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第2章 王立フェブリア学院 ~ 1年生編 ~
第53話 闘技大会 ~総員戦~ ③
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シーラがモニター越しにケビンを見ている中で、現場のケビンは何とも言えないような感覚に襲われる。
(ぶるっ!)
「起きたの? まだ敵は来てないよ」
「なんか悪寒が走ったんだよ」
「試合の最中だし嫌な予感ってやつかな?」
(試合は関係ないな。感覚的に姉さんに見つかる時と同じだ。ヤバい……確実に姉さんは試合を見ている。これはもう平穏な日々とおさらばするしかないのか。気配や魔力を消しても見つけるから逃げようがないんだよな。あれってどういう理屈で見つけてるんだろう? 第六感的なやつか?)
「それにしても敵が来ないね。意外と勝ててるのかな?」
そんなやり取りをしている中、森の中では凄惨な戦いが繰り広げられていた。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「おい、Fクラスのやつがいたぞ。ぶちかませっ!」
Eクラスの生徒たちは魔法を唱え、Fクラスの生徒たちに雨あられの如く魔法を浴びせていく。
「くっ……斥候たちが奇襲を成功させられるように俺たちが敵の攻撃を引きつけるぞ。みんな、耐えろよ!」
「おいおい、少しは避けてくれないと練習にならないだろ? 突っ立ってるだけじゃ的と変わらねぇじゃねーか!」
持ち前の装備で何とか被害を最小限に留めている時、敵の死角から斥候の1人が奇襲をかける。
「とった!」
確実にやれるタイミングで成功するかと思われたその攻撃に、Eクラスの生徒は難なく対応してみせるのだった。
「バーカ。やる前に喋ってたら奇襲になんねぇだろうが」
そう言い放った生徒の後方から突然火柱が上がる。
「うわぁっ!」
「仕掛けておいたトラップにハマるとは、さすがFクラス。間抜けなやつだな」
完全な不意打ちで魔法を無防備な状態で受けた生徒は、その場に倒れ込むと気絶した。
「もっと張り合いのある奴はいねぇのか? これじゃあ俺たちが弱いものいじめをしているみてぇじゃねーか」
「言わせておけば……みんな、耐えるのは止めだ。やり返して倒すぞ!」
その言葉を皮切りに遊撃隊は魔法を打ち始め、近接が得意なものは接近戦へと移行した。斥候隊も奇襲は通用しないと感じたら遊撃隊に混じって攻撃に繰り出す。
「やっとやる気になってくれたのか? せいぜい楽しませてくれよ」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
時を同じくして、攻撃隊の方でも戦闘は開始されていた。攻撃特化の部隊で編成しただけあって、中々の健闘をしていたがそう長くは持たなかった。
「こいつら中々やるな。てっきりすぐやられると思ってたのに」
「そうね。でも、その分練習ができていいんじゃないの?」
「それもそうか」
敵が呑気に会話を楽しんでる間も攻撃の手は止まらなかった。Fクラスが奮闘する中、Eクラスは練習がてら相手をしているようなものだ。
1つ上のクラスなのにこうも実力差があることに、攻撃隊が絶望感を抱いてしまうのはそう時間がかからなかった。
「くそっ! なんだって同じ授業受けててこんなにも差が開くんだ!」
「わかるわけないだろ! それよりも1人でも多く倒さないと混成隊の方に合流されるかもしれないぞ!」
「多分、あいつらはもっと苦戦しているはずだ。俺たちが踏ん張らないと混成隊よりも先にやられたんじゃ笑われちまう」
1人、また1人とやられていく中で、何とかEクラスに食らいつこうと足掻いてる時に敵から声をかけられる。
