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再会編

えんだーいやっほぉぉお

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 ベルトラン様の端正な顔が近づいてきたかと思うと、ペロッと唇を舐められました。

「ミルクついてる」

 わたくしは顎を上げ、大胆にもさらに唇をねだりました。

 ベルトラン様は目元を和ませて身をかがめ、何度も啄むようなキスをしてくれます。

 どうしましょう。涙が止まりません。つるつる頬をこぼれ落ちます。

 わたくしに、ベルトラン様を諦めるなんて無理でした。

 本当は彼の優しさにつけ込んででも、離れたくなかったのです。

 強欲なんですの。わたくしは、強欲令嬢なんですの!

 チュッチュッという音が途切れ、ベルトラン様は深い息をつき、涙を指で拭ってくれました。

 潤んだブルーグレーの瞳で、うっとりわたくしを見つめます。

「ある意味、恋は魔法だよ。兄上も言っていた。義姉上の瞳に捕まったって。好きになるってさ、結局、その人に魅了されることなんだ。どんなに歪んでも、どんな理由をつけて否定しても、もうダメなんだよ」

 それから彼は、わたくしに甘えるように尋ねました。

「君は? 僕の魔法には捕まってくれないの?」

 わたくしは我慢できなくなり、振り返ってベルトラン様の首にしがみつき、押し倒していました。

「とっくですわ! 十五で初めて貴方を見てからずっと! 貴方に魅了されています!」

 はむっと顎に吸い付いたわたくしに目を見張ってから、彼はふっと笑いました。

「積極的だね、ミレイユ。それでこそ僕を、レイプしたお嬢さんだ」

 それから悪戯っぽくウィンクしてみせます。

「いいよ、僕を好きにして。君に全部あげるから」

 わたくしは、これはいつものわたくしの妄想ではないの? と頬っぺを摘みました。

 痛い。

 都合のいい夢じゃないと分かると、泣きながら彼のスラックスのベルトを抜きました。

 シャツを上げると、見事に割れて引き締まったお腹が現れます。

 もうなにこれバキバキ、好き。

 わたくしは、正直になりますの。だって、彼がわたくしを好きって言ってくれたから。

 もうわたくしは、レイパー令嬢じゃないんですの! これは和姦ですの!

 下穿きを下げると、元気なベルトラン様がこんにちは! しました。

 わたくし、これが欲しかったんですの。いつだって、これをわたくしのものに……。

 スカートを捲り上げ、その上に跨ります。はしたなくてもいい。

「あなたを、犯します!」

 ベルトラン様は、ふふっと笑うと頷きました。

「うん。でも僕も、君を好きにするからね」

 素早く下着の紐を解くベルトラン様。自由になったわたくしの秘所に、ヌチュッと音を立てながらベルトラン様のベルトラン様が入ってきました。

「あ゛あ゛ぁ゛──っ」
「……くっ……ミレイユの中は……いつも……絡みつく」

 ベルトラン様の快楽に歪んだ顔を見下ろし、そんな風にベルトラン様を乱している自分が誇らしくなりました。

 わたくしは自ら腰を動かしました。欲しくて欲しくて、貪りつくしたかったのです。

 ベルトラン様は、淫らな声を上げ続けるそんなわたくしの腰をしっかり掴み、少し焦ったように言うのです。

「あと……ミレ……ゆっくり……僕にだけ淫乱なレイパーは歓迎だけど……激しくはダメだ!」

 あ……そうでした。お腹にチビベルトランがいるのですものね。

 わたくしたちは、ゆっくりじっくりねっとり愛し合いました。子宮に負担をかけないように。

 大丈夫、これからもずっと一緒に居られますから。

 そうしたらまた、深く激しく、愛し合えますものね。



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