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第13章 出会いと別れ
第402話 やっぱり緑なんだな
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「ありえないありえないありえない――」
今現在、私たちは魔物の襲撃を受けて混乱していた。こんな魔物がいるだなんてギルドでは聞いていなかった。
「ジャンヌ、しっかりして!」
カミーユが私を叱咤して正気へ戻そうとする。本来ならこんなことになっても私たちは場数を踏んでいるので持ち直すことは可能だったのだが、今回はそういうわけにもいかない。
「クロエ、クロエっ!」
視界の端には泣きながらクロエへ必死に呼びかけるシャルロットの姿があった。そう、シャルロットを咄嗟に庇ってクロエが負傷したのだ。背中に受けた爪痕から血が流れ出している。
「シャルロット、泣き叫ぶのはあとよ! 早くクロエに回復魔法を!」
呆ける私と違ってカミーユは的確に指示を出していくが、シャルロットは目の前で倒れているクロエの姿によって取り乱したままだ。
「《自由なる風よ 刃となりて 我が敵を断ち切れ ウインドカッター》」
冷静なのはカミーユだけじゃなかった。ノエミも魔法を唱えて魔物への牽制を行っている。
「ジャンヌ、動ける前衛は貴女だけなのよ! 呆けてないでしっかりして!」
カミーユから再度叱咤される。
襲ってきた魔物に集中していなかったからだろうか、カミーユも気づいていないことに私は気づいてしまい咄嗟に叫んだ。
最悪な状況を目の当たりにしてしまい……
「シャルロットぉぉぉぉっ!」
「ぁ……」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
時は少し遡り、ジャンヌたちが見つからないトロールへ見切りをつけて、お昼になる前には王都へ向けて帰り始めてからしばらくした頃。
「帰りつく頃には夕方だね」
「あぁーあ、無駄足だったよねー」
「一応、ギルドへ報告するわよ。情報料くらいはもらわないと」
「帰ったらお疲れ会しようよ」
「残念会とも言えるわねぇ」
カミーユの言う通りでギルドから情報料くらいはもらわないと、ここまで探索したのが無駄骨になってしまうし正直やってられない。
私たちはバランスの取れたパーティーだし、トロール1体くらいなら討伐できたのにな。
「とりあえず道中に倒した魔物で稼ぐしかないね」
「低ランクの魔物がこんなにもありがたく思える日がくるとは思わなかったよ」
「食事代くらいにはなってもらわないとね」
「いっぱい美味しいもの食べよー」
「私は美味しいお酒がいいわぁ」
既に残念会という名の打ち上げのことで頭がいっぱいになっている私たちは、今起きている違和感に気づかないまま歩みを進めていた。
その違和感とは、森の奥へ向かう時には遭遇していたはずの魔物たちに、帰りは全く出会っていないということだ。
そのまま呑気な会話をしつつ歩いていた時に、クロエが唐突にお喋りをやめてシャルロットを突き飛ばした。
「――ッ!」
突き飛ばされたシャルロットは尻もちをついてキョトンとしており、私たちも同じくキョトンとしてしまったが、くぐもった声をあげて倒れ込んでいるクロエの姿を目の当たりにしてしまい何が起きたのか理解が追いつかなかった。
「グルル……」
その声に反応して視線を向けると魔物が餌を値踏みするかのように、円を描くような形で歩いておりこちらの様子を窺っていた。
「タ……タイガー種……」
カミーユの小さな呟きは私の耳にも届いて混乱が後を絶たない。
タイガー種と言えばどの種であっても最低Aランククエスト扱いとなり、Aランク冒険者のパーティーが万全の状態で挑むような獰猛で素早い相手だ。
「う……うぅぅ……」
クロエの声が聞こえてきて私がそちらへ振り向くと背中に受けた爪痕から血が流れ出していて、とても動けるような状態ではないことがひと目でわかる。
何で……どうして……この魔物が出るなんて聞いてない。この界隈は魔物が出てもオークやアントなのに……こんなの私たちが勝てるわけがない。
「ありえないありえないありえない――」
私はわけがわからなくなった。動けないクロエ、格上の魔物、辿りつく最悪な未来……
「ジャンヌ、しっかりして!」
カミーユから叱咤されるが私は足が震えて動けずにいた。
「クロエ、クロエっ!」
「シャルロット、泣き叫ぶのはあとよ! 早くクロエに回復魔法を!」
血を流し続けているクロエの治療が最優先だが、泣き叫んで取り乱しているシャルロットはカミーユの言葉が耳に届いていない。
