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NTRⅡ

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 マリアは驚いて元部下を押しのけようとした。

 柔らかい舌が侵入し、口内を蹂躙する。マリアは涙目で首を振った。

「嫌だ──。お願いだ、フランソル。ヘルツ元帥を」
「閣下は、今日は戻ってきません」

 スルッと相手のガウンを脱がせ、自分のガウンの紐も解いた。

「すぐ……温めますからね」

 マリアは皇帝である実の父親や兄たちから、性的な暴力を受けて育った。幼少時から続けられたその虐待が、マリアの体を蝕み、快楽に敏感なものへと改造してしまっていた。 

「外しますよ」
「あっ」

 乳首を引っ張ると、刺激を受けてマリアが喘いだ。

 鈴の付いたニップルリングを外し、それを見つめながら、舌打ちするフランソル。

 なんかチリチリうるさいと思ったら、金縛りによる耳鳴りではなくこれだったのか。

 空のブランデーグラスをマリアから奪うと、その忌まわしき婚約ニップルリングを入れ、サイドテーブルに置く。

「痛く無かったですか?」
「平気だけど、刺激で乳首が──」

 コチコチに尖り、いきり立ってしまっている。

 ……可愛い。

 フランソルは目を細めてそこを見つめた。マリアはハッとなって隠そうとする。

 手首を掴みあげ、阻止した。

「もう、達するまで何もできないんです。諦めなさい」

 フランソルはペロッと自分の唇を舐めた。

「どう治療しましょうかね」
「ち、治療?」
「まずは、ナメック術を施しましょう」

 そう言うと、既にほてってピンクになっている体をすみずみまで舐め回した。

「お返しです」

 つやつやの肌。白くて目に沁みる。ペロッと耳たぶを舐めただけで、ピクッと反応する敏感さが懐かしい。

「貴女は、淫乱なんですよ」
「──っ‼」

 傷ついた目をされた。

「でも、貴女のせいじゃない」

 れろり。首筋をねっとりと舐めあげる。

「ひっ」
「ただ、気をつけないと。周りにはいくらでもいるんですよ」

 れろれろ。胸の谷間。マリアは可愛い声で喘ぐ。

「貴女を、めちゃくちゃにしてやりたい男が」

 れろれろペロペロ。乳首だけを避けて膨らみを唾液だらけにするフランソル。

「だから、彼から──」

 臍まで行き、ペロペロが止まる。非常に不本意そうな声。

「あのケツ顎から、離れちゃいけません。でないと──」

 ぺろぺろぺろぺろペロリンちょ。太ももまで舌を這わせる。

「悪い男に、こうされますよ」

 悶え乱れる白い肢体。相変わらず、完璧な凹凸だ。

 ヒクヒクするその体の隅々に舌を這わせながら、自分で言ったことにイラッとなる。

 少なくとも、あのケツ顎より悪い男だとは思わないが。

 しつこいくらい舐めまわす。柔らかい皮膚が擦り切れてしまいそうなほど。味わうように嘗める。

 マリアのか細い、だが猫が鳴くような声を聞き、すぐにでも挿入したくなるのを堪えた。

 前回のアーヴァインとの逢瀬で子を授からなかったマリアだが、果たして彼女は妊娠できる体質なのであろうか。

 背中の斬り傷の痕まで舐めあげている時、哀れみが沸き起こった。

 王党派の連中を捕まえ、皇室内部に詳しいものから聞きだしたマリアの過去は、壮絶だった。

 マリアへの虐待は苛烈を極めていたようだ。

 マリアが王妃の不貞の末に生まれた子だと──自分の娘ではないと疑いだしてから。だから、あの賢帝は狂った。

 アーヴァインは、あの悪帝ニコロスの血とまじりあった自分の子が、本当に欲しいのか。

 皇帝ニコロスに前妻と子を殺され、生き残ったマリアに復讐しようとしていた彼のことだ。本当は、マリアの父ニコロスがやったように、できた子を腹から引きずり出して──。

 舐めながら、柔らかく元上官の乳房を掴んだ。フランソルは眉を潜める。この二つの乳房を自分の物にしたい。

「私と一緒になった方が、幸せだと思いますよ」

 大事にする。女なんてただの性欲処理と情報源にしか思ってなかった。だけど彼女は──彼女だけは……。

「私と逃げません?」

 色ボケして、すべてを放り出してしまいそうになる。

 皇帝ニコロスが、フランソルの父や兄にした仕打ちも──そして自分の使命も忘れて、何もかも放り出して。

「愛してます」

 耳元でささやきながら、何度も乳首を転がした。ねぶりしゃぶり、弄り倒す。

「ん……くっ……くっ……あんっ……あああ」

 ナメック術のせいで、もうすっかり乱れきっている。元々敏感な上に、毒が回ってきたのだろう。

 愛液の芳しい匂いは、相変わらずだ。理性を奪う匂い。マリアの体自身が、媚薬なのだ。

「あっ体が……熱……いっ」

 マリアの目はもうどこも見ていない。フランソルは悲しくなった。話は既に、聞こえていまい。

「私じゃあ、だめですよね」

 分かっている。とっくに諦めたはずだろ。フランソルは息をついた。

 彼女に、罪悪感を抱かせたくない。

「貴女は、私のことを忘れます」

 自分の声に催眠作用があるらしいと気づいたのは、最近だ。

 彼女に優しく語りかけた。

「貴女は今、アーヴァイン・ヘルツ元帥に抱かれています」

 すすっと手を内腿に這わせ、こじ開けた。びちゃびちゃだ。

「大佐、私をヘルツ元帥だと思い込んで……くださいね」

 胸の痛みは無視した。肉の突起を、小刻みに揺らしながら続ける。

「貴女の好きな、ケツ顎提督です」

 愛液の甘い匂いにくらくらする。男を惑わせる、蜜の塊。まるで兵器だ。

「さあ、もっと乱れて」
「中……将?」

 元帥閣下だこのアマ。そんな幻聴が聞こえたのだろうか。マリアは彼の首に手を回していた。

「閣下、閣下……好き」

 しがみついてきた。

 フランソルの心が引き裂かれたが、割り切るしかない。あのケツ顎、この人のことなんて呼んでたんだ?

