50 / 66
本編
えんだーいやー
しおりを挟む
卒業式の準備をしていたモブ生徒たちが驚いてアレクを見ました。
ムッとなるユベールさん始め、貴族男子たち。
ところが、制服に造花を付けていたモブ平民男子たちはブンブン頷きました。
「今回のことで、貴族様って大変だったんだってよく分かった。威張ってただけあるなって」
「そうだね、意識が俺たちとまるで違ってた」
ネクタイを締めなおしていたベルトラン様、そして貴族の令息たちが、皆目を丸くします。
「貴族にだけ、義務や責任を押し付けたくないです」
モブ平民女性徒が小さな声で、貴族令息たちにそう告げました。
アレクがわたくしの肩を抱き寄せます。
教室内でこんなことやってくれる日がくるなんて。
そうね、アレクはもう、孤児のアレクじゃない。公爵相当ですものね。
例えそうじゃなくても、わたくしはもう身分なんて気にしませんわ。
いえ、わたくしは最初から、身分なんてどうでもよかったの。
みなさんが講堂に移動しようとした時、わたくし、思い切って大きな声で言いました。
「アレク!」
アレクが立ち止まり、訝しげにわたくしを見ます。
「それで、結婚はすぐにしてくれるの?」
全員びっくりして振り返りました。
「え……ちょっと」
アレクは呆れたようにわたくしを凝視し、絶句しています。
「やめてくださいよ」
え? わたくし、オロオロ狼狽えてしまいました。
だって、アレク、あなたわたくしのこと好きなのでしょう?
「なによ、でもそれしかないのよ? わたくし、命令するんですもの。わたくしと結婚なさいアレク」
アレクは意地悪く笑い、言いました。
「公爵相当のご褒美を貰えたので、その命令は聞けません」
わたくしの不安げな瞳を覗き込んで優越感に浸っています。
ひどいじゃない、どうしてこんな意地悪を?
「アレク──きゃっ」
アレクはわたくしを抱き上げました。
公衆の面前でこんなことをされるなんて、思ってもみなかったわ。
クラス中の男子に見せつけるように、わたくしをくるくる回してから、アレクはわたくしに口づけしました。
「あなたからは言わせないよ」
ちょっと……ひゅーひゅーされてますわよ。
ベルトラン様とユベールさんは口汚く──もじゃむっつり眼鏡とか、ファッキンダニアレクとか、らしくないですわ!──罵ってますけど。
それでもアレクは構わず膝をついて、わたくしに手を差し出しました。
「ノエルお嬢様、俺と結婚してくださいますか?」
わたくしはその手を取って、懲りもせず高飛車に言うのです。
「仕方ないわね、してあげてもよくてよ?」
本編 完
ここまでお読み下さり、ありがとうございました!
続いて、アレク制裁編「結婚式&初夜編」に続きます。アレク視点多めとなります。
(σ´▽`)σよろしく!
ムッとなるユベールさん始め、貴族男子たち。
ところが、制服に造花を付けていたモブ平民男子たちはブンブン頷きました。
「今回のことで、貴族様って大変だったんだってよく分かった。威張ってただけあるなって」
「そうだね、意識が俺たちとまるで違ってた」
ネクタイを締めなおしていたベルトラン様、そして貴族の令息たちが、皆目を丸くします。
「貴族にだけ、義務や責任を押し付けたくないです」
モブ平民女性徒が小さな声で、貴族令息たちにそう告げました。
アレクがわたくしの肩を抱き寄せます。
教室内でこんなことやってくれる日がくるなんて。
そうね、アレクはもう、孤児のアレクじゃない。公爵相当ですものね。
例えそうじゃなくても、わたくしはもう身分なんて気にしませんわ。
いえ、わたくしは最初から、身分なんてどうでもよかったの。
みなさんが講堂に移動しようとした時、わたくし、思い切って大きな声で言いました。
「アレク!」
アレクが立ち止まり、訝しげにわたくしを見ます。
「それで、結婚はすぐにしてくれるの?」
全員びっくりして振り返りました。
「え……ちょっと」
アレクは呆れたようにわたくしを凝視し、絶句しています。
「やめてくださいよ」
え? わたくし、オロオロ狼狽えてしまいました。
だって、アレク、あなたわたくしのこと好きなのでしょう?
「なによ、でもそれしかないのよ? わたくし、命令するんですもの。わたくしと結婚なさいアレク」
アレクは意地悪く笑い、言いました。
「公爵相当のご褒美を貰えたので、その命令は聞けません」
わたくしの不安げな瞳を覗き込んで優越感に浸っています。
ひどいじゃない、どうしてこんな意地悪を?
「アレク──きゃっ」
アレクはわたくしを抱き上げました。
公衆の面前でこんなことをされるなんて、思ってもみなかったわ。
クラス中の男子に見せつけるように、わたくしをくるくる回してから、アレクはわたくしに口づけしました。
「あなたからは言わせないよ」
ちょっと……ひゅーひゅーされてますわよ。
ベルトラン様とユベールさんは口汚く──もじゃむっつり眼鏡とか、ファッキンダニアレクとか、らしくないですわ!──罵ってますけど。
それでもアレクは構わず膝をついて、わたくしに手を差し出しました。
「ノエルお嬢様、俺と結婚してくださいますか?」
わたくしはその手を取って、懲りもせず高飛車に言うのです。
「仕方ないわね、してあげてもよくてよ?」
本編 完
ここまでお読み下さり、ありがとうございました!
続いて、アレク制裁編「結婚式&初夜編」に続きます。アレク視点多めとなります。
(σ´▽`)σよろしく!
1
お気に入りに追加
612
あなたにおすすめの小説
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
私達、政略結婚ですから。
黎
恋愛
オルヒデーエは、来月ザイデルバスト王子との結婚を控えていた。しかし2年前に王宮に来て以来、王子とはろくに会わず話もしない。一方で1年前現れたレディ・トゥルペは、王子に指輪を贈られ、二人きりで会ってもいる。王子に自分達の関係性を問いただすも「政略結婚だが」と知らん顔、レディ・トゥルペも、オルヒデーエに向かって「政略結婚ですから」としたり顔。半年前からは、レディ・トゥルペに数々の嫌がらせをしたという噂まで流れていた。
それが罪状として読み上げられる中、オルヒデーエは王子との数少ない思い出を振り返り、その処断を待つ。
悪役令嬢は攻略対象者を早く卒業させたい
砂山一座
恋愛
公爵令嬢イザベラは学園の風紀委員として君臨している。
風紀委員の隠された役割とは、生徒の共通の敵として立ちふさがること。
イザベラの敵は男爵令嬢、王子、宰相の息子、騎士に、魔術師。
一人で立ち向かうには荷が重いと国から貸し出された魔族とともに、悪役令嬢を務めあげる。
強欲悪役令嬢ストーリー(笑)
二万字くらいで六話完結。完結まで毎日更新です。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください>
私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
最愛の婚約者に婚約破棄されたある侯爵令嬢はその想いを大切にするために自主的に修道院へ入ります。
ひよこ麺
恋愛
ある国で、あるひとりの侯爵令嬢ヨハンナが婚約破棄された。
ヨハンナは他の誰よりも婚約者のパーシヴァルを愛していた。だから彼女はその想いを抱えたまま修道院へ入ってしまうが、元婚約者を誑かした女は悲惨な末路を辿り、元婚約者も……
※この作品には残酷な表現とホラーっぽい遠回しなヤンデレが多分に含まれます。苦手な方はご注意ください。
また、一応転生者も出ます。
【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~
胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。
時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。
王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。
処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。
これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる