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第6章 これからの活動に向けて

第167話 女神との昼下がり

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 ある日の昼下がり、丁度よく1人になれたケビンは自室にてステータス確認を行っていた。

 特に不自由もなく行動できていたので後回しにしていた作業を、ダンジョンに赴く前に終わらせてしまおうという算段だった。

『ステータス』



ケビン
男性 9歳 種族:人間
職業:Aランク冒険者、伯爵家当主
状態:記憶喪失(軽微)

Lv.34
HP:950
MP:1200
筋力:490
耐久:460
魔力:610
精神:590
敏捷:840

スキル
【言語理解】【創造】【センス】
【隠蔽】【偽装】【千里眼】
【完全鑑定】【剣術適性】【魔法適性】
【体力増大】【魔力増大】【無限収納】
【無詠唱】【並列詠唱】【マップ】
【並列思考】【胆力 Lv.6】【模倣 Lv.3】
【解体 Lv.5】【剣術 Lv.7】
【刀剣術 Lv.2】【二刀流 Lv.1】
【身体強化 Lv.7】【属性強化 Lv.7】
【完全探知 Lv.10】【生命隠蔽 Lv.10】
【状態異常無効】【魔力操作 Lv.EX】

魔法系統
【火魔法 Lv.7】【水魔法 Lv.7】
【雷魔法 Lv.7】【土魔法 Lv.8】
【風魔法 Lv.9】【光魔法 Lv.3】
【闇魔法 Lv.2】【生活魔法 Lv.3】
【時魔法 Lv.3】

加護
女神の寵愛
原初神の加護

称号
アキバの魔法使い
女神の伴侶
ゴロゴロの同志
舐めプの達人
逃走者
憤怒
天然ジゴロ(凄腕)
年上キラー(極)
抱かれマイスター(極)
DIY好き
バトルジャンキー
魔物の天敵
嫁製造機



(グハッ……!)

 ケビンは久々に見たステータスに衝撃を受けて心の中で吐血した。能力値はともかく、称号欄が記憶をなくす前より倍以上に増えていたのだ。更には、対女性用とも言えるものがあり嘆息するのである。

(こ……これは……嫁候補がどんどん増えていったのも納得できるな。とりあえず確認するだけしておくか)



舐めプの達人
 舐めプをしている時、ステータスに補正がかかる。

逃走者
 敏捷に補正がかかる。

憤怒
 怒っている状態だと、ステータスに補正がかかる。

天然ジゴロ(凄腕)
 異性に惚れられるような言動を無意識にしてしまう。本人は全くもって自覚できない。(凄腕)惚れられる効果が上昇して、言動の回数が増えてしまう。

年上キラー(極)
 自分より年上の異性に対して人受けが良く好感を持たれる。(極)効果が上昇して、嫌われることがほぼない。

抱かれマイスター(極)
 異性から抱きつかれるとその異性は安らぎを感じる。同時にフェロモンを発するので中毒性がある。(極)効果が上昇して、僅かな時間であっても相手に安らぎを与える。

DIY好き
 自身でものづくりをすると、完成度がアップする。

バトルジャンキー
 戦闘をこよなく愛する者。三度の飯より戦うことが好き。

魔物の天敵
 数々の魔物を理不尽に殺戮した者。対魔物戦において、ステータスに補正がかかる。

嫁製造機
 本人が意図せずとも、周りの状況が自然と重なり嫁となる人物が増えていく。



 あぁぁ……人として何かダメな気がする。生粋のプレイボーイ感がハンパない。まだ、同年代と年下キラーがついてないだけマシか?

 いやいや、天然ジゴロがついている以上、楽観視はできないな。しかも、俺が自覚できないってのが痛いな。自重のしようがないってことだろ?

 仕方ない……ついてしまったものはしょうがないし、諦めるしかないか。スキルや魔法も新たなのが増えているが、記憶のない時はそんなに無茶をしていたのか? 確か称号にある通り、バトルジャンキーって言われてたしな。

