大丈夫のその先は…

水姫

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鈍い朝

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朝起きると手足は氷のように冷たく、頭の鈍い痛みに思わず顔をしかめる。今日は昨日突然お母さんが言い出した再婚相手と顔合わせの日なのだ。体調が悪くとも行かないという選択肢は実来の中にない。それに今まで苦労をかけてきたお母さんにこれ以上心配はかけられなかった。

ベットの隣にある引き出しから薬を取り出し口に含む。実来の1日はこれがなければ始まらない。段々と落ち着いてくる痛みにゆっくりと立ち上がる。

鏡でみると血色の悪さは病人のそれだ。今日は特に酷い顔をしていると思いながら、隠すように身嗜みを整えていった。


「実来~」
「待ってお母さん、あと少し!」


もう一度鏡で確認する。
「よし、これなら大丈夫でしょ」幾分かまっしになった顔色で自分を待っている母のもとへと部屋を出た。


「………それでね、幸一さんたら。ふふふ今思い出しても笑っちゃうわ。大丈夫?面白くなかったかしら」
「ううん、どんな人だろうって気になってて…」
「ふふ、実来も絶対好きになってくれるわ。あっ、ここね」
母の話を聞き流していたらとてもお洒落な店に着いていた。高そう…。緊張で朝以上に体調が悪くなっている気がした。


「入りましょうか」
「そうだね」


店内は暗く、しっとりとした音楽が流れていた。これくらい暗ければバレることもないだろう。少し安堵し、店員さんに案内され待ち合わせ相手と合流した。

凄く紳士な男性だ。素敵な人なんだろうな雰囲気で分かった。
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