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第2章 王立フェブリア学院 ~ 1年生編 ~

第44話 入学式初日

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 とうとうこの日が来てしまった。そう、入学式だ。あれから自宅でダラダラと過ごしながら、たまに鍛錬をして日々を送っていた。

 馬車で王都へ向かい別宅に到着すると、そこからは徒歩で学院に向かう。学院まで馬車で向かうと絶対に目立つと思った末の判断だった。

 入学式故か他にも学院に向かう生徒たちがいた。遠方からの生徒は事前に学院の寮に移り住み、学院内で生活するらしい。

 学院に到着すると係りの者に大ホールへと案内された。席は自由らしくバラバラに座っていたので、俺は後ろの席へと座る。

 やがて式が始まり学院長の祝辞となったが、在り来りの言葉を述べていた。入学生の答辞には代表者として首席入学の人がステージに上がっていた。

(学院長って学院で見るとしっかりしてるんだな……)

 淡々と式は進んでいきやがて解散となると、各自教室へ向かうように指示が出ていたので俺はFクラスへと赴いた。

 教室の中に入ると席順が黒板に書かれており、ラッキーなことに最後列の窓側だった。席に座ってのんびり外を眺めていると、いつの間にか教師らしき人が入って来たみたいだった。

「今日からこのクラスの担当になったジュディだ。これから色々と学んでいくだろうが、わからないことがあったら遠慮なく言ってくれ。あと、Fクラスだからといって、卑屈にならないで欲しい。成績が上がればクラスも上がる。実力主義でこの学院はできている。逆に実力でクラスを上がっていったとしても、決して傲慢にはならないで欲しい」

 ジュディさんじゃないか。これは明らかに意図的だな。監視目的か?

「それでは皆も初めて会った同士だから、まずは自己紹介を始めたいと思う。最初は廊下側の君からだ。終わったら後ろの子が続いてくれ」

 こうして自己紹介が始まるが、この順番だと俺が最後じゃないか? さっさと終わらせて寝ていたかったのに。嫌がらせか?

 仕方なく順番が回ってくるのを外を眺めながら待っていたが、そういえばこっちの世界には桜とかないのかな? ここへ来るまでに1度も見てないな。

 そんなことを考えていると俺の番になったので、自己紹介は簡単に済ませることにした。

「ケビン・カロトバウンです。これからよろしくお願いします」

 そう言って席に座り直すが、みんなの視線が刺さる。何だ? 何か変なこと言ったか?

「ケビン君、今ので終わりか?」

 担任となったジュディさんにそう尋ねられたので、俺は普通に答えた。

「終わりですけど、何か?」

「いや、他のみんなは意気込みとか趣味とか言っていたんだけど……そんなのはないのかな?」

 ジュディさん強気口調が剥がれてるよ? 舐められないように頑張ってキャラ作りしてたんじゃないの?

「特にないですけど、あえて言うなら意気込みとしてはこれからの学院生活はダラダラと過ごします」

「そ……そうか、わかった。頑張ってくれ。では今から授業の説明を行う」

 おぉ、口調が戻ったな。ジュディさんも舐められないように頑張ってくれ。

「授業としては大きくわけて座学と実技の2種類だ。座学の方は一般教養と魔法学、実技の方は魔法と武術だ。各自得意分野を伸ばすも良し、苦手分野を克服するも良し、己の力としていってくれ」

 魔法学は興味あるな。なんせ独学の無詠唱だしな。しっかりと基礎を学んでおきたいし、今後の役に立つかもしれない。実技については適当に手抜きするしかないな。

「授業は明日からとなるので今日はこれで終わりだ。解散後は学院内を探索するも良し、寮に戻るも良し、好きに過ごすように。では、解散」

 そう言ってジュディさんは退室する。各々に探索する者や寮に戻る者がいる中、俺は家に帰るため帰路についた。

 相変わらず広い敷地で迷いそうになるが要所要所に案内板があるので、時間は掛かったがさほど迷うことなく門まで辿りつけた。

 学院においての最初の目標は最短距離で門まで行ける道のりを探し出すことにしよう。少しでも早く帰れるように。

 別宅に到着すると馬車の準備を頼み、それまでは適当に暇を潰すことにした。

『なぁ、サナ。4年間も学院に通い続ける自信がないんだけど、やれると思うか?』

『どうでしょうねぇ、魔法学で学んだことを実技で実践していくくらいしか楽しみがないですからね。いっそのこと友達でも作ってみたらどうですか?』

『友達ねぇ……』

『コミュ障で友達のいないマスターにとって、1番の目標になるかと。さすがに4年間を続けるのは人としてどうかと……なので、題して【友達100人できるかな?】作戦です!』

『別にコミュ障になった覚えはない。ちゃんとコミュニケーションは取れてるぞ。家族以外の人とも』

『でも、今日のクラスで誰とも喋ってないですよね? 独りでしたよね? ですよね?』

『あまり目立ちたくないし独りでも良くないか?』

『いえいえ、だと逆に目立つんじゃないですか? 大抵の人は友達ができたりしますよ? まずは席の前か横の人から友達になりましょうよ。脱のために』

『お前、さっきからボッチを強調するよな? 悪意を感じるんだが』

『別にそんなことないですよ。マスターが友達を作れずになるなんて、ざまぁくらいにしか思いませんし』

『やっぱ悪意があるじゃねぇか。それを言うならお前だって独りなんだからだろ?』

『あっ!?』

『なに? もしかして気づいてなかったの?』

『いやいやいや、私はシステムだからボッチには該当しません。システムに対してボッチなんて使いませんよ。なのでセーフです!』

『お前、以前に人格ができたって言ったよな? なら、1人としてみてもおかしくはない。故に、だ』

『いやぁぁっ!!』

『そこまで嫌がることか?』

『ま、まさか、私がマスターと同じボッチだなんて。ができないなんて。ありえない……』

 何だかんだで俺に“ざまぁ”がしたいだけかよ。

 そんなやり取りをサナとしていると、馬車の準備ができたらしく自宅へと帰ったのだった。

 その帰り道……

『マスター、私を人にしてください。そして、すぐさま友達を作ってマスターに“ざまぁ”しますので』

『無茶言うなよ! ソフィに頼めよ!』

 どんだけ“ざまぁ”に心血注いでんだよ……
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