 起きてしまったことは仕方がないと諦めて、ケビンは気を取り直して次の作業へと進む。

『おいサナ、生きてるか?』

『……』

『答えないってことは、ソフィに人格は消されていないようだな』

『……』

『サナ、命令だ。応答しろ』

『……何でしょうか? マスター』

『ケンの時に陰ながらサポートしていただろ? でなきゃ【創造】を使った時点でとっくに死んでる』

『何も考えず、無茶をされていましたので』

『とりあえず礼を言う。ありがとう』

『いえ、マスターに感謝されるような立場にございません』

 ケビンはサナの対応にどこか怪訝さを感じ、原因であろうことを聞き出すことにした。

『……俺が記憶を失った経緯は、当然知ってるよな?』

『……』

『答えろ、何があった?』

『……学院にて、理不尽さに耐えかね暴走しました。その原因の一端は、私にもあります』

『やはりか……大人しいのはそのせいだな? 記憶がないから何とも言えんが、そんなことで暴走するもんなのか?』

『マスターの記憶を覗く能力がないので、あそこまでお怒りになった理由が私にはわかりかねます。わかるとしたら、魂を扱えるソフィ様かと』

『そうか……記憶を戻す術は知っているか?』

『わかりません。ですが、ソフィ様が記憶を全て戻していないということは、これまでのように段階的に戻すしかないと思われます』

『ソフィにとって、それが最善だと判断したということか』

『そのように愚考します』

『で、お前は責任を感じて、そんなキャラになったわけか?』

『……』

『お前の気持ちの整理がつくまではそうしてろ。ただし、俺の呼び掛けには応じろよ?』

『……わかりました』

 サナが気にしている以上、ケビンは自分がどうこう言っても仕方ないと判断し、気の済むまで好きにさせることにした。

(となると、次はソフィだな……教会にでも行ってみるか)

 ケビンは1階へ下りると、お茶を楽しんでいたサラたちに教会へ行くことを告げる。

 ティナたちがついてこようとしていたが、ケビンが1人で行くと伝えて同行を断った。逢えるかどうかは兎も角として、今から女神に逢いに行くとは言えないからだ。

 自宅を出発して教会についたケビンは、礼拝堂正面の神像の前で跪き祈りを捧げる。

『原初神様、もし声が届いているのなら、ソフィに逢わせてください』

『……ソフィーリアのことを頼むぞ』

 ケビンの祈りが届いたのか原初神の声が頭の中に響きわたると、神像が光りだしケビンを包み込んだ。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「……健?」

 懐かしい声が耳を通り抜けて脳へと伝わり、温かな気持ちに包み込まれながら瞳を開けると、目の前には万能空間と愛すべきソフィーリアが立っていた。

「久しぶりだね、ソフィ」

 立ち上がりながら声を掛けるケビンを見るや否や、ソフィは居てもたってもいられずにケビンを膝立ちで抱きしめた。

「ごめんなさい! 貴方を守ってあげられなかった! ごめんなさい、ごめんなさい!」

「ん? 記憶をなくしたのは、俺の暴走が原因だから自己責任だろ? ソフィが謝ることじゃない」

「違う、違うの! そうじゃないの!」

 ソフィは涙を流しながらケビンの言葉を否定するが、ケビンには何が違うのか皆目検討もつかなかった。

「落ち着いてソフィ。一体何が違うんだ?」

「……グスッ……貴方の前世での幼少期のことよ」

「幼少期?」

 ケビンは昔の記憶を辿るが、養護施設で生活していた時に何かあっただろうかと頭を悩ませるのである。

「思い出せないはずよ。貴方自身が封印した記憶を更に私の力で強めたから」

「養護施設のことなら覚えているけど?」

「それ以前の記憶よ」

 ケビンは再び記憶を辿るがソフィに言われた通りで、養護施設以前の記憶が一切得られなかった。唯一得られたのは、頭痛という副作用だけだった。

「確かに頭痛がするだけで、何も思い出せないな」

「貴方はその時に1度壊れているの。私が守れなかったせいで」

「そんなの、言ってもしょうがないことだろ? 下界に神が干渉するのは良くないし、それに知り合ってもいないから助ける以前の問題だ。ソフィは何も悪くない」

「……だけど……だけど! あそこまでの、深い悲しみと憎しみを抱え込んでしまったのは、私が何もしなかったからよ!」

「仮に、俺の幼少期にソフィが干渉したとしても、それは贔屓ってもんだろ? 地球に限らず転生後の世界でも、幸せな人もいれば不幸な人もいる。誰が言ったかわからないが、人の人生は幸せが半分で不幸も半分らしい。ソフィが嘆くほどの不幸があったにしろ、死んだ後にソフィに出会えたのなら俺としては充分にお釣りがくるほどの幸せだ」

 実際には人生が終わってからソフィに出会えているので、ケビンの言っていることは当てはまらないのだが、それを言ってしまえば余計にソフィが追い詰められると思い、あえて死んだ後にちゃんと幸せを得られたかのように話すのだった。

