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新生編

口は災いのもと

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「朱雀、俺がどれだけ歪んでいるかお前は知ってるだろう?」

グレースは跪く朱雀の前にしゃがんで、膝に肘をついて悪戯な笑みを浮かべて聞いた。

「グレースは歪んでなどいない。素直だ。」

朱雀は当然とばかりの表情でグレースの言葉の意味を理解出来ていない。

「ぷっ!!マジで言ってるの?可愛いなぁ。お前は。分かった。良いよ、そのまま俺の歪みには気付かないで。」

朱雀の頭に手を乗せて撫でてやると、それはもう嬉しそうに金の瞳を揺らしてくる。これはもう、一種の愛玩動物への可愛がり行為なのではないか?そんな事をグレースは思った。

「まぁ、あれよ。白虎、朱雀。俺はさ、信じていないんだよ。誰も。俺自身も。俺は醜い屁泥の塊みたいなもんだ。だから信じさせて欲しいんだよね。」

グレースは二人の顔を交互に見つめ、下がった眉で溜息をつく。

「おい、でもそれとキスってのは違うんじゃないか?」

ビクトラも今にも泣きそうな顔をしてグレースに懇願し、なんとかキスを回避しようと躍起になっている。
朱雀は朱雀で相手がビクトラであるという事に腹を立てていた。

「さっきさ、あんた言ったよね?他の男と一緒に愛してくれるって。」

ビクトラをニッコリと見つめ、グレースはビクトラを追い詰める。
ギクリとして後ろに仰け反るビクトラをグレースは首をつかんでにじり寄った。

「他の男を兄弟と思う、とも言ったよね?」

「・・・・言った。」

「俺はこれから旅に集中したい。かまってちゃんの相手をしてる暇はないんだよ。」

「仲間割れなんて真っ平ごめんだしね。だから互いを受け合いあって、認め合って欲しい。身体を触れ合っていても、くだらない嫉妬は避けたいんだよ。それにな、俺以外で乳繰り合ってる姿を見せて興奮させてほしいって、欲望が叫んでる。分かってくれる?あんた、欲望見せろって言ったしね。」

ビクトラは目を瞑り天を仰いで溜息を吐き叫んだ。

「ぁぁあああーーークソ!!!失敗したぜ!!」

ケラケラとグレースは笑って服の上から心臓辺りを一撫でして微笑んで言った「鍵とセカンドネーム貰ってやるよ。」

その言葉にビクトラはグレースに噛み付く様なキスをした。

「クソ!クソ!クソ!惚れた弱みだ。仕方ねぇ!なんだよ!あーーーーーー!」

「いや、自分の口を恨みなさいな。あんたが言った言葉だからね。」

「わかってるよ。軽い奴で良いんだな?」

グレースは満面の笑みでビクトラをグーパンで殴った。

「っってぇ!ちょ!なんだよ!殴んなよ!」

「んな訳あるか!バカタレ!!ディープですよ!ディープ!ベロチュー!ほらやって!貪りあって!」

ビクトラは顔面を皺くちゃにしてイヤイヤと頭を振って抵抗したが、朱雀は何を言い合ってるのかが理解できずにグレースの腰に手を回して抱き着いていた。そんな朱雀をグレースはけり倒して宣言した。

「5分間!!!!ベロチュー&お触りで二人が反応しなかったら解散!!!俺は別に仲間を探して旅に出る!」

「はぁぁぁぁぁ!!!!マジかよ!!!!おい!朱雀!お前も何とか言えよ!!」

朱雀も問われたが、理解できずに「いいぞ?」と答えてしまった。

「ほら、俺の可愛い朱雀はやっぱり良い子だ。白虎とも仲良く出来るよね?」

頬を撫でられ機嫌を直した朱雀は「当たり前だ」と胸を張った。

「はぁーーマジか。オラ!朱雀こっちこい」

「はい!じゃあっと、あ砂時計、これ3分5分10分?」

「10分だ」

「了解。じゃあいくよ。レッツディープキス アーーン ドタッチ!!スターート!」

朱雀は訳もわからず白虎と向き合い、首を傾げてる!可愛い!
白虎はねーー。目が!目が怖い!殺し屋みたいだよ。
ほらほらいっちゃいなよ!いいねーー!唇舐めの白虎エッロ!朱雀!!ウケル!固まった!