「別グループの心配か? それはするだけ無駄だぞ。もう終わってるかもしれないしな、お前らが笑われる心配もない」
「何だと!」
「向こうのグループにはな、俺たちのクラスの中でも狡猾なやつがいるからだ。搦手でやられてるんじゃないか? 罠を張るのが得意だからな。迂闊に近寄れば罠で絡め取られて終わりだ」
「それなら尚更お前たちを倒して助けに行かないとな」
「この状況でか?」
「あぁ、やれるだけのことはやってやるさ」
「中々根性あるな。お前、名前は?」
「サイモンだ。お前は?」
「オリバーだ。サイモン、次に戦う時には万全の体制でやり合おう」
「次は、俺が勝つ!」
その言葉を最後にサイモンはオリバーの攻撃を受けて倒れた。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
一方その頃守備隊では、呑気に寝直してる生徒とその傍らに佇む生徒、暇すぎて雑談している生徒たちとわかれていた。そのような中で1人の生徒が呟いた。
「お、おい、あれ敵じゃないか?」
生徒たちが視線を向けた森から姿を現して出てきたのは、クラスメイトではなく敵のEクラスであった。
「俺たちが先乗りか? さっきは弱い者いじめになってしまったし、今度は楽しませてくれよ」
「それよりもあれ、寝てるやつがいないか?」
「ん? マジかよ!? 寝てるぞあいつ! やる気ないにしてもそれはないだろう。担任に怒られても知らねぇぞ」
「水でもぶっかけて起こしてやろうぜ」
「怒られる前に起こしてやるなんて、お前優し過ぎるだろ。どうせだから思いっきりやってやれ!」
「任せろ! 《清廉なる水よ 球体となりて 我が敵を撃て ウォーターボール》!」
まだ近接戦闘するには遠い距離からケビン目掛けて魔法が飛来する。
そして誰もがケビンに当たると思っていたその魔法は、予想を裏切り飛来途中で霧散した。
「おい、失敗してんじゃねーよ! ダサすぎんだろ!」
「おかしいな? 成功したと思ってたのに」
そんなやり取りを他所に、Fクラスは漸く戦闘態勢を整えるのだった。
「敵が近づくまでは魔法で迎え撃て。作戦通りやるぞ」
誰かがそう言うと、魔法を使えるものは詠唱を始めた。
「ねぇケビン君、敵が来たよ。戦わないの?」
「ん? 俺が戦わなくても周りの奴らが何とかしてくれるだろ? のんびりと見学してるよ」
「えぇ、ここにきてそれ? さっきは旗が壊れたら寝れなくなるから戦うみたいなこと言ってたじゃん」
「それはそれ、これはこれ。まだ気が乗らないんだよな。寝起きだし二度寝したい気分だ。遠くにいるんだからまだ大丈夫だろ」
「でもここに来てるってことは、少なくともうちの混成隊か攻撃隊がやられたってことだよ。どっちもやられてたら敵が押し寄せるよ」
「それはそれで面倒だな。じゃあ、お前が敵を薙ぎ倒してこい。目立つ上にカッコイイぞ」
「女の子にカッコ良さ求めてどうするんだよ。どっちかって言ったら可愛いって言われた方がまだマシだよ」
「じゃあ、目立つ上に可愛いぞ。行ってこい」
「ヤダ。取ってつけたように言ったって全然嬉しくないし、戦ってるのに可愛さなんて出ないし」
「ワガママだな」
「どっちがだよ!」
2人がやり取りしている間も敵味方の攻防は続いている。
「おい、どうなってんだよ。何でこっちの魔法は失敗ばかりしてんだよ」
「知らねーよ。日頃から適当に練習してるからだろ」
「それにしても失敗する確率が高すぎるんだよ」
「向こうだって失敗してんだ。お互い様だろ。もう面倒だから近接で倒そうぜ。魔法撃ったって失敗するんだし」
「くそっ! 魔法だけで無双する予定だったのによ。こうなったらアイツらで憂さ晴らししてやる。魔法は援護だけにしろ、近接戦でケリをつける! 相手は格下なんだ俺らでも十分にやれる!」
「よっしゃ、ボロボロにしてやるぜ!」
