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第八章

アッサール切れる

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 ドンッと肩を押され、私はベッドに仰向けにひっくり返った。目を見開いて、綺麗な花模様の天蓋を見つめたまま、呆然となってしまう。

 恋人になってと告ったら、突き飛ばされてしまった。

 大魔王の私になんと無礼な! なんていう強気な言葉も、気恥しさと情けなさで出てこない。


 えぇえ……そこまでダメだった?


 転生前の男たちは、私にパイズリしてもらいたがったし、口の中に出したがった。だから、アッサールにもやってあげれば、女を意識してもらえると思った。

 もしかして、この世界ではとんでもなくマニアックな行為だったのだろうか。

 えー。だって、聖王はしゃぶらせようとしたもん。

 問題は、立場の違い、なのかもしれない。アッサールにとって、私は特別な存在。どころではなく、神──いや、大魔王。

 失敗だった。ビッチだと思われたかも。

 かも、じゃない、思われたよコレ。これじゃあ転生前の、お手軽女そのものだわ。

 生まれ変わっても成長してない自分に嫌気がさす。

 僧侶アッサールからしたら、敬愛する大魔王からのこの仕打ちは、許し難いことだったに違いない。

 失望させてしまった、幻滅させてしまった。

 私は泣かないように目をしっかり閉じた。

 それでも私には、他の男を選ぶことなんてできない……。

「ごめん……私の我儘なの。アッサールがよかったの」

 いくらこんなビッチみたいな見た目でも、誰でもいいわけじゃない。好きな人がいいんだもん。

 でもさ、神々は怖いしさ……。うまく恋愛できないと、ローザたち、また消されちゃうかも。

「無理強いは、したくないわ。時間が無いから、ローザかリュディガーに恋人役を頼んでみるけど……」

 あ、ファッビオもきっと応えてくれそう。彼らなら、明らかに私のこと好きだもんね! ワニオは違う意味で食われそうだし、トンボールは生理的に無理だから頼まないけど。

 ……うう、だけどそんなまやかしで、神々を納得させられるのかしら。ハッピーエンドって、ヒロインである私が幸せにならなきゃ、意味ないんじゃない?

 どうしよう、上手くいかないとどうなるの? 神様怒らせると、滅亡バッドエンドなのかしら?

 そんなことになるくらいなら、いっそ聖王に嫁いで機嫌とるか……。嫌だ、そこまで自分を犠牲にしたくない。って言うか、私的にバッドエンドじゃん。それにグーグラは逆に怒りそう。

 第一、いいエンディングを迎えた後の、自由な人生も無くなりそう。

 考えろ、考えるんだ私。アッサールじゃなければハッピーエンドにならないなら、どうすればいい!? 体を使う以外で、何か考えろ!

 ピンときた。

「あ、そうだ、アレクシアとテオフィルがくっつけばいいのよ! 今や中身はエリザベス、ありがちな聖女と勇者の恋愛物にはならないわ! フォーカスがずれて、あいつがヒロインになるかもしれない!」

