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祈り

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ブチの社につくと、ミコは黙って手を合わせた。
この村が無くなってしまうのは嫌だ。
大好きな人たちが死ぬのは、もう嫌だ。
そこに、血相を変えたブチが戻って来た。
ブチは無言で、社の中に入ってしまった。

「ブチ様、どうされた?」

心配そうに中の様子を伺うミコ。
社の中では、膝を抱えたブチが震えていた。

「あんな・・・」
「え?」
「あんな恐ろしい奴が相手じゃ、何も出来ん!」
「・・・・・?」
「ミコ、お前も早く逃げろ。戦になる前に!この辺りもじきに、戦に巻き込まれる!」
「ブチ様、何とかして下され」
「祈っても無駄じゃ!わしには、何の力も無い!」

その時、突然、後ろから声をかけられた。

「ミコ」

ミコが振り向くと、そこには十数人の村人たちがぞろぞろと集まって来ていた。

「なんじゃ?」

ブチが様子を伺うと、村人たちは社に手を合わせ、拝み始めた。

「こんな神様でも、わしらの土地神様じゃ」

次々に社の前に跪いていく村人たち。

「神様、どうか、この村をお守り下され」
「村が・・・家族が・・・戦に巻き込まれませんように・・・」
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