その言葉を皮切りにEクラスが怒涛の勢いで攻めてきた。中々魔法が当たらない鬱憤が溜まっていたのだろう。しかし守備隊の方は相も変わらず魔法を撃ち続けた。
闇雲に突っ込んでは魔法を避けるのに必死なEクラスに対し、遠距離から的確に魔法を撃つFクラス。思ったよりもEクラスの消耗の方が激しかった。
「そろそろか……よし、敵は冷静さを欠いて突っ込んできているからこちらは逆に冷静さを持って対処しろ。たかだか相手は同級生の1クラス上のやつだ。Sクラスに比べたら月とスッポンなんだから勝つ気があるうちは勝てるぞ。近接が得意な奴は2人1組で敵に当たれ。魔法が得意な奴はそのまま撃ち続けろ。あれだけ魔法の練習をしたんだ、味方に当てるなよ。相手はさっき見た通りで魔法ばかり撃ってきて近接が得意な奴は少ない。近接組は接近戦で魔法使いに負けましたなんてなったら末代までの恥だと思え。俺らを下に見た奴らに目に物見せてやれ!」
ケビンの号令とともに守備隊のメンバーはやる気を出し、先ほどより士気が向上して奮闘するようになった。
「ケビン君って指揮官に向いてるね。みんなをのせるのが上手い。いつもそんだけやる気があればいいのに」
「そんな面倒くせぇことするかよ。これは俺が目立たず楽するための努力だよ。これで俺が何もしなくても勝手に周りの奴らがEクラスを撃破してくれる。俺はそれをのんびりと眺めてればいいだけだ」
「何がなんでもダラダラする気なんだね」
「当たり前だろ。にしても、お前は戦いに行かないのか? 仕事してないだろ?」
「私は大将を守ってるんだよ。重要な役割だよ」
「嘘つけ。ただ単にサボってるだけだろうが!」
「そうとも言う」
「いつもの真面目さは何処に行ったんだ?」
「今日はそこまで頑張らなくてもいいかなーって思ったから。みんなが頑張ってくれてるし、本当はあまり疲れることはしたくないんだよ。私、女の子だから」
「都合のいい女の子があったもんだな」
「そこは乙女の秘密だよ」
2人が話している間にどんどんと数を減らしていくEクラス。そんな彼らの思考は同一のもので占められていた。
Fクラスにやられるなんてありえない……
(ぶるっ!)
「起きたの? まだ敵は来てないよ」
「なんか悪寒が走ったんだよ」
「試合の最中だし嫌な予感ってやつかな?」
(試合は関係ないな。感覚的に姉さんに見つかる時と同じだ。ヤバい……確実に姉さんは試合を見ている。これはもう平穏な日々とおさらばするしかないのか。気配や魔力を消しても見つけるから逃げようがないんだよな。あれってどういう理屈で見つけてるんだろう? 第六感的なやつか?)
「それにしても敵が来ないね。意外と勝ててるのかな?」
そんなやり取りをしている中、森の中では凄惨な戦いが繰り広げられていた。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「おい、Fクラスのやつがいたぞ。ぶちかませっ!」
Eクラスの生徒たちは魔法を唱え、Fクラスの生徒たちに雨あられの如く魔法を浴びせていく。
「くっ……斥候たちが奇襲を成功させられるように俺たちが敵の攻撃を引きつけるぞ。みんな、耐えろよ!」
「おいおい、少しは避けてくれないと練習にならないだろ? 突っ立ってるだけじゃ的と変わらねぇじゃねーか!」
持ち前の装備で何とか被害を最小限に留めている時、敵の死角から斥候の1人が奇襲をかける。
「とった!」
確実にやれるタイミングで成功するかと思われたその攻撃に、Eクラスの生徒は難なく対応してみせるのだった。
「バーカ。やる前に喋ってたら奇襲になんねぇだろうが」
そう言い放った生徒の後方から突然火柱が上がる。
「うわぁっ!」
「仕掛けておいたトラップにハマるとは、さすがFクラス。間抜けなやつだな」
