってやつなのかしら?
カチャカチャと音がする。
目線を下げると、夫が前を寛げて制服のズボンを少し下ろすところだった。
クラリスは露になったモノに釘付けになった。
まともに殿方のソレを見たのは初めてだ。
「どーよ?」
反応を楽しむように聞かれた。
「……え……っと」
おかしい。童顔に似合わない。もっと可愛い感じかと思っていた。
「意外とグロテス――」
「ほっとけ!」
カイトは忌々しげに舌打ちした。
そして王様のように上半身を枕に持たせかけて横たわると、わざと横柄に命じてみる。
「俺の玉を咥えな」
クラリスはうろたえる。
「玉ですね」
「そうそう」
「金玉のことですわね?」
「だからそうだよ! 下品だな。それを一つずつ丁寧に口の中で転がして、それから裏筋――いってぇええええ」
噛まれた。
「下手か!?」
「ご、ごめんなさい、噛んだら気持ちいいのかと思って」
「なんで!?」
「あら、この亀さんの頭みたいなところ、キノコみたいで美味しそう」
「やめろ! それ以上噛むな!」
カイトは股間を守ると、ついに調教を諦めた。
面白いからからかってやったが、こちらの身が持たない。
パイズリさせるには胸が無いことだし。すこし思案した。
クラリスは叱られた犬のようにしょげ、上目遣いでこちらを見ている。
(かわいいな)
カイトは細い腰に手を回して、クラリスを引き寄せた。
ひっかかっていたドレスをもどかしげにはぎとる。
片手だったので面倒だ。肩を労りながら破いたが、このドレスはもう駄目だろう。
クラリスのウエストは、コルセットで締め上げる必要がないくらい細かった。
全体的に細身なのだ。
少女のような初々しい身体を、舐め回すように見つめる。
「そんなに見ないでください」
恥辱に震え、胸を隠しそうになるのを堪えている。
顔は真っ赤で、伏目がちなのがことさら可愛かった。
「裸でくっつきたい。俺の脱がすの手伝ってくれる?」
「はい」
大人しく返事をすると、シャツのボタンを外してやった。
何をやっても怒られそうだから、とりあえず、任せるしかない。
すべらかな胸筋が露になる。
あのダグレス・ネイロンといい……艦長クラスの軍人も、いざという時のために常に鍛えているのだろうか。
(ああ、この人もとても綺麗だわ)
クラリスはそっと彼の乳首に触れてみた。ピクッと身じろぎするカイト。
「お返し」
「あっ」
クラリスの身体が震える。カイトの唇が、まるで啄むようにクラリスの乳首を吸った。
初めての感覚に戸惑う。甘く痺れるような、不思議な感覚。
優しく歯をたてられた。
「んっくっ」
腰がむずむずする。
「噛む時は甘噛みするんだよ」
クラリスの恍惚とした表情を楽しむ。
細い首にも手を廻して、鎖骨や首筋を舐め上げる。そして耳たぶをねぶると、耳元で囁いた。
「あと、どこ噛んでほしい?」
クラリスは聞いていなかった。どこもかしこもくすぐったいような、気持ちいいような、夢のような感覚が広がる。
ただの首や耳のはずなのに、何で腰が――正確には股間の奥が――むずむずしてくるのだろう。あと、なにかせつない。
「ふ、不思議です。どうしてこんな――ああぁあああ」
乳首を指で転がされながら、強く首筋を吸われた。絶対に痕がつく、そう理性的な頭のはしで思ったが、ほとんどは真っ白で何も考えられない。
しかしカイトがスカートまでも脱がせたので、いっきに冷静になった。先ほどまでの下着は変態眼鏡にポイされたので、臍パンだ。
勝負下着にすればよかった……。そもそも勝負下着などあまり持っていないことはこのさい置いておいて、もう少しマシなやつを履いていれば……。
「こ、これはその、一番履き心地のいいもので……」
「かわいい下着じゃん。真っ白」
普段、娼婦のどぎつい黒や赤の総レース――しかも秘密の小窓つき――に慣れているせいか、カイトにとってはそれが新鮮だった。