「おい肉便器、股を開け」

 こんな感じだろうか。……って、ちっきしょう死ね。

「はい、ヘルツ元帥」

 マリアが幸せそうにとろけた。

 このドMがっ! フランソルは怒りで頭に血が上った。そうか、貴女がそういうつもりなら。

「もっと開け。足首を持って限界まで開け」

 マリアが目を見開く。

「閣下、私──」
「早くしろ」

 声色を粗野なものに変えながら、大股開きを命じるフランソル。

 マリアがもじもじしながら、しかし従順にもその通りにした。

「ピンク色の肉襞が丸見えだ。濡れ濡れじゃないか」

 さすがにここまでは言わないかな、フランソルは思ったよりモノマネが下手な自分にがっかりした。

「ううっ……いやぁ、中将言わないで。見ないでぇえ」

 騙されている。

「元帥閣下だこのアマ! 自分で指を突っ込め」

 マリアは驚いて顔を上げた。

「どうし──閣下のが欲しい」
「命令が聞けないのか、この……この、肉便器め!」

 ふえぇえとマリアが泣きだした。フランソルはオロオロしてしまった。違ったかな? あいつ、すぐ挿入する系?

「肉便器いやぁっ妻にするって言ったもの……結婚したものぉ」

 うえぇええんと子供のように泣きじゃくっている。

「わ、わかったごめん、許して」

 大佐ってこんな風に泣くんだっけ!?

「入れてぇ、閣下の大きいの入れてぇえええ」

 まずい。フランソルはのフリチンソルは、小さくは無いが、アーヴァインほどじゃない。ばれないだろうか。

「ほら、これでどうだ?」

 くちゅと指をいれる。

「あっっあぁあああああ」

 軽くイッた? いやまだだ。マリアを満足させるには及ばない。なぜならずっと媚薬漬けで、性奴隷のような皇女時代だったから。イったように見えて、ぜんぜんなのは知っているのだ。

「仕方ないな」

 フランソルはマリアを抱き上げ、反り上がったフリチンソルを埋め込んだ。

 ズブッ

 マリアがふっと意識を失う。フランソルがその頬を叩いた。

「ダメだ。起きろ」

 これだとたぶん、毒は抜けない。ぐいと腰を押し付ける。グリグリと容赦無く貫いた。

「あ……あ……っぁあぁあああああ」

 ぐにゃらぁああとマリアの膣がフリチンソルを搾り取る。そうだ、コレ。これがあるから無理なのだ。中が生き物のような恐ろしき特異体質。やはり兵器!

 どんな男も早漏にしてしまう、魔の体。この情報部で鍛えぬいてきた自分ですら、一瞬で達してしまいそうになる。

 だが、彼女をイかせる前にイってはいけない。自分は絶倫ではない。さすがに一回ドビュッシーすれば、賢者タイムが訪れるはず。

 はやる気持ちを抑え、クチュンクチンクチュンと控えめに腰を動かすようにした。大きく速くしては、昇天するのは自分なのだ。

「だめぇええ、それじゃ足りないっ」

 ですよね、すみません。

 フランソルは額を汗びっしょりにし、腰を大きくしならせだした。

 バチュンバチュンバチュンバチュンバ──!?

 ……出ちゃった。フニャチンソルだ。

 マリアを見ると、もちろん達してない。非難がましい目で睨んでくる。

 それもまた可愛い。

「もっと……もっと欲しい」

 フニャチンソルは地獄に行き、フリチンソルが復活した。鋼鉄の楔のように、固く立ち上がるフランソル。こんなことってあるのか。魔性の女じゃないか。

 フランソルは入れたままだった楔をグリグリ回し始めた。それを再び咀嚼するマリアの膣壁。生き物だ。本当に中に何か居るんじゃないのか? だめだ、また出る。

 耐えるんだ、神に祈れ!

 海にまします我らの海神リーヴァイアンよ願わくは御名をあがめさせたまえみこころの海になるごとく、 我らのチンチンの糧を今日も罰したま……
 
「んぁああああっ」

 マリアが絶叫した。達したのだ。フランソルはやっと彼女の中を堪能し、己を解き放った。



 ぐったりと倒れたマリアをそっとバスルームに運ぶ。きれいに元上官の体を洗いながら、つぶさにその美しい体を観察した。

 大丈夫、キスマークは付けてない。

 ピンクガラガラヘビは服用中、記憶障害を起こすことがあるらしいし、うまく自分をヘルツ元帥だと思ってくれただろうか。

 何せあの男、自分のモノに手を出されるのを極度に嫌う。ばれたら即射殺だろう。

「まあ、彼から奪えなかったんですから、ノーカウントですね」

 フランソルは忌々しげに言って、マリアをバスタオルで包んだ。

 ベッドに寝かせ、自分の軍服のジャケットから錠剤を数種類取り出すと、目的の物を探し出し、マリアの膣の中に押し込める。

 最新のアターソン製、事後避妊薬である。航海直後だから避妊薬は飲んでいるだろうが、念の為。

「私の子か……」

 一瞬だけ、仄暗い情念が湧いた。マリアと自分の子。

 それから首を振る。

(私はそういう人間じゃない)

 人の親になる器じゃない。

 だけどそうだな、悔しいからちょっとだけ意地悪してみよう。
  
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