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第五章

反撃

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 ばかでかい吹き矢──大砲と言ったか──が次々に火を噴く。轟音と煙をまき散らしながら。

 インポウは白人のあまりの数の多さに、辟易していた。

 マッチラに数など関係無いとか言ってみたが、ごめん、あれウソだわ……。

 彼は旅団という軍の単位など知らなかった。

 だが、目の前に整然と並ぶ白い肌の者たちの数が、自分たちの優に十倍以上居ることは瞬時に見抜いていた。

 大河沿いの砦から、こんな本格的な軍の塊が尖塔群を抜けてやってきたのだ。

 目的は、白人の屋敷だけではあるまい。

 そもそも中部平原にまで出張ってきて、あの砦や農園を築いた白人どもは、南部から河を渡ってきたのだろうか。

 それとも、海から──河口から大河を遡ってきたのか。

 赤い上着のグンタイは、南部を占拠しようとしている者たちと同じように見えるが、顔立ちは中部の青や緑のグンタイ、そしてカイタクシャどもと区別がつかなかった。

 もしかすると、まったく違う場所から来た未知の白人部族かもしれない。

 何であれ、マッチラの相手では無い、そう思っていた。

 誤算は、白人の群れの中に、先住民が混じっていたことだ。

(どういうことだ)

 インポウは顔をしかめた。

 初めは奴隷にでもさせられているのかと思ったが、彼らは騎馬し、自由に戦っていた。

 東部部族のように、裏切った者たちがいるのだ。

(しかも強い)

 マッチラ三人を拳のみでなぎ払った大男を見て、戦慄した。なんだあれ。

 血まみれになった仲間が、インポウの元に駆けつけた。

 顔に歯型がついている。まるで北部のヴォルフ族──狼の血が入っていると本気で信じている──を相手にしたかのように……噛み付かれたということか。

「報告します長よ! やつら『人喰い』です。ガチ族、グロ族のどちらかは判断できません。だが額に突起がある」

 インポウが目を見開く。

 角の名残と言われている突起。両部族とも、幻の部族である。南部で一番恐れられていた二部族。

 もちろん同じ人間を食うなんて、ウエスティアの住民の間でも精霊信仰に背く行為だ。

 邪教の信徒──異端中の異端である。

 南部で、彼らに襲われたという部族の話を聞かなくなって久しかった。

 ここ最近は「人喰い」の噂すら聞いたことが無かった。

 既に伝説となっていたほどだ。

 他部族との交流が無いため、部族内での人口は増えず、存在を確認できていた頃から少数の民族であった。

 疫病で死に絶えたか、共食いをしあって自滅したのだと思われていたのに。

 まだこれほど生き残っていたのか。

 彼らに襲われた部族は、骨までしゃぶられるという噂だ。

 特に女を喰らうのが好きで、少しでも肉付きのいい女がいる部族は狙われる。

 だから、南部先住民の女はそれを恐れて、スレンダーな体型を保ったと言う。

 おやつをたくさん食べようとした子供には「ガチ族に狙われるぞ」と脅したりする。

(どちらの部族も、南部では『人』として扱われていない。だが、最強と言われていた部族)

 人の肉を喰らうなど、あまりにえげつなくて、戦ってみたいとすら思ったことがなかったが……。

 やつらは大河を越えてきた。この中部に──平原部族の縄張りに──やってきた。

 インポウが拳を握り締めた。その手のひらは、濡れて湿っている。

(めったに汗などかかないマッチラが、冷や汗か)

