未来の悪役令嬢

えりんこ

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第1章 プロローグですわ

粘り強さとしつこさは紙一重ですわ

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また、お会いしましたわね   アンジェリーナです

一抹の不安を宿しながら マリーに会いにモントローズ公爵邸に御呼ばれですわ
今日は侍女のジルを連れております 荷物が多かったのでジルには大変だったかしら?
「大丈夫です お嬢様のケーキ、マリエッタ様もアルフレッド様もお喜びになりますよ きっと」
何でそこでアルフレッド様の名前が出てくるのよ?マリーだけでいいじゃない
 
「ようこそ、アンジェリーナ様 改めて若君様とご婚約おめでとうございます  マリエッタお嬢様がお待ちでございます」
顔馴染みの家令は嬉しそうに言った 
「あっ、有難うお邪魔しますわね」
モントローズ家の家令に迎い入れられ マリーの待つ客室に案内される

コンコン 「マリエッタ様、アンジェリーナ様がいらっしゃいました。」
「どうぞ、お入りになって」可愛い声が聞こえてきた
「御機嫌よう、マ、マリー??」 いきなり抱き疲れましたわ。
熱烈な歓迎に少し戸惑っていると 
「お嬢様、はしたないですよ?」と家令のアクスが非難の声を上げるが
本当に咎めていないのは表情を見てわかる。 彼もマリエッタが可愛いのだろう

「申し訳ございません  アンジー様 私、嬉しくって」  
はあ??お姉様?? 花のような顔でマリーが話しかける
「だってお兄様と婚約なさったのでしょう? なら、私達はもう姉妹だわ」   
いや、マリーさん 私達同い年のはずですわ・・よね?
こんな可愛い子からお姉様なんて 嬉しいですけど 違う 違う そうじゃない

私の動揺を照れていると勘違いしたのか マリエッタは傍付きの侍女にお茶をお願いしてから
二人きりにしてくれるように申し付けた。

「こ、これ 前に伺ったときにマリーが美味しいと言って下さったベリーのタルトとガトーショコラですわ
一杯持ってきたからモントローズの皆様で召し上がってくださいな」
ジルがケーキの入った箱を恭しく取り出してモントローズ家の侍女に渡す
マリーは目を輝かせた 宝石の様なケーキ達にウットリする

「うわー、有難うございます。アンジェリーナおねえさまのケーキは王都でも評判で中々、手に入らないんですよ 勿体無くて食べられないわ」
「食べて頂かないと困りますわ  マリーに召し上がって頂きたくて作ったのですから」
二人は顔を見合わせて微笑む どちらのお嬢様も愛くるしく素晴らしいとお茶の支度をしながら侍女は思った

ジルにも退席を促がす  「それでは何か御用の際は御呼び下さい」 
広い部屋で二人きりになった それを見届けてから堰を切った様にマリエッタが話し掛けてきた

「何時からお兄様と婚約しても良いと思っていたの??」

「マリー止めてよ、私にだって良く分かないままいきなりの婚約ですわよ?こっちが知りたいものだわ。
第一、あの、様が何の魂胆を持たずに婚約すると思う?背後にはあの宰相様がいらっしゃるのよ ああ、御免なさい 貴女の父上でもありますのよね。腹黒親父なんて言いませんわ 思ってても
本音を言えば何方ともまだ婚約なんてしたくなかったのに! どうしてこんな事になったのやらこっちが教えて頂きたい位よ」

アンジェリーナ自身も一度話し出したら止まらなかった。
いつの間にか淹れてもらったお茶を飲み干していた  それに気が付いたマリーが侍女を呼び
淹れ直したお茶を注いでもらい 二人は又、語らいだした

「 私に気を使ってとかじゃなくて?」
あら?どうして?  一体何を言い出すのかしら?
「何の事かしら?なんでマリーに気を使うのかしら?」 意味不明だわ
「私とサミュエル様にも婚約話が出ているから アンジーが私の為に身を引いてお兄様と婚約したかと思って」

なんて事を仰るのかしら!!その言い方だと私が第二王子サミュエル様の事好きを前提じゃありませんか?  嫌いじゃ有りませんが それは友人のライクでありけしてラブではないですわ

そもそも、アルフレッド様だってラブではございません。絶対にですわ 七歳に色恋沙汰は早すぎますわ

せっかく転生したのだからゆっくりと大人になりたかったです。貴族じゃなければ良かったのに。
そうよ、そしたら(悪役令嬢疑惑なんて起こらなかったのに)

「あのねえ、マリー」言いかけたと同時に会いたくなかった貴公子腹黒ショタが扉を開けた

「来ていたんだね アンジェ 水臭いな~ 婚約者に何も言ってくれないなんて」
来ていたなら呼んでくれれば良かったのにと あの時の悪夢のお茶会のようにソファに腰を落とした
どうして当たり前の様に私の隣に座っていらっしゃるのかしら?

(出来ればお会いしたくなかった・・・ ですわ)

私は女優・・私は女優 今こそ 千の仮面を被るのですわ  

「ご機嫌麗しゅう アルフレッド様 申し訳ございません 本日はマリー様のお招きでしたので」
微笑を絶やさぬ様、少しツンとして慇懃無礼に答えてみる。

(少し悪役っぽかったでしょうか? こんな悪役令嬢なんて嫌だと思われたらこっちのものですわ)

「色々、お互い忙しくて中々、会えなかったけど 日々思いは募るようだよ 会えない時間が愛を育てるって本当なんだね。 愛しのアンジェ」 
何時もよりバージョンアップしている・・・・寒気が・・・・
  
言い切ったよ 僅か10歳のショタのくせして砂糖を吐きやがりましたわ 生意気でございますわ
会えない時間が愛育てるのは GO!! だけで十分ですわよ 知っているのかしら この腹黒ショタ

マリエッタは自分の兄の言葉にウットリしている。マリー貴女だっていつもいつもアルフレッド様に
振り回されている被害者じゃないの? 騙されてはいけませんわよ~~~~~~

この国でも珍しいヴァイオレットの瞳が怪しく輝く 
結婚ゴールまでは長いからね その間に君を僕一色に染めたいんだよアンジェ」 
もうこの場にから帰っても宜しいでしょうか?
てか、帰りたい マリーには悪いけど 帰らして下さい

もう一度言います

(逃げても宜しいでしょうか?)


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