「《自由なる風よ 刃となりて 我が敵を断ち切れ ウインドカッター》」
冷静なのはカミーユだけじゃなかった。ノエミも魔法を唱えて魔物への牽制を行っている。
「ジャンヌ、動ける前衛は貴女だけなのよ! 呆けてないでしっかりして!」
再び叱咤されてしまい震える足を何とかしたいが、倒れているクロエとシャルロットから目が離せないで動けずにいると、シャルロットの向こう側にもう1体いる魔物の姿を捉えてしまった。
飛びつくタイガー種……振りかぶる前足に備わっている凶悪な爪……私の頭の中で無惨に殺されるシャルロットの姿が容易に想像できてしまい、咄嗟に叫んでしまった。
「シャルロットぉぉぉぉっ!」
「ぁ……」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
私はジャンヌの声に反応して顔を上げると、そこには魔物の姿があった。クロエを襲った魔物とは別でもう1体のタイガー種。
周りから何か聞こえてくるけど何を言っているのかわからない。急に静かになった世界で私はもの凄く遅くなっている魔物の攻撃をじっと見ていた。
(お父さん、お母さん……)
その動きが遅くなった世界でもう死ぬんだと思った私は、怖くて目を瞑ってしまう。そしてその時がくるのを待ったけど、魔物の動きが遅いせいなのか中々痛くならない。
いつまで経っても痛くならないことに困惑していると、優しい声が聞こえてきた。
「大丈夫かい?」
もう天国にきたのかな? 神様が痛くならないようにしてくれたのかな?
ふわっと宙に浮く感覚に包まれていた私は既に死んだんだと思っていたけど、目を開けた私の視界に入ってきたのは男の人の顔だった。そして私はその人にお姫様抱っこされていた。
不思議に思った私は自然と口を開いた。
「神様ですか? それとも天使様?」
男の人はびっくりした表情になっていたけど、元の優しい顔に戻ると私に教えてくれた。
「俺は冒険者だよ」
冒険者と名乗ったその人に、私は何故か会ったことがあるような気持ちになる。
「こんな所にフォレストタイガーがいるとは……でも、やっぱり緑なんだな……」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
私は目を疑った。シャルロットが死んでしまうと思ったその時に凄い音がしたと思ったら、シャルロットを殺そうとしていたタイガー種が吹き飛ばされていて木へ激突していたからだ。
私の聞いた凄い音は木がへし折れた音だったみたいだ。
「ケビン様……?」
カミーユが口にした言葉で我に返った私はシャルロットの方へ視線を向けると、そこには憧れのケビンさんの姿があった。そして倒れていたクロエが何故か立っている。シャルロットはお姫様抱っこされていたけど……
ちょっと羨ましいと思ったのはここだけの話だ。
「《酸素消失》」
ケビンさんが何か呟いたかと思ったら突然様子を窺っていたタイガー種や、木へと吹き飛ばされていたタイガー種がもがき苦しみ始めた。
そしてパタリと倒れる。
「え……」
何が何だかわからない。何でフォレストタイガーが倒れてるの!?
「もう大丈夫だよ」
ケビンさんはそう言うが、わけがわからないまま私たちはポカンとするしかなかった。
「あの……ありがとうございます」
クロエがケビンさんへそう伝えたら、ようやく私はクロエが怪我していたことを思い出した。
「クロエ! 怪我は大丈夫なの!?」
「うん。痛みはないけど傷痕ってどうなってる?」
私はクロエへ駆け寄って背中を眺めると言葉を失った。
「やっぱり酷いよね? あぁーあ、傷痕があっても付き合ってくれる男の人っているのかなー」
「……ない」
「だよねーはぁぁ……この歳で結婚の道が閉ざされるなんて……」
「違うのっ、男の人のことじゃないの!」
「いいよいいよ、そんなに気を使わなくても。女の子を相手にするっていう道も残されてるし」
「私があんたに気を使うわけないでしょ! そうじゃなくて傷痕がないのよ、傷痕が!」
全く人の話を聞かないクロエに私は声を荒らげてしまう。そのような私とクロエのやり取りを見てか、カミーユやノエミもクロエの背中を見るために近づいてきた。
「本当にないわ」
「どういうことかしらぁ」
私だけじゃなくてカミーユとノエミが同じように傷痕がないことをクロエに伝えると、ようやくクロエも本当のことだということに気づく。私の言葉じゃ信じなかったくせに。
「女の子が傷痕を残すわけにもいかないだろ? 回復ついでに消しといた」
なんてことのないようにケビンさんが告げてくるが、それはありえないことだと理解しているのだろうか?
