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俺と拜島さんは、10階にあがる。

10階の部屋に入ると灰谷さんが、パソコンに座って何かをしている。

灰谷「いいとこにこられました。まだ、パスワードが解析出来ていません。何か心当たりはありませんか?」  

灰谷さんが、拜島さんに尋ねる。

拜島さんは、「少し考えさせてもらえませんか?」と答える。

そして、れんは部屋の隅々にある本棚を見ていた。

れん「これって、あ行から順番に並んでるよね?」

俺は、れんの隣に行く。

洋「本当だ。」

れん「これって、今まで向島が襲った人達の……。コレクションにしてたって事だよね?」

洋「そうなるな。」

ま行の欄でれんが止まる。

れん「望月楓って書いてる、望月楓さんってこないだの」

洋「亡くなった人だよな。」

れんが、震えてるのがわかる。

俺は、れんに「俺達が、何とかしないとこの人達は一生救われないのかもしれない」と言った。

れん「洋。」

でも、俺はもうひとつの考えを話す。

洋「さっき相澤翔太と話をした時に思ったんだ。救われたがってるのは、被害者だけじゃないって相澤翔太もまた被害者だった。俺その話聞いて少し考え方がかわったよ。死ぬのを止めなきゃって思ってたんだけど…。だけど、相澤翔太見てたらかわったよ。あんなに苦しんで苦しんで苦しんでる状態で生きていたら、生きている事を諦めてしまいたくなるんじゃないかって…。」

れん「洋、そんなこと言っちゃダメだよ。」

洋「だってそうだろ?どんなに綺麗にしたって拭えない傷なんだったらそうするしかないんだろう?」

俺の言葉に拜島さんが、「そうかもしれませんね」と言った。

俺は、拜島さんの事も勘違いしていたようだ。
この人は、れんを傷つけたかったわけじゃない。

この人は、自分自身を殺したんだ。

れんと俺と灰谷さんの為に…。

黙って聞いてた、灰谷さんが口を開く。

灰谷「でも、今私達に出来る事は証拠を探して、探して彼女達を救うしかないんです。それが、相澤翔太を救う事にもなるのなら喜んでやりましょう。」と言ってくれた。
その言葉に拜島さんが、「もしかすると」と言って亜香里の名前を入れた。

灰谷「開きました。すごいです」

拜島「坊っちゃんは、亜香里さんにすごく執着をしていました。私から見てもわかるほどに…。」

そう言うと灰谷さんは、パソコンにある。

大学と書かれたフォルダをクリックする。

俺達は、覗き込む。

そこには、相澤翔太や亜香里やれんや洋や拜島などと名前がふってある。

れんは、その中で沙織と向島と書いてあるファイルを灰谷さんに押してもらった。

向島「拜島の事は頼んだぞ。沙織に任せていいか?」

沙織「もちろん、約束する。必ず」  

それだけの音声だった。

洋「拜島さん、沙織に何か言われてんのか?」

俺の言葉に拜島さんは、

拜島「全てが終わるまで、お話できません。」と言った。

洋「この事と関係あるのか?」

拜島「全てが終わりましたら、必ず話します。約束します。」そう言った。

灰谷さんが、「次、次、聞いていかないと時間がありません。」と言った。

れん「今は、急ごう。ひとつでも証拠を集めないと」

洋「そうだな。」


灰谷さんは、次の音声を押す。

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