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第3章 嵐の中で令嬢たちは優雅に微笑む
陽はまた昇る
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ルイーズが王宮の牢に入れられてから何日たったんだろう?
流石に王宮の牢だけあって汚くは無いし寒さ暑さも無い 前世の映画とかで見た牢屋とはかなり違っていた
食事もきちんとしたものが三度、三度出されている。
最初の数日間は泣いたり叫んだりしていたが
誰も相手にしなかったので最近はめっきり大人しい。
一応、未成年で貴族の令嬢なので食事を運んだりしてくれるのは女性騎士が対応している。
おかしい・・・どうしてこうなってしまったのだろう?
私は只、乙女ゲームの主人公に転生してそれから素敵な王子様達と結ばれて出来れば他のイケメンにもチヤホヤされたくて私が一番可愛くて・・・
あの得体の知れない老婆にアイテムを貰ったのがいけなかったのか?
アンジェリーナが言った言葉が胸に刺さる
『これが貴女のご自分で選んだ物語』
可笑しいじゃない?!私はこんな惨めな物語なんて望んじゃいないわ
そう・・・私が思い描いていたお話と全然違いすぎるわ。
私 自身でバッド・エンドを選んだわけじゃないわ!
「ルイーズ=ボートリエ お前の処遇が決まった 出ろ」と何時もの女騎士が言った
薄暗い廊下を腰紐を付けて歩かされる 耐え難い屈辱である。違う建物に入りある部屋の前に来た
そして大きなドアが開かれ中に入るよう促される
其処で目にしたのはかなりやつれてしまっている自分の父母と義姉、義兄四人と司法局の司法官達が待っていた
「ルイーズ=ボートリエ そこに座りなさい」家族とは遠いところに椅子が用意されていた
彼女の犯した内容をを文官は只、淡々と読み上げていく
次期王太子になる第一王子殿下に対する不敬罪と侮辱罪、第二王子殿下に対する不敬罪と侮辱罪
貴族院議長の公爵家令嬢にたいする侮辱罪 宰相の令息にたいする侮辱罪 その他を読み上げた
「何ていう事を」父親であるボートリエ男爵は青ざめ頭を抱えた。母は憔悴しきっている
姉も兄も項垂れたまま動かない 二人はルイーズが学園で騒ぎを起こしたあの日から覚悟をしていた。
あれから何度も アリアーヌに取り成してもらおうと接触し頭を下げたが鼻で笑われた
それもそうだろう騒ぎの渦中にいるルイーズの態度を見ていればわかる。
そしてミラベルとオーラスまでもが学園で孤立をした。
虐め等なかったがアリアーヌの余波を恐れて人が意識的に近寄らなかったのである
そんな中で事あるごとに頭を下げる二人に対してアルフレッドは変わらぬ態度で接してくれた
「君達が悪いわけではない 妹の為に奔走している事も解っている」と優しい言葉も掛けてくれた
其れを見て少しずつではあるが普通に接してくれる友人もほんの少しだが増えてきた。
妹の事は残念だがもう手遅れと諦めている 自分達の気持ちが少しでもルイーズに通じていれば・・・
「ルイーズ=ボートリエ 君はまだ若いこれからの人生をウォーレン修道院にて女神に捧げて生きてください」
ウォーレン修道院 そこはマルグレーデス王国から遠く離れた孤島にある修道院
そこに入った女性は一生を女神に捧げ 祈り 奉仕活動をして生きる
入ってから最低、5年は面会も許されない
どうして 其処までとも司法局の司法官は思うが牢に入れられている間
ルイーズは泣き叫び悪態をついて反省の態度が一度も見られなかったのだ。
もしも、悔い改めた態度で過ごせばもう少し温情が下されたはずなのに
死罪では無かったと言う喜びとこれから先のルイーズの人生を思うと絶望的になった
「そしてエドメ=ボートリエ男爵 貴方はルイーズ=ボートリエの保護者として責任を負わなくてはなりません。
三年の領地にて謹慎処分にしょす。これは貴族院の命である。」
「謹んでお受けします」
貴族である以上貴族院の命に逆らう事等出来ない。あれだけ王族や最上位貴族に無礼を働いて爵位返上や領地没収にならずにすんだのは有り難い事だと思った。
(三年か・・・その間にオーラスに爵位を無事、譲れれば良いのだが)
母のアレットは夫である男爵に顔向けできないと離縁を申し出た。
自分の産んだ我子が仕出かした事についてとてもではないが顔向けできないからである。
死んで償いをとも思ったが男爵はもとより義理の娘や息子までもが止めた。
残された家族でもう一度家名を護って生きていこうと約束をした。
「なにそれ!何で私がそんな所に行かなきゃならないの?」ルイーズが堪らずに叫んだ
「女神に捧げて生きる?馬鹿みたい!一体、何時まで入るのよ?」
彼女は何も解っていない。少しでも国の歴史、宗教を勉強していればウォーレン修道院がどんな所なのか解る筈なのに 何も学んでいないのか?
