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お腹いっぱい、召し上がれ
手紙
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俺は、またコンビニにやってきた。
休みは、明日だった。
「また、あいつきた。村井、レジよろしくな」
「はい」
今日は、いつもより楽しみだった。
「いらっしゃいませ、温めますか?」
何も言わなくても、温めるのは知っている。
だって、彼女は待ってるから
スイーツが多めだ。
誕生日かな?
俺は、温めた商品の中に手紙を忍ばせた。
「ありがとうございました」
スイーツをかご半分も買う事は、今までなかった。
絶対に、誕生日だ。
俺は、何故か確信した。
その日、仕事が終わり帰宅した。
夕方まで眠った俺は、買い物に行った。
彼女にお弁当を作ってあげたかった。
ケーキも作ってあげよう。
俺は、17歳から料理に目覚めた。
失敗もたくさん繰り返したけれど、今なら人に食べさせれるクオリティになっているはずだ。
出来た。
パスタが好きな彼女にミートソーススパゲティを作った。
お誕生日だと思ったから、ショートケーキのホールを作った。
名前は、わからないから無理だな。
シャワーを浴びて、用意をする。
12時過ぎに、自転車で家を出た。
小さな公園で、よかった。
彼女が、やってきたらすぐにわかるからだ。
浮かれていた、絶対に来てくれる自信なんかなかった。
ただ、好きな人にご飯を食べさせてあげれる。
それだけで、俺は浮かれていたんだ。
一時半を過ぎた頃、彼女はやってきた。
「来てくれたんだ。よかった」
「馬鹿にしてます?」
「えっと、何でそうなるのかな?」
初めて聞いた彼女の声は、攻撃的だった。
「あなたみたいなカッコいい人が、私みたいなデブスに何のようですか?」
「何で、そんな風に言うのかな?テレビの人みたいに、ポジティブにならなくちゃ。これ、どうぞ」
「ふざけないで」
バシン…俺の作ったものは、拒まれた。
「ごめん。食べたくないよね。知らない奴の手料理なんか」
「何で、あんたみたいな綺麗な人が私に興味持つのよ。絶対にあり得ない。罰ゲームでしょ?バイトの人と賭けてるんでしょ?」
「そんな事はしないよ。それに、俺は綺麗じゃないし。君は、どうしてそんな風に言うのかな?俺には、わからないよ」
引っくり返ったケーキの箱を拾った。
「ごめんね、嫌なのに呼びだしてしまって。わざわざ来てくれてありがとう。俺はね、恋をしてたんだよ。だから、君と話したかった。それだけだったんだ。ありがとう。」
俺は、立ち上がった。
ミートスパゲティは、タッパを何十にもラップをしていて無事だった。
「ありがとう、好きだった。さよなら。気をつけて帰ってね」
立ち上がって、俺は帰ろうとした。
彼女は、俺の腕を掴んだ。
「それ、私の為に作ったんですか?」
「うん、三時間かかっちゃった。ハハハ」
「食べます。それなら、食べます」
「えー。いいの?」
「はい」
そう言って、ベンチに並んで座った。
「もう、冷たいけど、ごめんね」
俺は、スパゲティを渡した。
「いただきます」
「召し上がれ」
初めて、自分の作った物を食べてもらう。
嬉しくて、ニコニコが止まらない。
「美味しいです」
さっきの攻撃的な態度は消えて、彼女は女の子だ。
「よかった」
タッパいっぱいのスパゲティを平らげてくれた。
彼女は、泣きながら食べていた。
「ありがとうね。無理して食べてくれて」
「ううん、無理じゃないです。初めてです。自分の為に作られた料理を食べた事なんてなかったから」
「そうだったの?」
「はい」
「奇遇だね。俺も、同じだよ」
俺は、彼女の前髪をわけた。
「本当に、私を好きなんですか?」
「好きだよ」
「どうしたら?」
「付き合ってくれるなら、嬉しいよ」
俺は、ぐちゃぐちゃになったケーキを差し出した。
「何で?」
「何でって?」
「私、昨日誕生日だったんです」
「やっぱり、そうだったんだね。おめでとう」
ぐちゃぐちゃなホールケーキを差し出して、俺は笑った。
休みは、明日だった。
「また、あいつきた。村井、レジよろしくな」
「はい」
今日は、いつもより楽しみだった。
「いらっしゃいませ、温めますか?」
何も言わなくても、温めるのは知っている。
だって、彼女は待ってるから
スイーツが多めだ。
誕生日かな?