「朱雀、口開けな。白虎を可愛がって。」

命令しないとなーーんも出来ないポンコツなんだから。そこも可愛いけど。あーー朱雀気持ちよさそうだなー、目が潤んできちゃってる。俺もしたいなー。白虎マジ上手いな。舌使いがすごい。で、も。お手々が止まってますよ。
グレースは朱雀の後ろに回ると、朱雀の両手を後ろから掴んでビクトラのシャツの中に滑り込ませ、厚い胸板や背中を這わせる。グレースは朱雀越しに白虎を見ていた。そして白虎もキスをしながらグレースを目で追っている。
互いに細い一線を越えないように慎重に触れ合っていたが、その緊張を朱雀が壊していく。

「んぅん。。ん。。美味い。白虎の魔粒子は美味いな。」

覆いかぶさるように白虎の口を塞ぐ朱雀に、ビクトラは嫌悪を押し殺して唸りながらキスに答えた。

「んーーーーー!んーーーーんんっんーんー!!(ボケカス舌噛むな)」

「ほらほら、白虎。朱雀を見てみなよ。偉いよ。ちゃーーんと立ってる。それに比べてあんたはどーよ。」

朱雀の着物を捲って昂ったそれをビクトラに見せつける。
ビクトラは気持ち悪い物を見せるなとばかりに、苦々しい顔をして朱雀の目を隠す。しかしグレースはそれを許さず手をずらして目を合わせ挑発した。

「その程度かよ。お前の俺への執着は。」

煽られて白虎はグレースをにらみながら朱雀を押し戻し、上半身を起こした。そしてグレースをひたすら見つめながら、朱雀の胸や腹、立ち上がった物を撫でまわしグレースを抱く想像で嫌悪感を塗り替えた。
ビクトラの睨みを横目に砂時計をみると、五分を丁度過ぎた所だった。

「はーーーい!5分終了!どーれどれ?ん。朱雀は偉い!超立ってる!あははは!さてぇ、白虎はどうかな?」

息を切らしながら白虎は下履きのボタンを外すと、堂々とそれを見せつけてた。グレースの興奮した際の物よりも1.5倍は大きく長いであろうそれを見てグレースは恐怖した。

「…マジか。すごいね。白虎。俺、入れられるかな。これ。」

「はぁっはぁっ。ここまでやったんだ。ブッ込ませて貰う。はぁはぁはぁ。貴方が全てなんだ。」

汗で濡れた髪を掻きあげ、開いたシャツのボタンを直し始めた白虎の美しい肉体に喉がなった。
その音を白虎は聞き漏らさなかった。

「グレース様、いやグレースと呼んでも?」

ニヤリと欲望を孕んだ口元に吸い付きたい。そんな欲望に抗えそうにない。

「良いよ。グレースでも、アンタでも、お前でも、好きに呼んでよ。俺はアンタをなんて呼ぼう?」

吸い込まれるようにビクトラの胸に寄り添い、顔を見上げた。

「ヴィクと。俺は白虎じゃない。先祖が白虎なだけだ。俺は俺だから。グレースにしか許さない呼び方で呼んで欲しい。」

「わかった。俺のヴィク。これでアンタは俺の物だ。壊れないように頑張るんだよ?カッコイイ俺のヴィク。」

甘いささやきの後、5分以上のキスをした。朱雀まで混ざってきて、ベットに行きたくなってきたけど大司教が待ってる。
目先の目的を達成したらご褒美を二人からもらおう。それまでの我慢だ。


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