「あな……ッ……貴方はっ!……」

 ソフィがケビンを強く抱きしめると、再び泣き出してしまった。ソフィに対するケビンの気遣いがわかってしまい、より一層居た堪れなくなってしまうのだった。

 そんなソフィに対してケビンは優しく頭を撫でて、子供に対してするようにあやすのである。

 しばらくそうしていると、落ち着いてきたソフィがケビンに声を掛ける。

「……グスッ……健は、どうしてここに来たの?」

「来れるかどうかは賭けでもあったんだけど、ソフィに聞きたいことがあったから、礼拝堂で原初神様にお願いしてみたら来れちゃったみたいだ」

「私に聞きたいこと?」

「それは大体わかったから、もういいや」

「いいの?」

「ソフィの様子を見たらそんなことは瑣末でしかないからな。俺としては、ソフィのケアの方が優先だよ」

「私はいいのよ」

「良くないよ。思い詰めて仕事も捗ってないだろ?」

「支障なくこなしているわ」

「毎日、辛そうな顔をしてか?」

「ッ!」

「それくらい見てればわかる」

「……」

 ケビンは草むらにソフィを座らせ足を開かせると、その間に入って背を向けて座りこむ。

 ソフィの両腕を自分の前に持ってこさせ交差させてから、その上に手を重ねた。

 いわゆる、後ろから抱きつかれている状態だ。ケビンは未だ身長では負けているので、この体勢を取ることにしたのだった。

「本当は後ろから抱っこしてあげたかったんだけど、まだ小さくて包み込んであげれないから、締まらないようだけどこの体勢で我慢してくれ」

「そんなことない。貴方が近くに感じられてとても落ちつくわ。足を広げられた時は襲われるのかと思ったけど」

 ソフィは挑発的な表情を浮かべてケビンの顔を覗き込んだが、対するケビンは誘惑されることなく躱してしまう。

「それでもよかったんだけど、今は時間が限られているからな。どうせなら時間を気にせずソフィを抱きたいから。ソフィも不完全燃焼は嫌だろう?」

「そうね。そうなったら、欲求不満で仕事をしなきゃいけないわ」

「そんなソフィも見てみたい気がするな」

「意地悪ね、もう……」

 そこには既に先程までの陰鬱な表情を浮かべていたソフィはおらず、以前のような柔らかい笑みを浮かべるソフィがいた。

「ねぇ、下界では楽しく過ごせている?」

「あぁ、楽しいよ。怪我の功名か、以前より人脈が増えてね、色んなタイプの人たちに会っているよ」

「でも、殆ど女の子でしょ?」

「そうなんだよなぁ……称号に変なのが付いちゃって余計に……あっ、それで思い出したんだけど、ソフィ以外で嫁が増えそうなんだよ。というか増える」

「別に構わないわよ? 私は既に前世の姿とはいえ貴方と結婚しているし、その子たちはまだ結婚すらできていないんでしょ? 私が1番なら問題ないわ」

「ソフィが理解ある人で助かったよ。成人したらこの姿でもう一度結婚しよう。もちろん、1番目にプロポーズしに来るよ」

「ありがとう、待ってるわね。それと神様だって一夫多妻や一妻多夫は当たり前だから、娶る人数は気にしなくていいわよ?」

「……ちなみにソフィはどうなの? 他に男がいるの?」

「気になる?」

 ケビンがソワソワと落ち着きなく聞いてくる様子に、ソフィは悪戯っぽく笑みを浮かべてケビンを煽るのだった。

「……気になる……」

「貴方は奥さんがいっぱいいるのに?」

「うっ!」

 ケビンは痛いところを突かれてしまい、額から汗が噴き出てしまう。そんな様子を楽しく見ているソフィは、ケビンの耳元に顔を近づけると優しく囁いた。

「……貴方だけよ」

 耳元で囁かれたケビンは背中がゾクゾクしてしまい、何とも言えない感覚に陥る。

 そんな時に、原初神からの念話が入ってきた。

『ケビンよ、そろそろ時間じゃぞ』

『わかりました』

 ケビンは背を向けた状態から向かい合うように座り直すと、ソフィにそろそろ時間が来たことを知らせる。

「楽しい時間が過ぎるのは早いわね」

「そうだね。今日はソフィに逢えて良かったよ」

「私もよ。貴方に逢えて本当に良かったわ」

「仕事は頑張れそう?」

「少し物足りないけど頑張るわ」

「次に逢うときまで頑張れるように、プレゼントをあげるよ」

 ケビンは、ソフィに顔を近づけると優しく口づけをした。

「これで頑張れそうかな?」

「……ない」