 私はモブってことでよくね!? 神々は面白ければいいんでしょ? アレクシアとグーグラに交渉しよう。

 我が意を得たりと目を開け、半分身を起こし、笑顔でアッサールの方を見た。

 彼は、襟無しのシャツのボタンを外し、床に叩きつけるように乱暴に脱ぎ捨てるところだった。

 あの……? 目が点になる。

「いいんですね、私で」

 ギシとベッドが鳴る。膝立ちでベッドに乗り込んできた。

 金の目の虹彩がキュッと縮まり、私を貫く。

「良かったです、私で。誰のモノにもならないなら我慢できた。でも貴女が他の男を好きになるなら、そいつを殺していた」

 せっかく直した薄いドレスの襟を、また大きく広げられた。

「そしたら貴女、悲しむでしょ?」

 私は豹変したアッサールに怯えた。彼が魔族であることを改めて意識させられた瞬間だった。

 レースのブラに包まれた、両方の乳房をたぷんと掴みあげ、くっと口の端で笑うアッサール。

「ふんっ……これが下着だと?」

 彼が……忠実な部下のアッサールが、私のおっぱいを掴んだ? 信じられなくて、まじまじと見てしまった。

「アッサール……怖い」

 雰囲気が違う。大魔王とはいえ、しょせん自分が産まれたばかりの魔物であることを思い知らされてしまう。

 彼は、三百年生きている魔物なのだ。年季が違う。

「アッサー……ひっ」

 レースの上から乳首を摘まれた。

「好きですよ、私も。好きじゃないと思いました?」

 苛立ったように、長い指が、生地の上から突起をなぞる。すぐに尖った乳首に、私は顔を赤くしてしまった。

「やっ、ねえ、コリコリしないで」
「頭がおかしくなるほど、好きです」

 名残惜しげに、乳房から手を離すアッサール。ため息とともに呟く。

「好きなんて言葉が、なんと陳腐に聞こえることか。愛している、全身全霊を込めて、貴女を」

 私に腕を回し、ドレスの背中についたボタンをひとつずつ外す。真っ赤になって大人しくしている私を愛おしそうに見つめながら、失礼、と断り──一気にひん剥いた!

「ヘビ夫妻め」

 再び下着姿になってしまった私を見おろし、毒づくアッサール。

 ブラとお揃いの、黒の透け透け総レースパンティに、悪女御用達のガーターベルトは、完全にやる気満々な女だ。

 私は恥ずかしくなって両腕で体を覆う。

「私の趣味じゃないから! 今度はもっと、ちゃんとした清楚な下着を──」

 パンティだけ、一瞬で脱がされた。え、ガーターベルトと靴下はそのまま?

「確かに、要りませんね」

 私は太腿を擦り付けるように隠す。まだ明るいし、やはり布一枚あるのと無いのじゃ違う。

「どうせ、穴だらけになる」

 低く掠れた声で囁き、アッサールは笑みを引っ込めた。やだ、悪そう、魔族っぽい。いつもの何事にも興味無さそうなアッサールじゃない。飢えた獣のような金の瞳。

 でも色っぽい。

「いいよ、穴だらけにして」

 何されてもいいや。だって私を見るその顔は、本当に素敵なんだもん。

「……」

 危険なほどアッサールの瞳孔が細まる。なんか、凄く煽ってしまったみたいだ。

 彼は私を抱き起こした。その眉間には深い皺が。

「三百年分です」

 え……。背筋が寒くなる。童貞歴?

「魔物は魔力の強い者に惹かれる。それはどうしようもない習性」

 アッサールは私を抱えあげ、首筋に顔を埋めた。

「ゴルゴンドロン・ローン様にお仕えしていた時は、それだけで全ての欲が満たされていた」

 すうっと匂いを嗅がれる。何度も何度も、首筋から鎖骨へと唇を這わせ、スンスンしている。

「貴女を見た瞬間、そんなもので足りるわけがないとすぐに分かった」

 すんすんすん、執拗に匂いを嗅ぐアッサール。

 甘い匂いだ、と耳に囁かれた。そのまま耳たぶを口に含み、味わうように粘られ、私は腰をくねらせる。

「そこでしゃべらないで……くすぐったい」
「くすぐったいだけですか?」

 私は言葉に詰まった。目線を下げると、彼のズボンに、愛液がくっついている。カァッと顔が熱くなる。

「汚しましたね」
「だって……」

 狼狽えてしまいそうになりながらも、大魔王の威厳は無くしてはいけない、そう思った。

 彼の前では大魔王じゃないと、がっかりさせて嫌われちゃう。

 私はツンと顎をあげ、アッサールに流し目をくれる。

「あなたも、全部脱げばいいじゃない?」

 また大胆に挑発してやった。アッサールは無言で私を見返す。

「お望みとあらば」

 ベルトごと下げ、ズボンを脇に放り投げる。私は下半身にチラリと目をやる。

 ……やっぱり大きいわ。こんなの三百年も使わないなんてもったいない。だけど、おティンティンが大きいくらい何よ。転生前の私は処女じゃないもん!

