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幼少期
誕生
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「おぎゃあ~おぎゃあ~」
産声と同時にドアが開いた。当主であるアルバートが息を切らしながら入ってきたのだ。
「マリア、生まれたのか?」
「はい、アル、女の子です」
その日公爵家は長女の誕生に大騒ぎだった。
産まれてきた子はとても可愛らしく、母親に似た青い綺麗な目を持ち、顔立ちは勿論父親と母親に似た美形だった。髪の毛はアリスティア王国で神の色と言われる色に近い白銀で輝いていた。
アルバート一瞬見惚れて顔が残念なことになっていたが、直ぐに持ち直し、
「この子の名前はリリアにする!」と言った。
「リリア……いい名前ですね」
「きゃっきゃっ」
「この子も気に入ったみたいです」
「おかあさま?いもうとですか?」
長男で3歳のラレルが恐る恐る入って、そう聞いてきた。
「そうですよ」
「これからはお兄ちゃんとしてしっかりしないとな!」
「はい!」
嬉しそうに返事をした。
それにしても白銀に近い髪色なんて……
この子はきっと我が家に幸福をもたらすに違いない。大切に育てなくては……。
使用人から見て憧れる家族がそこにいた。
だが、すぐに問題が起きた。リリアは体が弱すぎた。生まれた翌日に高熱を出し、生死をさまよったのだ。
「おぎゃあ~おぎゃあ~」
「医者を!はやく!」
「リリアはだいじょうぶですか?」
「アル、落ち着いて下さい。ラレルも大丈夫ですよ。ちょっと向こうで待っていてくれる?誰か連れていってちょうだい」
「はい」執事のセバスがラレルを連れ出した。
「どうなのだ?大丈夫なのか?」
医者に向かって問い詰めるように聞いた。
「このままでは長くは生きれないでしょう。
おそらくベットから出ることも難しいかと
……」医者は12が肝心になると言い残して帰っていった。
「……そんな」
うちひしがれる思いだった。
「……アル大丈夫ですよ。この子は神様が下さった宝物なんですから」
「……そうだな……。私たちが信じなくては」
公爵家の子どもの誕生は王家に報告しなければならない。
アルバートは落ち着いてから王宮に報告に行った。
「失礼します。陛下アルバートです」
「入れ」
2人は学園時代の同級生で、幼なじみで、従兄弟だった。そして、長女の誕生とこれまでの事情を話した。
「……そうか。大変だな」
「大変かもしれないが、神様が下さった宝物だ。絶対幸せにする」
2人の間柄上ため口で、アルは決意を口にした。
「落ち着いたら会わせてもらおう」
「はい、それでは失礼します」
「ご苦労」
「アルが待ちに待っていた女の子なのにな……」誰にも聞かれることなくその呟きは彼の執務室に消えていった。
家に帰ってきたアルは希望に溢れた顔をしていた。その日から公爵家は大きく変わった。使用人をはじめとする家中の人がリリアの為にと今まで以上に働くようになった。何度も高熱を出し、皆が心配したが、その度に皆の結束は深まっていった。
リリアはよく笑う子だった。
その笑顔は皆を癒した。
「リリア何してるの?」
「きゃっきゃっ」
リリアはよく天井を見て笑っていた。
何を見ているのかしら?
何か特別な何かが見えているのかしら?