小さな切り傷ならともかく、今回クロエが受けたのは抉られたような爪痕だったのに。それを“消しといた”だなんて、なんてことのないように言ってしまうケビンさんは規格外過ぎる。
そもそもタイガー種の倒し方も規格外過ぎた。何でシャルロットをお姫様抱っこしたまま1歩も動かずに倒せてしまうの?
しかも、まだ抱っこしたままだし……羨まし過ぎる。まさか……私と違ってシャルロットが小さくて愛らしいからなのっ!?
兎にも角にも全滅の危機が去ったと思ったら、私はその場で崩れ落ちてしまう。
「どうしたのジャンヌ?」
「はは、安心したら腰が抜けちゃって……」
カミーユの疑問に私は素直に答えた。こんなんじゃあ、リーダー失格だよね。
「確かに全滅の道しかなかったものね。ジャンヌは動けていなかったし」
「ごめん、足が震えてて思うように動いてくれなかった。リーダー失格だよね。やっぱりカミーユがリーダーをした方がいいよ」
「ダメよ。私たちの冒険の始まりはジャンヌが誘ったからなのよ。それがなければ今頃村のおじさんに嫁がされているわ」
カミーユとそのような会話をしている時に物音がしたので、新手かと思った私たちはハッとして物音がした方へと視線を向けて身構えた。
「はぁはぁ……やっと追いつきましたわ」
そこに現れたのは綺麗な女性たちだった。息を切らせながらケビンさんへ近づいていき物申していた。
「方向だけ伝えて消えるから何事かと思いましたわ」
「いやぁ、切羽詰まっていたから説明している暇がなかったんだよね」
ケビンさんと話している女性は私たちに視線を向けたあと、倒れているタイガー種を見て状況を悟ったようだ。
「冒険者を不用意に助けるのはいけなかったのではなくて? 助けを求められたわけではありませんわよね?」
「この子たちは特別だよ。知り合いだから」
「それならば仕方がありませんわね。どちら様ですの?」
「えぇーと……冒険者をしてて……あっ、名前を知らないや」
「それ、本当に知り合いなんですの!? 冒険者をしているくらい紹介されなくても見ればわかりましてよ!」
「いや、もしかしたら旅の商人かもしれないだろ?」
「どこの世界に完全武装で馬車も持たず、魔物の森に入って商売をする人がいますの!?」
確かにそんな商人はいないよね。何だか2人のやり取りを見ているとさっきまで魔物に殺されそうだったのが嘘みたい。
「でも、俺だってこんななりだけど商人だし」
「それはケビン君だけですわ! 村人Aの冒険者兼商人なんて世界中捜してもケビン君しかいませんわよ!」
「世知辛い世の中だ……」
「それよりもケビンさん、腕の中の少女はどなたですか? いささか羨ましすぎる状況なのですが」
「ヤバいっス、また白馬の王子様が顕現したっス」
「自覚なくてアレだもんねー」
「凄いです」
キリッとした女性がシャルロットに関して質問しているようだけど、もっと言ってやって。私だって羨ましいんだから!
そのようなことを考えていたらケビンさんがシャルロットを下ろしたんだけど、ちょ、ちょっと、シャルロット! 何で抱きついているのよ!
