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東のガーライドナイト領

何が出るかな?

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 今朝方の衝撃も冷めやらぬまま、ピッヒや鉱山管理人達は

グレース等一行と鉱山入口があったはずの場所へ向かう。

揺れる馬車の中で最善と最悪をそれぞれ考えているのか、誰も何も言わ

ず元鉱山入口に到着した。そのキラキラと光を反射して領地西側の大部

分と、隣接するサムオール領の東側に跨る宝石の様な元鉱山に皆どうす

べきなのか考えあぐねている。そして口元に手を当てたり、頭を掻いた

りと三者三様に戸惑いを見せた。

本当、ナニコレ。半透明で色々な色がオーロラみたいに蠢いて奇麗

だけど、なんだか怖い。それに魔粒子の質というか濃度が濃すぎて

鳥肌がすごい。でも、昨日の重苦しくて肺を圧迫する感じはなくて、

寧ろ空気が澄んでいる感じがする。

「魔粒子パネェな。昨日までどうだった?ルーナ。俺の体感だとかなり白魔粒子多くて俺は息苦しかったんだけど。」

「そうですね、昨日の数値で行くと白57%、赤10%緑15%青8%、他の色光は5%を下回ってました。今は、、、」

ルーナは計測器を取り出し、黒魔粒子が入っている瓶を懐から出すと計

測器のシャーレのような器部分に放出させて計測器を起動させた。

するとブゥンと音が鳴り、レーザーのように色々な色の光線が計測器を

起点に縦横無尽に動き回って空気中の魔粒子量を測りだした。

「えっと、白が19%、黒が20%、赤10%、緑13%、青12%、黄10%、赤紫11%、他5%って感じですかね。」

その数値にサリザンドと神官等は顔を見合わせ、驚愕の表情でその輝く

塊を見上げた。この数値は白魔粒子が大幅に抑えられ、まさしく

魔粒子のあるべき形へ整えられて“調和された”という事に他ならない。

グレースはその数値がどういう意味を持つのか、はっきりとは理解でき

ていなかったが自身が調和を行えたという事実に満足して胸を張った。

「どーよ!俺様の調和!昨日頑張ったもんね!」

グレースに抱きつかれた朱雀もまた、子犬のじゃれ合いの様にはしゃい

でいる。グレースは頂上を指さし、あそこからこの塊の中は見えるの

か?そんな思い付きを話した。朱雀は見てみようと羽を広げて山の上を

目指して飛翔し、上から何かしらの鉱物の塊と化した元鉱山を見下ろし

て、中を探る。

「グレース!中に誰かがいるぞ!」

「え!?なんて?聞こえない!」

「だから!中に人がいる!」

「え?もう一回!聞こえねーっての!」

そんな不毛なやり取りを見かねたビクトラが咆哮をあげて叫んだ。

「朱雀!降りてこい!!」

朱雀は何故怒られているのかわからずに不機嫌になりながら降りてき

て、鉱石の山の中に人がいると驚いていた。

「こんなかだべか?」

ソレスは目を見開いて驚き、鉱石の岩肌をペシペシと叩いて。

「誰だべ?取り残されただか?」そんな事を呟いている。

「うむ。人の子がいた。女子の様にも見えたし、男の様にも見えなんだがあそこまで細っこいと分らんな。」

グレースは驚いた。そして一つの可能性を都に問いかけた。

――― 都!それってアマルマの娘か、テュルケットが連れてきたっていう人の子なんじゃないか!?

――― そうだね、その可能性はあるかも。妖精と結婚したっていう女神が娘さんで、生き物として最初の伴侶の男の子だっけ?

――― そうそう。生きて、、、いるのかな?

――― いやぁーー流石に。ないよね!?ないよね!?だとしたら超ホラーなんですけども!!!

ぶつぶつと呟くグレースを見て、皆答えを求める様な眼差しを

向けている。

あーーやばい。サリザンドの目がやばい。未知の生き物、

これNGワードだよ。こっち来てるなー嫌だなぁ。

案の定、『都に代わってくれ!』と懇願してきたサリザンドの

目の色がおかしいとグレースは都を引っ張り出して、自身は神核の

中にトンズラした。

「都!女というのは、君の元の身体なんだろう?始まりの人と同じ身体の作りなのだろうか?都、どうなんだ?」

ぐいぐいと都に顔を近づけるサリザンドを押し返し、苦笑いしながら

都はサリザンドに応えるしかないかと大きく溜息をついた。

「そうだよ。私と同じ身体してる。でも、男性、、その、、アレはないけど。」

「そうか!どんな特徴があるんだ?我々が出産するのとは違うのだろうか?ふむ。都、今夜見せて教えてくれ。いいな?」

ちょっと!ちょっと!そういうお誘いは二人きの時にやって欲しい!!

みんな見てるから!

サリザンドといい、朱雀さんといい、それでビクトラさんも含めて

こういう誘いを公衆の面前でするのを本当に止めて欲しい!

グレースも受けちゃうからなぁーー。弊害が酷い!

「はいはい、今夜話をしましょう?それよりも、中に入る方法見つけないと!」

とりあえず、中に入れる入口が無いか確認しなきゃね。

昨日まであった坑道入口は無くなってるし、叩いてみてもダイヤとか

水晶みたいな感じで割れる気配もない。うーん。困ったな。

「グレース、どう思う?」

――― うーん。これってやっぱり魔粒子の塊なのかな?
――― 鉱山の中にあったのか、下から出てきたのか。どっちだろうな?

「そうだよねぇ。権能でこれ何とかできるのかな?」

――― そういえばさ、なんだっけ?須佐之男命の持ってたやつ

「なにそれ。知らない」

――― 破壊に特化したやつ。あれ使ってみたら?

「使ってみたらって結構無茶言うね。」

――― なんつったっけな。月読命に教えてもらったんだよね‘破’だったかな?

「は?破?なんじゃそりゃ」

都が言葉にした途端、手で触れていた部分が爆発破壊され、あまりの

衝撃に都は茫然と地べたに座り込んでしまった。

破壊された側面からから見えたのは、空洞となった内側とその中に

一人の少年が立っている姿であった。

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