 俯いてボソッと呟くソフィに、ケビンは何を言ったのかわからなかったために聞き返すと、ソフィはケビンの瞳を見つめて力強く言葉を返した。

「何て言ったの?」

「……足りないの!」

 そう言うや否や、ソフィはケビンの顔を掴むと思いっきり目的のもの貪る。

「んー!」

 ケビンは驚きで目を見開くが、ソフィはお構いなしに口づけを続ける。

「……ぷはっ」

 ソフィは満足がいったのか、艶やかな表情を浮かべてケビンから口を離すと舌で唇を舐めとり、その行為にケビンは妖艶な色気にドキドキするのであった。

「……ソフィ?」

 ケビンはジト目で見つめるも、ソフィは何処吹く風といった感じで悪びれなく話し始める。

「貴方が悪いのよ? 我慢していたのにあんなことをするんだから」

「そんなソフィには、お仕置きが必要だね?」

「え?」

 今度はケビンがソフィの顔を掴むと、容赦なくその口を塞ぐのであった。

「ッ! ……ちょ……」

 ソフィが何か喋ろうとした瞬間、狙いすましたかのように口内へと舌を侵入させる。

「……くちゅ……ま……まって……くちゅくちゅ……じゅる……」

 ケビンは左手をソフィの後頭部へとまわし逃げれないようにすると、空いた右手で胸をまさぐり始めた。

「ッ! ……ああ…くちゅ…あん…くちゅ…んん……」

 胸を揉みしだいていくと、次第にぷっくりとした突起物が服越しからもわかるようにその主張を始める。

 ケビンは人差し指でコリコリと突起物を引っ掻き始めると、先程より強く訪れるその快感に、ソフィはより一層艶やかな声を出し始める。

「……あっ…あん…くちゅ…あん……じゅる…んっ……」

 更に追い詰めるべくケビンは突起物を摘んだり、クリクリしたり、引っ張ったりと攻め立てていく。

 既に頭を支えている左手に力はいれておらず、ソフィが自然とケビンの舌を貪り始めていた。

 それを機にケビンは左手を頭から離して左胸へと移動させて、右手同様に攻め上げていく。

 ケビンが両手で攻め立てるとソフィの快感はより強くなり、先程よりも激しく悶えるのであった。

「……あ…ダメ……くちゅくちゅ…これ…いじょう…くちゅ…さ…れたら…くちゅ…い……いっちゃ…くちゅ…いっちゃう……くちゅ……」

 ラストスパートをかけて唇を離すと、より一層激しく攻め立てるケビンにソフィはその快楽へと身を委ねた。

「……あ、あっ……い…いく…いっちゃう……おっぱい…んんっ…だけで……いっちゃう……」

「いっていいよ」

「……あっ……いくっ…いくっ…ああっ……ぃ…くっ―――――!」

 ソフィは激しく体を震えさせて達してしまった。その表情は恍惚としており荒く呼吸を繰り返していた。

「これで、お仕置きは終わりだ」

「はぁ……はぁ……はぁ……」

「さて、ソフィは悶々としながら仕事を頑張ってね」

「……いじわる……」

 ソフィは妬ましそうな表情でケビンを見つめるが、どこかその表情は憑き物が落ちたかのように生き生きとしていた。

 ケビンが立ち上がるとソフィに手を差し伸べて、その手を掴むとソフィも立ち上がった。

「それじゃあ、次に逢える時までお別れだ」

「元気でね」

「ソフィこそ」

『原初神様、準備できました』

 2人は名残惜しそうに手を離すと、ケビンの足元に魔法陣が浮かび上がる。

「愛してるよ、ソフィ」

「私も愛してるわ」

 ケビンは次第に光に包まれると、その場から姿を消した。

「貴方に幸あらんことを……」

 ソフィはケビンが消えた後もしばらくその場に留まり、これからもケビンの人生に幸せがあることを願うのだった。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 気がつくとケビンは礼拝堂へと戻ってきていた。そのまま祈りの体勢を崩すことなく、原初神へとお礼を述べる。

『原初神様、願いを聞き届けてくれてありがとうございます』

『儂からも礼を言う。あの子はかなり思い詰めておったからな。お主に逢えたことで、それも晴れたじゃろう。ありがとう。これからも、ゴロゴロしながら楽しく過ごすのじゃよ』

『はい。原初神様も、ゴロゴロを満喫してください』

『ふぉっふぉっふぉっ。ソフィーリアに怒られん程度に満喫するわい』

 それからケビンは祈りをやめて立ち上がると、礼拝堂を後にしたのだった。
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