「まだ怖い?」
ケビンさんの言葉で気づいたけど、シャルロットの体は震えていた。そうだよね、殺されるところだったもんね。羨ましいって思ってごめん。
私が心の中で謝っていると、震えているシャルロットをケビンさんが抱き返して頭を撫でながら落ち着かせていた。や、やっぱり羨ましい……
その後、カミーユが女性たちへの自己紹介を始めると私もあとに続いて、震えているシャルロットのことはカミーユが紹介をしていた。
それが終わったら相手の女性たちも自己紹介をしてきて、私たちの狙っていたトロール狩りをしていたことに驚いてしまう。
「かなり奥地で徘徊していましたわ。見つけられなくても仕方がなかったですわね。個体数もそれほどではありませんでしたし」
そうか。まだ奥の方へ行かないと遭遇できなかったのか。どっちみちタイガー種がうろついているなら私たちでは無理だったな。
それからタイガー種がフォレストタイガーという名の魔物だと知って、ここら辺ではあまり棲息していない種だということも教えてもらった。
倒れているフォレストタイガーはケビンさんが回収したけど、えっ……!? 何でいきなり消えるの? ア、アイテムボックス!? そんな夢のようなスキルがあるの!?
そのスキルを不相応にも羨ましがってしまった私にケビンさんが逡巡すると、アイテムボックスから取り出したポーチをみんなに配った。
「それはマジックポーチだから冒険に役立てて。一応個人登録しているから持ち主以外は持てないから盗まれることはないし、破壊防止と劣化防止もつけてある。時間停止はつけてないから生物には注意してね。あぁ、それと君たち仲間内だったら持ち主以外でも使えるようにしておいたから。緊急時に使えないと不便だろうし」
意味がわからない。えっ……何、その高性能……これ1個で金貨何枚分? むしろ大金貨? 国宝級の品物じゃない? というか、付けてあるって……手作り?
「ケビン君……そんな品物をホイホイあげちゃダメだと思いますわ……私たちだってもらってませんのに……」
「そういえばそうだったね。オーダーメイドにするから何色がいい? 柄とかもつけてあげられるから日常的に使える物にもなるよ」
ケビンさんがターニャさんに言われてオーダーメイドにするようだ。マジックポーチを作るなんてケビンさんっていったい何者……?
「お兄ちゃん……」
は……? いやいやシャルロットさん……ケビンさん相手にいったい何を言ってるの? あなたは1人っ子でしょ!
「どうしたのシャルロット?」
え……ケビンさん、何事もなくスルーしてますが、今シャルロットから「お兄ちゃん」って呼ばれたんですよ? スキルに【スルー】とか持っているんですか?
「シャルも」
「オーダーメイドがいいの?」
「うん」
ちょっとシャルロット! あんた、いつの間に上目遣いとか覚えたの!? あざとすぎるでしょ! 身長差で必然的にそうなるけど、素? 素なの!?
結局ケビンさんはターニャさんたちの要望を聞きつつ、その場でマジックポーチを作り出して渡していた。当然オネダリしたシャルロットの分も改造して。
シャルロットのお願いが通ったので私も恐る恐る尋ねてみたら、特に怒られることもなく要望通りに改造してもらえたので、世界で1個だけの私専用のマジックポーチを手に入れることができた。
私が成功したので次々とクロエたちもお願いして、最終的にはみんなのマジックポーチを改造してもらうことになる。
タダで一生手に入らない国宝級なマジックポーチをもらえただけではなく、好みのオーダーメイドに仕立てあげてくれたケビンさんってやっぱり規格外だと思ってしまった。
そりゃこんな物を作り出せるんだから、趣味で商人もするよね。もう冒険者じゃなくて商人だけで食っていけそう……
それからはみんなで王都へ戻ろうということになり、シャルロットはケビンさんに懐いてしまい手を繋いで歩いていた。
「シャルロットが甘えん坊モードになってる……」
「自分のこと“シャル”って言ってたしね」
「村にいた頃に戻ったみたいだわ」
「死の恐怖を味わったから大目に見ましょう。ケビンさんも怒ってなさそうだから大丈夫よぉ」
そのような会話をしながら私たちはケビンさんという規格外から護衛を受けつつ、何事もなく無事に王都へ辿りついたのである。
その後はギルドにおいて森の中部辺りでフォレストタイガーが出たことを報告して、私たちは情報料をもらうことができた。
当初予定していたトロールが森にいないという情報は、ターニャさんたちが討伐していたので諦めるしかなかったのだ。
そしてケビンさんはギルドマスターに無理やり連行されていた。フォレストタイガーを倒したのはケビンさんだし、きっとそのことについて情報を聞き出すのだろう。
