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報告と交渉
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キャサリンはフレミング公爵家当主でもあり、父親のパウロと母親のナタリアに婚約破棄した事を報告する事にした。
そして、エスターとエドワードの今後の事についても話し合う事にした。
パウロ、ナタリア、キャサリン、エスターそしてエドワードの5人は応接間で話し合う事になった。
エスターとエドワードも王室から追放された身。
彼らの雇用を護ってあげたいのがキャサリンの希望だった。
応接間には6人座れるようになっている。
テーブルを挟み、奥にパウロとナタリア、手前にキャサリンとエスター、エドワードが座っている。
長く伸びた茶色の髪を束ね、あご髭を伸ばした男性が父親のパウロ。
銀色の髪を後ろでおだんごにし、ルビー色の瞳の女性が母のナタリアだ。
キャサリンは母のナタリアに似て長く伸びた髪をポニーテールにし、ルビー色の瞳をしている。
「初めまして。私は王宮にてキャサリン様の護衛を務めていたエドワードと申します。宜しくお願いします」
エドワードが深く頭を下げた。
「私は王宮にてキャサリン様の侍女を務めていたエスターと申します。宜しくお願いしますわ」
「宜しくお願いします。私がキャサリンの父のパウロだ」
「私が母のナタリアです。宜しくお願いしますわ」
四人はそれぞれ挨拶をした。
応接間には春の柔らかな日差しが届いていた。
風の音が時折聞こえる。
「お父様。お母様。私はアンドリュー王太子殿下と婚約破棄をしました」
瞬間、沈黙が流れた。
口火を切ったのはパウロだった。
「なぜだ?」
「それは王太子殿下がアトキンス男爵令嬢と婚約者をし、私を側妃にする……と言ったからです」
「誠か?」
パウロは怪訝な顔を見せた。
「はい、そうです」
「しかし、なぜそうなったのだ?」
キャサリンは事の成行きを話した。
「そうか。しかし、アトキンス男爵が暴力をふるうようには思えない」
「そうなんです。でも、イザベラの腕にはくっきりと青あざがあったのです」
「うーむ」
パウロは頭を抱え込んだ。
「世間の評価も良いアトキンス男爵が暴力を? 私も俄には信じられないわ」
ナタリアも訝しげな顔を見せた。
「それが……私は作り話のような気がするのです」
「確かにその通りかもしれないな。しかし、何のために?」
そこが引っかかる。
「悲劇のヒロインになるため……のような」
「その事で王太子殿下を虜にしたのか?」
「はい。王太子殿下は保護する目的でとは仰いましたが」
「保護……か。保護でもキャサリンを側妃にするのか?」
そこがどうも引っかかるのだ。
「よくわかりません。それは王太子殿下が決めた事ですから」
イザベラには何の魅力も無い。
そんな女をなぜ正妃にするのか?
