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第4章 子供以上大人未満で彷徨う私達
王宮は薔薇色に包まれている?
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お早うございます アンジェリーナです
昨日、ジル達に用意してもらったドレスにお着替えしている最中ですわ
「本当に、お美しい」モントローズ家の侍女頭のバネッサが感嘆の声を上げる
「ええ、本当にお嬢様は何処に出しても恥かしくない姫君ですわ」
ジルはアンジェリーナの事が余程、誇りに思っているのだろう
自分が褒められる以上に嬉しいらしい
ジルには昨日、ドレスを届けてもらった時に残ってもらっていた
支度の事があったからだ。何度も往復させるのは忍びなかったのだ。
「今日は本番では無いとは言えマリーの大切な日だから」と自然と顔が綻ぶ
「そうですわね 我が家の大事な姫様がいよいよ、サミュエル殿下の正式な婚約者となられるんですね」
「そうよ マリーはサミュエル殿下を支える立派な淑女よ」
モントローズ家は暖かな空気に包まれていた
アルフレッドが正装をして部屋にやってくる 頗る機嫌が良さそうだ
(淫魔の魔王様、何時もの完全無欠の貴公子に戻ってる)
昨日の夜のことは内緒!アンプル追加で飲んだなんて絶対に秘密ですわ!
王宮に着くとパーティーに参加する身内とも呼べる方々と合流する
「アンジェ、まず最初にエティエンヌ殿下にご挨拶をしよう?」
アルフレッドに促され私達は第一王子殿下に頭を垂れた アルが簡単に挨拶を交わす
(良いのでしょうか?殿下にそんな簡単なご挨拶で?)
「お久しゅうございます エティエンヌ殿下 王室はお目出度い事続きでお喜びを申し上げます。」
「ああ、アンジー久しぶりだね?最近、会ってなかったからね。何ていうかそのとても美しくなったね。それはアルの所為だろう? アルフレッドはまったく昔から変わらないな」
と優しい笑顔を見せてくれた。この国の次期王太子様は今年21歳になられる立派な美丈夫だ
「大きなお世話です殿下。私がアンジェに夢中なのは分り切っている話でしょう」
アンジェリーナ達とは少し年が離れているので余り、一緒に遊んだ事は少ないが
未来の国王は流石に皆のお兄ちゃんという感じだ。顔立ちは王妃様に良く似ているが 髪の毛の色と瞳は陛下にソックリである。王家特有の燃えるような赤い髪とモスグリーンの瞳は代々受け継がれている。
そこでエティエンヌ殿下とアルフレッドは何やら話が有ったようなので
アンジェリーナは空気を読んでそっと離れた。
「ベアトリーチェ殿下も麗しゅうございます。ロートレック様とのご婚約おめでとうございます」
双子の妹殿下も2ヵ月後に婚約パーティーを控えている。
アンジェリーナの言葉にベアトリーチェは恥らうように微笑んだ
「有難う、アンジー。来年になったら私も王籍を離れて臣下になるわ。
ジョフロワ様を支えていけたら良いのだけど」
ベアトリーチェは双子の姉に比べると大人しい姫君だった
姉が兄やアルフレッド達との剣戯に夢中になっている頃、王宮に遊びに来ていたアンジェリーナやマリエッタと
お人形遊びに混ざったり、刺繍を嗜んだりしていた。お姫様らしいお姫様と言えよう
「ベアトリーチェ様なら大丈夫ですわ。私共もおりますし、ロートレック様を立派にお支えになりますわ」
ベアトリーチェ王女の婚約者のロートレック公爵嫡男、ジェフロワ様は確かマルグレーデス海洋警備団の副団長をなさっていたはず 大きな戦争とかはここ100年位起きてはいないが遠征とかで家を空けるほうが多いのだろう
屋敷を切り盛りしていくのはやはり女主人なのだ。王宮暮らしとは些か勝手が違うのが不安なのか。
「若輩者ながら、マリエッタと共にお力になりますわ 僭越ながらベアトリーチェ様もお姉様と思いお慕い申しておりますから」とアンジェリーナは微笑んだ。
その言葉に安堵するかのように笑みを浮かべた ベアトリーチェは国民から
Marguerite rouge(赤い雛菊)と言う愛称で親しまれている
雛菊の愛称の通り可愛らしい姫であった。 因みにもう一人の王女はHibiscus rouge(赤いハイビスカス) 一卵性の双子とは言え対照的な王家の赤い花の様な姫君達だった
(王族でもない私が言うのもなんですがマリーと同じで庇護欲をそそる方なんですよね~。守ってあげたくなるって言うか まあ、私とは正反対の方ですわね。私は可愛げのない顔していますからね)
「ところで シャルリーヌ殿下は如何なされましたか?見当たらないのですが?」
もう一人の姉殿下の姿が見当たらない。正式な晩餐会ではないと言えども如何したのだろう?