 眉をひそめて部下に指示を与えようとした時、目の前からその部下の姿が消えた。

 馬ごと吹っ飛んだ仲間を見て舌打ちする。吹き矢──大砲の弾ごときにやられた。偉大なるマッチラの戦士が。

 自分なら大であろうが小であろうが、白人の吹き矢が飛んでくる場所が分かる。

 はっきりと弾が見えるから。

 しかし、完全な力を受け継いでない多くの若い世代は、体質からして純血種とは違った。

 彼らには、ノーピャン族の持っていたイカヅチの異能などほとんど無かった。

 鍛錬により手に入れた技のみで戦うのだ。そう、他の狩猟戦闘系の民と大して変わりがないのである。

 多数の白人とその武器と、少数とは言え南部の人食い部族。そのすべてを相手にするには、マッチラの今の戦力ではあまりに分が悪い。

 ノーピャン族さえ復活できれば──パッチラに、子供を産ませることが出来れば、こんな奴ら……。

「インポウ! 煙が」

 別の仲間が背後を指差す。

 狼煙、では無い。もっと大きい。インポウたちが仮住まいにしていた白人の農園がある方角だ。

 インポウが愕然とする。

「くそっ、裏をかかれた」

 いや、陽動というより、この本隊は焼かれた砦の再生のために出動していただけ。それとは別動体が探していたのだ。マッチラという手に負えない部族を抹殺するために。

「引けっ、屋敷に戻るぞ」

 インポウの顔は蒼白だった。

 あの場所には、滅び行くマッチラを救う希望──パッチラの女戦士たちがいる。

 しかも、孕んでいるのだ。




※ ※ ※ ※




 美しい模様の描かれた壁にソーが叩きつけられたのを見て、ミンチは危うく悲鳴をあげそうになった。

 それを呑み込んだのは、呻きながらも彼女がすぐに立ち上がったからだ。

 そうだ、我々はパッチラ戦士。倒れても、何度でも立ち上がる。

 屋敷の奥から出てきたのは、ジャイアン族ほどもある大柄な男たち。

 全部で五人居た。

 赤褐色の肌をみれば、自分たちと同じくこの大陸の人間であることが分かる。

「こいつら、一体……」
「ソー、腹の子が──っ!」

 ソーがふらつき、メンチが彼女を助けようと走り寄ったその時、

──パンッ

 メンチの腹が弾けた。

 彼女は首をかしげて、その少しだけ膨らんだ腹を見下ろす。

──パンッパンッパンッ

 馬ごと屋敷に乗り込んできて、メンチを取り囲んだ騎兵。

 彼らの短い吹き矢が、次々に火を噴いた。白人は、湧いて出るかの如くたくさんいる。

「メンチッ!」

 今度こそミンチの悲鳴が漏れた。

 瞬間、背後から飛んできた戦輪が、白人の男たちを切り裂く。落馬した男たちを、そうさせた張本人であるセージの金玉剣が刺し貫いた。

「どうしよう、メンチ、赤ちゃんが」

 悲鳴混じりで叫びながら、ミンチは走り寄ってメンチを支えた。

 傷に当てた手のひらから、バチバチッと静電気のような青い光が漏れる。

 ミンチは精一杯意識を集中した。メンチがその手を握り、首を振る。

「やめろ、お前まで死ぬぞ。もう手遅れた」

 抱きかかえるミンチの腕の中で、メンチはパンッと形を失い、塵になって消えた。

 ミンチはその場に膝をついたまま放心する。

 吹き矢は──銃は──心臓を射抜いていたのだ。

「ああぁぁあっ、嫌だ、メンチッ」

 我に返り、うめくミンチに、

「おまえは、逃げよ」

 セージが累々たる白人の遺体を見渡し、静かにそう言った。

 マッチラの戦闘員は全て出払っていて、実質この襲撃者たちを相手にしているのは、四人のパッチラ戦士だけだった。

 だが、メンチが倒れ、セージもソーもミンチも、もう立っていられないほど傷ついていた。

 大男が、三人のパッチラ戦士の前に立ちふさがる。

「そうだっ、こいつのせいで」

 ミンチが警戒して腰を落とし、身構えた。

 白人だけなら、数で負けていてもどうにかなった。本当ならパッチラは、吹き矢すら剣で薙ぐことが出来るのだ。

 パッチラを翻弄し苦境に落としたのは、この大きな先住民の男たち。

 もちろんマッチラではない。

 騎兵より先にこの屋敷を襲って火を放った者たちは、同じ先住民だったのだ。

 デカいくせにやたら速く、戦輪チャクラムでもなかなか捉えられなかった。

 こんな部族が居るなんて、聞いたことが無い。

 ジャイアン族の力強さと、マッチラの速さを備え、しかも足音も立てずにしなやかに動く。

 額がやけにせり出している。まるで角のようだ。なんという部族なのだろう。

 それに何故、赤い服の白人どもと行動を共にしているのか。

 いつもならば血が沸き立つはずなのに、この先住民たちから放たれる禍々しい雰囲気が、戦いたいという気さえ起こさせない。

 ましてや、強姦したいなんて露ほども感じさせない。

 シャーマンが祓おうとする、悪霊憑きと対峙しているような薄気味悪さだ。

 なのに、手話を使った。

「腹ボテ、赤子もついてお得」

 手話の内容に、セージがぞっとして腹を庇う。声を低くして警告する。

「気をつけろ。やたら強いと思ったけど、あの額の突起、もしかして、こいつら……まさか」

 ソーが痛みに呻きながら、ゆっくりと彼らから離れた。

「南部の人食い……」

 大男がにやりと笑った。

 首から下げた、数珠繋ぎになった頭蓋骨の首飾りを、これみよがしに見せる。

 それがソーの言葉を肯定していた。

「ガチ族か……グロ族?」

 ミンチも聞いたことがある。でも、ただの伝説だと思っていた。

 子供の頃「早く寝ないとガチグロが来るぞ」と脅されていた、あの人喰い?

