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事は突然に
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昼食を食べている時だった。
「クレパルディ公爵様、たった今隣国マタハイムで革命があったそうです。何でも首謀者は街の商人とかで……」
と執事がやってきた。
「それでどうなった?」
アルファンは目の色を変えて聞いた。
「国王王妃と王太子、王太子妃が捕虜になりました」
「何だって!?」
やはり噂は本当だった。
汽車に乗っていた老人が「起こらないかもしれない」と言っていたが、事は突然に起きた。
しかも、王太子とマルタが捕まったのだ。
首謀者が平民。
やはり、と思った。
――塞翁が馬
「やはりな。マタハイムは税金が高いで有名だったからな。だから、ここサラボナへの移住者が後を絶たなかったわけだ」
アルファンの顔が強張りを見せた。
「やはり起きたのね」
ニーナはため息をついた。
「やはり……ってそんな噂があったのですか?」
「有名な話よ。税金が高いから、国王の暗殺計画でもあるんじゃないか? と」
そんな噂が隣国で広まっていたとは?
マタハイムでは内密な話になっていたというのに。
「やっぱり国王は命を狙われたか」とアーサー。
「そうよ。税金はぼったくりって言ってたわよ。それで王家が贅沢三昧して税金を湯水のように使っていたって話よ」とナンシー。
「ボッタクリの税金で贅沢三昧をしていた人の一人が王太子殿下でした~」と言ってやりたい気分だった。
「やはり……国王は生きているのか?」
アルファンも我が事のように執事を質問攻めにしている。
「生死は不明です。しかし、王太子夫妻は生存しているようです」
王太子とマルタは生きている。
もしも自分が王太子と結ばれていたら……と思うとゾッとした。
「首謀者となった商人について」とまたしてもアルファン。
「どうやら城下町1の豪商だったようです」
「豪商か。動機はやはり高額な税金の事か?」
「はい、そう思われます」
皆、食事を食べていた事を忘れ、固まっていた。
まさか革命が起きるとは思わなかったからだ。
◇◆◇◆◇
革命の内容はこうだ。
豪商が他の商人仲間と団結し、王室を滅亡させようと目論んだ。
やはり、原因は高額な税金だった。
高額な税金に耐えかねて、商人仲間が次から次へとオイフィーアに移住してしまったのだ。
しかし、老商人からすれば、長年慣れ親しんだ土地に別れを告げるのは名残惜しい。
オイフィーアに移住するのにはそれなりのエネルギーと勇気がいる。
そして、商人仲間だけでなく、職人や農家、漁師を集めて革命を企てたのだ。
当初はなかなか話が進まなかった。
それは国王が抜け目の無い人物だと恐れていたからだ。
しかし、実際にはそれほど恐れる人物では無いと判断され、今回の騒動に出たという。
しかも、城はいとも簡単に包囲されたらしい。
城の警備も手薄だったという。
それゆえ、国王や王妃、王太子とその婚約者はあっさりと捕まってしまったのだ。
第二王子、第三王子もいたが、彼らは革命軍に降伏し、釈放された。
しかし、王太子だけは頑なに革命軍に降伏しなかったため、捕まってしまったのだ。
かくしてマタハイム王国は革命軍の手に落ちた。
新しく王に即位したのはなんと、元平民で豪商だったユアンだった。
第二王子と第三王子は王位継承権を捨てるよう、革命軍に言われた。
これにより、王朝は終了したのであった。
◆◇◆◇
「やはり塞翁が馬だったな、アントニーナ」
アルファンが笑顔で言った。
「そうですね。まさか王太子妃が捕まるとは思いませんでした。生存しているとはいえ、牢獄の中で過ごすのは辛いです」
アントニーナは深く目を閉じ深呼吸した。
「本当に良かったよ。王太子もとんでもない奴だったのね」
ニーナは呆れていた。
「本当にアントニーナ良かったな。もう少しで牢獄の中だったよ」
アーサーはそう言ってパンを口に放り込んだ。
「本当よ。あんな王太子にアントニーナは似合わないわ」とポピンズ。
「みんな、ありがとう。本当に王太子殿下に婚約破棄されて良かったって本当に思います」
そして、アントニーナを裏切った元親友に縁を切られた事も。
「しかし、商人が首謀者だとはな。わたしはどこかの貴族かと思ったが」
アルファンがそう言うと
「それだけ商人のチカラが強い国なのよ」
「うちの国の女王様は国民一人ひとりを大切にしてくれる。それに対して隣国のマタハイムは国民の怒りを買うような国なんだね」
アーサーが裏声を出して皮肉るように言った。
「商人も立派だわね」ニーナが手を止めて言った。
「いずれにせよ、国民を大切にしないと一国は滅びるということさ」
アルファンは口ひげを人差し指でさすった。
裏切り者は仲良く牢獄へ。
もし、王太子に婚約破棄されていなければアントニーナが投獄されていたかもしれない。
アントニーナは再び口にした。
「塞翁が馬」と。
その後聞いた話によると、投獄された王太子らは奴隷にされたという。
国造りに駆り出され、タダ働きをさせられている。
王太子にしてみれば王族から奴隷へらマルタからすれば公爵令嬢から奴隷へと成り下がったことになる。
「かわいそうに……お二人とも、牢獄でお幸せに」
「クレパルディ公爵様、たった今隣国マタハイムで革命があったそうです。何でも首謀者は街の商人とかで……」
と執事がやってきた。
「それでどうなった?」
アルファンは目の色を変えて聞いた。
「国王王妃と王太子、王太子妃が捕虜になりました」
「何だって!?」
やはり噂は本当だった。
汽車に乗っていた老人が「起こらないかもしれない」と言っていたが、事は突然に起きた。
しかも、王太子とマルタが捕まったのだ。
首謀者が平民。
やはり、と思った。
――塞翁が馬
「やはりな。マタハイムは税金が高いで有名だったからな。だから、ここサラボナへの移住者が後を絶たなかったわけだ」
アルファンの顔が強張りを見せた。
「やはり起きたのね」
ニーナはため息をついた。
「やはり……ってそんな噂があったのですか?」
「有名な話よ。税金が高いから、国王の暗殺計画でもあるんじゃないか? と」
そんな噂が隣国で広まっていたとは?
