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心の枷編
お茶会は監獄で
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帝都から北に10日程の距離にあるヘルビティ山を背に、正面には
川幅400M程のオナルーフ川が流れている。
山と川に挟まれた要塞の様な佇まいの建物が、ティレッカート
大公領府であった。
「……なにここ。監獄かなんか?」
ティレッカート大公府に招待されたお茶会。
こんなロンドン塔を鋼鉄で覆った様な建物で、、お茶会ですか?
お兄さん、本気ですか。
振り返ると、正装姿の皆が、「なにか?問題でも?」そんな顔を
していた。
「ねぇ、俺さ。お茶会に来てるんだよね?」
その言葉に、黄色の宝玉のブローチに真っ黒なベルベットの
チョーカー、深緑色のマントを羽織ったソレスが頷く。
「んだな。ここ、オラ苦手だ。ぞわぞわするだ。髭がいてーだよ。」
「ソレス、俺と帰るか?」
ソレスを抱き上げポータルへ向き直った直後、後ろからティレッカート
大公の家令が現れた。
「宵闇の神、グレース様に拝謁致します。大公府家令のナードと申します。本日は当家へのご来光、誠に恐悦至極にございます。」
ギクッと後ろを振り返ると、いかにも暗殺もお任せあれと言った風体の
男が恭しく礼をして立っていた。
——— 都サマーー!チェーーーンジ!
「ちょっ!!」
急にグレースに押し出された都は慌てた。
「?如何されましたでしょうか?」
家令は顔も上げずに声で脅す。
「ゴホン。なんでもありません。お出迎えご苦労です。」
「参りましょう。」
いかにもな態度を装い、ソレスを下ろして左腕を前に出す。
その左腕の下に、すっと、ビクトラが右腕を差し入れて
エスコート役を買って出た。
——— ちょっ!グレース!この人の魔粒子ヤバいんですけど!!
濃度濃すぎ!!魔獣にでもなる気?
——— だよね?怖いよーー!都、頑張ってーー
「主人が皆様をお待ちです。こちらからお入り下さい。」
案内されて、地下迷宮の入り口の様な階段をゾロゾロと皆を引き連れ
降りていく。
「ビクトラさん。ここ、本当に大公府なんですか?」
ビクトラの耳元で囁く。
「都様?あっ、はい。此処は大公府兼監獄塔ですので、河川の地下に通路を通し、出入り口は此処のみになっています。怖いですか?」
氷の美丈夫が柔らかく微笑む。
が、しかーーし!絆される余裕皆無です!グレースさん!
監獄ですって!監獄ぅ!!こんなとこのお茶会なんて
受けちゃ駄目でしょー!!め!
「少々。あの、すみません。腕を、、あの。お借りしても?」
都は恐怖の余りビクトラの腕にしがみつき、ソレスを抱き抱えて通路を
歩いた。
「どうしただ?グレース様も怖いだか?オラもちびりそうだで。」
ニコリと微笑む顔が引き攣る。
「大丈夫ですよ、都様。私がお守りしますから。」
そう言ってビクトラが左手で組んだ手の甲をポンポンと叩いた。
「ありがとう、ビクトラさん。グレースにお礼をしてもらって下さいね?ふふふ。」
都の冗談に破顔するビクトラの眼差しは、氷から遠く熱湯の様な熱を
帯びていた。
サリザンドは、キョロキョロと周りを見ながら何かを探していた。
「意外にも、結界や防御術式が無いんですね。驚きだ。」
通路を歩き切って、また階段に差し掛かった時、今日の為に作られた
黒の総レースで出来たロングキュロットドレスの裾を踏んだ。
「きゃぁ!!」
躓き階段を踏み外した都は、驚き振り返った家令のナードを押し倒し
前のめりに倒れた。
——— 終わったーーーーーー!!やってもーーたーー!