マリアは不思議に思ったが、リリアの笑顔が見れるなら些細なことだった。
「お嬢様お食事です」
「アーウー」
リリアお嬢様のお世話係を任されるなんて。侍女であるリルは毎日が本当に幸せだった。
「旦那様リリアお嬢様はすくすく育っていらっしゃいます。心配はつきませんが、少しは休みませんと……」
アルバートはリリアが生まれてから1日1日が心配で、まともに睡眠がとれていなかった。
「……そうだな」
アルバートは心配で仕方なかったが、自身の体調は一番理解していた。なので、倒れるわけには…と執事に従って休むことにした。それは浅い眠りでも今のアルバートには大切な休息となった。
「おにいちゃんがついてるから」
「あい!」
ラレルはリリアが返事をしたように聞こえた。可愛いだけでなく、賢い…そのことに幼ながらに気付いていた。
そうして皆がリリアの高熱に心配しながら1年が過ぎた。
産声と同時にドアが開いた。当主であるアルバートが息を切らしながら入ってきたのだ。
「マリア、生まれたのか?」
「はい、アル、女の子です」
その日公爵家は長女の誕生に大騒ぎだった。
産まれてきた子はとても可愛らしく、母親に似た青い綺麗な目を持ち、顔立ちは勿論父親と母親に似た美形だった。髪の毛はアリスティア王国で神の色と言われる色に近い白銀で輝いていた。
アルバート一瞬見惚れて顔が残念なことになっていたが、直ぐに持ち直し、
「この子の名前はリリアにする!」と言った。
「リリア……いい名前ですね」
「きゃっきゃっ」
「この子も気に入ったみたいです」
「おかあさま?いもうとですか?」
長男で3歳のラレルが恐る恐る入って、そう聞いてきた。
「そうですよ」
「これからはお兄ちゃんとしてしっかりしないとな!」
「はい!」
嬉しそうに返事をした。
それにしても白銀に近い髪色なんて……
この子はきっと我が家に幸福をもたらすに違いない。大切に育てなくては……。
使用人から見て憧れる家族がそこにいた。
だが、すぐに問題が起きた。リリアは体が弱すぎた。生まれた翌日に高熱を出し、生死をさまよったのだ。
「おぎゃあ~おぎゃあ~」
「医者を!はやく!」
「リリアはだいじょうぶですか?」
「アル、落ち着いて下さい。ラレルも大丈夫ですよ。ちょっと向こうで待っていてくれる?誰か連れていってちょうだい」
「はい」執事のセバスがラレルを連れ出した。
「どうなのだ?大丈夫なのか?」
医者に向かって問い詰めるように聞いた。
「このままでは長くは生きれないでしょう。
おそらくベットから出ることも難しいかと
……」医者は12が肝心になると言い残して帰っていった。
「……そんな」
うちひしがれる思いだった。
「……アル大丈夫ですよ。この子は神様が下さった宝物なんですから」
「……そうだな……。私たちが信じなくては」
公爵家の子どもの誕生は王家に報告しなければならない。
アルバートは落ち着いてから王宮に報告に行った。
「失礼します。陛下アルバートです」
「入れ」
2人は学園時代の同級生で、幼なじみで、従兄弟だった。そして、長女の誕生とこれまでの事情を話した。
「……そうか。大変だな」
「大変かもしれないが、神様が下さった宝物だ。絶対幸せにする」
2人の間柄上ため口で、アルは決意を口にした。
「落ち着いたら会わせてもらおう」
「はい、それでは失礼します」
「ご苦労」
「アルが待ちに待っていた女の子なのにな……」誰にも聞かれることなくその呟きは彼の執務室に消えていった。
家に帰ってきたアルは希望に溢れた顔をしていた。その日から公爵家は大きく変わった。使用人をはじめとする家中の人がリリアの為にと今まで以上に働くようになった。何度も高熱を出し、皆が心配したが、その度に皆の結束は深まっていった。
リリアはよく笑う子だった。
その笑顔は皆を癒した。
「リリア何してるの?」
「きゃっきゃっ」
リリアはよく天井を見て笑っていた。
何を見ているのかしら?
何か特別な何かが見えているのかしら?
マリアは不思議に思ったが、リリアの笑顔が見れるなら些細なことだった。
「お嬢様お食事です」
「アーウー」
リリアお嬢様のお世話係を任されるなんて。侍女であるリルは毎日が本当に幸せだった。
「旦那様リリアお嬢様はすくすく育っていらっしゃいます。心配はつきませんが、少しは休みませんと……」
アルバートはリリアが生まれてから1日1日が心配で、まともに睡眠がとれていなかった。
「……そうだな」
アルバートは心配で仕方なかったが、自身の体調は一番理解していた。なので、倒れるわけには…と執事に従って休むことにした。それは浅い眠りでも今のアルバートには大切な休息となった。
「おにいちゃんがついてるから」
「あい!」
ラレルはリリアが返事をしたように聞こえた。可愛いだけでなく、賢い…そのことに幼ながらに気付いていた。
そうして皆がリリアの高熱に心配しながら1年が過ぎた。
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