素人女は面倒くさいから、ほとんど相手にしていないのだ。
片手を中に滑り込ませると、クラリスがその手を押さえた。
「お? そういうことするの?」
クラリスは慌てて彼の手を放した。
カイトはもどかしかった。
乳房への愛撫も続けたかったが、この腕ではさすがに無理だ。クラリスは目を閉じて、次にどんな愛撫が来るのかドキドキして待っている。
カイトはにやりと笑った。やや幼さを感じさせる白のフリフリの下着の中は、ぐちょぐちょだ。
「クラリス、お漏らししたのか?」
分かっているのかと思って聞いたのだが、クラリスはえっ!? と目を開ける。指先についた液を見せられてぎょっとなった。
「わたし、その、あれ? いつ漏らしたのかしら」
みるみる真っ青になっていく。カイトはちょっといじめすぎたか、と反省した。
「愛液だよ、愛液」
教えてもいまいちピンと来ないらしい。カイトは身体に教えてやることにした。
クラリスを倒すと、両足を大きく広げる。下着をずらして、優しく可愛らしい肉の花びらをめくった。
クプッと湿ったそこに指を埋め込む。
「ひっ」
クラリスは唖然とする。
カイトは指を出し入れして、さらに相手の表情を見守った。クラリスは片手で口を押え、顔を真っ赤にしてもじもじしている。カイトの手を挟むように、太ももをすり合わせ、腰をひねる。
処女にしては感度がいい。
透明な液体がどんどん溢れてくる。カイトは指を抜き、再び腿をカパッとこじ開け、顔を近づけた。
「あっきゃぁあ」
カイトの舌が、クラリスの花びらを舐め上げ、蜜のたっぷり出てくる穴に差し込まれた。
「汚いです、カイトさま! あ、カイト様の涎が汚いのではなくてですね、わたしのアソコが――はうっ」
さらに奥を舌でかき回された。
「ひぁああん」
クラリスは耐え切れなくなり喘いでいた。そして自分でびっくりする。今の声……何? あんなはしたない声をあげるなんて、カイト様に嫌われてしまう。
「カイト様、あの、なにかおかしくなりそうです」
「おかしくなってほしいんだよ」
カイトは笑いながらそう言った。
口の周りにクラリスの汁がくっついている。クラリスは気絶しそうになった。
「ごめんなさい、お顔に私の……その……粗相が」
ペロリと舐めるカイト。
「ごめんね、犬みたいに君の愛液舐めちゃって」
わざと相手が恥ずかしがることを口にする。が、彼自身、余裕などなくなってきていた。
この折れそうな身体を自分のものにしたい。
細く長い指が、びちゃびちゃに濡れた太ももを這う。
「力を抜いて」
カイトの指が突起を探し当ててキュッとつまむ。クラリスの腰が跳ね上がる。
「なな、何を?」
「ん? なにかな、赤く充血して尖りきったものがあるからさ」
突起を指先でゆらしたりやさしく叩いたり。とにかくいじくりまわしてやった。
「いやっああっふわぁあ」
あえぎ声がどんどん大きくなる。
「な、何とかしてくださいっ! カイト様っ」
吹き出した汗がクラリスの額に浮かんでいる。栗色の髪の毛が頬に貼り付き、なかなかの色気だった。
「なんとかしてほしい?」
カイトはじらすように聞いた。
「だからそう言っているでしょ!」
クラリスは怒ったように叫んだ。
「だって、最初は痛いよ?」
呑気にもう一度尋ねてみる。クラリスはカイトの髪の毛を掴んで引き寄せた。
「いいからどうにかしてって言ってるのよ、このボンクラッ!」
とにかくこのむずむずした股間に、指よりもっと違う何かを入れなければ、気が狂ってしまう気がした。
ボンクラと言われたことは忘れることにして、小さく笑いながらクラリスを抱き寄せると、びしゃびしゃの下着を引き下げた。
白い太ももを持ち上げて、限界まで膨れ上がった自分の分身をそえると、ゆっくりと亀頭を埋め込む。クラリスの身体が強張る。
あ、さっきのあの眼鏡、これをやろうとしていたのか。……ぜんぜん嫌じゃない。だが、すごい圧迫感だ。
