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四章

4 ラドバウト悩む

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 雨が降り始めた。

 ラドバウトの一行は馬をとばし、三日後にはティクシの市壁までたどり着いていた。

 バスク領最南端の町である。

 領都からの直線距離的にはカザックより少し離れている程度だが、何度か山を越えなければならなかったし、街道の補修も進んでいない。メーヴィス種でなければ三日では着かなかっただろう。

 都市というより農村といった方がふさわしい、辺境の片田舎だ。

 灰色の空の下、休耕地に放牧された牛を追う牧人が、ラドバウトの一行を物珍しげに見ていた。

 周辺には修道院の領地だった耕作地と小さな農村が2つあり、それらをバスク伯から任命された小領主――家令が管理していた。

 今はもう、その管理者であるティクシ子爵マレイン・ヘームスケルクはこの世にいないが……。




 一行は粉引場の水車がある小川にそって進み、農奴の家が立ち並ぶ通りを抜ける。パン焼き場のさらに奥に、教会が見えた。

 教会の裏手に、小ぶりな領主館。おそらくそこが、この街の中心なのであろう。

 領主が定期的に自分の領地を視察するさい、このような館に滞在する。そのためガラス窓などが使用された、それなりに立派なものだった。

 多くの領地――直轄領を含め――の荘園も似たような作りだが、遠方に見えることさら高い防壁や、その前に連なる煉瓦造りの厳めしい州軍の施設が、農村らしからぬ雰囲気を醸し出している。

 ラドバウトと従者たちは身分を隠し、市長や村長と面会した。ハノーベルクから州軍の武器を点検に来た小役人、という設定である。

 今彼らは、バスク領主の発注書に出てきた、職人の工房が連なる地区に来ていた。

 国境沿いならではの軍の砦以外に、もう一つこのティクシ市特有のものがある。組合本部からの案内でたどり着いたのは、やはり川沿いの一画にある金属通りだ。

 いくつもの水車が立ち並ぶ川の下流にはコグ船の乗り場があり、軽装の騎士たちが待機していた。


「第三騎士団です。上流の森林地帯から運ばれてきた木炭を、作業場まで運んでくれます。軍で使用するもの以外も無償でやってくれるので助かります」

 ラドバウトは目を見開く。

「ほぉ。州軍の誇り高い騎士が、よくそんな雑用をしてくれるね」
「ああ、兵士にはここの農村の出身者も多いんですよ。裕福な者ではなくても、訓練に参加して試験に合格できれば、自分で装備を用意しなくてもいい。ここで作っている武器や鎧を州軍が貸し出せますからね。体格がよければ、自営農民やしがない職人の子供でも、訓練を受けさせてくれるんです。さすがに農奴は解放の手続きが居るので無理ですけど。あと傭兵崩れなんかの身元の怪しいのもダメですね」

(大丈夫なのだろうか、それで)

 ハノーベルクの騎士団は全部元から貴族階級かそれに準ずる家柄の男子だ。それと、新教に迎合してセルディアン王国に残った、一部の元騎士修道会の者たち。騎士修道会の騎士などは、年齢はいっているが、聖地奪還で実践を積んだベテラン揃いだ。

 しかし考えてみれば騎士階級など、武器を購入できる財力と、訓練を受けているか受けていないかの差しかないのかもしれない。

「それと、砦や船を作る材木も一緒に届きますから。作業効率を考えて、力仕事はだいたい彼らがやってくれるんです。そもそも――」

 市長は煙の出る工房を指差す。

「武器類など、軍の物の方が多く受注してますから。水車の修理なども、砦に居る専門の技師がまめにやってくれます。この職人地区が発展したのは、州軍の存在が大きいと言っていい」

 三十台以上はありそうな水車を見やる。製粉用とは別に設置されたそれらは、メンテナンスに相当な費用と労力を強いられるだろう。

 西の州からクランク軸とカム軸の技術が伝わり、水車の縦回転は上下運動にも発展した。ローラー臼やハンマーは、鉱石の粉砕や、金属の鍛造、研磨に使用され、鞴まで水力で賄えている。

