上 下
90 / 200
東のガーライドナイト領

黒歴史に追加された1ページ

しおりを挟む

 あれから部屋にマルスを残し、俺は一人でガーライドナイト領の街に

出かける事にした。とりあえず一人になって考えたかった。

何をどう考えたってマルスへの対応はアリかナシで言えばナシ

なのだが、俺はそれをアリだと思っているという事に驚いている。

「あれ?俺ってばヤバくないか?自分を神だとかって一瞬思ってたよ。怖っ!!!」

急に現実に引き戻されたからか、顔面に血が集まっていくのが分かる。

あー…穴があったら入って上からセメント流し込んで消えてなくなり

たい!!中学以来の黒歴史‼︎恥ずかしくて屋敷に帰れないよ‼︎

――― まぁまぁ。黒歴史はどこの世界に居たって生まれるもんだよ、
都。

――― あの時、グレースと都は同時に表に意識が出ておった。故に自身では有り得ないと感じるのだろうな。

「え?どういう事。グレースも出てきてたの?」

――― いや、俺は都を通してマルスを見てた。出たつもりなかったんだけどな。

「という事はあの制裁はグレースか。なら納得。良かった、良かった。」

正直、あんな対応を自分が本気でしていたかと思うとゾッとしたし、

自分の性癖を疑ったよ。けれど、グレースがやったと言われれば

なる程な、と納得してしまった。

――― おい失礼だな。確かにあれ位ぐっちゃぐちゃのどっろどろに泣かして、本気で殺してやろうかと思ってたけどな。

「俺の性質とグレースの性質が中和されてああなった…と。にしても、やり過ぎた。今更言っても遅いか…あの事は忘れよう。無かったことにしよう。」

都は全ての責任をグレースの対応だったと自身に言い聞かせ、気持ちを

切り替える事にした。そうしなければ、いくらマルスの心を折る為とは

言えあの様な仕打ちをした自身が許せなくなりそうだったからだ。

「それにさ、調和が出来たっていうのに俺、全然スッキリしてないんだよね。」

――― まぁエルザードの事だ。なにかしらテュルケットの裏を読んで仕掛けてそうではあるな。

「それにさ、これって常時発動型の権能なのかわかんないけど。俺にガンガン魔粒子ぶつけてきてるのって白使いなのかな?至る所に居るね。彼ら、神官じゃない、声が聞こえるんだ通信みたいな。」

――― なぁ、不思議なんだけどさ。なんで都だけ使えるんだ?俺に使えるのは調和と神力使う位だな。

――― 権能を渡されたのが都の魂だからだろう。お主は都から生まれた魂。権能は引き継いでいない。

――― そっか。残念。まぁ、調和と神力が使えれば問題ないけどな。

「悪いな、でもグレースも使えてたら俺が中に居ても対応できるかもしれないんだけどな。残念だ。」

――― いや、問題ないよ。俺は多分直感系だから。テュルケットやエルザードのトラップの事ラファエラの記憶と予言書から探して都に伝える事メインに動こうと思う。ま、夜になったらチェンジな!

「ははは!どっちも助かるよ。」

今までも、白使いが周りに居た事には気付いていたし、サリザンドも

かなり警戒していた。けれど、直接何かを仕掛けてくるでもなく、

ただ遠巻きにこちらの様子を伺っているだけだったから放置していたけ

れど、一昨日の調和以降、白使いの攻撃的な雰囲気が強くなった様な

気がしてるんだよな。何が目的で誰に指示を受けているのか。分からない

事だらけだから、皆んなに相談して決めるか。

「ラファエラ、俺早く権能や神力を自在に扱える様になりたいんだ。どうすれば良い?」

——— うむ、では明日から権能を試してみるか。ここではまずいだろうからな。我も試してみたい事がある。

「分かった。宜しく頼むな、ラファエラ。」

毎回、毎回ぶっ倒れてルーナやサリザンドの世話になるのはもう嫌

だしな。この星と地球の崩壊の要因を潰した、後は本教会と各領地での

調整をして、エルザードとテュルケットの事を今一度調べよう。

そして都は今は目を瞑ろうと、物陰に隠れる白使いに目をやった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

強制悪役令息と4人の聖騎士ー乙女ハーレムエンドー

チョコミント
BL
落ちこぼれ魔法使いと4人の聖騎士とのハーレム物語が始まる。 生まれてから病院から出た事がない少年は生涯を終えた。 生まれ変わったら人並みの幸せを夢見て… そして生前友人にもらってやっていた乙女ゲームの悪役双子の兄に転生していた。 死亡フラグはハーレムエンドだけだし悪い事をしなきゃ大丈夫だと思っていた。 まさか無意識に悪事を誘発してしまう強制悪役の呪いにかかっているなんて… それになんでヒロインの個性である共魔術が使えるんですか? 魔力階級が全てを決める魔法の世界で4人の攻略キャラクターである最上級魔法使いの聖戦士達にポンコツ魔法使いが愛されています。 「俺なんてほっといてヒロインに構ってあげてください」 執着溺愛騎士達からは逃げられない。 性描写ページには※があります。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

王道学園なのに、王道じゃない!!

主食は、blです。
BL
今作品の主人公、レイは6歳の時に自身の前世が、陰キャの腐男子だったことを思い出す。 レイは、自身のいる世界が前世、ハマりにハマっていた『転校生は愛され優等生.ᐟ‪‪.ᐟ』の世界だと気付き、腐男子として、美形×転校生のBのLを見て楽しもうと思っていたが…

主人公の兄になったなんて知らない

さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を レインは知らない自分が神に愛されている事を 表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346

ヤンデレBL作品集

みるきぃ
BL
主にヤンデレ攻めを中心としたBL作品集となっています。

転生したら同性から性的な目で見られている俺の冒険紀行

BL
ある日突然トラックに跳ねられ死んだと思ったら知らない森の中にいた神崎満(かんざきみちる)。異世界への暮らしに心踊らされるも同性から言い寄られるばかりで・・・ 主人公チートの総受けストリーです。

ムッツリ眼鏡、転生したらモブのボスになりました(汗)

狼蝶
BL
モブおじさんになりたい自称ムッツリ眼鏡、青津。彼は自転車通学中に交通事故に遭い、最近ハマっていた『モブ族の逆襲』という漫画のしかもモブ族の長に転生してしまっていた!!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

処理中です...