「痛いか?」
少し心配そうにカイトが聞いた。そして自分で驚いている。
女を抱くときに、相手のことなんて考えたことが無かった。自分が気持ちよければそれで良かったのに。
今はクラリスが初めてをどう乗り越えるかが心配だった。
今度は苦痛の汗だろうか、クラリスの額に浮かぶそれを見て、可哀相になった。
「やめるか?」
「やめないで!」
クラリスは叫んだ。密着部分がなくなるのが嫌だった。ずっとくっついていたい。
「大丈夫、続けてくださいカイトさま」
カイトも中に入りたくて仕方なかった。
一気にいった方が痛くない、と聞いたことがある。
ガセかもしれないが。
カイトは息を吸った。
クラリスに痛みを味わってほしくない。しかし、やるしかない。自分の気が狂わないためにも。
カイトは覚悟を決めて、勢いよく小さな口を貫いていた。ぐぐっと自身が入り込む。
「っ……せまーー」
「きゃあああ!」
クラリスは悲鳴をあげた。痛い。あれ、本当にものすごく痛い。
「暴れないで」
カイトはクラリスを押さえ込むと、しばらくじっとしていた。
まるで痛みを分かち合うかのような抱擁。
クラリスは痛みのあまり嗚咽している。
「ごめん、ごめんな」
温かい、心地いい。なのに相手はこんなに辛そうだ。
しかし、じょじょに力が抜けて行くのが分かった。
痛みが和らいできたらしい。カイトはほっとした。相手は壊れそうなくらい細いのだ。
「ゆっくり動かすよ」
「まって、まだ――」
涙を浮かべながら懇願するクラリスに、カイトは安心させるようにほほ笑んでみせる。
「絶対痛くしない」
クラリスはそれを信じることにした。ぎゅっと目をつぶり、内側から引き裂かれる痛みに備えた。
「力を抜いて」
そっと、そっと動く。
クラリスは涙でいっぱいの瞳を見開いた。
(あ……ら?)
先ほどとくらべると、驚くほど痛くない。
それどころか――。クチュックチュッと音がするたび、もっとやってほしくなる。
再び、ふわふわ身体が浮いてくるような感覚につつまれた。
苦鳴は、やわらかなあえぎに変わっていた。
「くそっ」
「カイトさま?」
「ずっとこうしたかったんだ。すぐにイってたまるかよ」
クラリスは嬉しくなって、ぎゅっとカイトの首筋にしがみついた。
私もです、カイト様。そう言おうとしたのに、口から出たのはねばついた媚びを含んだ喘ぎ。
「あんっあっあんっ、お願いもっと――」
もう少しで何かがつかめそうなのだ。足をカイトの体に絡め、必死でその何かをつかもうとする。
(カイトさまっカイトさまカイトさま)
痛くないどころか、物足りない。トンットンッと奥を突かれるたびに、どこかに近づいてる気がした。だけど届かない。
「あっあっあっ、もっと、お願い、ちょうだい」
おねだりは、淑女としては恥ずかしいのだろうか。でも……。
カイトの動きが速くなる。さらに欲しくなった。もっと突かれたい。奥を……もっと。
「乱暴にして、壊れるくらい」
本能が、そうすれば気持ちいいのだと分かった。
「欲しいの、奥まで、もっと」
きゅっとカイトのシャツを握りしめ、引き寄せた。潤んだ目がカイトの視線を絡めとる。
カイトは額に汗をびっしり浮かべながらも、なんとか余裕ぶって言った。
「欲しかったら、ワンって鳴いて。俺だけの室内犬になってよ」
クラリスは口を開け、カイトの顎をしゃぶった。ずっとハムハムしたかったのだ。
「おれがい、ひょーだい」
「くっ……」
カイトはレロレロしてくる可愛らしい舌に食らいついていた。ぴちゃぴちゃ音をたてながら、お互いをむさぼる。どちらも犬と言うより、オオカミだった。
二人は口づけをやめ、じっと見つめ合った。
「カ、カイト様、わたし、妻でいていいの?」
素直になれないカイトだが、この時ばかりは頭が爆発しそうだった。
(あたりめーだろ、バッキャロウロウ!)