ケビンさんは何故か「姿を偽装するの忘れてたぁー」って嘆いていたけど、ギルドマスターと会いたくなかったのかな。
Xランクのケビンさんを引きずるギルドマスターって、実はもの凄く強いんじゃないだろうかとこの時の私は考えてしまうのであった。
今現在、私たちは魔物の襲撃を受けて混乱していた。こんな魔物がいるだなんてギルドでは聞いていなかった。
「ジャンヌ、しっかりして!」
カミーユが私を叱咤して正気へ戻そうとする。本来ならこんなことになっても私たちは場数を踏んでいるので持ち直すことは可能だったのだが、今回はそういうわけにもいかない。
「クロエ、クロエっ!」
視界の端には泣きながらクロエへ必死に呼びかけるシャルロットの姿があった。そう、シャルロットを咄嗟に庇ってクロエが負傷したのだ。背中に受けた爪痕から血が流れ出している。
「シャルロット、泣き叫ぶのはあとよ! 早くクロエに回復魔法を!」
呆ける私と違ってカミーユは的確に指示を出していくが、シャルロットは目の前で倒れているクロエの姿によって取り乱したままだ。
「《自由なる風よ 刃となりて 我が敵を断ち切れ ウインドカッター》」
冷静なのはカミーユだけじゃなかった。ノエミも魔法を唱えて魔物への牽制を行っている。
「ジャンヌ、動ける前衛は貴女だけなのよ! 呆けてないでしっかりして!」
カミーユから再度叱咤される。
襲ってきた魔物に集中していなかったからだろうか、カミーユも気づいていないことに私は気づいてしまい咄嗟に叫んだ。
最悪な状況を目の当たりにしてしまい……
「シャルロットぉぉぉぉっ!」
「ぁ……」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
時は少し遡り、ジャンヌたちが見つからないトロールへ見切りをつけて、お昼になる前には王都へ向けて帰り始めてからしばらくした頃。
「帰りつく頃には夕方だね」
「あぁーあ、無駄足だったよねー」
「一応、ギルドへ報告するわよ。情報料くらいはもらわないと」
「帰ったらお疲れ会しようよ」
「残念会とも言えるわねぇ」
カミーユの言う通りでギルドから情報料くらいはもらわないと、ここまで探索したのが無駄骨になってしまうし正直やってられない。
私たちはバランスの取れたパーティーだし、トロール1体くらいなら討伐できたのにな。
「とりあえず道中に倒した魔物で稼ぐしかないね」
「低ランクの魔物がこんなにもありがたく思える日がくるとは思わなかったよ」
「食事代くらいにはなってもらわないとね」
「いっぱい美味しいもの食べよー」
「私は美味しいお酒がいいわぁ」
既に残念会という名の打ち上げのことで頭がいっぱいになっている私たちは、今起きている違和感に気づかないまま歩みを進めていた。
その違和感とは、森の奥へ向かう時には遭遇していたはずの魔物たちに、帰りは全く出会っていないということだ。
そのまま呑気な会話をしつつ歩いていた時に、クロエが唐突にお喋りをやめてシャルロットを突き飛ばした。
「――ッ!」
突き飛ばされたシャルロットは尻もちをついてキョトンとしており、私たちも同じくキョトンとしてしまったが、くぐもった声をあげて倒れ込んでいるクロエの姿を目の当たりにしてしまい何が起きたのか理解が追いつかなかった。
「グルル……」
その声に反応して視線を向けると魔物が餌を値踏みするかのように、円を描くような形で歩いておりこちらの様子を窺っていた。
「タ……タイガー種……」
カミーユの小さな呟きは私の耳にも届いて混乱が後を絶たない。
タイガー種と言えばどの種であっても最低Aランククエスト扱いとなり、Aランク冒険者のパーティーが万全の状態で挑むような獰猛で素早い相手だ。
「う……うぅぅ……」
クロエの声が聞こえてきて私がそちらへ振り向くと背中に受けた爪痕から血が流れ出していて、とても動けるような状態ではないことがひと目でわかる。
何で……どうして……この魔物が出るなんて聞いてない。この界隈は魔物が出てもオークやアントなのに……こんなの私たちが勝てるわけがない。
「ありえないありえないありえない――」
私はわけがわからなくなった。動けないクロエ、格上の魔物、辿りつく最悪な未来……
「ジャンヌ、しっかりして!」
カミーユから叱咤されるが私は足が震えて動けずにいた。
「クロエ、クロエっ!」
「シャルロット、泣き叫ぶのはあとよ! 早くクロエに回復魔法を!」
血を流し続けているクロエの治療が最優先だが、泣き叫んで取り乱しているシャルロットはカミーユの言葉が耳に届いていない。