完全な不意打ちで魔法を無防備な状態で受けた生徒は、その場に倒れ込むと気絶した。
「もっと張り合いのある奴はいねぇのか? これじゃあ俺たちが弱いものいじめをしているみてぇじゃねーか」
「言わせておけば……みんな、耐えるのは止めだ。やり返して倒すぞ!」
その言葉を皮切りに遊撃隊は魔法を打ち始め、近接が得意なものは接近戦へと移行した。斥候隊も奇襲は通用しないと感じたら遊撃隊に混じって攻撃に繰り出す。
「やっとやる気になってくれたのか? せいぜい楽しませてくれよ」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
時を同じくして、攻撃隊の方でも戦闘は開始されていた。攻撃特化の部隊で編成しただけあって、中々の健闘をしていたがそう長くは持たなかった。
「こいつら中々やるな。てっきりすぐやられると思ってたのに」
「そうね。でも、その分練習ができていいんじゃないの?」
「それもそうか」
敵が呑気に会話を楽しんでる間も攻撃の手は止まらなかった。Fクラスが奮闘する中、Eクラスは練習がてら相手をしているようなものだ。
1つ上のクラスなのにこうも実力差があることに、攻撃隊が絶望感を抱いてしまうのはそう時間がかからなかった。
「くそっ! なんだって同じ授業受けててこんなにも差が開くんだ!」
「わかるわけないだろ! それよりも1人でも多く倒さないと混成隊の方に合流されるかもしれないぞ!」
「多分、あいつらはもっと苦戦しているはずだ。俺たちが踏ん張らないと混成隊よりも先にやられたんじゃ笑われちまう」
1人、また1人とやられていく中で、何とかEクラスに食らいつこうと足掻いてる時に敵から声をかけられる。
「別グループの心配か? それはするだけ無駄だぞ。もう終わってるかもしれないしな、お前らが笑われる心配もない」
「何だと!」
「向こうのグループにはな、俺たちのクラスの中でも狡猾なやつがいるからだ。搦手でやられてるんじゃないか? 罠を張るのが得意だからな。迂闊に近寄れば罠で絡め取られて終わりだ」
「それなら尚更お前たちを倒して助けに行かないとな」
「この状況でか?」
「あぁ、やれるだけのことはやってやるさ」
「中々根性あるな。お前、名前は?」
「サイモンだ。お前は?」
「オリバーだ。サイモン、次に戦う時には万全の体制でやり合おう」
「次は、俺が勝つ!」
その言葉を最後にサイモンはオリバーの攻撃を受けて倒れた。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
一方その頃守備隊では、呑気に寝直してる生徒とその傍らに佇む生徒、暇すぎて雑談している生徒たちとわかれていた。そのような中で1人の生徒が呟いた。
「お、おい、あれ敵じゃないか?」
生徒たちが視線を向けた森から姿を現して出てきたのは、クラスメイトではなく敵のEクラスであった。
「俺たちが先乗りか? さっきは弱い者いじめになってしまったし、今度は楽しませてくれよ」
「それよりもあれ、寝てるやつがいないか?」
「ん? マジかよ!? 寝てるぞあいつ! やる気ないにしてもそれはないだろう。担任に怒られても知らねぇぞ」
「水でもぶっかけて起こしてやろうぜ」
「怒られる前に起こしてやるなんて、お前優し過ぎるだろ。どうせだから思いっきりやってやれ!」
「任せろ! 《清廉なる水よ 球体となりて 我が敵を撃て ウォーターボール》!」
まだ近接戦闘するには遠い距離からケビン目掛けて魔法が飛来する。
そして誰もがケビンに当たると思っていたその魔法は、予想を裏切り飛来途中で霧散した。
「おい、失敗してんじゃねーよ! ダサすぎんだろ!」
「おかしいな? 成功したと思ってたのに」
そんなやり取りを他所に、Fクラスは漸く戦闘態勢を整えるのだった。
「敵が近づくまでは魔法で迎え撃て。作戦通りやるぞ」
