大丈夫のその先は…

母と私

「ごめんなさい」私は何度目と分からない謝罪をお母さんにしている。こんなに悲しませるつもりなんてなかった。上手く隠してきたはずだったのに…いや、これで良かったのかもしれない。急にいなくなる私よりずっと側にいてくれる存在がいる。

私の体は難病に犯されている。今はまだ治療法がなく、緩和治療しかできない状態の病だ。知っていた…だからこそ隠してきたのに。病院へ行ったところで何も変わらない。
「いつになれば家に帰れますか？」
「…この状態の君を家に帰すわけには行かないよ。ここでなら、私たちの誰かは君の体調をずっと見ていられる。もう大丈夫だ。1人じゃないよ」嘘だ…。知っている。……あぁ、私は帰れないのか。

「実来、お義父さんたちに任せましょう。きっと良くしてくれるわ」
「…そうだね」治療なんて受けられない。なんの解決にもならない。でも、もしかしたら…。そんな希望が芽生え始めていた。でも、私は気が付かないふりをして薬に促されるように眠りについた。


「実来の病気を治せる医者になる！俺はアメリカに留学するよ」
「…私の知り合いに連絡しておく」
「お願い！お願いします…」