「イザベラ嬢も王太子殿下とキャサリンが婚約している事を知っていたはずだが。うむー」
そうなのだ。
イザベラもキャサリンとアンドリューが婚約していた事は知っていたはずだ。
「イザベラ嬢もイザベラ嬢だな」
「本当です。お父様」
「それに、仮にアトキンス男爵が暴力を振るっていたとしても、逃げるために王太子殿下を利用するものなのだろうか?」
なぜ、イザベラはアンドリューに取り入ったのか。
それはキャサリン自身も甚だ疑問だった。
「しかし、王太子殿下は裏切り者だよな。キャサリンが生まれて間もない頃から婚約が決まっていたというのに」
パウロは立ち上がった。
その通り。婚約が既に決まっていたのに、裏切りとしか言いようがない。
「側妃などあんまりです」
「確かにな」
「それから、お父様。お母様。私の護衛のエドワードと侍女を務めていたエスターをわがフレミング家で再雇用していただけないでしょうか」
キャサリンは深々と頭を下げた。
「「お願い致します」」
エドワードとエスターは立ち上がり、頭を下げた。
「王宮に仕えていたんだな? まあ、そうとなれば国王陛下の信頼があって採用されたのかもな。そうもなれば、キャサリンをお任せすることは出来るだろう」
パウロは部屋の中を歩き回りながら言った。
「本当に良いんですね? お父様」
「ああ。キャサリンがそこまでお願いするならな」
キャサリンはパウロに感謝の気持ちでいっぱいだった。
「ありがとうございますわ、お父様」
「「ありがとうございます」」
エドワードとエスターは再び深々とお辞儀をした。
「キャサリンの側近を務めたがばかりに、王宮を追放されるのは余りにも不本意すぎる。仕方あるまい」
キャサリンはやった! と思った。
「で、お二人は出身はどちらで?」
「私はオメガ領ですわ」
「私はザラ領です」
「しかし、エドワードと言ったかな? レガローグの人間なのに、なぜ髪が赤紫色なのかな? 差し支えなければ教えてもらえないかな?」
「はい。私はレガローグ出身の父とモナール帝国出身の母の間に生まれました」
「なるほど、そうか」
キャサリンもなぜエドワードが赤紫色の髪なのか事情がわかり、スッキリした。
赤紫色の髪は隣国モナール帝国に多い髪色だからだ。
更に、モナール帝国の人はレガローグ王国の人よりも背が高い。
「そうだ。まだ家族を全員紹介してなかったな。トーマス。ルークとセシリアを呼んできてくれないか?」
「はい、かしこまりました」
執事のトーマスが来た。
間もなくして兄のルークと姉のセシリアが来た。
「初めまして。私がキャサリンの兄、ルークです」
「初めまして。私はキャサリン様の護衛を務めていた……いや、護衛を務めるエドワードと申します」
「私は侍女のエスターです」
「初めまして。姉のセシリアですわ。以後お見知りおきを」
こうして、婚約破棄についての話もでき、エドワードとエスターの再雇用が決まった。
キャサリンは安堵した。
そして、エスターとエドワードの今後の事についても話し合う事にした。
パウロ、ナタリア、キャサリン、エスターそしてエドワードの5人は応接間で話し合う事になった。
エスターとエドワードも王室から追放された身。
彼らの雇用を護ってあげたいのがキャサリンの希望だった。
応接間には6人座れるようになっている。
テーブルを挟み、奥にパウロとナタリア、手前にキャサリンとエスター、エドワードが座っている。
長く伸びた茶色の髪を束ね、あご髭を伸ばした男性が父親のパウロ。
銀色の髪を後ろでおだんごにし、ルビー色の瞳の女性が母のナタリアだ。
キャサリンは母のナタリアに似て長く伸びた髪をポニーテールにし、ルビー色の瞳をしている。
「初めまして。私は王宮にてキャサリン様の護衛を務めていたエドワードと申します。宜しくお願いします」
エドワードが深く頭を下げた。
「私は王宮にてキャサリン様の侍女を務めていたエスターと申します。宜しくお願いしますわ」
「宜しくお願いします。私がキャサリンの父のパウロだ」
「私が母のナタリアです。宜しくお願いしますわ」
四人はそれぞれ挨拶をした。
応接間には春の柔らかな日差しが届いていた。
風の音が時折聞こえる。
「お父様。お母様。私はアンドリュー王太子殿下と婚約破棄をしました」
瞬間、沈黙が流れた。
口火を切ったのはパウロだった。
「なぜだ?」
「それは王太子殿下がアトキンス男爵令嬢と婚約者をし、私を側妃にする……と言ったからです」
「誠か?」
パウロは怪訝な顔を見せた。
「はい、そうです」
「しかし、なぜそうなったのだ?」
キャサリンは事の成行きを話した。
「そうか。しかし、アトキンス男爵が暴力をふるうようには思えない」
「そうなんです。でも、イザベラの腕にはくっきりと青あざがあったのです」
「うーむ」
パウロは頭を抱え込んだ。
「世間の評価も良いアトキンス男爵が暴力を? 私も俄には信じられないわ」
ナタリアも訝しげな顔を見せた。
「それが……私は作り話のような気がするのです」
「確かにその通りかもしれないな。しかし、何のために?」
そこが引っかかる。
「悲劇のヒロインになるため……のような」
「その事で王太子殿下を虜にしたのか?」
「はい。王太子殿下は保護する目的でとは仰いましたが」
「保護……か。保護でもキャサリンを側妃にするのか?」
そこがどうも引っかかるのだ。
「よくわかりません。それは王太子殿下が決めた事ですから」
イザベラには何の魅力も無い。
そんな女をなぜ正妃にするのか?