恐ろしい速さでカイトが腰を動かし始めた。
今までの穏やかさが嘘のように、荒々しく楔を打ち込む。
「あっ、あっ、ひゃぁあんはうん」
「くっ……これ……が……答えだ」
クラリスは彼以外の全てのことを、何もかも忘れた。
ひとつになっている。
ああ、この人と今、一つに溶け合っているんだわ。
何もかもがしっくりいっていて――そもそも、もともと一つだったのではないか。
そう思えるほど、心地よい瞬間だった。脳髄がとろけ、何かに到達した。カイトが叫ぶ。
「だめだっ!!」
「カイトさまぁああああ!!」
二人の絶叫が絡み合い、痙攣するように身体がひきつった。
(天国にいったんだわ)
クラリスは自分が生きているとは思わなかった。だが、身体が重い。天国にいって、また戻ってきたのだろうか。
「昇天したね」
カイトは息をきらせながら、クラリスを抱きしめた。顔中に口づけされる。
「俺としたことが、早かったな。悪かった」
クラリスには早いとか遅いとかよく分からない。だけど、あの気持ちいい時間はきっと遅く、長く過ぎる方がいいに決まっている。
「次は、もっと長くお願いします、旦那さま」
クラリスはにっこり笑って、カイトの首筋に鼻をこすりつけた。
(ふふ、カイト様は私だけのものだわ。妻って最高)
カイトはガッとその頭部を掴んで引き離した。
「あ、あれ、カイトさま、あれ?」
その小さな鼻先を齧ると、カイトはにんまり笑う。
「がんばるよ、俺のメス犬ちゃん」
クラリスは耳を疑った。
別れる前に一発やっておきたくなったのだろうか?
(いいえ、待つのよ、期待して裏切られるのは嫌だわ)
そう、ただこのドレスが惜しくなったのかもしれない。これを着て出ていかれたら困るのだ、きっと。
「もっと古いドレスに着替えましょうか?」
恐る恐る言うクラリス。カイトは見当違いなことを言っている相手に苛々した。
「バカがっ! いいから黙って脱げ!」
クラリスはもはや涙目で、背中のホックを外そうとしている。
「すいません、片手じゃできません」
パニックになりながらカイトに助けを求める。
「俺も片手だバカヤロー!」
さっきからバカバカ言われてる気がする。
さすがに頭にきて、きっ、とカイトを睨んだ。
「いったいなんなんですか!?」
もう限界だった。カイトはクラリスに近づくと、襟首に手を置き、一気に引き裂いた。
肩がグインと引っ張られ、再び痛みが走る。
(どうして男の方は、布が簡単に破けると思うのかしら)
カイトも気づいたようで、あ、ごめん、と言ってから、今度は歯を使ってグイグイ脱がせようとする。
(そんなに急いで脱がせなくても)
やがて上半身を剥き出しにされてしまう。
クラリスは慌てて、露になった下着に包まれた胸を隠す。
「隠すなっ!」
「は、はいぃぃ」
クラリスは上官に怒られた二等兵みたいにしゃんとなる。
カイトは片手を伸ばすと、そっと控えめな胸の谷間をなぞりだした。
そして着替えたばかりのコルセットの紐を解きだす。
クラリスは泣きそうな声で訴えた。
「あの、それカップつきのボディスで……寄せて押し上げてあるので、それ取ったら完全に谷間は無くなります」
「少しは黙れよ」
カイトは顔をあげてクラリスの唇を吸った。
(ああっ、カイト様と接吻……まさか)
夢では無いのか? それとも食べかすがついていたとか……。
今までが今までだったので、期待するのが怖くなっていた。
夫の舌がクラリスの小さな唇の上をなぞる。
「開けて」
言われて、クラリスはガパッと口を開いた。
「……開けすぎ。歯の治療するわけじゃないぜ」
しまった、下手だと思われる。クラリスは身を放した。
「すみませんっ、よもや、ここ、こ、こんな展開になるとは!」
あたふたしながら叫ぶクラリス。カイトの目つきが尖る。
