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執事長の復讐

後日譚~裁判~

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 執事長セバス……そう、おじさまは最近……すごく変わった。私に対する躾は変わらないが何か変わったと思う。柔らかくなったのか、若いおじさまみたいな感じなのだ。少し子供っぽい笑顔を見せるようになった気がする。


 側近オオコも変わった。昔は大人しい脳筋で虐げられた復讐のために他国を倒そうとする鬼気迫る女を捨てた者だが……今では少し艶や、大人しく。柔らかくなった。


 とにかくも……仲がいい噂も耳にしている。


 そう、執事長。側近が仲がいいと。


 だからこそ……今は重要なのだ。








「もごもご」

「被告人。オオコ……分かるかね? 今から異端審問会を始める」

「もぉ!? もぉ!?」


 暗い中でオオコが銀色の鉄鎧に身を包み縛られている。寝ていたところを私は襲撃し彼女を捕らえたのだ。


「んんん!!」

「ふむ。喋られないらしい。布を取れ」

「はっ!!」


 暗い中からメイドが現れオオコの布を取る。


「ぷふぁ!! 血迷ったか!! アモン!!」

「私はアモンではない」


 黒いローブに白いお面を被った私はアモンであるが違うと言う。


「我が名は番号02」


パッ!!


「!?」


 名前を名乗った瞬間、オオコが周りを見るそしてパッと光が照らされて部屋の様子を写し出した。


「ここは……裁判所!!」

「違う。役員用裁判室だ。裁判所は借りれない」

「……いや。やっぱアモンお嬢様でしょあなた」


 オオコが丸椅子の後ろに垂れてる尻尾を揺らす。そして……狐火が舞い。霧散する。


「!?」

「ここは執事長が描いた聖地。故に全て無と帰す」


 オオコが震えだし。わなわなとする。執事長と魔法使い達が編み出した無力の間。減衰球と言う国宝を作り。力が及ばない場所となっている。


「どうだ~オオコ~側近軍団長のお前の力でも無理な場所だ」

「す、すごい。流石、執事長セバスさまです。はぁ……なんと素晴らしい場所か……力のみの地……流石」

「………」きっ


 ちょっと嬉しそうに尻尾を振るオオコに私はイラッとする。このアマ~ちょっと羨ましいじゃん。


「裁判長……お話を」

「そうか……01。そうだったそうだった。番号44」

「…………」


 番号でオオコは呼ばれ。ビクッとする。気づいている癖に知らない振りをしていた。そう、番号はおじさま同盟の番号である。まぁ今こいつに私がつけたが。もちろんシシである。