「私がたっぷり可愛がってやったから、ビンビンじゃない」

 クスッと笑ってやる 。嘲るように。

 私の方が主導権握ってるんだから! 大魔王なんだから!

 ところが──。

 彼の逸物が、ますますいきり立ち、さらにはボコボコ突起が現れはじめたではないか。

「──ひっ&@*※ちょ◎△!!!」

 彼、魔族だったの忘れてた! 形状的には真珠びっしり状態のそれを見て、思わず悲鳴をあげそうになる。

 自分のこと大魔王だと思っていた。でもアッサールの股間の方が大魔王だった!

 また後ろに引き倒された。悲鳴はなんとか呑み込んだが、咄嗟に後ずさって逃げようとしてしまった。アッサールの苦しそうな顔が、怖かったから。

「怖いですか?」

 私は、ハタとパニックから平常心を取り戻した。腐っても私は大魔王様。怖気付くわけにはいかない。

 考えてみたら、リュディガーなんてチンコいっぱい生えているようなものだし、ローザは等身大の張形になれると自慢していたし。

 真珠マラなんて、どうってことないわよ! 真珠じゃないけど。

 足首を掴まれ、ズズっと引きずり寄せられた。私は焦って股間を隠す。腿までの肌触りのいいストッキングとそれを留めるベルトが、よけいノーパンであることを意識させる。

 アッサールはピンヒールの靴を脱がし、放り投げた。そのまま私の足を持ち上げ、足先をしげしげ眺める。

 やがて、つま先の指を口に含んだ。

「ちょ、ちょっと汚」

 いや、大魔王だから臭かったり汚かったりしなさそうだけど、めっちゃ抵抗あるわ!

 レロリ……レロリ。一本一本丹念にしゃぶるアッサール。顔が綺麗なだけに、申し訳なさと、背徳的な気持ちよさに、ぞくぞくっとなった。

 柔らかい舌は、丹念にストッキングの上からふくらはぎに向かって舐め進み、移動する。

 濡れたストッキングがますます光沢を持つ。張り付いてスースーする。それから、ついに太腿へ。

 ベルトで留められている生肌の部分まで来た。

 それ以上上は、ちょっと……。愛液でベトベトなのよ。

 足を引こうとした時、ちょうど肌のところまで到達したアッサールが、私の両膝を割った。

「だめっ」

 太腿を開いて押さえつけられ、小さく叫んでしまった。丸見えじゃないの!

 さらに奥に舐め進むアッサールの頭を抑え、進行を阻もうとするも、彼の舌はついに私の秘めた場所までゴールする。

「やっ!」
「蜜で、ねばついてます」
「っ……くぅぅぅ」

 舌が肉襞をかき分ける感触に、たまらず体を弓なりに反らした。

 くちゅ、と淫靡な音がして私はシーツを握りしめる。ピチャピチャピチャと犬が水を飲むような音に、いたたまれなくなる。でも、気持ちよすぎて彼の髪の毛を掴んでしまった。

 やがてアッサールは、主張する肉の突起に気づいたようだ。敏感な部分に、ふっと息をかけられた。

「……っ!」

 間をおかず舌が尖ったそこをつつき回す。感じすぎてビクビクする腰を押さえつけ、アッサールは容赦なく腫れ上がったそこに吸い付いた。

 恥ずかしいほど爛れた甘い嬌声が、私の口から漏れ出る。こんな理性の無い声、今まで出したことない!