誰かがそう言うと、魔法を使えるものは詠唱を始めた。
「ねぇケビン君、敵が来たよ。戦わないの?」
「ん? 俺が戦わなくても周りの奴らが何とかしてくれるだろ? のんびりと見学してるよ」
「えぇ、ここにきてそれ? さっきは旗が壊れたら寝れなくなるから戦うみたいなこと言ってたじゃん」
「それはそれ、これはこれ。まだ気が乗らないんだよな。寝起きだし二度寝したい気分だ。遠くにいるんだからまだ大丈夫だろ」
「でもここに来てるってことは、少なくともうちの混成隊か攻撃隊がやられたってことだよ。どっちもやられてたら敵が押し寄せるよ」
「それはそれで面倒だな。じゃあ、お前が敵を薙ぎ倒してこい。目立つ上にカッコイイぞ」
「女の子にカッコ良さ求めてどうするんだよ。どっちかって言ったら可愛いって言われた方がまだマシだよ」
「じゃあ、目立つ上に可愛いぞ。行ってこい」
「ヤダ。取ってつけたように言ったって全然嬉しくないし、戦ってるのに可愛さなんて出ないし」
「ワガママだな」
「どっちがだよ!」
2人がやり取りしている間も敵味方の攻防は続いている。
「おい、どうなってんだよ。何でこっちの魔法は失敗ばかりしてんだよ」
「知らねーよ。日頃から適当に練習してるからだろ」
「それにしても失敗する確率が高すぎるんだよ」
「向こうだって失敗してんだ。お互い様だろ。もう面倒だから近接で倒そうぜ。魔法撃ったって失敗するんだし」
「くそっ! 魔法だけで無双する予定だったのによ。こうなったらアイツらで憂さ晴らししてやる。魔法は援護だけにしろ、近接戦でケリをつける! 相手は格下なんだ俺らでも十分にやれる!」
「よっしゃ、ボロボロにしてやるぜ!」
その言葉を皮切りにEクラスが怒涛の勢いで攻めてきた。中々魔法が当たらない鬱憤が溜まっていたのだろう。しかし守備隊の方は相も変わらず魔法を撃ち続けた。
闇雲に突っ込んでは魔法を避けるのに必死なEクラスに対し、遠距離から的確に魔法を撃つFクラス。思ったよりもEクラスの消耗の方が激しかった。
「そろそろか……よし、敵は冷静さを欠いて突っ込んできているからこちらは逆に冷静さを持って対処しろ。たかだか相手は同級生の1クラス上のやつだ。Sクラスに比べたら月とスッポンなんだから勝つ気があるうちは勝てるぞ。近接が得意な奴は2人1組で敵に当たれ。魔法が得意な奴はそのまま撃ち続けろ。あれだけ魔法の練習をしたんだ、味方に当てるなよ。相手はさっき見た通りで魔法ばかり撃ってきて近接が得意な奴は少ない。近接組は接近戦で魔法使いに負けましたなんてなったら末代までの恥だと思え。俺らを下に見た奴らに目に物見せてやれ!」
ケビンの号令とともに守備隊のメンバーはやる気を出し、先ほどより士気が向上して奮闘するようになった。
「ケビン君って指揮官に向いてるね。みんなをのせるのが上手い。いつもそんだけやる気があればいいのに」
「そんな面倒くせぇことするかよ。これは俺が目立たず楽するための努力だよ。これで俺が何もしなくても勝手に周りの奴らがEクラスを撃破してくれる。俺はそれをのんびりと眺めてればいいだけだ」
「何がなんでもダラダラする気なんだね」
「当たり前だろ。にしても、お前は戦いに行かないのか? 仕事してないだろ?」
「私は大将を守ってるんだよ。重要な役割だよ」
「嘘つけ。ただ単にサボってるだけだろうが!」
「そうとも言う」
「いつもの真面目さは何処に行ったんだ?」
「今日はそこまで頑張らなくてもいいかなーって思ったから。みんなが頑張ってくれてるし、本当はあまり疲れることはしたくないんだよ。私、女の子だから」
「都合のいい女の子があったもんだな」
「そこは乙女の秘密だよ」
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