「《自由なる風よ 刃となりて 我が敵を断ち切れ ウインドカッター》」
冷静なのはカミーユだけじゃなかった。ノエミも魔法を唱えて魔物への牽制を行っている。
「ジャンヌ、動ける前衛は貴女だけなのよ! 呆けてないでしっかりして!」
再び叱咤されてしまい震える足を何とかしたいが、倒れているクロエとシャルロットから目が離せないで動けずにいると、シャルロットの向こう側にもう1体いる魔物の姿を捉えてしまった。
飛びつくタイガー種……振りかぶる前足に備わっている凶悪な爪……私の頭の中で無惨に殺されるシャルロットの姿が容易に想像できてしまい、咄嗟に叫んでしまった。
「シャルロットぉぉぉぉっ!」
「ぁ……」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
私はジャンヌの声に反応して顔を上げると、そこには魔物の姿があった。クロエを襲った魔物とは別でもう1体のタイガー種。
周りから何か聞こえてくるけど何を言っているのかわからない。急に静かになった世界で私はもの凄く遅くなっている魔物の攻撃をじっと見ていた。
(お父さん、お母さん……)
その動きが遅くなった世界でもう死ぬんだと思った私は、怖くて目を瞑ってしまう。そしてその時がくるのを待ったけど、魔物の動きが遅いせいなのか中々痛くならない。
いつまで経っても痛くならないことに困惑していると、優しい声が聞こえてきた。
「大丈夫かい?」
もう天国にきたのかな? 神様が痛くならないようにしてくれたのかな?
ふわっと宙に浮く感覚に包まれていた私は既に死んだんだと思っていたけど、目を開けた私の視界に入ってきたのは男の人の顔だった。そして私はその人にお姫様抱っこされていた。
不思議に思った私は自然と口を開いた。
「神様ですか? それとも天使様?」
男の人はびっくりした表情になっていたけど、元の優しい顔に戻ると私に教えてくれた。
「俺は冒険者だよ」
冒険者と名乗ったその人に、私は何故か会ったことがあるような気持ちになる。
「こんな所にフォレストタイガーがいるとは……でも、やっぱり緑なんだな……」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
私は目を疑った。シャルロットが死んでしまうと思ったその時に凄い音がしたと思ったら、シャルロットを殺そうとしていたタイガー種が吹き飛ばされていて木へ激突していたからだ。
私の聞いた凄い音は木がへし折れた音だったみたいだ。
「ケビン様……?」
カミーユが口にした言葉で我に返った私はシャルロットの方へ視線を向けると、そこには憧れのケビンさんの姿があった。そして倒れていたクロエが何故か立っている。シャルロットはお姫様抱っこされていたけど……
ちょっと羨ましいと思ったのはここだけの話だ。
「《酸素消失》」
ケビンさんが何か呟いたかと思ったら突然様子を窺っていたタイガー種や、木へと吹き飛ばされていたタイガー種がもがき苦しみ始めた。
そしてパタリと倒れる。
「え……」
何が何だかわからない。何でフォレストタイガーが倒れてるの!?
「もう大丈夫だよ」
ケビンさんはそう言うが、わけがわからないまま私たちはポカンとするしかなかった。
「あの……ありがとうございます」
クロエがケビンさんへそう伝えたら、ようやく私はクロエが怪我していたことを思い出した。
「クロエ! 怪我は大丈夫なの!?」
「うん。痛みはないけど傷痕ってどうなってる?」
私はクロエへ駆け寄って背中を眺めると言葉を失った。
「やっぱり酷いよね? あぁーあ、傷痕があっても付き合ってくれる男の人っているのかなー」
「……ない」
「だよねーはぁぁ……この歳で結婚の道が閉ざされるなんて……」
「違うのっ、男の人のことじゃないの!」
「いいよいいよ、そんなに気を使わなくても。女の子を相手にするっていう道も残されてるし」
「私があんたに気を使うわけないでしょ! そうじゃなくて傷痕がないのよ、傷痕が!」
全く人の話を聞かないクロエに私は声を荒らげてしまう。そのような私とクロエのやり取りを見てか、カミーユやノエミもクロエの背中を見るために近づいてきた。
「本当にないわ」
「どういうことかしらぁ」
私だけじゃなくてカミーユとノエミが同じように傷痕がないことをクロエに伝えると、ようやくクロエも本当のことだということに気づく。私の言葉じゃ信じなかったくせに。
「女の子が傷痕を残すわけにもいかないだろ? 回復ついでに消しといた」
なんてことのないようにケビンさんが告げてくるが、それはありえないことだと理解しているのだろうか?
小さな切り傷ならともかく、今回クロエが受けたのは抉られたような爪痕だったのに。それを“消しといた”だなんて、なんてことのないように言ってしまうケビンさんは規格外過ぎる。
そもそもタイガー種の倒し方も規格外過ぎた。何でシャルロットをお姫様抱っこしたまま1歩も動かずに倒せてしまうの?
しかも、まだ抱っこしたままだし……羨まし過ぎる。まさか……私と違ってシャルロットが小さくて愛らしいからなのっ!?
兎にも角にも全滅の危機が去ったと思ったら、私はその場で崩れ落ちてしまう。
「どうしたのジャンヌ?」
「はは、安心したら腰が抜けちゃって……」
カミーユの疑問に私は素直に答えた。こんなんじゃあ、リーダー失格だよね。
「確かに全滅の道しかなかったものね。ジャンヌは動けていなかったし」
「ごめん、足が震えてて思うように動いてくれなかった。リーダー失格だよね。やっぱりカミーユがリーダーをした方がいいよ」
「ダメよ。私たちの冒険の始まりはジャンヌが誘ったからなのよ。それがなければ今頃村のおじさんに嫁がされているわ」
カミーユとそのような会話をしている時に物音がしたので、新手かと思った私たちはハッとして物音がした方へと視線を向けて身構えた。
「はぁはぁ……やっと追いつきましたわ」
そこに現れたのは綺麗な女性たちだった。息を切らせながらケビンさんへ近づいていき物申していた。
「方向だけ伝えて消えるから何事かと思いましたわ」
「いやぁ、切羽詰まっていたから説明している暇がなかったんだよね」
ケビンさんと話している女性は私たちに視線を向けたあと、倒れているタイガー種を見て状況を悟ったようだ。
「冒険者を不用意に助けるのはいけなかったのではなくて? 助けを求められたわけではありませんわよね?」
「この子たちは特別だよ。知り合いだから」
「それならば仕方がありませんわね。どちら様ですの?」
「えぇーと……冒険者をしてて……あっ、名前を知らないや」
「それ、本当に知り合いなんですの!? 冒険者をしているくらい紹介されなくても見ればわかりましてよ!」
「いや、もしかしたら旅の商人かもしれないだろ?」
「どこの世界に完全武装で馬車も持たず、魔物の森に入って商売をする人がいますの!?」
確かにそんな商人はいないよね。何だか2人のやり取りを見ているとさっきまで魔物に殺されそうだったのが嘘みたい。
「でも、俺だってこんななりだけど商人だし」
「それはケビン君だけですわ! 村人Aの冒険者兼商人なんて世界中捜してもケビン君しかいませんわよ!」
「世知辛い世の中だ……」
「それよりもケビンさん、腕の中の少女はどなたですか? いささか羨ましすぎる状況なのですが」
「ヤバいっス、また白馬の王子様が顕現したっス」
「自覚なくてアレだもんねー」
「凄いです」
キリッとした女性がシャルロットに関して質問しているようだけど、もっと言ってやって。私だって羨ましいんだから!
そのようなことを考えていたらケビンさんがシャルロットを下ろしたんだけど、ちょ、ちょっと、シャルロット! 何で抱きついているのよ!
「まだ怖い?」
ケビンさんの言葉で気づいたけど、シャルロットの体は震えていた。そうだよね、殺されるところだったもんね。羨ましいって思ってごめん。
私が心の中で謝っていると、震えているシャルロットをケビンさんが抱き返して頭を撫でながら落ち着かせていた。や、やっぱり羨ましい……
その後、カミーユが女性たちへの自己紹介を始めると私もあとに続いて、震えているシャルロットのことはカミーユが紹介をしていた。
それが終わったら相手の女性たちも自己紹介をしてきて、私たちの狙っていたトロール狩りをしていたことに驚いてしまう。
「かなり奥地で徘徊していましたわ。見つけられなくても仕方がなかったですわね。個体数もそれほどではありませんでしたし」
そうか。まだ奥の方へ行かないと遭遇できなかったのか。どっちみちタイガー種がうろついているなら私たちでは無理だったな。
それからタイガー種がフォレストタイガーという名の魔物だと知って、ここら辺ではあまり棲息していない種だということも教えてもらった。
倒れているフォレストタイガーはケビンさんが回収したけど、えっ……!? 何でいきなり消えるの? ア、アイテムボックス!? そんな夢のようなスキルがあるの!?
