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12 オスカル王子とデート

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私はオスカル王子とまたライオンの像の前で約束をしました。

公園のベンチには大勢のカップルがいた。

公園を散歩している人もいた。

公園は王侯貴族から平民までが利用している。

秋の気配が感じられる風は涼しかった。

雲1つない見事な秋晴れだった。


オスカル王子はやってきました。

オスカル殿下は花束を持っていました。

「カトリーヌ。今日はこの公園で寛ごうか」

公園でデートとは何ともロマンチック。

この公園は平民も含め、沢山の人がベンチに座ってデートをしている。

二人は空いているベンチを探して座った。

「ねぇ、オスカル王子殿下。私のどこが気になるのでしょうか?」

するとオスカル殿下は

「カトリーヌ。きみの絵が気に入ったんだよ。それに学園時代思い出してくれ。頭脳明晰。魔法の成績も良かったではないか」

オスカル殿下は腕を肩に回してきました。

「私みたいな男爵令嬢と交際しても宜しいのでしょうか?」

「構わない。好きになってしまえば身分差なんか関係無い」

オスカル殿下のその言葉に私は救われました。


「きみが好きだ。これを受け取って欲しい」

オスカル殿下は私に花束を贈ってくれました。

私は花束を受け取りました。

花束から甘い香りがしました。

「それからね……」

「きみのいとこ……レスター公爵に借金がある事が判明したんだよ」

私は驚きました。

「どういう事なんですか?」

「レスター公爵のご令息アルフレッドがカジノに出掛けては借金を拵えていたんだ」

カジノ……私は心当たりがありました。

無断で外出した事、帰りが遅かった事。

本人は無断で出掛けていた。

私は女と密会しているものだとてっきり思っていました。


まぁ実際はルイーズとコソコソ会っていた事には違いは無いけれど。


「そう言えば無断で外出していましたわ」

「やっぱり」

と言ってオスカル殿下は唇を舐めました。


「そして、アルフレッドとルイーズはどうなったんですか?」

「二人は爵位剥奪だ。当然の報いだ。公爵ともあろうものが借金をするとはけしからん!」

爵位剥奪。

つまりは平民になったという事。

「平民になったのですね?」

「勿論だ。自業自得というやつだな」

やはり罰は当たった。

神様は善神だった。

ルイーズも不運だと感じました。

私もアルフレッドに婚約破棄をされなかったら、爵位剥奪で平民になっていた……。

どの道、男爵令嬢だから平民に嫁ぐしかなかったけれど。 

「勿論領地も没収だ。残ったのは借金だけさ」

借金を抱えたままの平民といはうのもまた辛いものだ。




「ま、変な話はこれ位にしよう。二人だけの時間だからね。大切にしよう」

と言ってレスター家の話を打ち切った。


公園の中央では噴水が吹き上げている。

「でもまさかカトリーヌが絵を描いているとは知らなかったよ」

私の前世は美術を専攻していて、絵は沢山描いていたから……。

腕は鈍っていたけれど、まさかオスカル殿下に気に入ってもらえるとは思いませんでした。

「私と言ったら哲学と魔法でしたからね」

オスカル殿下は二度頭を縦に振った。
 
「カトリーヌは何でもできる。だから僕はきみを気に入ったんだ」

私は嬉しくなった。

「あの絵、実は……」

まだまだ自分としては納得がいきませんでした。

なぜなら転生して絵らしい絵を描いたのは初めてだったのだから。


「カトリーヌの描いた絵は素敵だったよ」

でも、私の絵はカリーナの絵に比べれば月とすっぽんだった。

少なくとも私にはそう感じました。

「絵は部屋に飾っているよ」

「嬉しいですわ」

私の拙い絵を部屋に飾ってくれるなんて……。


「でも。カリーナの絵の方が上手だったはずです」

「でも、きみが絵を描く事が珍しくて。ついお買い上げしてしまったんだ」


私はまだまだ絵が描きたい。

「オスカル殿下」

「なあに?」

「私、オスカル殿下のためにまた別な絵を描きます」

「え? いいのかい?」

「勿論です」

私はもっと完璧な絵が描けるはず。

腕が戻れば今度こそ上手に描ける。

私は自分の絵に自信を持っていました。

なぜなら美術は5だったのだから。

そしていつも賞に入っていたのだから。

「さあ、公園を歩こうか」

オスカル殿下に促されるまま、私は立ち上がった。

「手、握っていい?」

一瞬、え!? と思いましたが、私はOKしました。

「はい」

オスカル殿下は手を握ってきた。


「こうして二人で公園を歩けるのもいいもんだな」

「そうですね」

「公園は季節がわかりやすいね」


公園は春には春の花が、夏は新緑に、秋は効用に、冬には葉を落としている。

四季折々の様相を呈していて、人気スポットになっている。


「今は秋だから、葉の色が黄色いですね」

「そうだね。我々は紅葉を見て綺麗だと思うけど、木々にとっては一生懸命に生きているんだよな」

影が斜め右に動く。

噴水の場所で二人は立ち止まった。

噴水は今止まっていた。

夏場はこの噴水の水を浴びると気持ちが良い。


そしてまた二人は歩きはじめた。


「また座らないか?」

そしてまた二人はベンチに座った。


「きみと二人でいる時間はとても楽しいよ」

「本当ですか?」

「今度は王宮の中庭で歩こうか」

「はい」

私は思わず返事をしました。

私のような男爵令嬢にとって王宮は憧れの存在です。

「きみを一度私の家族に紹介したくてね」

それが何を意味するか私には見当がつきました。

こうして私は王宮で会う事を約束しました。
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