「おじさま同盟……本当に存在していたなんて……」


 おじさま同盟とはおじさまは非常にモテるのである。容姿以上にその大きい大きい器や力に多くの亞人、人族が好意を持つのである。


 そう、ファンである。おじさまの様子を共有し、ドキドキするのが仕事である。


「問おう。44………最近隠し事してないか?」

「……隠し事してない」

「ふむ。口を割らぬな」

「………」

「……わかった黙秘か。まぁいいでは報告を01」

「はい」


 スラッとした黒髪長髪の女性が仮面の上から眼鏡をして現れる。


「な、なに!? メイド長、あなたも!?」


 メンバー管理は01が行っている。創始者である。


「……だれかわかりません。では、皆……罪状を」


 裁判室の左右に数人の仮面をつけたメイドが座っている。その中で一人立ち上がる。


「はい、先ず。私からです。最近、バラ園の手入れ中で執事長に会いました。執事長に誉めていただき至極光栄で………」

「処刑」

「まっ!? まってく!! 話して!!」


 メイドの背後から白い手が伸び。後ろの空間に引きずり込まれる。


「「「……ここはのろける場ではない」」」

「彼女は何処へ……」

「記憶処理され。我々の記憶になる」

「え、ええ………執事長が怒るよ……」

「大丈夫。執事長も少し忘れている」

「………えっそんな執事長が忘れることありますか? あっでもメモをするのは忘れるからですね。銀時計も金時計の日付も………まぁそれが執事長ですね」


ざわ……ざわ………


「今、さらっと私知ってます発言でしたね」

「カルママイナス1」

「はぁ!! アモンも知ってる!!」

「カルママイナス2」

「………横暴な」

「横暴? 勘違いするな……この場は断罪する場である」


 オオコの額に汗が浮き出てくる。


「………もしかして。皆さん………」


 オオコ言葉に皆が頷くのだった。







 どうやら私は殺されるかもしれない。


 裁判所の中心で誰一人仲間はいなかった。


「では、続けよう」

「はい」


 また一人がたち話始める。


「単刀直入に言います。執事長のお茶会を独占してませんか?」

「………そんなことは……」

「回数を言え」

「アモンのが多い!!」

「私は……数えるぐらいしかないわ。いつも持ってくる下げるだけで……執事だし……」


 黙秘しよう。一発アウト臭い。


「………………」

「黙秘ですね。02」

「01。礼の物を」


 ゴロゴロゴロゴロ


「!?」


 後ろからメイドが何かを持ってくる。それは……


「あっ!?」


 私は谷間を見た。あるものがない。そう……


「私のお守り!!」

「そう!! 執事長が渡したお守り!!」


 お守りが台で運ばれ。近くにお皿もある。お皿には大きい蝋燭が立つ。何するかわかったのだ。


「執事長のお守りをどうする気!!」


 一応聞く。予想通りなら………


「答えなければ炭になる」

「や、やめろおおおおおおお!!」

「では、答えるな?」

「くぅ……うぅ………」


 ひどい、ひどい。


「では、回数を……」

「…………」

「どうした? 黙秘かぁ?」

「わかんない……何回か……」

「………」

「………」


 しーん


「ぐすん……」

「まだ泣くな!! くぅ。側近。カルママイナス20だ」

「…………」


 ああ。そうか……そうなのだ。


「ごめんなさい……皆さん………でも!! 私だって好きなんです‼ アモン!! わかってる聞きたいんでしょ!! 何処まで進んだか!!」


 相手の立場で見れば簡単だ。


「えっ? いたぶって亡きものにしようとしただけだけど?」

「あ、アモンだった」


 相手は冷徹な魔王見習いだった。目的を私は履き違えたようだ。


「同士を集めようとメイド長が言ったからね。執事長もまぁ居ないので」

「え、ええ………強行ですか?」

「強行」


 私は……ちょっと呆れてくる。


「あ~うん。執事長に怒られるぞー」

「メイド長も居ますし。全員共犯です。いやー皆……友です」

「………それ友なの?」

「それはいいです!! さぁ!! 次!!」


 またメイドの一人が立ち話始める。


「最近、執事長が銀時計止まった事件………側近様のせいですか?」

「………………わからない。ただ落として壊れたらしいです」


 執事長は何か壊れた事を納得していたフシがあったがあまりそこは教えてはくれなかった。


「私も聞きはしました。ですが、笑顔で撫でるだけで何も語ってはくれませんです」

「「「……」」」

「はぁ……オオコ」

「番号で呼ばないの?」

「……いえ。信頼されてるんですね」

「信頼してますから」


 私は真っ直ぐ見る。


「まだ、好きと伝えただけではっきりした答えは……ありました。一夜限り。ですが……それから何もございません」


 そしてハッキリと伝えた。アモンは大きい溜め息を吐く。


「はぁ。どうして先を越されたのでしょうね」

「………たまたまです」


 そう、たまたま……なのだ。


ドンドン!!


「!?」

「お嬢様!! ここですか‼ 公務はどうしたのですか‼」

「あっ……時間……やっべ!!」

「………」


 執事長の声と共に私は生き長らえた事を感じた。








「タライ痛い」

「アモン……お守り返して」

「ん」


 執事長に怒られたアモンは渋々執務室で書類を目に通し、お守りを私に投げる。


「もう……頼んで作って貰えばいいのに」

「……恥ずかしい」

「………そういうとこ」

「?」

「私は真っ直ぐ。好きと伝えた。そういう事」

「…………はぁ」


 アモンがペンを置く。


「どうして私じゃないんだろうね~」

「ん~聞けばいいと思うよ。執事長は柔らかくなったよ」


 尻尾を撫でながら。私は執事長を思い出す。


「昔を清算出来たみたい」

「……頑張ったのに? 私」

「……………今度。聞いてみるよ」

「いいえ、自分で聞く。私はアモン。魔王見習い。こんなことで諦めてたまりますか!!」

「………流石ね。まぁ執事長がどうするか。私は委ねる」

「くぅ、余裕ね」

「……ええ、だって……執事長は優しいですから」


 私はアモンの気持ちもわかり……ホッと一息。胸を撫でるのだった。


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