 ここでは量産が可能なのだ。

「なるほどね。森林利用の特権がある時点で、国の事業のようなものだ。ティクシの刀剣の質がいいのは有名だし……あちこちからいい職人が集まってくるらしいね」

 鎧や馬具も有名なんですよ、と少し誇らしげに市長が付け足す。鎖帷子のリング一つ一つの細かさは、折り紙付きだと言う。

「街の中心からずいぶん離れているのは、軍需品が多いからか」

 ラドバウトは物珍しそうに辺りをキョロキョロしながらそう呟いた。その目は防壁の要塞に目を止めると、油断無く光った。

「居住地だと防災上よろしくない。鞴を使うし、騒音も酷いですからね。ここは工房だけで、職人たち各々の住まいは教会の近くの村にありますよ」

 市長の後ろから付いてきていた年配の職人が、案内しながらそう言う。

 初めは州都の役人相手に緊張していたようだが、すぐにラドバウト一行の鎧兜、槍、剣を舐めるように観察しだしたので苦笑した。

「ハルバードの装飾が見事です。しかも実用性もある」

 ほおっ、とため息をつく職人。

「さすが、州都の工房は洗練されたものを作りますね」

 同じ金属加工職人でも、金銀細工や貨幣鋳造の仕事に携わっている職人より、彼らの地位は低い。

 しかし、他の領地からも発注がくるほど名の知れた刀剣職人が生まれば、名刀の産地として国中に知られ、他に何もない辺境の街の財源になる。

 じっさい、ハノーベルクでもこの鍛冶屋通りについて聞いたことはある。距離もあり、州都には優れた刀剣を創りだす工房があったので、こちらに発注したことはないが。

 バスクで武具を造らせるとなると、やはりここしかないのだろう。

「エペ二ャドル大公国のように、妙な鉄は手に入りませんがね。うちも熟練工ぞろいです」

 バスク伯の無体な税金徴収にもここの農村が生き残ったのは、金属加工の現金収入があり、さらに州軍がその利権を搾取しなかったからに他ならない。

 市長が寄り合い所に組合の役員や親方衆を集めてくれたところで、ラドバウトは改めて質問する。

 剣や鎧、それに馬具類の大きな依頼を受けているはず。

 しかしどの工房の職人も一様に首をかしげた。

「バスク伯から? 州軍の依頼でもなく? そんな話はありませんね。いつもどおり、武具類は主に第三騎士団の武器製作、補修や、馬具の消耗品しか受けていません。ええ、そちらは州からお代をいただいてます。だいたいなんで、こんな数を新規に? 戦争でもおっ始めるんですかい?」

 若干不安そうな親方衆の顔。

 鍛冶屋通りが発展したのは戦乱の世のおかげだ。だが、ティクシの職人であるという誇りは持っていても、乱世を望んでいるわけではない。

 大鎌や鍬、蹄鉄を作ったり、大工とともに有輪犂や荷車を作成したりと仕事には事欠かないのだ。

 ましてや戦争が始まれば、防壁の町が最前線になりかねない。

「どうなんです、お役人様。そんな物騒な話があるんですかい?」
「いや、そう言うわけではなく――」

 まあ、近々そうなるかもしれないが、という言葉を飲み込み濁した。

 州軍の司令官等を国から派遣し、少しずつ国軍に組み込んでいく。そんな中央府の連中の考えまでは読めないが、聖地の奪還くらいは考えていそうだ。

 しかし、今のところ防壁の上に固定された大弩トレビシェットも、たまに現れる騎馬族を脅す程度に使われるくらいだという。

 新しく作っている様子も無ければ、何台も保管されている様子もない。

「大口の取引は、無いんですね」

 ティクシの市長だけでなく、組合役員たちもその話を知らないと言い張る。バスクは地方管理官が置けないので、彼らがそう言うなら、外部の人間であるラドバウトはそれを信じるしかなかった。

 もっとも嘘をついてるようにも見えないのだが……。

 では、自分の手元にあるこのティクシ市への発注書は一体なんなのだ?

