上 下
9 / 13

ハイヴァランド帝国へ

しおりを挟む
ハーマイオニーはハイヴァランド帝国の夜会に呼ばれた。

宮殿の前に来て、足がんでしまった。

ヴェルシム王国は世界で2番目に壮大だと言われているが、さらに壮大なのだ。

全く比べ物にならない。

その宮殿がハイヴァランド帝国の国力を物語っていた。


冬の束の間の晴れ。

夜会までまだまだ時間がある。


ハーマイオニーは侍女のサラと共に宮殿を訪れた。



「わたくしはハーマイオニー・シモンズと申します」

門番にそう告げると、門番は

「少々お待ちを」

と言った。


すると……。


中から……。


「約束通り来てくれたのか?」

そこにいたのは皇帝アーサーだった。

アーサーはどっしりとしたバリトンボイスだった。

まさに、皇帝らしい声。


なんと、アーサーは門まで迎えに来てくれたのだ。

「はい。皇帝陛下のお誘いともなればお断りするわけにはいきません」

「そうか……。で、お連れ様は?」


「わたくしの侍女を務めています、サラと申します」

「初めまして、皇帝陛下。私はサラです。宜しくお願いします」

「サラか。宜しく」

「んで。ハーマイオニー・シモンズ。これから城内を案内する。広いからくれぐれも迷子にならないようにな」

ハーマイオニーはアーサーについていった。


庭も広い。

庭は沢山の花で埋め尽くされている。


右を向いたら、花時計があった。


しばらく歩くと、宮殿が現れる。


「はっ!!」

宮殿の入口を護る騎士たちが敬礼している。


城内に入ると、帆船の形をしたシャンデリアが出迎えてくれた。

これから、巨大な城内が、いや、ダンジョンが待ち受けている。


足音が辺りに響き渡る。

と、そこでアーサーが振り返った。


「そうだ。サラと言ったな?」

「はい」

「きみには貴賓室に来てもらう。私はハーマイオニーに直接話さねばならない事があるのでな」

「あ……はい。私、おまけですので」

「いや、おまけって話ではない。むしろ、きみを歓迎したいんだよ」

アーサーはウインクした。
 




数分歩いたか。

もうくたくたになっていた。

やはり、城内は広い。

城内で馬車を走らせても良いのでは? と思った位。


そこでアーサーが足を止め、左側の部屋を指差した。

「ここが貴賓室だ」

トントン。

アーサーは部屋をノックした。


返事がない。

「誰もいないようだな」

アーサーは扉を開けた。

「サラ。ここで待ちたまえ。私の側近が来る」

「はい、皇帝陛下」

サラは中へ入っていった。


「ではハーマイオニー。行こう」

ハーマイオニーはサラと別れ、再びアーサーについていった。


アーサーは足を止めた。

「私の執務室だ。入れ」

ハーマイオニーは中に入った。


中にはメイドが一人いて、お茶とお菓子を用意していた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

第一夫人が何もしないので、第二夫人候補の私は逃げ出したい

マルローネ
恋愛
伯爵令嬢のリドリー・アップルは、ソドム・ゴーリキー公爵と婚約することになった。彼との結婚が成立すれば、第二夫人という立場になる。 しかし、第一夫人であるミリアーヌは子作りもしなければ、夫人としての仕事はメイド達に押し付けていた。あまりにも何もせず、我が儘だけは通し、リドリーにも被害が及んでしまう。 ソドムもミリアーヌを叱責することはしなかった為に、リドリーは婚約破棄をしてほしいと申し出る。だが、そんなことは許されるはずもなく……リドリーの婚約破棄に向けた活動は続いていく。 そんな時、リドリーの前には救世主とも呼べる相手が現れることになり……。

【完結・7話】召喚命令があったので、ちょっと出て失踪しました。妹に命令される人生は終わり。

BBやっこ
恋愛
タブロッセ伯爵家でユイスティーナは、奥様とお嬢様の言いなり。その通り。姉でありながら母は使用人の仕事をしていたために、「言うことを聞くように」と幼い私に約束させました。 しかしそれは、伯爵家が傾く前のこと。格式も高く矜持もあった家が、機能しなくなっていく様をみていた古参組の使用人は嘆いています。そんな使用人達に教育された私は、別の屋敷で過ごし働いていましたが15歳になりました。そろそろ伯爵家を出ますね。 その矢先に、残念な妹が伯爵様の指示で訪れました。どうしたのでしょうねえ。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

安息を求めた婚約破棄

あみにあ
恋愛
とある同窓の晴れ舞台の場で、突然に王子から婚約破棄を言い渡された。 そして新たな婚約者は私の妹。 衝撃的な事実に周りがざわめく中、二人が寄り添う姿を眺めながらに、私は一人小さくほくそ笑んだのだった。 そう全ては計画通り。 これで全てから解放される。 ……けれども事はそう上手くいかなくて。 そんな令嬢のとあるお話です。 ※なろうでも投稿しております。

【完結】幸せは自分で掴み取れですわ(お父様、侯爵家、婚約者、命、すべて私は守ります)

成実
恋愛
夢でみる違う世界の私が、今の私に教えてくれる。 違う世界の私の呟きを参考に、今の私の幸せを掴みとります。

ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~

柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。 その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!  この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!? ※シリアス展開もわりとあります。

婚約者と親友に裏切られたので、大声で叫んでみました

鈴宮(すずみや)
恋愛
 公爵令嬢ポラリスはある日、婚約者である王太子シリウスと、親友スピカの浮気現場を目撃してしまう。信じていた二人からの裏切りにショックを受け、その場から逃げ出すポラリス。思いの丈を叫んでいると、その現場をクラスメイトで留学生のバベルに目撃されてしまった。  その後、開き直ったように、人前でイチャイチャするようになったシリウスとスピカ。当然、婚約は破棄されるものと思っていたポラリスだったが、シリウスが口にしたのはあまりにも身勝手な要求だった――――。

【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!

りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。 食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。 だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。 食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。 パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。 そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。 王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。 そんなの自分でしろ!!!!!

処理中です...