「イザベラ嬢も王太子殿下とキャサリンが婚約している事を知っていたはずだが。うむー」
そうなのだ。
イザベラもキャサリンとアンドリューが婚約していた事は知っていたはずだ。
「イザベラ嬢もイザベラ嬢だな」
「本当です。お父様」
「それに、仮にアトキンス男爵が暴力を振るっていたとしても、逃げるために王太子殿下を利用するものなのだろうか?」
なぜ、イザベラはアンドリューに取り入ったのか。
それはキャサリン自身も甚だ疑問だった。
「しかし、王太子殿下は裏切り者だよな。キャサリンが生まれて間もない頃から婚約が決まっていたというのに」
パウロは立ち上がった。
その通り。婚約が既に決まっていたのに、裏切りとしか言いようがない。
「側妃などあんまりです」
「確かにな」
「それから、お父様。お母様。私の護衛のエドワードと侍女を務めていたエスターをわがフレミング家で再雇用していただけないでしょうか」
キャサリンは深々と頭を下げた。
「「お願い致します」」
エドワードとエスターは立ち上がり、頭を下げた。
「王宮に仕えていたんだな? まあ、そうとなれば国王陛下の信頼があって採用されたのかもな。そうもなれば、キャサリンをお任せすることは出来るだろう」
パウロは部屋の中を歩き回りながら言った。
「本当に良いんですね? お父様」
「ああ。キャサリンがそこまでお願いするならな」
キャサリンはパウロに感謝の気持ちでいっぱいだった。
「ありがとうございますわ、お父様」
「「ありがとうございます」」
エドワードとエスターは再び深々とお辞儀をした。
「キャサリンの側近を務めたがばかりに、王宮を追放されるのは余りにも不本意すぎる。仕方あるまい」
キャサリンはやった! と思った。
「で、お二人は出身はどちらで?」
「私はオメガ領ですわ」
「私はザラ領です」
「しかし、エドワードと言ったかな? レガローグの人間なのに、なぜ髪が赤紫色なのかな? 差し支えなければ教えてもらえないかな?」
「はい。私はレガローグ出身の父とモナール帝国出身の母の間に生まれました」
「なるほど、そうか」
キャサリンもなぜエドワードが赤紫色の髪なのか事情がわかり、スッキリした。
赤紫色の髪は隣国モナール帝国に多い髪色だからだ。
更に、モナール帝国の人はレガローグ王国の人よりも背が高い。
「そうだ。まだ家族を全員紹介してなかったな。トーマス。ルークとセシリアを呼んできてくれないか?」
「はい、かしこまりました」
執事のトーマスが来た。
間もなくして兄のルークと姉のセシリアが来た。
「初めまして。私がキャサリンの兄、ルークです」
「初めまして。私はキャサリン様の護衛を務めていた……いや、護衛を務めるエドワードと申します」
「私は侍女のエスターです」
「初めまして。姉のセシリアですわ。以後お見知りおきを」
こうして、婚約破棄についての話もでき、エドワードとエスターの再雇用が決まった。
キャサリンは安堵した。
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