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ケツ狙われるのは俺のせいじゃない(ユベール視点)

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 貴族の序列というやつは、本当に面倒くさい。

 相手が侯爵以上になると、雲の上の存在になる。

 なるべく軋轢を生まないよう、学院時代は大人しくしていたが、それがよけいいけなかったのかもしれない。

 たが、もうドタマに来た。

 あんな妙な薬を飲ませようとしたんだ、二度と近づかせないさ。

 それでも何かしようとするなら、親父じゃないが、証拠を集めて司法院で戦ってやる。

 でも、高位貴族は息をするように裁判官を買収するからな。まずは彼らとの格差を無くさないと。

 恥ずかしいなんて言ってられないぞ。レイプされてからじゃ遅いんだ。男の股間にかけて。

 あ、沽券だった。

 
 だけど俺は今、そんな薔薇族のことより、アリスの言葉に混乱していた。

 こいつ、俺がヤバい薬飲まされそうって分かっていて、代わりに飲んだの?

「なんで俺が、カマ掘られそうだって思ったんだよ?」

 アリスは怪訝そうに俺を見た。

「なんでって、あいつら三ホモ貴公子が話してるの聞いたから。……違うの?」

 まあ、睡眠薬だと思ったんだけどね、と付け足すアリス。

 俺は、なんだか胸が熱くなって顔を伏せた。

「よけいなことすんな、アホ」

 なんですってぇぇぇぇえ! とキャンキャン噛み付いてくるおカッパ頭を小突いてから、俺はヴィラに足を向けた。

 アリスの手を引いて。

  執事に言わないとな。

 解雇は無しにしてくれって。
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