上 下
180 / 200
閑話

子の心、親知らず

しおりを挟む

「なー、都。これでよかったのか?別にさー交代して会ってたらよくなく無いかい?」

ーーーん~?何が?

「何がって。ルーナの事だよ。」
「今日の会議の″お茶にさそって~″っアレだろ?合言葉。」

ーーーあー。うん。まぁ、挨拶程度の事だよ。どうこうするつもりは無いし。

「なんでよ。俺みたいに抱かれたい、抱きたいときはそうしたらいいじゃないか。ありがたいことにさ、それを望んでくれる奴等がそばにいる。」

ーーーんーー、なんていうかさ。心が若返ってくれないのよね。

「は?」

ーーー 43のまま。子供いたから心が母親なのよ。男性見ても心が動かない。花ってさ、実をつけたら枯れるでしょ?それ以上求める必要が無いから。そんな感じ。子供の成長見守って、後は静かにきえるだけ。

「もう、そんな環境から外れてしまったのに、囚われてどうするんだよ。このまま43のままで生きてくのか?」

ーーー 恋したい!ってならないんだもん。こればかりはねー。私だって心が若返ってくれるならそれも良いとは思うんだけどさ。

「わかった。好きにしていいよ。これ以上は俺も何も言わないから」

ーーー ごめんね?ありがとう。

「でも、たまに。たまにでいいんだ。ルーナと会ってあげてよ。」

ーーー なんで?私超恥ずかしくて会いたく無いんだけど。

「あいつ、都にマジになってる。俺は狂ってるから分かるんだよ。」
「狂うやつってのがどんな顔をするのか。」

ーーー やめてよ。私の中にそんな狂った部分があるなんて知りたく無いんだけと(笑)

「もう俺と都は別なんだから、気にしないでよ。」

ーーー 寂しい事言うねー。息子よ。

「誰が息子だ!俺の都は可愛い母ちゃんだよ。」

ーーー 母ちゃんなんじゃん!母ちゃんか。いいね。ママ呼びよりそっちが好きだわ。

「母ちゃん、43で女になっても誰も咎めないよ。」

ーーー ははっ!いや、私が気にする。

「囚われてんな。ま、ゆっくり解放しようや。俺達も永きを生きる生き物になっちゃったんだし。」

ーーー そうだね。そうなるといいね。




「グレース様、今朝の健診です。色見ますね。」

「あぁ、頼むよ」

この二人の間で耐えるのツラ!ルーナの無言が!!重い!!

はぁ。おれの母ちゃんは理性が強いからな。

俺が何とかしなきゃなのかな?

はい、交代ー!

「っ!!」

急に動いたグレースにルーナがチラリと顔をみた。

「なんっで!!戻して!!」

バタついて後ろに後ずさる都にルーナは訝しげな顔をする。

「あ、あの!あ。ちょっ!まーてーよ!むーりー」

更にルーナの顔が厳しくなる。

「グレース様?大丈夫ですか?」

顔を真っ赤にしたグレースに、ルーナがにじり寄る。

「都?」

ボッと赤くなった顔を見てルーナは都を抱きしめた。

「はっ!ははは!嘘みたいだ。こんなに早く2人きりで会えるだなんて。」

「会いたかった。会いたかったんだ。本当に。」

「グレース様の顔を見るのも辛かった。そして大隊長や、朱雀さんと居るのを見るのも!あぁ、嬉しい!また、会えたね!」

「っっ!じゃ。あ、会えたし!またね?」

「っ!都!!」

ーーーー グレース!グレース!ひどいじゃない!

「あぁー。ワリ。都引っ込んじゃった。」

「グレース様?」

「あからさまに嫌そうにするなよ。俺だって、都に幸せになって欲しいんだ。だから、健診の時は出来るだけ代わるから。」

ルーナの顔が綻んでいく。いいな。こういうのを見るの。

これも幸せの一部なんだろうな。

「本当に明日も会えますか?」

「あぁ約束するよ。俺の母ちゃん、幸せにしてやってよ。」

「はい。俺の全てで愛します。」

「難易度高いだろうけど、協力するから。頼むな、俺の半身を。」

「はい!」


ーーーー グレース!出ません!母ちゃんは絶対出ません!

「クククッ強がっちゃって。」

「え?何か都が言ってるんですか?」

「超照れてる。会わないって照れて隠れてる!可愛いなー都。」

「ははっ!そう、ですか。照れてるんですね。脈はあるのかな」

「いや、まだそこまではないな。」

「ちょっと!そこで落とさないでよ!」

「あいつさ、前世で子供がいたんだ。俺の子供でもあるけど。」

「だから。母親のままなんだ。心が。」

「ちょいちょい旅先でデートにでも誘って進展させろよ?」

「なるほど。分かりました。そうですね、催淫材とか準備しときます。」

「いや、そこまでしたらアウトだよ(笑)お前もリャーレやヴィクとかアガットに好きなやつ落とす落とし方習っとけよ。」

「おぉ。隊長役に立ちますかね?あの人朴念仁ですよ。でも、わかりました!頑張ります!あ、でも、頼みますから俺以外のいる場所で都出すのやめてくださいね?昨日の会議マジ地獄だったんで。」