余りの衝撃に動けずにいると、ナードが上半身を起こして
都を抱き起こした。
「グレース様、お怪我はありませんか?」
ナードが声をかけ、後ろのメンバーに目をやるが皆震えていた。
両手を前に突き上げてすっ転び、勢い余って投げ飛ばした
ソレスが宙を舞う光景が衝撃的すぎた。
「あ、あのっ、ナードさん、ごめんなさい!お怪我はありませんか?」
「私の不注意で、本当にごめんなさい!」
「いえ、グレース様にお怪我が無くて何よりでございます。」
未だナードの太腿に跨る様に座り込み、両手で顔を隠して赤面する
都を、ビクトラ以外は、グレースだと思い目を見開き驚いていた。
「さ、くっっ、ブフッ、、グレース、、様。お立ち下さい。」
ビクトラが笑い震える体でグレースを立たせるが、顔を隠して俯き
歩けずにいた。
「笑わないでください!酷いですよ。皆さん。」
普段のグレースを知っているメンバーは、その姿とのギャップで
さらに笑い出し、遅々としてお茶会に辿り着けずにいた。
「皆さん嫌いです!ソレスさん、参りましょう?」
都は出だしから躓いた。これからの茶会を思うと、今すぐグレースと
交代したくなった。
「グレース様、お待ち申し上げておりました。当主ロンベルト•ティレッカートと妻のヤルダです。ヤルダとは何度かお会いされた様で、本日は御来光、誠に感謝申し上げます。」
エルザードが即位した時点で、そのほかの兄弟姉妹は皇籍から外され
大公や皇女として領地と上位貴族としての族譜が与えられる。
「本日は、お誘い頂き誠に感謝致します。」
都は両手を臍上の位置で軽く組み、ニコリと微笑みロンベルトと
ヤルダに微笑んだ。カイゼル髭で妻って言われても!!
妻強いんだよなー。目力が!!あ、、、ライディ家の血なのかな?
「さ、他のお客様も皆様をお待ちです。どうぞお入り下さい。」
禍々しい監獄塔の堅固な城門が恐怖を煽る音を立てて閉まってゆく。
おぉーーーーーい!他のお客様ってええええ!!
四家の当主!!いぃぃやああああああ!!!
恥かかせられたって顔してるー!逆恨みしてそーーなんどけどーー!
「「グレース様、ご機嫌麗しく。」」
「皆様、ご機嫌よう、、、」
何だ!この空気!!!!嫌ーー!帰りたい!
お茶会あったら誘ってね★とは言ったが!だがしかし!
こんなんじゃなーーーい!
皆が都が着座するのを待って席に着いた。
川幅400M程のオナルーフ川が流れている。
山と川に挟まれた要塞の様な佇まいの建物が、ティレッカート
大公領府であった。
「……なにここ。監獄かなんか?」
ティレッカート大公府に招待されたお茶会。
こんなロンドン塔を鋼鉄で覆った様な建物で、、お茶会ですか?
お兄さん、本気ですか。
振り返ると、正装姿の皆が、「なにか?問題でも?」そんな顔を
していた。
「ねぇ、俺さ。お茶会に来てるんだよね?」
その言葉に、黄色の宝玉のブローチに真っ黒なベルベットの
チョーカー、深緑色のマントを羽織ったソレスが頷く。
「んだな。ここ、オラ苦手だ。ぞわぞわするだ。髭がいてーだよ。」
「ソレス、俺と帰るか?」
ソレスを抱き上げポータルへ向き直った直後、後ろからティレッカート
大公の家令が現れた。
「宵闇の神、グレース様に拝謁致します。大公府家令のナードと申します。本日は当家へのご来光、誠に恐悦至極にございます。」
ギクッと後ろを振り返ると、いかにも暗殺もお任せあれと言った風体の
男が恭しく礼をして立っていた。
——— 都サマーー!チェーーーンジ!
「ちょっ!!」
急にグレースに押し出された都は慌てた。
「?如何されましたでしょうか?」
家令は顔も上げずに声で脅す。
「ゴホン。なんでもありません。お出迎えご苦労です。」
「参りましょう。」
いかにもな態度を装い、ソレスを下ろして左腕を前に出す。
その左腕の下に、すっと、ビクトラが右腕を差し入れて
エスコート役を買って出た。
——— ちょっ!グレース!この人の魔粒子ヤバいんですけど!!
濃度濃すぎ!!魔獣にでもなる気?