俺は、温めた商品の中に手紙を忍ばせた。
「ありがとうございました」
スイーツをかご半分も買う事は、今までなかった。
絶対に、誕生日だ。
俺は、何故か確信した。
その日、仕事が終わり帰宅した。
夕方まで眠った俺は、買い物に行った。
彼女にお弁当を作ってあげたかった。
ケーキも作ってあげよう。
俺は、17歳から料理に目覚めた。
失敗もたくさん繰り返したけれど、今なら人に食べさせれるクオリティになっているはずだ。
出来た。
パスタが好きな彼女にミートソーススパゲティを作った。
お誕生日だと思ったから、ショートケーキのホールを作った。
名前は、わからないから無理だな。
シャワーを浴びて、用意をする。
12時過ぎに、自転車で家を出た。
小さな公園で、よかった。
彼女が、やってきたらすぐにわかるからだ。
浮かれていた、絶対に来てくれる自信なんかなかった。
ただ、好きな人にご飯を食べさせてあげれる。
それだけで、俺は浮かれていたんだ。
一時半を過ぎた頃、彼女はやってきた。
「来てくれたんだ。よかった」
「馬鹿にしてます?」
「えっと、何でそうなるのかな?」
初めて聞いた彼女の声は、攻撃的だった。
「あなたみたいなカッコいい人が、私みたいなデブスに何のようですか?」
「何で、そんな風に言うのかな?テレビの人みたいに、ポジティブにならなくちゃ。これ、どうぞ」
「ふざけないで」
バシン…俺の作ったものは、拒まれた。
「ごめん。食べたくないよね。知らない奴の手料理なんか」
「何で、あんたみたいな綺麗な人が私に興味持つのよ。絶対にあり得ない。罰ゲームでしょ?バイトの人と賭けてるんでしょ?」
「そんな事はしないよ。それに、俺は綺麗じゃないし。君は、どうしてそんな風に言うのかな?俺には、わからないよ」
引っくり返ったケーキの箱を拾った。
「ごめんね、嫌なのに呼びだしてしまって。わざわざ来てくれてありがとう。俺はね、恋をしてたんだよ。だから、君と話したかった。それだけだったんだ。ありがとう。」
俺は、立ち上がった。
ミートスパゲティは、タッパを何十にもラップをしていて無事だった。
「ありがとう、好きだった。さよなら。気をつけて帰ってね」
立ち上がって、俺は帰ろうとした。
彼女は、俺の腕を掴んだ。
「それ、私の為に作ったんですか?」
「うん、三時間かかっちゃった。ハハハ」
「食べます。それなら、食べます」
「えー。いいの?」
「はい」
そう言って、ベンチに並んで座った。
「もう、冷たいけど、ごめんね」
俺は、スパゲティを渡した。
「いただきます」
「召し上がれ」
初めて、自分の作った物を食べてもらう。
嬉しくて、ニコニコが止まらない。
「美味しいです」
さっきの攻撃的な態度は消えて、彼女は女の子だ。
「よかった」
タッパいっぱいのスパゲティを平らげてくれた。
彼女は、泣きながら食べていた。
「ありがとうね。無理して食べてくれて」
「ううん、無理じゃないです。初めてです。自分の為に作られた料理を食べた事なんてなかったから」
「そうだったの?」
「はい」
「奇遇だね。俺も、同じだよ」
俺は、彼女の前髪をわけた。
「本当に、私を好きなんですか?」
「好きだよ」
「どうしたら?」
「付き合ってくれるなら、嬉しいよ」
俺は、ぐちゃぐちゃになったケーキを差し出した。
「何で?」
「何でって?」
「私、昨日誕生日だったんです」
「やっぱり、そうだったんだね。おめでとう」
ぐちゃぐちゃなホールケーキを差し出して、俺は笑った。
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