15 / 29
その程度の芝居では
しおりを挟む
「サロメ」は、翻訳家、また演出家の島村抱月と、主演女優松井須磨子のコンビの代表作の一つである。
その芝居は、贔屓目に見ても圧巻と言って良かった。
自身も深く感動をしながら、佐々野は黒木に尋ねた。
「・・・如何ですか?」
しかし黒木は、平静を装い、何事も無かったかのように吐き捨てた。
「・・・その程度の演技をする女優なら、履いて捨てる程いる。帰りたまえ」
「何だと?」
怒り、黒木に掴みかかる須磨子。
その場を収めようと、リュウタロウも助け船を入れようとした。
「社長、僕は今の芝居、良かったと思いましたが」
黒木はその言葉を無視して、リュウタロウを捕まえた。
「リュウ君、君は早くスタジオに戻るんだ。収録が始まるぞ!」
「あ・・・はい。そうだった!」
慌てた様子で去って行く二人。
残された佐々野と須磨子は、作戦を練った。
「手詰まりですね。何とかその、上原先生に会わせてもらえる方法はないかなあ」
「須磨子に良い考えがある。ついて来い。佐々木」
「佐々野です。良い考え?・・・もう、強引なんだから!」
言う間に走り去った須磨子を追う佐々野。
その芝居は、贔屓目に見ても圧巻と言って良かった。
自身も深く感動をしながら、佐々野は黒木に尋ねた。
「・・・如何ですか?」
しかし黒木は、平静を装い、何事も無かったかのように吐き捨てた。
「・・・その程度の演技をする女優なら、履いて捨てる程いる。帰りたまえ」
「何だと?」
怒り、黒木に掴みかかる須磨子。
その場を収めようと、リュウタロウも助け船を入れようとした。
「社長、僕は今の芝居、良かったと思いましたが」
黒木はその言葉を無視して、リュウタロウを捕まえた。
「リュウ君、君は早くスタジオに戻るんだ。収録が始まるぞ!」
「あ・・・はい。そうだった!」
慌てた様子で去って行く二人。
残された佐々野と須磨子は、作戦を練った。
「手詰まりですね。何とかその、上原先生に会わせてもらえる方法はないかなあ」
「須磨子に良い考えがある。ついて来い。佐々木」
「佐々野です。良い考え?・・・もう、強引なんだから!」
言う間に走り去った須磨子を追う佐々野。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
【完結】婚約者に忘れられていた私
稲垣桜
恋愛
「やっぱり帰ってきてた」
「そのようだね。あれが問題の彼女?アシュリーの方が綺麗なのにな」
私は夜会の会場で、間違うことなく自身の婚約者が、栗毛の令嬢を愛しそうな瞳で見つめながら腰を抱き寄せて、それはそれは親しそうに見つめ合ってダンスをする姿を視線の先にとらえていた。
エスコートを申し出てくれた令息は私の横に立って、そんな冗談を口にしながら二人に視線を向けていた。
ここはベイモント侯爵家の夜会の会場。
私はとある方から国境の騎士団に所属している婚約者が『もう二か月前に帰ってきてる』という話を聞いて、ちょっとは驚いたけど「やっぱりか」と思った。
あれだけ出し続けた手紙の返事がないんだもん。そう思っても仕方ないよでしょ?
まあ、帰ってきているのはいいけど、女も一緒?
誰?
あれ?
せめて婚約者の私に『もうすぐ戻れる』とか、『もう帰ってきた』の一言ぐらいあってもいいんじゃない?
もうあなたなんてポイよポイッ。
※ゆる~い設定です。
※ご都合主義です。そんなものかと思ってください。
※視点が一話一話変わる場面もあります。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる