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3.ステータスという名の性癖
しおりを挟む音楽が途切れ辺りが静かになる。おそるおそる目を開けると、目の前には半透明の板が浮いていて、そこに「ミランマイレン王国 王城内 召喚の間」と書いてある。確かになんかゲーム仕様っぽい。俺は良く分からない文字がびっしりと書かれた丸い台の上に立っていた。
呆然としていると辺りから男たちの野太い歓声が響いた。口々に「成功だ!」「勇者様だ!」「やったぞ!」と歓喜の声を上げていた。しっかりと言語理解が発動してる。俺が呆然と辺りを見回していると、ざわめきをかき分けて一人の男が俺の前に出てきた。
「導きに感謝を、勇者様。私はこのミランマイレン王国魔法省の長 カイノミと申します」
黒いフードをとりながら恰幅の良いおじさんが俺に傅いた。それに合わせるようにざわめいていた人たちも一斉に傅く。
「あーどうもー」
なんとか場を把握しようと、辺りを見回す。壁は石を積んでできた堅牢な作りのようだ。俺のいる丸い台座は彼らの目線の高さ。魔法省の長と名乗った彼はここで一番偉い人だろう。よく見ると、彼の横には「カイノミ:目隠し・対面座位」と書いてある。これは早速鑑定の力が働いているみたいだ。目を覚ましたばかりだが意識が飛びそうになった。
そして、ここに来る前に見えた。ロゴ 「召喚勇者は異世界で最愛と出会う」という文字。あれがタイトルで間違いなくここはゲームの世界だ。
そこへ、勢いよく扉を開けてイケメンが3人が入ってくる。彼らは台座近くまで来るとにっこりと笑う。
「私は第一王子 ハーツです」
「俺は第二王子 ミスジだ」
「ぼくは第三王子 サガリだよ」
彼らが名乗ると彼らの頭の上にポワンと四角が現れて。「ハーツ:言葉責め 背面座位」「ミスジ:処女厨 正常位」「サガリ:玩具 騎乗位」と書いてあった。
宇宙に浮かんだ猫の顔しかできない。
カイノミが立ち上がってこちらに不敵な笑みを向けていた。
「勇者様、まずはお名前を伺っても?」
名のればきっと俺のステータスという名の性癖が暴かれるんだろうか。ありえない。
「個人情報だから」
「ホゥ・・・」
カイノミの視線が俺の斜め上を見た。「コジン・ジョウホウ:童貞処女」名前みたいになってる。って偽名でも出ちゃうのかよ。くっそ。ミスジが嬉しそうに笑ってやがる。
「コジン様。どうか、王子たちの一人を選び、魔獣王を倒してこの世界をお救い下さい」
魔獣王……?そんなの聞いてない。
どれを選びますか?
▷クール
熱血
ショタ
カプセル系モンスター仕様かよ。目の前の四角が不穏な選択肢を表示する。
3人の王子たちがキラキラした目でこちらを見ている。いや、ギラギラだ。これ選んだら強制的になんか始まる気がする。
「お断りします!」
俺はその場から身体強化魔法と風魔法を使って逃げた。
城から出て目の前に広がる街を見ると。「ミランマイレン王国。国民全員が男、愛の女神を崇拝する宗教国家」と四角い板が見えた。
まさしくここが、女神の用意したBLゲーム世界であることは理解した。
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