「嫌なのかよ?」
「とんでもないっ!」
嫌なわけないではないか。彼を初めて見たときから、密かに妄想していたことなのだ。
あんなことやこんなこと。
淑女にあるまじき行為の数々を。ただ――。
「物知りの友達のラファエラからも、こういうことは教わってません! 今から使用人に――そうですね、手頃なイケメンの従僕にでも教わりに行きますので。練習してきますので――」
「アホか!」
カイトはぷっくり腫れたクラリスの両頬を優しく掴む。
「おまえが処女なのは知ってるよ。俺が放置してたんだから。練習って――おまえなぁ、本命前にした初体験の男じゃあるまいし、そんなこと絶対許さないぞ」
カイトはもう一度口づけする。
「俺以外の男は知らなくていい」
クラリスの瞼がトロンと落ちる。
わあ、その言葉いい。
カイトの舌が口腔に入ってくる。柔らかさと気持ちよさで、息をするのも忘れた。
「俺が全部おしえてやる」
背骨がぐにゃぐにゃになったみたいだ。力が抜ける。
倒れそうになるのをカイトが支えてくれた。上気した頬に、恍惚とした表情。
「キスだけでそんな顔になるの?」
夫の笑いを含んだ声に、クラリスは真っ赤になる。
この人は慣れてるから、ウブな女はつまらないと思われる。
えーと、何と言ったかしら。
「わ、私にやらせてください!」
クラリスは跳ね起きた。
「イルカでは無いところをお見せします!」
「マグロね」
カイトは、ついに爆笑を堪えられなくなった。
「ほんっと、調子狂う。じゃーやってみなよ。教えるから」
カイトは思った。調教も面白そうだ。
(そういえば、何も知らない処女に手を出すのは初めてだな)
クラリスは、カイトがニヤニヤしているのが気になった。
なんだろう、いわゆるSってやつなのかしら?
カチャカチャと音がする。
目線を下げると、夫が前を寛げて制服のズボンを少し下ろすところだった。
クラリスは露になったモノに釘付けになった。
まともに殿方のソレを見たのは初めてだ。
「どーよ?」
反応を楽しむように聞かれた。
「……え……っと」
おかしい。童顔に似合わない。もっと可愛い感じかと思っていた。
「意外とグロテス――」
「ほっとけ!」
カイトは忌々しげに舌打ちした。
そして王様のように上半身を枕に持たせかけて横たわると、わざと横柄に命じてみる。
「俺の玉を咥えな」
クラリスはうろたえる。
「玉ですね」
「そうそう」
「金玉のことですわね?」
「だからそうだよ! 下品だな。それを一つずつ丁寧に口の中で転がして、それから裏筋――いってぇええええ」
噛まれた。
「下手か!?」
「ご、ごめんなさい、噛んだら気持ちいいのかと思って」
「なんで!?」
「あら、この亀さんの頭みたいなところ、キノコみたいで美味しそう」
「やめろ! それ以上噛むな!」
カイトは股間を守ると、ついに調教を諦めた。
面白いからからかってやったが、こちらの身が持たない。
パイズリさせるには胸が無いことだし。すこし思案した。
クラリスは叱られた犬のようにしょげ、上目遣いでこちらを見ている。
(かわいいな)
カイトは細い腰に手を回して、クラリスを引き寄せた。
ひっかかっていたドレスをもどかしげにはぎとる。
片手だったので面倒だ。肩を労りながら破いたが、このドレスはもう駄目だろう。
クラリスのウエストは、コルセットで締め上げる必要がないくらい細かった。
全体的に細身なのだ。
少女のような初々しい身体を、舐め回すように見つめる。
「そんなに見ないでください」
恥辱に震え、胸を隠しそうになるのを堪えている。
顔は真っ赤で、伏目がちなのがことさら可愛かった。
「裸でくっつきたい。俺の脱がすの手伝ってくれる?」
「はい」
大人しく返事をすると、シャツのボタンを外してやった。
何をやっても怒られそうだから、とりあえず、任せるしかない。
すべらかな胸筋が露になる。
あのダグレス・ネイロンといい……艦長クラスの軍人も、いざという時のために常に鍛えているのだろうか。
(ああ、この人もとても綺麗だわ)
クラリスはそっと彼の乳首に触れてみた。ピクッと身じろぎするカイト。
「お返し」
「あっ」
クラリスの身体が震える。カイトの唇が、まるで啄むようにクラリスの乳首を吸った。
初めての感覚に戸惑う。甘く痺れるような、不思議な感覚。
優しく歯をたてられた。
「んっくっ」
腰がむずむずする。
「噛む時は甘噛みするんだよ」
クラリスの恍惚とした表情を楽しむ。
細い首にも手を廻して、鎖骨や首筋を舐め上げる。そして耳たぶをねぶると、耳元で囁いた。
「あと、どこ噛んでほしい?」
クラリスは聞いていなかった。どこもかしこもくすぐったいような、気持ちいいような、夢のような感覚が広がる。
ただの首や耳のはずなのに、何で腰が――正確には股間の奥が――むずむずしてくるのだろう。あと、なにかせつない。
「ふ、不思議です。どうしてこんな――ああぁあああ」
乳首を指で転がされながら、強く首筋を吸われた。絶対に痕がつく、そう理性的な頭のはしで思ったが、ほとんどは真っ白で何も考えられない。
しかしカイトがスカートまでも脱がせたので、いっきに冷静になった。先ほどまでの下着は変態眼鏡にポイされたので、臍パンだ。
勝負下着にすればよかった……。そもそも勝負下着などあまり持っていないことはこのさい置いておいて、もう少しマシなやつを履いていれば……。
「こ、これはその、一番履き心地のいいもので……」
「かわいい下着じゃん。真っ白」
普段、娼婦のどぎつい黒や赤の総レース――しかも秘密の小窓つき――に慣れているせいか、カイトにとってはそれが新鮮だった。
素人女は面倒くさいから、ほとんど相手にしていないのだ。
片手を中に滑り込ませると、クラリスがその手を押さえた。
「お? そういうことするの?」
クラリスは慌てて彼の手を放した。
カイトはもどかしかった。
乳房への愛撫も続けたかったが、この腕ではさすがに無理だ。クラリスは目を閉じて、次にどんな愛撫が来るのかドキドキして待っている。
カイトはにやりと笑った。やや幼さを感じさせる白のフリフリの下着の中は、ぐちょぐちょだ。
「クラリス、お漏らししたのか?」
分かっているのかと思って聞いたのだが、クラリスはえっ!? と目を開ける。指先についた液を見せられてぎょっとなった。
「わたし、その、あれ? いつ漏らしたのかしら」
みるみる真っ青になっていく。カイトはちょっといじめすぎたか、と反省した。
「愛液だよ、愛液」
教えてもいまいちピンと来ないらしい。カイトは身体に教えてやることにした。
クラリスを倒すと、両足を大きく広げる。下着をずらして、優しく可愛らしい肉の花びらをめくった。
クプッと湿ったそこに指を埋め込む。
「ひっ」
クラリスは唖然とする。
カイトは指を出し入れして、さらに相手の表情を見守った。クラリスは片手で口を押え、顔を真っ赤にしてもじもじしている。カイトの手を挟むように、太ももをすり合わせ、腰をひねる。
処女にしては感度がいい。
透明な液体がどんどん溢れてくる。カイトは指を抜き、再び腿をカパッとこじ開け、顔を近づけた。
「あっきゃぁあ」
カイトの舌が、クラリスの花びらを舐め上げ、蜜のたっぷり出てくる穴に差し込まれた。
「汚いです、カイトさま! あ、カイト様の涎が汚いのではなくてですね、わたしのアソコが――はうっ」
さらに奥を舌でかき回された。
「ひぁああん」
クラリスは耐え切れなくなり喘いでいた。そして自分でびっくりする。今の声……何? あんなはしたない声をあげるなんて、カイト様に嫌われてしまう。
