神々にもてあそばれて転生したら神様扱いされました。

神話編

参謀長は予言に惑わされない

　

　皆、ラファエラの言葉に力なく床に倒れ込むと作戦室には現場の音声

だけがいくつも流れ、もう何もかもが終わったような気持ちになって

いった。そんな中でマラエカ一人が冷静で、軽口を叩く。

「ちょっと、大隊長。いい加減にしてください。よくそれで大隊長になれましたね？」

「煩い。黙っていろ…。」

はぁ、と溜息を吐くとマラエカはマーカーで壁に文字を書きだした。

『蓋をしてとじこめるのか』
『膿を出しきるか』

そして、ペン先でトントンと文字を示すと自身の考えを話し出す。

「要は、結界が維持されれば良い、もしくは中身を一か所に集められたら良い。そういう事ですよね？」

マラエカのいつも通りの声色が、寧ろ希望があると言っている様に

聞こえる。

「そもそも、西の泉ってあれですよね？フレ湖の事ですよね。何年前か知りませんけど泉から大量の水が湧き出し湖になったって言う。」

「あ…あぁ。そこ以外の神殿の泉やらは全て調査して、グレースの調和が届いた事を確認している。確認が取る事が出来ないのはそこだけだ」

ふむ。と顎を掴みながら考えるマラエカに誰もが次の言葉を期待して

いる。

「湖の中に源泉がある。そんなに大きな結界で覆わなくてもそこだけ塞げばなんとかなるのでは？まぁ無理なら他の方法を試すとして。」

「結界が必要なのは、淀みの中の者を出さない為で、淀みの中の者を出したいのはオルポーツ様。なぜならテュルケット神を復活させたいから。」

マラエカは眼鏡をクイっと上にあげると、ビクトラ達に氷の微笑みを

見せた。

「ならいっその事テュルケット神の神体を器にして流し込みましょう！」

「淀みの中に居る者達はテュルケット神を恨んでいるんですよね？邪神になった位ですしね？」

「あ…あぁ。そ…そう聞いた。」

「なら、神体の中で殺し合ってくれるかもしれませんよ？残った者を私達が葬れば良い。違いますか？」

「そ、んな…簡単には、いかないので…は？」

「そりゃなんだってそうですよ。けれど、テュルケット神がオルポーツ様側に付くのと、邪神を相手にするのではリスクが違います。邪神は魔獣と変わりませんよ。それにその神体に淀みが流れ込んだ時点でパンドラの箱になるのですから。オルポーツ様自身がどうなるかわかりませんよ？仲間になったと思ったとたんに殺されたりして！」

「テュルケット神だけが入ったらどうする？」

「だから、全て流し込むんですよ。膿を出し切りましょう。」

その言葉にビクトラ達の目の色が変わるのを、マラエカはやれやれと

首をコキコキと鳴らしながら笑って見つめた。

「さぁ、皆さん。そんな所にへたり混んでいる場合ではありませんよ。まず誰かソレスに連絡を繋いでください！」

「四聖獣と同一化する前に止めなくては！」

「あ、勿論都様をお救いしますよね？我々クラリス帝国の主神なのですから。」

「「当たり前だ‼︎」」

勢いを吹き返したビクトラ達は全ての作戦の一次中止を決め、オル

ポーツの作戦に乗る事にした。