先程、少し同情した司法官達は顔を曇らせた。
この娘は下位貴族だとしても貴族の嗜み、矜持については どうなっているのだろうか?
他の男爵家の家族はまともそうなのに。
「ルイーズ=ボートリエ 静かに。早速、明日ウォーレン島に出発しますよ」
「えっ、明日?荷物とかは?」いきなり言われて驚いたらしい 騒ぐのを止めた
「何も」
「何も?何よ?」
「荷物は一切要りません 貴女は身一つで宜しいんです 私物は一切、持ち込めません」
「如何いう事よ?本当に意味分んないだけど?」
「向こうに着けば解りますよ それでは」
ルイーズは来た時と同じ様に女騎士に連れて行かれる その際、家族の方を一度でもちゃんと見て頭一つ下げる事をしなかった。家族も誰一人、言葉も思い浮かばなかった。
それでも明日は続いていく 陽はまた昇るのだ
流石に王宮の牢だけあって汚くは無いし寒さ暑さも無い 前世の映画とかで見た牢屋とはかなり違っていた
食事もきちんとしたものが三度、三度出されている。
最初の数日間は泣いたり叫んだりしていたが
誰も相手にしなかったので最近はめっきり大人しい。
一応、未成年で貴族の令嬢なので食事を運んだりしてくれるのは女性騎士が対応している。
おかしい・・・どうしてこうなってしまったのだろう?
私は只、乙女ゲームの主人公に転生してそれから素敵な王子様達と結ばれて出来れば他のイケメンにもチヤホヤされたくて私が一番可愛くて・・・
あの得体の知れない老婆にアイテムを貰ったのがいけなかったのか?
アンジェリーナが言った言葉が胸に刺さる
『これが貴女のご自分で選んだ物語』
可笑しいじゃない?!私はこんな惨めな物語なんて望んじゃいないわ
そう・・・私が思い描いていたお話と全然違いすぎるわ。
私 自身でバッド・エンドを選んだわけじゃないわ!