「どちらにしろ、死に絶えたって聞いていたのに……」

 マッチラは、非戦闘員ばかりがいるこの拠点に、見張りを置かなかった。

 さらってきた部族の者たちは、もう他に行くあてがなく、逃げ出さないと思ったからだろう。

 だからマッチラの戦士の力は頼れない。

 戦えるのはもうこの三人のみ。しかも二人は身重。ミンチは背中に傷を負っている。

 相手は右往左往している騎兵の残りと、大男揃いの『人喰い』──が五人。

 若い騎兵が、苦い声で彼らに文句を言う。

「お前ら、勝手に行動するなっ。いくら先住民に乗っ取られていたとはいえ、屋敷に火を放つなんて──俺たちが咎められるんだぞっ」

 別の一人が手話でそれを伝えると、人食い先住民が顔を見合わせ、渋々後ろに下がる。

「こいつらがどうして手を組んでるんだっ?」

 セージの口から疑問が溢れる。東部部族は素敵なお洋服をもらって喜んでいたが、こいつら「人食い」が白人と手を組んで何のメリットがあるというのか。

「どういうことデシか、お前ら。ドシテ先住民を従えているデシか?」

 ミンチが背中の痛みをこらえながら、片言で騎兵に向かって叫ぶ。

 人食いもある程度公用語を分かるようで、自ら進み出て、人骨ネックレスをまた自慢げに見せた。

 それから手話で伝えてきた。

「これ、もっと欲しい。でも白人食ったら不味かった。先住民、もうあんまりいなくなった。俺たち、腹減った。そしたら──」

 騎兵を振り返る。

「こいつらの味方したら、肌黒いやつ、俺たちにくれる言った」

 そして、うっとりしたように目を瞑る。ついには片言の公用語で言葉に出して言った。

「アカリア女、ムッチムチ多い、香ばしくて美味かった」

(嘘だろ)

 鳥肌が立つ。この白人どもは、あの黒い人間を食料として差し出して、協力を要請しているのか。

「なんと……外道っ!」

 ミンチは貧血で目眩を感じながらも、チャクラムを構えた。

 殺す。たとえ精霊の加護を失っても、こいつらは殺す。絶対許さない。

 その肩を、後ろから伸びた手が叩く。

「下がって、お前は逃げろ」
「ソー姐、何言ってる!?」
「たくさん殺したからね。精霊は許すまいよ。この子ももう産まれまい」

 ソーが腹をさする。諦めに似た微笑を浮かべた。

「何言ってるの、自分や仲間を守るためだ。精霊はお許しになる」

 ミンチはそう言うと、なぜかふらついたソーを支えた。

 訝しげに彼女を見ると、ソーの太ももからは血が滴り落ちていた。

「激し……くっ動きすぎた」

 人喰いの馬鹿力で、壁に叩きつけられた時だろうか。

 ミンチはうろたえた。

 メンチに引き続き、ソーまで生命力が削り取られていくのを感じた。

 今度こそ治癒の力を使おうとしたミンチに、しかしソーも首を振った。

「お前の背中の傷だって深いだろ? 自分を治すのに使いなさい。来るよっ」

 ソーの目線を追うと、人食い先住民が近づいて来るところだった。

 手には、白く小さな菱形の飛び道具を持っている。

 親指と人差し指で挟んで、こちらに差し出す。自慢げに見せびらかしているのだ。

「これ、グロ族の骨の手裏剣、女の骨で作った。白人の吹き矢より速い」

 ニヤニヤしながら付け足す。

「赤子ごとお前ら喰らう」

 手話より公用語の方が上手いじゃないか!

 そう思った次の瞬間、小さくて平たいそれらが飛んでくる。

 一つがミンチの頬を切り裂いた。

(うそ、ほんとに速いっ!)

 ソーが飛び起きて彼らの前に躍り出た。──しかし膝をついてしまう。

 そこに広がる血だまり。明らかに、子が流れていた。それでも、チャクラムを飛ばし、敵を牽制する。

 セージがその隙に、ミンチの背中に手を当てた。バチッと紫の光が飛び散る。背中の傷からすうっと痛みが引く。

「応急処置だ。後は、私たちがやる。お前はまだ若い。森に帰って仲間に伝えろ。逃げろと。南から、赤い服の白人が押し寄せる」
「だめ、セージこんなに怪我してるのに、力を使いすぎたら──セージが森に行って」

 ミンチは、自分がそろそろ塵となって消えるだろうことを意識した。

 背中の傷は思ったより深い。

 錯乱していたとは言え、ゲスターなんかに傷つけられてしまった自分が情けない。

 悔しいが、このまま留まって玉砕する方が役に立つ……。

 しかし、セージは金玉剣をミンチに渡した。

「これも使え。逃げよ」

 何を言っているのだ。妊娠しているものを置いて逃げられるわけないじゃないか。

 しかし彼女は、目にも留まらぬ速さでミンチの横を駆け抜けていった。

「あたしが増幅する。お前は離れてなっ」

 ソーが苦痛を堪えた声でそう言い、よたよたとその後を追う。

 二人は、銃を構えながら遠巻きにしていた白人たちと、先住民の戦士たちに突っ込んでいったのだ。

 バチバチバチッとセージの両手から稲妻が吹き出す。それは彼女の全身を包んだ。

 その光に、誰もが目を奪われた。

 ミンチよりずっと強い青い光。

(え、なに?)

 あんな力、見たことがない。

 セージは、年齢を誰にも言わなかった。年齢不詳だった。もしかして、純血種だったのか? 

 なのにインポウの子を、奇跡的に孕んだということなのか?

(だったらセージのお腹の子は、確実にノーピャン族並みの力が──)

 引きとめようとしたミンチの目の前で、青い光が炸裂した。

 爆風で、ミンチの華奢な体は吹っ飛び、地に叩きつけられた。

 暗闇が訪れた。


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