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ギャンブル ※サウル視点
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サウルは今日もカジノへ通う。
このオヴァーン王国はカジノで栄えた国と言っても過言ではない。
サウルがカジノにハマったのは行きつけのバーで出会った男に誘われて行ってからだ。
最初から大当たりを出し、今では中毒状態だ。
やめられない……。
勿論、ギャンブルにのめり込み過ぎて借金を作ってしまっている。
しかし、それはアレクサンドラは勿論、ディアドラにも黙っていた。
借金があるとなると、婚約破棄されるのは目に見えているからだ。
次期国王になると目されている。
そんなサウルだからこそ、ギャンブルについては内密にしてあるのだ。
勿論、父である国王もギャンブルの件は知らない。
ましてや、借金があると知ったら、親子の縁を切られ、王太子の座は第二王子のテリーに取られてしまう。
しかし、ギャンブルは楽しいし、やめられない。
当たるときはガンと当たる。
その快感が忘れられない。
カジノでは自分は王太子という事を隠している。
だから、『サウル』とは名乗っていない。
『ギルバート・ハサム』と名乗っている。
カジノにも仲間は沢山いる。
仲間たちは勿論サウルが王太子でいることには気づかれていない。
皆、『ギルバート・ハサル』という男だと思っている。
ちなみにハサルとは消滅した子爵の名前だ。
ギャンブルは楽しい。
時間があっという間に経ってしまう。
「やあ、ギルバート!!」
ギャンブル仲間のアベルだ。
「アベル。お前も来たか!」
このアベルも借金王だ。
アベルは公爵家の人間だ。
しかし、二男なので、何をしようと勝手なのだろう。
「アベル。今日は当てような」
「おお!!」
サウルはいつもスロットをやっている。
他にもギャンブルはポーカーなど沢山あるが、やはり一番稼げるのがスロットなのだ。
アベルもスロットをやっている。
「さあ、今日はどの台が出るかな?」
アベルは額の上に手を当てている。
「どれが出るんでしょうかね」
出る台というのはその時によって違う。
「まずはコインを買わないとな」
サウルはコインの台に沢山の通貨を入れた。
チャリン、チャリンという音が心地よい。
「よし。この位にしよう」
サウルは真ん中寄りの左側の台に張り付いた。
当たる台を見つけるのは難しい。
当たりが出なかったら、常に場所を変えている。
サウルはレバーを下ろした。
沢山の絵が回転している。
これを5箇所合わせるのだ。
「ポン、ポン、ポン、ポン、ポン。よっしゃ! 初っ端から頂きだな」
何だか今日は調子が良さそうだ。
コインが溜まっている人は山盛りになっている。
「あそこの台が当たりか……」
サウルは台に向き直った。
外した。
「くそー!! 次こそ」
しかし、また外した。
「くそー!!」
何度も何度もはずした。
アベルの方を向くと、やはり、アベルのコインケースもスカスカだった。
負けているんだな。
サウルは台を変えた。
「リベンジだ!!」
……。
……。
……。
出ない……出ない……出ない……。
「この台もハズレか」
サウルは再び台を変えた。
アベルもまた台を変えたよいだが、やはり出ないようだ。
「3度目の正直!!」
しかし……。
……。
……。
……。
「出ない!! クソ!」
負けるとやはりストレスが溜まる。
アベルは台を変えたら出始めたようだ。
「もいちょい粘ってみるか」
……。
……。
……。
やはり、出ない。
そこへアベルがやってきた。
「大丈夫か? ギルバート。元気ないぞ」
「負けた。今日また借金だよ」
サウルは笑ってみせた。
しかし、笑えない。
とはいえ、借金はまたギャンブルで大儲けをした時に返そうと思っていた。
「ま、元気出せよ。今日は勝ったから奢るからよ」
アベルはサウルの肩を叩いた。
「あー、悪いな、アベル」
二人はカジノを出た。
「ボロ負けさ」
負けを喫したサウルと勝ったアベル。二人はいつものバーに入った。
やはり、負けたモヤモヤを解消するには酒が一番。
いつも記憶が飛ぶまで飲んでいる。
王城の兵士はサウルが酔っ払って帰って来ることは知っている。
はじめは不審者だと思われたが、なんとか説得するとサウルだとわかってくれた。
勿論、国王も王妃もテリーも知っている。
だが、やはり、ギャンブルの事だけは黙っている。
サウルはいつものワインを頼んだ。
「はいよ、ギルバートさん」
店主のアブラハムだ。
「今日は沢山飲むぞ!!」
サウルは何杯もワインを飲み干した。
そして、酒の肴の肉に手を出す。
「すごい食いっぷりだな、ギルバートよ」
「おう。負けた腹いせに人をぶん殴ったり、強盗に入ったりするやつがいるが、それは間違いだ。やっぱり飲んで昇華するのが一番の正攻法さ」
「さすがだな、ギルバート。わかっているじゃないか」
酔が回ってきた。
酔が回ると多弁になる。
「実はなぁ、アベルよ」
「どうしたんだ、ギルバート。お前、何か隠し事でもしているのか?」
「俺なあ、実はこの国の王太子なんだあ」
「何冗談を言っているんだ」
店主が一瞬こちらを振り返った。
「そう言えばギルバートさん、何となく王太子殿下に似ていますな」
「だろー、みんな! そう言うことだ。わかったか!!」
「しかし、王太子殿下がギャンブルを?」
店主はこちらを見る。
「悪いか? 王太子とて一端の人間。神様じゃないから、聖人君子じゃないの。わかるかな?」
「だから、ギャンブルやると……」
「そうです。しかも、また借金使っちゃったよ。わはははは」
酔った勢いで本当のことを話してしまったサウル。