——— だよね?怖いよーー!都、頑張ってーー
「主人が皆様をお待ちです。こちらからお入り下さい。」
案内されて、地下迷宮の入り口の様な階段をゾロゾロと皆を引き連れ
降りていく。
「ビクトラさん。ここ、本当に大公府なんですか?」
ビクトラの耳元で囁く。
「都様?あっ、はい。此処は大公府兼監獄塔ですので、河川の地下に通路を通し、出入り口は此処のみになっています。怖いですか?」
氷の美丈夫が柔らかく微笑む。
が、しかーーし!絆される余裕皆無です!グレースさん!
監獄ですって!監獄ぅ!!こんなとこのお茶会なんて
受けちゃ駄目でしょー!!め!
「少々。あの、すみません。腕を、、あの。お借りしても?」
都は恐怖の余りビクトラの腕にしがみつき、ソレスを抱き抱えて通路を
歩いた。
「どうしただ?グレース様も怖いだか?オラもちびりそうだで。」
ニコリと微笑む顔が引き攣る。
「大丈夫ですよ、都様。私がお守りしますから。」
そう言ってビクトラが左手で組んだ手の甲をポンポンと叩いた。
「ありがとう、ビクトラさん。グレースにお礼をしてもらって下さいね?ふふふ。」
都の冗談に破顔するビクトラの眼差しは、氷から遠く熱湯の様な熱を
帯びていた。
サリザンドは、キョロキョロと周りを見ながら何かを探していた。
「意外にも、結界や防御術式が無いんですね。驚きだ。」
通路を歩き切って、また階段に差し掛かった時、今日の為に作られた
黒の総レースで出来たロングキュロットドレスの裾を踏んだ。
「きゃぁ!!」
躓き階段を踏み外した都は、驚き振り返った家令のナードを押し倒し
前のめりに倒れた。
——— 終わったーーーーーー!!やってもーーたーー!
余りの衝撃に動けずにいると、ナードが上半身を起こして
都を抱き起こした。
「グレース様、お怪我はありませんか?」
ナードが声をかけ、後ろのメンバーに目をやるが皆震えていた。
両手を前に突き上げてすっ転び、勢い余って投げ飛ばした
ソレスが宙を舞う光景が衝撃的すぎた。
「あ、あのっ、ナードさん、ごめんなさい!お怪我はありませんか?」
「私の不注意で、本当にごめんなさい!」
「いえ、グレース様にお怪我が無くて何よりでございます。」
未だナードの太腿に跨る様に座り込み、両手で顔を隠して赤面する
都を、ビクトラ以外は、グレースだと思い目を見開き驚いていた。
「さ、くっっ、ブフッ、、グレース、、様。お立ち下さい。」
ビクトラが笑い震える体でグレースを立たせるが、顔を隠して俯き
歩けずにいた。
「笑わないでください!酷いですよ。皆さん。」
普段のグレースを知っているメンバーは、その姿とのギャップで
さらに笑い出し、遅々としてお茶会に辿り着けずにいた。
「皆さん嫌いです!ソレスさん、参りましょう?」
都は出だしから躓いた。これからの茶会を思うと、今すぐグレースと
交代したくなった。
「グレース様、お待ち申し上げておりました。当主ロンベルト•ティレッカートと妻のヤルダです。ヤルダとは何度かお会いされた様で、本日は御来光、誠に感謝申し上げます。」
エルザードが即位した時点で、そのほかの兄弟姉妹は皇籍から外され
大公や皇女として領地と上位貴族としての族譜が与えられる。
「本日は、お誘い頂き誠に感謝致します。」
都は両手を臍上の位置で軽く組み、ニコリと微笑みロンベルトと
ヤルダに微笑んだ。カイゼル髭で妻って言われても!!
妻強いんだよなー。目力が!!あ、、、ライディ家の血なのかな?
「さ、他のお客様も皆様をお待ちです。どうぞお入り下さい。」
禍々しい監獄塔の堅固な城門が恐怖を煽る音を立てて閉まってゆく。
おぉーーーーーい!他のお客様ってええええ!!
四家の当主!!いぃぃやああああああ!!!
恥かかせられたって顔してるー!逆恨みしてそーーなんどけどーー!
「「グレース様、ご機嫌麗しく。」」
「皆様、ご機嫌よう、、、」
何だ!この空気!!!!嫌ーー!帰りたい!
お茶会あったら誘ってね★とは言ったが!だがしかし!
こんなんじゃなーーーい!
皆が都が着座するのを待って席に着いた。
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