「州軍は、防壁の武器庫を見せてくれるかな」

 第三騎士団に聞けば、何か分かるのだろうが……。

「ええ、ディナール様はそれは気さくな方で――」

 市長の笑顔が曇る。すがるような目で、ラドバウト一行に訴えた。

「以前は若い貴族様――ヘームスケルク卿が派遣されていて――その方がこの街を取り仕切っていました。彼が亡くなり、ディナール様が家令代理を務めるようになってから、分かったんです。あの小領主の野郎め、ものっすごい余分な税を徴収してたな、と」

 敬称、敬称抜けてる。野郎って言っちゃってるし。

(まあね、あのバスク伯の遣わした管理人なら、さもありんだよ)

 ザイオスが執務室からくすねてきたバスク各地の土地台帳を見れば、どこもひどいのは分かる。輪をかけて、荘園管理の貴族どもが税を上乗せするだろうから。

「ディナール様に変わってから、暮らしはとても楽になりました」

(おや?)

 随分慕われているのだな、とラドバウトは思った。横暴な者ではなさそうだ。

 ラドバウトとしては、バスク領第三騎士団でもある彼をどこまで信用していいか分からない。

 トラヴィスという名は、オキラウス大王の側近、円卓の御使いの一人の名だ。王家や公家だけでなく、貴族には良くある名前。

 それでもトラヴィスの戯言を信じ、本当にヘドリウス王の長子であると突き止める者もいるかもしれない。

 バスク伯が反乱を企てているとして、もしバスクの――第三警備隊が、トラヴィスに加担しようとしていたら?

「ディナール殿が代理を努めて良かったじゃないか」

 そっけなく言ってみる。

「それでも! ここの税は高すぎる。別の領地から買い付けに来たお客からびっくりされます」

 まあ、収入の半分以上もっていかれるのだ。明らかに異常である。それはティクシの子爵が悪いわけではなく、バスク伯が悪い。

「州からのお役人さんが来たのは初めてです。どうか、参事会の寄り合い所にもお越しいただき、領主様の徴税制度への不服をお聞きください」
「う……うーむ」

 ラドバウトは困り果てる。今のラドバウトは、彼らに対しては武具作成の現場を見学に来たただの役人だと言ってあるのに。税率をどうにかできるわけないじゃないか。

 というか、ここはバン権が許されたバスクである。その権限は、スコーシア・ド・テリエにすら無い。ラドバウトはバスク伯から見ても、王都からの手紙をドルトンに届けに来たただの使者、ということになっている。

 後でティクシ入りを咎められたら、

「兄の領地に寄る途中、ついでに武器を見に立ち入っただけっすよ!」

 という言い訳も用意している。

(徴税額を変える約束なんて叔父上にも無理なんだし、そういう相談はやめてくれよ)

 教区時代は、参事会の要望が当たり前のように通っていた都市部も、市長が市政を担っていた頃とは違い、市民に発言権すら無くなっている。

 不満は分かるが、ラドバウトにも、そのアルジェ・ディナール様とやらにも、何もできないに違いないのだ。

 ところでこの小領主代理のアルジェ・ディナール。領主館に帰ることはほとんどなく、要塞に寝泊りしていて街に姿を見せることもないらしい。

 当然と言えば当然である。彼の本分は、防衛なのだから。

 そこで親方衆は、久々に話を聞いてくれる偉そうな集団に頼ってくるのだ。じわじわと人々が集まってくる。

「今の税率でも、不作になればきついです。金属職人は体が資本、ひょろひょろで名剣は打てません」

 けっきょく一日、彼らの嘆きを聞かされる羽目になった。彼らの言葉を右から左に聞き流しながら、ぼんやりとアルジェ・ディナールについて考える。

 武器類を別で作らせ――たとえば、国外とか――それを防壁の武器庫に隠している場合、アルジェ・ディナールは州軍でありながら、トラヴィスと繋がっていることになる。

 そんな男を問い詰めたところで不毛。あと自分のこそこそした動きがバスク伯に漏れるのも嫌だ。あそこにはザイオスが居るのだから、足がつきそうな行動は絶対に避けたい。

 ラドバウトは、第三警備隊の騎士たちを取り調べるのは諦めた。財務担当官を拷問にかけるのが一番てっとりばやかったかもしれない。

(おっと、ただの使者である自分に、領主の部下を取り調べるという権限は無いんだった)

