異世界酒場放浪記

あきあす

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謁見

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大広間の上座には豪華な椅子が置いてあり、皇帝陛下の御前で頭を垂れる俺。
という場面を想像していたのだが、全く違っていた。俺の異世界へのイメージがことごとく壊されていく…。

連れて行かれたのは、執務室のような部屋だった。ノックをするベネット宰相。

「入りなさい。」

中からの返事にドアを開けると、正面のデスクに優しそうな老婦人が座っていた。

「陛下、ワタリビトをお連れしました。」

「よく来てくれましたね。私が皇帝のアンリ11世です。」

皇帝陛下って、勝手に威圧感たっぷりの冷酷な男かと思っていたけどちょっとほっとした。

「はじめまして。田所草介です。」

「田所さん、驚いたでしょう?いきなり見知らぬ場所に迷いこんでしまって。でも、安心なさい。私の先祖はアメリカというところから来たワタリビトです。この帝国の国民はワタリビトにとても友好的ですから。」

「アメリカ…ですか。(だから、ホワイトハウスなのか)私は日本という国から来ました。正直に言って、とても困っています。出来ることなら帰りたいのですが、それは叶わないみたいですね。」

「そうですね。今のところ誰1人として帰った者はおりません。私の先祖もどうにか帰ろうとして手を尽くしたそうですが無理でした。ですので、あなたには、帝国の国民として、これからの人生を過ごして頂かなければなりません。あなたは日本では、どんな仕事をしていましたか?」

「私は物書きでした。物語を作ったりもしましたが、主な収入は、情報誌という本に自分で取材をしたことを文章にして載せることで得ていました。」

「なるほど。でしたら、こちらでも同じ仕事をして頂けますか?」

え、異世界にも出版社ってあるの?
情報って何の情報なのだろう。
印刷技術はどの程度?
また、ワタリビトがやらかしてるんだろうか。
「詳しいことは、ベネットに聞いて下さい。それから、あなたの住む所なんですが、決まるまでは、城に滞在することを許します。全て、ベネットに相談して下さい。彼は優秀な宰相ですからね。」

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