「カイト様、あの、なにかおかしくなりそうです」
「おかしくなってほしいんだよ」
カイトは笑いながらそう言った。
口の周りにクラリスの汁がくっついている。クラリスは気絶しそうになった。
「ごめんなさい、お顔に私の……その……粗相が」
ペロリと舐めるカイト。
「ごめんね、犬みたいに君の愛液舐めちゃって」
わざと相手が恥ずかしがることを口にする。が、彼自身、余裕などなくなってきていた。
この折れそうな身体を自分のものにしたい。
細く長い指が、びちゃびちゃに濡れた太ももを這う。
「力を抜いて」
カイトの指が突起を探し当ててキュッとつまむ。クラリスの腰が跳ね上がる。
「なな、何を?」
「ん? なにかな、赤く充血して尖りきったものがあるからさ」
突起を指先でゆらしたりやさしく叩いたり。とにかくいじくりまわしてやった。
「いやっああっふわぁあ」
あえぎ声がどんどん大きくなる。
「な、何とかしてくださいっ! カイト様っ」
吹き出した汗がクラリスの額に浮かんでいる。栗色の髪の毛が頬に貼り付き、なかなかの色気だった。
「なんとかしてほしい?」
カイトはじらすように聞いた。
「だからそう言っているでしょ!」
クラリスは怒ったように叫んだ。
「だって、最初は痛いよ?」
呑気にもう一度尋ねてみる。クラリスはカイトの髪の毛を掴んで引き寄せた。
「いいからどうにかしてって言ってるのよ、このボンクラッ!」
とにかくこのむずむずした股間に、指よりもっと違う何かを入れなければ、気が狂ってしまう気がした。
ボンクラと言われたことは忘れることにして、小さく笑いながらクラリスを抱き寄せると、びしゃびしゃの下着を引き下げた。
白い太ももを持ち上げて、限界まで膨れ上がった自分の分身をそえると、ゆっくりと亀頭を埋め込む。クラリスの身体が強張る。
あ、さっきのあの眼鏡、これをやろうとしていたのか。……ぜんぜん嫌じゃない。だが、すごい圧迫感だ。
「痛いか?」
少し心配そうにカイトが聞いた。そして自分で驚いている。
女を抱くときに、相手のことなんて考えたことが無かった。自分が気持ちよければそれで良かったのに。
今はクラリスが初めてをどう乗り越えるかが心配だった。
今度は苦痛の汗だろうか、クラリスの額に浮かぶそれを見て、可哀相になった。
「やめるか?」
「やめないで!」
クラリスは叫んだ。密着部分がなくなるのが嫌だった。ずっとくっついていたい。
「大丈夫、続けてくださいカイトさま」
カイトも中に入りたくて仕方なかった。
一気にいった方が痛くない、と聞いたことがある。
ガセかもしれないが。
カイトは息を吸った。
クラリスに痛みを味わってほしくない。しかし、やるしかない。自分の気が狂わないためにも。
カイトは覚悟を決めて、勢いよく小さな口を貫いていた。ぐぐっと自身が入り込む。
「っ……せまーー」
「きゃあああ!」
クラリスは悲鳴をあげた。痛い。あれ、本当にものすごく痛い。
「暴れないで」
カイトはクラリスを押さえ込むと、しばらくじっとしていた。
まるで痛みを分かち合うかのような抱擁。
クラリスは痛みのあまり嗚咽している。
「ごめん、ごめんな」
温かい、心地いい。なのに相手はこんなに辛そうだ。
しかし、じょじょに力が抜けて行くのが分かった。
痛みが和らいできたらしい。カイトはほっとした。相手は壊れそうなくらい細いのだ。
「ゆっくり動かすよ」
「まって、まだ――」
涙を浮かべながら懇願するクラリスに、カイトは安心させるようにほほ笑んでみせる。
「絶対痛くしない」
クラリスはそれを信じることにした。ぎゅっと目をつぶり、内側から引き裂かれる痛みに備えた。
「力を抜いて」
そっと、そっと動く。
クラリスは涙でいっぱいの瞳を見開いた。
(あ……ら?)