 こんな風に隠れてしか活動できないのがもどかしい。

 それに──。

 顔面の皮を剥がされたスラヴォミール・アロマを思い出す。あれをさらに拷問して自白させるというのも寝覚めが悪い。というか、本人が錯乱状態だったので、どちらにしろ正確なことを聞き出すのは無理だったかもしれない。





 金物市場が翌日に開かれるということで、街の宿屋はいっぱいだった。街道沿いの宿は物騒だと言うので、その日は市長の家で休ませてもらった。

 明け方、まだ暗いうちに出発の準備を整える。

 夜に森の中で野宿だけは避けたい。明るいうちにカリャエフスカヤ領に入れればよいが。市長が眠そうな目をしぱしぱさせながら、準備を手伝ってくれた。

 気泡が多く、不透明でぶ厚い円形の窓ガラスから、朝の光が入ってくる。

 どうやら雲は流れたようだ。ラドバウトはほっとしながら乾かしたマントを羽織る。

 そこで初めて、素朴な木造の家には不釣り合いな絵画が、玄関先に飾られているのに気づいた。思わずしげしげと見入っていると、

「家内がね」

 市長が話しかけてきた。

「ディナール卿──アルジェ様から、領主館の掃除を頼まれたんです。子爵の代わりに我々に住み込みで管理してほしい、とおっしゃられて」

 この市は小さく、市長は市内の荘園の差配人(代官)も務めている。ディナールからの依頼であるなら、領主の家令として荘園を巡回するマレインに代わり、領主館に住み込んでも問題は無いはずだ。

「でも……ねぇ。ご夫妻が惨殺されたあの場所に住むのが気持ち悪くてね。いつでもアルジェ様が住めるように、通わせてもらっているんです」

 市長の妻は薄ら寒そうに肩を抱いた。市長は気遣うように妻に目をやってから、説明する。

「この絵にはその……血飛沫がかかっていたので、洗浄のために持ち出しました」
「最初は呪いの絵みたいで気持ち悪いから、早く戻したかったのです。でも奥様は気さくな方で、あの方のおかげでヘームスケルク様もちょっとお変りになった。ついつい手放しがたくなってしまって……」

 市長の妻が苦笑いしながらそう言った。彼女の目線の先には、青白い顔の細面の冴えない貴族と、黒髪の若い女性が並んで描かれている。

 ああ、これがマレイン・ヘームスケルクか。

 昨日の参事会の集まりで、さんざんディスられていた小領主だ。刀剣マニアで、刃物に対する愛情は深いが、人を人とも思わぬ貴族だったと聞いた。

「奥方? そう言えば、赴任されてからご結婚されたんだね、確か」

 ラドバウトは職人たちの話を思い出しながら、しげしげと絵を眺めた。

「美しい方だが、顔立ちが──」

 象牙の肌に、すっとした目元。

「あれ……異教徒?」

 いや、ちょっと違う。彫りが東の民より深い。

「これって──奥方、エペニャドル人だったんですか!?」
「ええ、内海を訪れたさいに出会ったとかで、ドルトンのご家族に内密でご結婚されたんですよ。外国人と結婚なんて、平民の家庭だって反対されるもの」

 まさか、二人とも白夜の手にかかるなんて……と、市長の妻は、昼用のやきしめた固パンを人数分持たせてくれながら、悲痛な顔でつぶやいた。

 この家では、パン焼き窯が常に使えるようだ。昨夜話を聞いた限りだと、生活が苦しい家庭にはこっそり無償で使わせていると言う。なかなかできた市長である。

「綺麗な方でしょう? 血の跡もすっかり取れて良かったわ。もう怖くないから、私に売ってほしいくらい」

 市長の妻は、そっと涙をぬぐう。

「高いぞ、名画ってやつだろう。奥様にそっくりだ」
「それじゃあ、奥様の方だけ切り取って売って欲しいわ」
「なんならマレインの野郎を塗りつぶしちゃえば?」
「いいわね、あのオタクのしみったれた顔なんて見たくもな──」

 そこまで二人で会話しながら、やっとラドバウトに気づいて青ざめていた。

    
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