マタハイムでは内密な話になっていたというのに。
「やっぱり国王は命を狙われたか」とアーサー。
「そうよ。税金はぼったくりって言ってたわよ。それで王家が贅沢三昧して税金を湯水のように使っていたって話よ」とナンシー。
「ボッタクリの税金で贅沢三昧をしていた人の一人が王太子殿下でした~」と言ってやりたい気分だった。
「やはり……国王は生きているのか?」
アルファンも我が事のように執事を質問攻めにしている。
「生死は不明です。しかし、王太子夫妻は生存しているようです」
王太子とマルタは生きている。
もしも自分が王太子と結ばれていたら……と思うとゾッとした。
「首謀者となった商人について」とまたしてもアルファン。
「どうやら城下町1の豪商だったようです」
「豪商か。動機はやはり高額な税金の事か?」
「はい、そう思われます」
皆、食事を食べていた事を忘れ、固まっていた。
まさか革命が起きるとは思わなかったからだ。
◇◆◇◆◇
革命の内容はこうだ。
豪商が他の商人仲間と団結し、王室を滅亡させようと目論んだ。
やはり、原因は高額な税金だった。
高額な税金に耐えかねて、商人仲間が次から次へとオイフィーアに移住してしまったのだ。
しかし、老商人からすれば、長年慣れ親しんだ土地に別れを告げるのは名残惜しい。
オイフィーアに移住するのにはそれなりのエネルギーと勇気がいる。
そして、商人仲間だけでなく、職人や農家、漁師を集めて革命を企てたのだ。
当初はなかなか話が進まなかった。
それは国王が抜け目の無い人物だと恐れていたからだ。
しかし、実際にはそれほど恐れる人物では無いと判断され、今回の騒動に出たという。
しかも、城はいとも簡単に包囲されたらしい。
城の警備も手薄だったという。
それゆえ、国王や王妃、王太子とその婚約者はあっさりと捕まってしまったのだ。
第二王子、第三王子もいたが、彼らは革命軍に降伏し、釈放された。
しかし、王太子だけは頑なに革命軍に降伏しなかったため、捕まってしまったのだ。
かくしてマタハイム王国は革命軍の手に落ちた。
新しく王に即位したのはなんと、元平民で豪商だったユアンだった。
第二王子と第三王子は王位継承権を捨てるよう、革命軍に言われた。
これにより、王朝は終了したのであった。
◆◇◆◇
「やはり塞翁が馬だったな、アントニーナ」
アルファンが笑顔で言った。
「そうですね。まさか王太子妃が捕まるとは思いませんでした。生存しているとはいえ、牢獄の中で過ごすのは辛いです」
アントニーナは深く目を閉じ深呼吸した。
「本当に良かったよ。王太子もとんでもない奴だったのね」
ニーナは呆れていた。
「本当にアントニーナ良かったな。もう少しで牢獄の中だったよ」
アーサーはそう言ってパンを口に放り込んだ。
「本当よ。あんな王太子にアントニーナは似合わないわ」とポピンズ。
「みんな、ありがとう。本当に王太子殿下に婚約破棄されて良かったって本当に思います」
そして、アントニーナを裏切った元親友に縁を切られた事も。
「しかし、商人が首謀者だとはな。わたしはどこかの貴族かと思ったが」
アルファンがそう言うと
「それだけ商人のチカラが強い国なのよ」
「うちの国の女王様は国民一人ひとりを大切にしてくれる。それに対して隣国のマタハイムは国民の怒りを買うような国なんだね」
アーサーが裏声を出して皮肉るように言った。
「商人も立派だわね」ニーナが手を止めて言った。
「いずれにせよ、国民を大切にしないと一国は滅びるということさ」
アルファンは口ひげを人差し指でさすった。
裏切り者は仲良く牢獄へ。
もし、王太子に婚約破棄されていなければアントニーナが投獄されていたかもしれない。
アントニーナは再び口にした。
「塞翁が馬」と。
その後聞いた話によると、投獄された王太子らは奴隷にされたという。
国造りに駆り出され、タダ働きをさせられている。
王太子にしてみれば王族から奴隷へらマルタからすれば公爵令嬢から奴隷へと成り下がったことになる。
「かわいそうに……お二人とも、牢獄でお幸せに」
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