先ほどとくらべると、驚くほど痛くない。
それどころか――。クチュックチュッと音がするたび、もっとやってほしくなる。
再び、ふわふわ身体が浮いてくるような感覚につつまれた。
苦鳴は、やわらかなあえぎに変わっていた。
「くそっ」
「カイトさま?」
「ずっとこうしたかったんだ。すぐにイってたまるかよ」
クラリスは嬉しくなって、ぎゅっとカイトの首筋にしがみついた。
私もです、カイト様。そう言おうとしたのに、口から出たのはねばついた媚びを含んだ喘ぎ。
「あんっあっあんっ、お願いもっと――」
もう少しで何かがつかめそうなのだ。足をカイトの体に絡め、必死でその何かをつかもうとする。
(カイトさまっカイトさまカイトさま)
痛くないどころか、物足りない。トンットンッと奥を突かれるたびに、どこかに近づいてる気がした。だけど届かない。
「あっあっあっ、もっと、お願い、ちょうだい」
おねだりは、淑女としては恥ずかしいのだろうか。でも……。
カイトの動きが速くなる。さらに欲しくなった。もっと突かれたい。奥を……もっと。
「乱暴にして、壊れるくらい」
本能が、そうすれば気持ちいいのだと分かった。
「欲しいの、奥まで、もっと」
きゅっとカイトのシャツを握りしめ、引き寄せた。潤んだ目がカイトの視線を絡めとる。
カイトは額に汗をびっしり浮かべながらも、なんとか余裕ぶって言った。
「欲しかったら、ワンって鳴いて。俺だけの室内犬になってよ」
クラリスは口を開け、カイトの顎をしゃぶった。ずっとハムハムしたかったのだ。
「おれがい、ひょーだい」
「くっ……」
カイトはレロレロしてくる可愛らしい舌に食らいついていた。ぴちゃぴちゃ音をたてながら、お互いをむさぼる。どちらも犬と言うより、オオカミだった。
二人は口づけをやめ、じっと見つめ合った。
「カ、カイト様、わたし、妻でいていいの?」
素直になれないカイトだが、この時ばかりは頭が爆発しそうだった。
(あたりめーだろ、バッキャロウロウ!)
恐ろしい速さでカイトが腰を動かし始めた。
今までの穏やかさが嘘のように、荒々しく楔を打ち込む。
「あっ、あっ、ひゃぁあんはうん」
「くっ……これ……が……答えだ」
クラリスは彼以外の全てのことを、何もかも忘れた。
ひとつになっている。
ああ、この人と今、一つに溶け合っているんだわ。
何もかもがしっくりいっていて――そもそも、もともと一つだったのではないか。
そう思えるほど、心地よい瞬間だった。脳髄がとろけ、何かに到達した。カイトが叫ぶ。
「だめだっ!!」
「カイトさまぁああああ!!」
二人の絶叫が絡み合い、痙攣するように身体がひきつった。
(天国にいったんだわ)
クラリスは自分が生きているとは思わなかった。だが、身体が重い。天国にいって、また戻ってきたのだろうか。
「昇天したね」
カイトは息をきらせながら、クラリスを抱きしめた。顔中に口づけされる。
「俺としたことが、早かったな。悪かった」
クラリスには早いとか遅いとかよく分からない。だけど、あの気持ちいい時間はきっと遅く、長く過ぎる方がいいに決まっている。
「次は、もっと長くお願いします、旦那さま」
クラリスはにっこり笑って、カイトの首筋に鼻をこすりつけた。
(ふふ、カイト様は私だけのものだわ。妻って最高)
カイトはガッとその頭部を掴んで引き離した。
「あ、あれ、カイトさま、あれ?」
その小さな鼻先を齧ると、カイトはにんまり笑う。
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