そのスキルを不相応にも羨ましがってしまった私にケビンさんが逡巡すると、アイテムボックスから取り出したポーチをみんなに配った。
「それはマジックポーチだから冒険に役立てて。一応個人登録しているから持ち主以外は持てないから盗まれることはないし、破壊防止と劣化防止もつけてある。時間停止はつけてないから生物には注意してね。あぁ、それと君たち仲間内だったら持ち主以外でも使えるようにしておいたから。緊急時に使えないと不便だろうし」
意味がわからない。えっ……何、その高性能……これ1個で金貨何枚分? むしろ大金貨? 国宝級の品物じゃない? というか、付けてあるって……手作り?
「ケビン君……そんな品物をホイホイあげちゃダメだと思いますわ……私たちだってもらってませんのに……」
「そういえばそうだったね。オーダーメイドにするから何色がいい? 柄とかもつけてあげられるから日常的に使える物にもなるよ」
ケビンさんがターニャさんに言われてオーダーメイドにするようだ。マジックポーチを作るなんてケビンさんっていったい何者……?
「お兄ちゃん……」
は……? いやいやシャルロットさん……ケビンさん相手にいったい何を言ってるの? あなたは1人っ子でしょ!
「どうしたのシャルロット?」
え……ケビンさん、何事もなくスルーしてますが、今シャルロットから「お兄ちゃん」って呼ばれたんですよ? スキルに【スルー】とか持っているんですか?
「シャルも」
「オーダーメイドがいいの?」
「うん」
ちょっとシャルロット! あんた、いつの間に上目遣いとか覚えたの!? あざとすぎるでしょ! 身長差で必然的にそうなるけど、素? 素なの!?
結局ケビンさんはターニャさんたちの要望を聞きつつ、その場でマジックポーチを作り出して渡していた。当然オネダリしたシャルロットの分も改造して。
シャルロットのお願いが通ったので私も恐る恐る尋ねてみたら、特に怒られることもなく要望通りに改造してもらえたので、世界で1個だけの私専用のマジックポーチを手に入れることができた。
私が成功したので次々とクロエたちもお願いして、最終的にはみんなのマジックポーチを改造してもらうことになる。
タダで一生手に入らない国宝級なマジックポーチをもらえただけではなく、好みのオーダーメイドに仕立てあげてくれたケビンさんってやっぱり規格外だと思ってしまった。
そりゃこんな物を作り出せるんだから、趣味で商人もするよね。もう冒険者じゃなくて商人だけで食っていけそう……
それからはみんなで王都へ戻ろうということになり、シャルロットはケビンさんに懐いてしまい手を繋いで歩いていた。
「シャルロットが甘えん坊モードになってる……」
「自分のこと“シャル”って言ってたしね」
「村にいた頃に戻ったみたいだわ」
「死の恐怖を味わったから大目に見ましょう。ケビンさんも怒ってなさそうだから大丈夫よぉ」
そのような会話をしながら私たちはケビンさんという規格外から護衛を受けつつ、何事もなく無事に王都へ辿りついたのである。
その後はギルドにおいて森の中部辺りでフォレストタイガーが出たことを報告して、私たちは情報料をもらうことができた。
当初予定していたトロールが森にいないという情報は、ターニャさんたちが討伐していたので諦めるしかなかったのだ。
そしてケビンさんはギルドマスターに無理やり連行されていた。フォレストタイガーを倒したのはケビンさんだし、きっとそのことについて情報を聞き出すのだろう。
ケビンさんは何故か「姿を偽装するの忘れてたぁー」って嘆いていたけど、ギルドマスターと会いたくなかったのかな。
Xランクのケビンさんを引きずるギルドマスターって、実はもの凄く強いんじゃないだろうかとこの時の私は考えてしまうのであった。
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