「ルイーズ=ボートリエ お前の処遇が決まった 出ろ」と何時もの女騎士が言った
薄暗い廊下を腰紐を付けて歩かされる 耐え難い屈辱である。違う建物に入りある部屋の前に来た
そして大きなドアが開かれ中に入るよう促される
其処で目にしたのはかなりやつれてしまっている自分の父母と義姉、義兄四人と司法局の司法官達が待っていた
「ルイーズ=ボートリエ そこに座りなさい」家族とは遠いところに椅子が用意されていた
彼女の犯した内容をを文官は只、淡々と読み上げていく
次期王太子になる第一王子殿下に対する不敬罪と侮辱罪、第二王子殿下に対する不敬罪と侮辱罪
貴族院議長の公爵家令嬢にたいする侮辱罪 宰相の令息にたいする侮辱罪 その他を読み上げた
「何ていう事を」父親であるボートリエ男爵は青ざめ頭を抱えた。母は憔悴しきっている
姉も兄も項垂れたまま動かない 二人はルイーズが学園で騒ぎを起こしたあの日から覚悟をしていた。
あれから何度も アリアーヌに取り成してもらおうと接触し頭を下げたが鼻で笑われた
それもそうだろう騒ぎの渦中にいるルイーズの態度を見ていればわかる。
そしてミラベルとオーラスまでもが学園で孤立をした。
虐め等なかったがアリアーヌの余波を恐れて人が意識的に近寄らなかったのである
そんな中で事あるごとに頭を下げる二人に対してアルフレッドは変わらぬ態度で接してくれた
「君達が悪いわけではない 妹の為に奔走している事も解っている」と優しい言葉も掛けてくれた
其れを見て少しずつではあるが普通に接してくれる友人もほんの少しだが増えてきた。
妹の事は残念だがもう手遅れと諦めている 自分達の気持ちが少しでもルイーズに通じていれば・・・
「ルイーズ=ボートリエ 君はまだ若いこれからの人生をウォーレン修道院にて女神に捧げて生きてください」
ウォーレン修道院 そこはマルグレーデス王国から遠く離れた孤島にある修道院
そこに入った女性は一生を女神に捧げ 祈り 奉仕活動をして生きる
入ってから最低、5年は面会も許されない
どうして 其処までとも司法局の司法官は思うが牢に入れられている間
ルイーズは泣き叫び悪態をついて反省の態度が一度も見られなかったのだ。
もしも、悔い改めた態度で過ごせばもう少し温情が下されたはずなのに
死罪では無かったと言う喜びとこれから先のルイーズの人生を思うと絶望的になった
「そしてエドメ=ボートリエ男爵 貴方はルイーズ=ボートリエの保護者として責任を負わなくてはなりません。
三年の領地にて謹慎処分にしょす。これは貴族院の命である。」
「謹んでお受けします」
貴族である以上貴族院の命に逆らう事等出来ない。あれだけ王族や最上位貴族に無礼を働いて爵位返上や領地没収にならずにすんだのは有り難い事だと思った。
(三年か・・・その間にオーラスに爵位を無事、譲れれば良いのだが)
母のアレットは夫である男爵に顔向けできないと離縁を申し出た。
自分の産んだ我子が仕出かした事についてとてもではないが顔向けできないからである。
死んで償いをとも思ったが男爵はもとより義理の娘や息子までもが止めた。
残された家族でもう一度家名を護って生きていこうと約束をした。
「なにそれ!何で私がそんな所に行かなきゃならないの?」ルイーズが堪らずに叫んだ
「女神に捧げて生きる?馬鹿みたい!一体、何時まで入るのよ?」
彼女は何も解っていない。少しでも国の歴史、宗教を勉強していればウォーレン修道院がどんな所なのか解る筈なのに 何も学んでいないのか?
先程、少し同情した司法官達は顔を曇らせた。
この娘は下位貴族だとしても貴族の嗜み、矜持については どうなっているのだろうか?
他の男爵家の家族はまともそうなのに。
「ルイーズ=ボートリエ 静かに。早速、明日ウォーレン島に出発しますよ」
「えっ、明日?荷物とかは?」いきなり言われて驚いたらしい 騒ぐのを止めた
「何も」
「何も?何よ?」
「荷物は一切要りません 貴女は身一つで宜しいんです 私物は一切、持ち込めません」
「如何いう事よ?本当に意味分んないだけど?」
「向こうに着けば解りますよ それでは」
ルイーズは来た時と同じ様に女騎士に連れて行かれる その際、家族の方を一度でもちゃんと見て頭一つ下げる事をしなかった。家族も誰一人、言葉も思い浮かばなかった。
それでも明日は続いていく 陽はまた昇るのだ
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