「くそっ……なんていやらしい声だ……その声だけで死にますよ、普通の魔物は」

 そう言われたけど、頭がどうにかなりそうで返事もできなかった。花芯がいきり尖っているのが、自分でも分かったから。

 そこを歯で刺激され、電気が走ったように腰が跳ねた。

「私もよく、我慢できたものです。あなたのそばにいて」

 アッサールは私の表情を見ようと、顔を覗き込んだ。

「顔……とろけてるじゃないですか」

 そう言うと、唇に何度も吸いついてきた。啄むようなものから、深くしゃぶり倒すような口付けだ。

「下の口も、上の口も、穴という穴全て私のものだ」

 口内を蹂躙されながら、乳房を大きな手で覆われ、突起が固く凝るのを確かめるように、何度も撫で回される。

 私は声を出しすぎて喉が枯れそうになっていた。彼がその声すら吸い込んでしまうけど。

「だめ、もう……欲しい」

 ひんひん泣き出す。乳首を食みながら、部下は笑う。

「私は、もっと楽しみたい」
「やあっ、我慢できない」
「味わい足りないんです。もっと乱れた貴女を見ていたい」
「私はアッサールが足りないの! 入れて!」

 この大魔王さまが懇願するなんて! 私は悔しくなる。

「命令したらどうです?」

 微笑を浮かべているが、アッサールの額は汗びっしょりだ。なによ、余裕ぶっちゃって! 貴方も早く入れたいんじゃないの!?

 プライドなんて、理性が飛んでる今は存在しない。

「入れなさい! 命令よ!」
「お望みとあらば」

 カリッと乳首を噛まれ、また愛液がじゅくっと体内から溢れたのを感じた時、アッサールが私の尻を掴み引き寄せていた。

 一瞬、彼のグロテスクと言えるほど変化したイチモツを思い出し、不安に駆られたが、それすら蕩けた頭の隅に追いやられる。

 私は大魔王だから、絶対平気。

 蜜口に宛てがわれたそれを早く受け入れたくて、自ら腰を浮かせる。

「大丈夫ですか?」

 気遣うような、アッサールの声。

「早く……早くっ」

 一瞬の躊躇の後、ズブブっと蜜の壺に埋め込まれた。熱いボコボコの楔が。

「くあっ!!」

 すごい、イボイボが膣壁を擦ってぶっ飛びそうになった。こんなの、経験したことがない!

 この身体は処女のはずなのに、痛いという感覚はまったくなかった。一瞬で、意識が真っ白になる。

「なんてね」

 アッサールがズルッと己を引き抜く。

「えっやだ、抜かないで──っ!!」

 途端また差し込まれる。ボコボコって……イく、イきそう。飛ぶ。

 あっさり達してしまった私の頬が、軽く叩かれた。

「大魔王様、ダメです」

 つるっと私の半開きの口の端から涎が落ちる。彼はそれをペロッと舐めとった。

「貴女を感じるほど、精力が体の中に満ち溢れてくる。簡単にイかないで、でないと」
「きゅんっ」

 突き上げられて、子犬のように鳴いてしまった。
 
「気絶した状態で何度もするしかない。そんなの私は嫌ですよ」

 両手首を顔の横で抑え込まれ、身動き取れない。その状態で私の表情をじっくり見ながら、アッサールは腰を動かしだす。

 規則正しく突き上げながら、私が哀れな犬のように鳴いているのを、食い入るように見ている。

「何回で満足するか分からない、私の腹が満たされることは無さそうです」

 ポタっと彼の首筋から汗が滴った。

「一度、いかせてください」

 苦しげな声。腰のしなりが、速くなっていく。私の顔から下に視線を移動させた彼は、微笑を浮かべた。たぷんたぷんと私のオッパイが揺れるのを愛でているようだ。

「あざだらけだ。吸ったり噛んだりしすぎました」

 話しながらも、やはり声は掠れ苦しそう。

「ああ、くそっ……終わらせたくない、ずっと繋がっていたい」

 くちゅんくちゅんくちゅんという音、最後に大きな一突きを放ち、私の中に出す。

 そう言えば、私って生殖機能あるんだっけ? なんて疑問が一瞬浮かんだけれど、それも意識がぶっ飛んで消えてしまった。
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