アンジェリーナが不思議に思っていると少し複雑な表情をし、こう答えた
「シャルは最初に決まっていた不死鳥騎士団の方に顔を出してから来ると言っていたわ。本当に困った子だわ。幾ら、サミュエルがいきなり決めたからとは言っても・・・」
ベアトリーチェ殿下は心なしか顔色が悪い 弟の内々定とは言え婚約の晩餐会よりも騎士団の約束を優先したのだから。 アンジェリーナは下手に返事を返せず曖昧に微笑むしかなかった。
そうこうしている内に陛下や王妃様そしてサミュエル殿下とマリエッタがホールに入ってきた
皆の視線が自然と若い二人に注がれる。初々しい二人はとてもお似合いだった。
これが本番の婚約披露パーティーでは無いのにとても嬉しい。
アンジェリーナは感際立って目頭が熱くなってしまう。まるで娘の初舞台を見守る母の心境だった
昨日、ジル達に用意してもらったドレスにお着替えしている最中ですわ
「本当に、お美しい」モントローズ家の侍女頭のバネッサが感嘆の声を上げる
「ええ、本当にお嬢様は何処に出しても恥かしくない姫君ですわ」
ジルはアンジェリーナの事が余程、誇りに思っているのだろう
自分が褒められる以上に嬉しいらしい
ジルには昨日、ドレスを届けてもらった時に残ってもらっていた
支度の事があったからだ。何度も往復させるのは忍びなかったのだ。
「今日は本番では無いとは言えマリーの大切な日だから」と自然と顔が綻ぶ
「そうですわね 我が家の大事な姫様がいよいよ、サミュエル殿下の正式な婚約者となられるんですね」
「そうよ マリーはサミュエル殿下を支える立派な淑女よ」
モントローズ家は暖かな空気に包まれていた
アルフレッドが正装をして部屋にやってくる 頗る機嫌が良さそうだ
(淫魔の魔王様、何時もの完全無欠の貴公子に戻ってる)
昨日の夜のことは内緒!アンプル追加で飲んだなんて絶対に秘密ですわ!
王宮に着くとパーティーに参加する身内とも呼べる方々と合流する
「アンジェ、まず最初にエティエンヌ殿下にご挨拶をしよう?」
アルフレッドに促され私達は第一王子殿下に頭を垂れた アルが簡単に挨拶を交わす
(良いのでしょうか?殿下にそんな簡単なご挨拶で?)
「お久しゅうございます エティエンヌ殿下 王室はお目出度い事続きでお喜びを申し上げます。」
「ああ、アンジー久しぶりだね?最近、会ってなかったからね。何ていうかそのとても美しくなったね。それはアルの所為だろう? アルフレッドはまったく昔から変わらないな」
と優しい笑顔を見せてくれた。この国の次期王太子様は今年21歳になられる立派な美丈夫だ
「大きなお世話です殿下。私がアンジェに夢中なのは分り切っている話でしょう」
アンジェリーナ達とは少し年が離れているので余り、一緒に遊んだ事は少ないが
未来の国王は流石に皆のお兄ちゃんという感じだ。顔立ちは王妃様に良く似ているが 髪の毛の色と瞳は陛下にソックリである。王家特有の燃えるような赤い髪とモスグリーンの瞳は代々受け継がれている。
そこでエティエンヌ殿下とアルフレッドは何やら話が有ったようなので
アンジェリーナは空気を読んでそっと離れた。
「ベアトリーチェ殿下も麗しゅうございます。ロートレック様とのご婚約おめでとうございます」
双子の妹殿下も2ヵ月後に婚約パーティーを控えている。
アンジェリーナの言葉にベアトリーチェは恥らうように微笑んだ
「有難う、アンジー。来年になったら私も王籍を離れて臣下になるわ。
ジョフロワ様を支えていけたら良いのだけど」
ベアトリーチェは双子の姉に比べると大人しい姫君だった
姉が兄やアルフレッド達との剣戯に夢中になっている頃、王宮に遊びに来ていたアンジェリーナやマリエッタと
お人形遊びに混ざったり、刺繍を嗜んだりしていた。お姫様らしいお姫様と言えよう
「ベアトリーチェ様なら大丈夫ですわ。私共もおりますし、ロートレック様を立派にお支えになりますわ」
ベアトリーチェ王女の婚約者のロートレック公爵嫡男、ジェフロワ様は確かマルグレーデス海洋警備団の副団長をなさっていたはず 大きな戦争とかはここ100年位起きてはいないが遠征とかで家を空けるほうが多いのだろう
屋敷を切り盛りしていくのはやはり女主人なのだ。王宮暮らしとは些か勝手が違うのが不安なのか。
「若輩者ながら、マリエッタと共にお力になりますわ 僭越ながらベアトリーチェ様もお姉様と思いお慕い申しておりますから」とアンジェリーナは微笑んだ。
その言葉に安堵するかのように笑みを浮かべた ベアトリーチェは国民から
Marguerite rouge(赤い雛菊)と言う愛称で親しまれている
雛菊の愛称の通り可愛らしい姫であった。 因みにもう一人の王女はHibiscus rouge(赤いハイビスカス) 一卵性の双子とは言え対照的な王家の赤い花の様な姫君達だった
(王族でもない私が言うのもなんですがマリーと同じで庇護欲をそそる方なんですよね~。守ってあげたくなるって言うか まあ、私とは正反対の方ですわね。私は可愛げのない顔していますからね)
「ところで シャルリーヌ殿下は如何なされましたか?見当たらないのですが?」
もう一人の姉殿下の姿が見当たらない。正式な晩餐会ではないと言えども如何したのだろう?
アンジェリーナが不思議に思っていると少し複雑な表情をし、こう答えた
「シャルは最初に決まっていた不死鳥騎士団の方に顔を出してから来ると言っていたわ。本当に困った子だわ。幾ら、サミュエルがいきなり決めたからとは言っても・・・」
ベアトリーチェ殿下は心なしか顔色が悪い 弟の内々定とは言え婚約の晩餐会よりも騎士団の約束を優先したのだから。 アンジェリーナは下手に返事を返せず曖昧に微笑むしかなかった。
そうこうしている内に陛下や王妃様そしてサミュエル殿下とマリエッタがホールに入ってきた
皆の視線が自然と若い二人に注がれる。初々しい二人はとてもお似合いだった。
これが本番の婚約披露パーティーでは無いのにとても嬉しい。
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