上 下
21 / 96
友達でいる方法なら知ってる

美春の話①

しおりを挟む
「まただよー、重いって言われたの」

「さっこは、重くないよー」

「みーちゃんが、彼氏だったらよかった」

私の名前は、川村美春。年齢26歳。彼女は、三上咲子年齢26歳。保育所からの幼馴染み!

私は、5歳の夏、咲子に恋をした。

「蝉ぐらいで、ブーブー言うなよ」

「やーだ、とって、とって」

5歳にしては、小さなさっこはよく男子にからかわれていた。

「待ってろ!とったるからな!」

「みーちゃん」

「わー、男女だー。」

私は、男女だと呼ばれていた。

身長が高いからだ!

「ありがとう、みーちゃん」

この犬のように私を見つめた目に恋をしたのだ。

あれから、彼女は私の気持ちなど何も知らずに大人になった。

そして、重たいって言われたのと言っていた出来事から半年が経った今日。

「みーちゃん、私、結婚する事になったの」

カフェに呼ばれて、唐突にそう言われた。

ガシャン…

「大丈夫ですか?お客様」

「すみません」

私は、飲もうとした水のグラスを床にスルンと落としてしまった。

「大丈夫?みーちゃん」

「大丈夫」

「こちらが、やりますので」

店員さんは、片付けてくれた。

「お待たせしました、珈琲です」

「ありがとうございます」

私は、思考が停止していた。

「みーちゃん、結婚するけど今まで通りだよ!何で、そんな悲しい顔してるの?」

自分がどんな顔をしているかわからなかった。

「ごめん、何かビックリしすぎちゃって」

「そうだよね!ビックリするよね」

と話していた日から、また半年が経った。

「みーちゃんが、男の人だったらよかった」

「浮気じゃないよ」

旦那の浮気を疑って、喧嘩をして我が家にやってきた。

頭が追いつかない程に、色んな事があった。

「絶対、崇さん。浮気してるのよ」

「してないよ」

「女の子と浮気しちゃおうかなー」

「えっ?」

「昔、働いてた根岸さん。レズなんだって」

「そうなんだ」

「浮気しちゃおうかなー」

「駄目だよ!絶対に駄目」

「でも、女の子だよ」

「じゃあ、私と!!!」

言いかけた口を押さえた。

「何言ってんのみーちゃんはレズじゃないじゃん」

「そうだね」

そう言って、笑った。

仲直りして、さっこは帰っていった。

「だから、心配しすぎって言ったよね?美春姉」

「離せよ」

「セフレでいいから」

「今も同じようなもんじゃん。それに、くー子は好きになれないよ」

「そうだよね」

この子は、ずっと近所に住んでいた。

水島久美子22歳。

くー子だ。

彼女は、私を好きだと言ってきた。

何度、傷つけてもやってくる。

愛されないのに、必死だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

妻のち愛人。

ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。 「ねーねー、ロナぁー」 甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。 そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

処理中です...