しかも、借金を作ってしまった事も暴露してしまった。
このオヴァーン王国はカジノで栄えた国と言っても過言ではない。
サウルがカジノにハマったのは行きつけのバーで出会った男に誘われて行ってからだ。
最初から大当たりを出し、今では中毒状態だ。
やめられない……。
勿論、ギャンブルにのめり込み過ぎて借金を作ってしまっている。
しかし、それはアレクサンドラは勿論、ディアドラにも黙っていた。
借金があるとなると、婚約破棄されるのは目に見えているからだ。
次期国王になると目されている。
そんなサウルだからこそ、ギャンブルについては内密にしてあるのだ。
勿論、父である国王もギャンブルの件は知らない。
ましてや、借金があると知ったら、親子の縁を切られ、王太子の座は第二王子のテリーに取られてしまう。
しかし、ギャンブルは楽しいし、やめられない。
当たるときはガンと当たる。
その快感が忘れられない。
カジノでは自分は王太子という事を隠している。
だから、『サウル』とは名乗っていない。
『ギルバート・ハサム』と名乗っている。
カジノにも仲間は沢山いる。
仲間たちは勿論サウルが王太子でいることには気づかれていない。
皆、『ギルバート・ハサル』という男だと思っている。
ちなみにハサルとは消滅した子爵の名前だ。
ギャンブルは楽しい。
時間があっという間に経ってしまう。
「やあ、ギルバート!!」
ギャンブル仲間のアベルだ。
「アベル。お前も来たか!」
このアベルも借金王だ。
アベルは公爵家の人間だ。
しかし、二男なので、何をしようと勝手なのだろう。
「アベル。今日は当てような」
「おお!!」
サウルはいつもスロットをやっている。
他にもギャンブルはポーカーなど沢山あるが、やはり一番稼げるのがスロットなのだ。
アベルもスロットをやっている。
「さあ、今日はどの台が出るかな?」
アベルは額の上に手を当てている。
「どれが出るんでしょうかね」
出る台というのはその時によって違う。
「まずはコインを買わないとな」
サウルはコインの台に沢山の通貨を入れた。
チャリン、チャリンという音が心地よい。
「よし。この位にしよう」
サウルは真ん中寄りの左側の台に張り付いた。
当たる台を見つけるのは難しい。
当たりが出なかったら、常に場所を変えている。
サウルはレバーを下ろした。
沢山の絵が回転している。
これを5箇所合わせるのだ。
「ポン、ポン、ポン、ポン、ポン。よっしゃ! 初っ端から頂きだな」
何だか今日は調子が良さそうだ。
コインが溜まっている人は山盛りになっている。
「あそこの台が当たりか……」
サウルは台に向き直った。
外した。
「くそー!! 次こそ」
しかし、また外した。
「くそー!!」
何度も何度もはずした。
アベルの方を向くと、やはり、アベルのコインケースもスカスカだった。
負けているんだな。
サウルは台を変えた。
「リベンジだ!!」
……。
……。
……。
出ない……出ない……出ない……。
「この台もハズレか」
サウルは再び台を変えた。
アベルもまた台を変えたよいだが、やはり出ないようだ。
「3度目の正直!!」
しかし……。
……。
……。
……。
「出ない!! クソ!」
負けるとやはりストレスが溜まる。
アベルは台を変えたら出始めたようだ。
「もいちょい粘ってみるか」
……。
……。
……。
やはり、出ない。
そこへアベルがやってきた。
「大丈夫か? ギルバート。元気ないぞ」
「負けた。今日また借金だよ」
サウルは笑ってみせた。
しかし、笑えない。
とはいえ、借金はまたギャンブルで大儲けをした時に返そうと思っていた。
「ま、元気出せよ。今日は勝ったから奢るからよ」
アベルはサウルの肩を叩いた。
「あー、悪いな、アベル」
二人はカジノを出た。
「ボロ負けさ」
負けを喫したサウルと勝ったアベル。二人はいつものバーに入った。
やはり、負けたモヤモヤを解消するには酒が一番。
いつも記憶が飛ぶまで飲んでいる。
王城の兵士はサウルが酔っ払って帰って来ることは知っている。
はじめは不審者だと思われたが、なんとか説得するとサウルだとわかってくれた。
勿論、国王も王妃もテリーも知っている。
だが、やはり、ギャンブルの事だけは黙っている。
サウルはいつものワインを頼んだ。
「はいよ、ギルバートさん」
店主のアブラハムだ。
「今日は沢山飲むぞ!!」
サウルは何杯もワインを飲み干した。
そして、酒の肴の肉に手を出す。
「すごい食いっぷりだな、ギルバートよ」
「おう。負けた腹いせに人をぶん殴ったり、強盗に入ったりするやつがいるが、それは間違いだ。やっぱり飲んで昇華するのが一番の正攻法さ」
「さすがだな、ギルバート。わかっているじゃないか」
酔が回ってきた。
酔が回ると多弁になる。
「実はなぁ、アベルよ」
「どうしたんだ、ギルバート。お前、何か隠し事でもしているのか?」
「俺なあ、実はこの国の王太子なんだあ」
「何冗談を言っているんだ」
店主が一瞬こちらを振り返った。
「そう言えばギルバートさん、何となく王太子殿下に似ていますな」
「だろー、みんな! そう言うことだ。わかったか!!」
「しかし、王太子殿下がギャンブルを?」
店主はこちらを見る。
「悪いか? 王太子とて一端の人間。神様じゃないから、聖人君子じゃないの。わかるかな?」
「だから、ギャンブルやると……」
「そうです。しかも、また借金使っちゃったよ。わはははは」
酔った勢いで本当のことを話してしまったサウル。
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**********お知らせ***********
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