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俺は、お前と生きたいだけだ

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的井さんは、トイレからもどってきた。

萩原「せっかくだから、今日は飲むわ」

的井「なんだよそれ、おっさん。何かつまみ作る?」

萩原「そうしてくれ」

たくさん泣いてきたのがわかった。

的井さんは、キッチンでおつまみを作ってる。

萩原「拜島と宮守君、よかったよな。感動した。」

洋「そうだね。幸せそうだった。」

萩原「次は、灰谷で、次は店長だな。そしたら、次は俺と的井か。ハハハ」

だし巻き玉子をもってきた的井さんが萩原さんを見てる。

的井「俺、そっちにはなれないよ。」

萩原「何やそっち!俺は、的井と恋人にはなる気ないよ。」

的井「あっそ」

そう言って的井さんは、キッチンに戻った。

萩原「最後は、吉峯と春日井やな。」

楽しそうに笑ってる。

洋「吉峯さんと春日井さんは、二人で生きていくって事?」

萩原「そうそう。あの二人はずっと一緒にいるよ。家族より濃い繋がりしてる。俺も的井と濃い繋がりやと思ってたけどな。」

的井さんは、餃子を持ってきた。

的井「濃い繋がりって言い方」

萩原「また、餃子か!飽きたわ」

的井「まだ、オープンしてないのにそれはないだろ?」

そう言うと的井さんは、座る。

的井「なんかいるなら他に作るけど」

萩原「充分。な、店長?」

洋「はい」

的井「餃子がまた出てくる気がしたんでしょ?」

的井さんの言葉に、萩原さんと俺は顔を見合わせた。

毎日餃子ばかり食べてる。

休みの日ぐらい餃子から離れたかった。

萩原「まぁ、気にするな」

萩原さんは、笑ってまた竹輪を食べてる。

的井「そうだ、おっさん。拜島さんの実家の片付けしにいく時ついてきて。」

萩原「いつ?」

的井「来週には行くって」

萩原「なんか、探すのか?」

的井「昔の思い出、塗り替えれたらって話。」

萩原「それは、いいな。拜島には、やり直して欲しいから」

的井「じゃあ、よろしく」

そう言って二人は、俺を見てる。

洋「なに?」

的井「羽田さんと結婚するの?」

洋「いつかは」

萩原「いつだ?」

洋「わかんないけど。落ち着いたら」

萩原「店か?」

洋「そうかな」

そう言った俺をジッーと見てる。

洋「する時は、言うから」

萩原「ハハハ、約束だな」

洋「はい」

萩原「亜香里ちゃんも色々抱えてるからな。」

洋「そうだね。」

萩原「じゃあ、店長終わったら的井と俺だな。」

的井「ゴホッ、ゴホッなんで?」

的井さんは、むせた。

萩原「俺は、お前と生きたいだけだ。だから、一緒に住む」

的井「はぁー?」

萩原「お前を守るためにここに住む」

的井「何からまもんだよ。」

萩原「何かからだ。俺の方が的井より強いからな」

的井「なんだよ、それ」

的井さんは、笑ってる。

萩原「俺は、お前と生きていきたいだけだ。だから、ここでシェアハウスだな。」

的井「勝手に決めんなよ」

萩原「何が悪いんだよ」

二人のやり取りを見てるのは、楽しすぎる。

これに、他のメンバーが加わるとさらに楽しい。

的井「考えとくよ」

萩原「的井に考える権利はない」

的井「はぁー。なんだよ、それ」

萩原さんは、餃子を食べた。

的井「俺、おっさんとシェアハウスするって思ってなかったわ」

萩原「親がいたころか?」

的井「ああ、これでも夢見てたんだよ。向こうで働きながら結婚して子供つくってとかってさ。」

萩原「そうだな。俺も若い頃は夢みてたわ。みんなが話す結婚が楽しそうでな。」


的井「でも、いつからか人生はこうなった。普通の人生は手にはいらないんだなって。坊っちゃんの事でもさらに思ったよ。」

萩原「そうだな。俺達は、社長と坊っちゃんにあまりにも近すぎた。お前は、俺がしてきた事もわかってるだろうよ。俺は、許されない事をしたよ。」

的井「俺だって、色々してきてるよ。だから、あんまり気にすんなよ。おっさん」

的井さんの言葉に萩原さんは、泣いていた。

洋「俺は、二人が幸せになるのを見届けていい?」

的井「俺は、洋が幸せになるのをみるよ。」

萩原「俺も店長が幸せになるのをみたいな。俺と的井はなるからよ。な、的井」

的井「意味わかんねーよ」

そう言って二人で笑ってる。

この日、俺達三人は、飲んで食べて笑い合った。

亜香里や的井さんには、一日、一日を積み重ねて生きて欲しい。

昔、俺がそうしてきたように…。

いつか、生きる事しか考えない未来(あす)に辿り着くまで一緒に進んで行きたいと強く思ったんだ。


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