こんな展開知りません！

番外編

私はヒロイン

「ちょっと、離しなさいよ！っ、触らないで！私を誰だと思ってるのよ！」オカシイオカシイオカシイ…。何でよ！悪役令嬢は終身刑になったし、ハッピーエンド迎えたはずなのに…。



私には前世の記憶がある。常々こんな扱いをされるような人間じゃないと思っていたのだけど数年前に店の手伝いをしている時に漸く気付いたの！私は『あなたが望むなら』のヒロインに転生したんだって。もう嬉しくて小躍りしちゃったわ。これでこんな生活からおさらば出来るし、何でも手に入れられる。だってこの世界はヒロインである私のためにあるんだもの。

「何してるの！早く片付けなさい！」
何よ！本当なら私店の手伝いなんてやるような身分じゃないのよ。私が手に入れるべき地位に付いたらただじゃ置かないんだから。でも、まあこの店のおかげで私の推し、シアとも会えたからそこだけは感謝してあげてもいいけれど…。

それにしても…学園で出会うよりも早く見られるなんて最高よね。想像の何倍も格好良かったわ。

本来なら学園で会うのが正しいシナリオだけど、まぁ私は可愛いし、ヒロインなんだからシアも早く会いなくなってしまったのね。ふふ、私って罪ね。



なのに、何でよ！何で私が罪に問われないといけないの？おかしいでしょ！この世界は私のためにあるのに、悪役令嬢がまともに機能しなかったから少し細工しただけじゃない。全てあるべき姿でしょう？
「……、よって王太子に対して毒殺を企んだその罪は極めて重い！何か申し開きはあるか？」

「シアを呼んでよ！そんな事実ないわ！私がそんなことするわけないじゃない！シアを「煩いな…」シア！」

「シア！私に罪を着せようとしてくるの、助けて！シアなら分かるでしょ？私はそんなことしないわ」シアが来たなら私は助かったも同然よね。私をこんなん目に合わせたやつを処罰して貰わなくちゃ。

「はぁ…、まだ終わってなかったの？」えっ、これは、誰？いつもの私の優しいシアは？

縋るような視線に気付いたシアはしゃがみ込んで少し考える素振りを見せてから、氷のような表情で私を忌々しそうに睨んできた。
「……どうせ最期だから教えてあげるよ。君がリアを嵌めていたことには早々に気付いていた。リアの顔を曇らせるとか正直その場で殺しに行こうかとも思ったんだけど…でもね、リアを完全に手に入れたかった私には丁度良かったから感情を押し殺して利用させて貰ったんだ」リアには可哀想なことをしてしまったと反省の声に私はスッと心から冷えていくのを感じた。

悪役令嬢を手に入れるためだけに利用されて、用無しになったから殺されるってこと？そんなの許せるわけないじゃない！沸々と怒りが溢れ出し、抑えられない。
「…全部あいつのせいね。悪役令嬢さえいなければ、シアが私を「耳障り…」」

こんなのってないわ。
ここは私が主役の世界でしょ…。




時間が空きましたが、これで完全に完結です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。