「仕方ねーじゃん、都が出たがったんだもん。それに、合図もあったろ?」

フフっとルーナは笑って目を細めた。


それから毎朝、ヴィクや朱雀、アガットを追い出してルーナの健診を

受けた。最初は1分も耐えられなかった都も少しずつ慣れて来て、

今では30分も話をしている。

まだ、身体は許せないみたいだけど、ルーナは気にしないと言ってた。

ただ、話が出来て笑った顔が見れるだけで幸せだからと。

俺の所為で押し込めてしまった都が、誰かと触れ合える事を

幸せに思ってくれたら、俺は本当に嬉しい。

まだ、二人は始まったばかり。

いつかは皆んなで幸せになれる日が来たらいいなと思う。

本能と欲望しか無かった俺に、幸せを与えたいと思えるように

なったのは良いことだろ?それに、俺はビッチじゃない!

愛したい奴が3人いただけだ!そこ、誤解して欲しくないね!

俺の親孝行、届くのかね?これ道のり遠そうだなー。

ルーナ頼むからヤンデレにはなるなよ。都はそういうの多分無理だから。

溺愛ルートで頼むな!

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

強制悪役令息と4人の聖騎士ー乙女ハーレムエンドー

チョコミント
BL
落ちこぼれ魔法使いと4人の聖騎士とのハーレム物語が始まる。 生まれてから病院から出た事がない少年は生涯を終えた。 生まれ変わったら人並みの幸せを夢見て… そして生前友人にもらってやっていた乙女ゲームの悪役双子の兄に転生していた。 死亡フラグはハーレムエンドだけだし悪い事をしなきゃ大丈夫だと思っていた。 まさか無意識に悪事を誘発してしまう強制悪役の呪いにかかっているなんて… それになんでヒロインの個性である共魔術が使えるんですか? 魔力階級が全てを決める魔法の世界で4人の攻略キャラクターである最上級魔法使いの聖戦士達にポンコツ魔法使いが愛されています。 「俺なんてほっといてヒロインに構ってあげてください」 執着溺愛騎士達からは逃げられない。 性描写ページには※があります。

王道学園なのに、王道じゃない!!

主食は、blです。
BL
今作品の主人公、レイは6歳の時に自身の前世が、陰キャの腐男子だったことを思い出す。 レイは、自身のいる世界が前世、ハマりにハマっていた『転校生は愛され優等生.ᐟ‪‪.ᐟ』の世界だと気付き、腐男子として、美形×転校生のBのLを見て楽しもうと思っていたが…

主人公の兄になったなんて知らない

さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を レインは知らない自分が神に愛されている事を 表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

異世界に転生したらめちゃくちゃ嫌われてたけどMなので毎日楽しい

やこにく
BL
「穢らわしい!」「近づくな、この野郎!」「気持ち悪い」 異世界に転生したら、忌み人といわれて毎日罵られる有野 郁 (ありの ゆう)。 しかし、Mだから心無い言葉に興奮している! (美形に罵られるの・・・良い!) 美形だらけの異世界で忌み人として罵られ、冷たく扱われても逆に嬉しい主人公の話。騎士団が(嫌々)引き取 ることになるが、そこでも嫌われを悦ぶ。 主人公受け。攻めはちゃんとでてきます。(固定CPです) ドMな嫌われ異世界人受け×冷酷な副騎士団長攻めです。 初心者ですが、暖かく応援していただけると嬉しいです。

セントアール魔法学院~大好きな義兄との学院生活かと思いきや何故だかイケメンがちょっかいかけてきます~

カニ蒲鉾
BL
『ラウ…かわいい僕のラウル…この身体の事は絶対に知られてはいけない僕とラウル二人だけの秘密』 『は、い…誰にも――』    この国には魔力を持つ男が通うことを義務付けられた全寮制魔法学校が存在する。そこに新入生として入学したラウルは離れ離れになっていた大好きで尊敬する義兄リカルドと再び一緒の空間で生活できることだけを楽しみにドキドキワクワク胸を膨らませていた。そんなラウルに待つ、新たな出会いと自分の身体そして出生の秘密とは――  圧倒的光の元気っ子ラウルに、性格真反対のイケメン二人が溺愛執着する青春魔法学園ファンタジー物語 (受)ラウル・ラポワント《1年生》 リカ様大好き元気っ子、圧倒的光 (攻)リカルド・ラポワント《3年生》 優しいお義兄様、溺愛隠れ執着系、策略家 (攻)アルフレッド・プルースト《3年生》 ツンデレ俺様、素行不良な学年1位 (友)レオンハルト・プルースト《1年生》 爽やかイケメン、ラウルの初友達、アルの従兄弟

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について

はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。

処理中です...